不安1:履歴書などの書き方がわからない
未経験で介護業界に就職活動をする人が、応募先企業に送る提出書類を記載する際、気をつけることをいくつかご紹介します。とくに、履歴書または職務経歴書内に記載する志望動機や自己PRは応募書類のなかでも採用担当者が重視する項目です。
「なぜ未経験なのに介護業界を目指したのか」については、面接でも重要なポイントになりますので、具体的な経験や思いがあれば簡潔かつダイレクトに伝えます。
「人と直接かかわる仕事をしたい」「家族で介護が必要になった経験から仕事にしたくなった」など、よくあるきっかけをさらに掘り下げて、採用担当者が納得できるものへとブラッシュアップさせましょう。
1.志望動機の例文
以下に志望動機の例文を用意しました。
前職では医療機関向けのメーカー営業をしていました。介護関係の施設へのコンタクトも多く、身近で介護業界に触れていました。また、2年前に同居中の祖父の介護をした経験などから、介護への関心が高まり、転職を志しました。
介護の仕事は、利用者様と密接に過ごす時間が長いため、営業とはまた違ったコミュニケーションの重要性があると思います。介護の業務は未経験ですが、営業で培ったコミュニケーションスキルや家族の介護経験を生かして、貴施設で活躍したいと思います。
2.自己PRの書き方

自己PRは、前職までの具体的な経験や実績をわかりやすく数字を使って伝えます。例えば、「営業担当でトップを獲得した」というより「営業社員15人中、年間トップで○○円の売上があった」というほうが、より採用担当者にアピールできるからです。
そして、長所や経験をどのように応募先の仕事で生かそうと考えているか、自分が仕事を通じて大切にしていきたいことは何かを、具体的かつシンプルな表現で伝えるようにしましょう。
不安2:無資格でも介護の仕事はできるの?
1.無資格、未経験でも始められる

介護は、目の前にいる人の生活のさまざまなお手伝いをすることが基本です。家族の介護であれば資格がなくてもできますが、仕事で介護をするとなるとそうはいきません。
介護関係の資格がない場合、できる業務が限られてしまいます。
介護には大きく分けて生活援助と身体介助があります。生活援助は、掃除や洗濯、調理など家事を手伝うもので、資格がなくてもできます。身体介助は直接利用者の体に触れるもので、最低でも介護職員初任者研修の資格が必要です。
実際には、就職したときは無資格でも、働きながら資格を取得すればいい施設が多いので、無資格であることは、就職の際の高いハードルではありません。
40代、50代からでも正社員になれる
介護業界は人手不足が続いています。「平成30年度介護労働実態調査」によれば、全国の介護保険サービス事業を展開する事業所のうち、67.2%が従業員の不足感を感じていて、2013年以降増加しています。
また、不足をしている理由として「採用が困難である」と回答した事業所が最も多い状況です。人材を採用したいにもかかわらず、なかなか思うようにいかない状況が見えてきます。
介護の仕事というと、医師や看護師など医療職のように特別な資格がないとできないと思うかもしれませんが、無資格や未経験でも活躍できます。
無資格や未経験の場合は、採用が少なかったり、与えられる業務が限定されていたり、ある程度の制約はあるものの、採用難で人材不足が続く介護業界では中高年でも転職で正社員を目指せるチャンスがあるのです。
2.介護関連の資格を取ってキャリアアップ
介護職員初任者研修

介護業界を志すならまず最初に取得したい資格です。訪問介護事業者の場合、無資格の人は直接体に触れる身体介護はできません。介護職員初任者研修を取得することで、現場での業務の幅が広がります。
身体介護とは、食事や排泄、入浴、移乗といった身体的な介助のこと。介護施設が行う介護ケアの中でも日常的にこなさなければならない大切な業務のため、未経験でも資格があればスムーズに職場で評価されるようになるでしょう。
介護福祉士実務者研修
無資格から介護職員初任者研修を経て、次のステップに当たる資格です。初任者研修で培った知識や介護スキルをさらに磨いて、介護サービスの質を高めていきます。
実務者研修の修了で、介護の中心的な役割を担う介護福祉士への道が開けるだけでなく、介護施設のサービス提供責任者になることもできます。さらに、痰吸引や経管栄養などの医療的ケアもできるようになるなど、介護業務の幅が一気に広がるのがメリットです。
介護福祉士(ケアワーカー)
介護の現場でリーダー的な存在として活躍する、メジャーな介護資格です。介護福祉士になるには現場での実務経験や研修、国家資格試験など、受験や合格条件が細かく定められています。
例えば、実務経験は介護分野で3年以上必要なので、無資格や未経験からスタートしても一定期間の現場勤務が求められます。ハードルは高いものの、昇進や昇給、転職にも有利に働くでしょう。
ケアマネージャー

ケアマネージャーは、要介護者や要支援者に適切で必要なケアプランを作成する重要な仕事です。介護現場の経験も豊富で、専門知識も持っているので、利用者や入所者に合わせたケアプラン作成を中心に、介護施設や官公庁、医療機関との連携を図ります。
ケアマネージャーの担当人数は最大で30名ほど。独立すると、担当する利用者に応じて報酬が得られるのがポイントです。
なお、ケアマネージャーになるには、介護福祉士などの介護関連の資格を保有していて、介護の実務経験が5年以上必要となっています。
介護事務
介護保険制度の介護報酬を国に請求するための「レセプト」を作成します。一般企業でいうと請求や発注など経理事務の仕事に近いのが特徴です。民間資格がいくつかあって、代表的なものは介護事務管理士、介護保険事務管理士、ケアクラークが知られています。
介護事務はとくに無資格でも問題ありませんが、転職時に応募先にアピールするには民間資格を取得しておくと大変有利です。
実際の業務はパソコンの介護ソフトを使って、レセプトを作成するので、事務作業そのものはそれほど負担はありません。
3.資格有無による給料の差
「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、保有資格なしの介護職員と、介護福祉士の資格を持つ介護職員の給料額は次の通りでした。
このグラフを書く施設ごとに表したものが下の図表です。
施設 | 保有資格なしの給料額 | 介護福祉士の給料額 |
---|---|---|
全体 | 26.1万円 | 31.3万円 |
グループホーム | 24.5万円 | 29.1万円 |
デイサービス | 23.2万円 | 26.5万円 |
特別養護老人ホーム | 28.8万円 | 34.2万円 |
介護老人保健施設 | 26.9万円 | 32.6万円 |
介護療養型医療施設 | 26.3万円 | 29.7万円 |
表の「保有資格なしの場合の給与額」は、保有資格がないものの介護職の経験がある人の金額も含まれています。そのため、未経験で介護職員として働く人の給料額よりもかなり高めの金額が記載されています。
実際に未経験で介護職して働く人の給与額は、17万円~20万円前後と考えるのが良いでしょう。
また、上記の表を見てもわかるように、保有資格なしの場合と介護福祉士の資格を持っている場合とでは、給与額に5万円前後の差が発生しています。
介護職の資格を持たずに介護現場に就職したとしても、給料アップを目指したい場合は、働きながら介護福祉士の資格取得を目指すことをおすすめします。
4.転職して管理職も目指せる
介護現場では40代以降のシニア世代が中心的に働いています。「平成30年度介護労働実態調査」によれば、介護事業所で働く人の7割弱の人が40歳以上となっています。そのため、中高年の職員を束ねるリーダーシップを発揮する人材を募集するケースが増えています。
また、今後ますます介護業界は経営的に厳しい環境にさらされるため、介護業界が未経験でも前職で営業や経理、管理職の経験がある人材を積極的に採用して、組織の幹部候補として育成しようとする事業所もあります。
40代から介護の現場で経験を積んで、やがて介護施設の管理職となる可能性も十分にあります。
不安3:介護職未経験者の給料は安い?
1.介護職員の平均給料額
介護職員の平均給与額は年収で240万円〜350万円程度。ここでいう介護職員とは、介護福祉士や社会福祉士、介護職員初任者研修修了者などの資格者も含みます。
さらに雇用形態別に見ていくと、月給制では約29.7万円、日給では20.9万円が平均です。また、時間給で20.3万円となっています。
月給制 | 29.7万円 |
---|---|
日給制 | 20.9万円 |
時間給 | 20.3万円 |
全国的に採用情報を見ていくと、介護職員の月給は16万円から30万円程度。かなり幅があります。
理由として、資格の有無、現場での経験年数、所属している事業所の経営環境など、いくつもの条件が重なり給料の差が生まれています。
2.介護職員の初任給

介護職員の初任給は平均で23.2万円程度。介護施設のある地域や経営規模をはじめ、新入職員の年齢や経験、資格などによって数万円程度の差が出てきます。
とくに、介護施設の種類は初任給の金額に大きな影響があるのが特徴です。通所型より入所型の介護施設のほうが初任給が高めの傾向があります。
入所施設の初任給は24万円超。それに比べると、デイサービスやショートステイの初任給は21万円程度。3万円ほどの差があります。
3.手取りは額面給料の7~8割
給料には額面給料と手取り給料の2つの考え方があります。額面給料とは、会社からの総支給額で、税金や社会保険などを引かれる前の金額です。引かれた後、実際に職員に給料として振り込まれる金額を手取りと呼んでいます。
手取り給料は、一般的に額面給料の7割から8割程度が目安。求人情報を見るときも、表示されている給料が額面なのが手取りなのかに注意してチェックしましょう。
4.年齢ごとの平均給与額
介護施設の年齢別の給料で、最も高いのは40〜49歳の男女です。男性は33.7万円ほど、女性は29.6万円ほどで、介護職員の給与のピークの年齢層となっています。
年齢別で最も低いのは60歳以上。男性28.2万円、女性26.9万円です。40〜49歳の給料と比べると男性およそ5万円、女性およそ3万円ほどの差が開いています。
介護職員の年齢別平均給料は、20代が低く、30代から40代に書けてピークを迎えて、再び50代以降は下がっていくのが特徴です。
不安4:夜勤や身体介護はつらい?

24時間体制で介護をしている施設で働く場合、夜勤を伴うことがあります。
夜勤は、日中より少ない人数で業務をこなすケースが多いこと、交代制で仕事をするため生活リズムが昼夜逆転しやすいことなど、体力的にも精神的にもハードです。
ただし、一緒に勤務する夜勤メンバーとの相性で仕事のしやすさも変わってきます。
また、夜勤以外に大変なこととしては、認知症や高次脳機能障がいなど、感情をコントロールするのが難しくなっている利用者のお世話をしなければならないこともあります。
ときには急に怒り出してしまい、暴言を吐かれた、直接暴力をふるわれた、といったケースも残念ながらあります。
介護職員の夜勤や身体介護は「非常にきつい」と感じている人が少なくありません。
しかしながら、夜勤を行わない日勤だけの働き方や、身体介護を行わない生活援助だけの働き方が可能な施設もあります。
夜勤や身体介護に抵抗がある人は、そういった働き方ができる施設を探すところからはじめましょう。
1.介護職の仕事内容

要介護者の介助
介護の現場では、介護職員が要介護者の日常生活を常にサポートしていきます。とくに食事介助、排泄介助、入浴介助は介護ケアの中でも中心的な仕事です。本人の体調や精神状態を見ながら、無理のないペースで一人ひとり介助します。
例えば入浴介助なら、居室の室温と浴室の室温の差ができるだけないように気をつけたり、浴室内での転倒に注意したり、体力面だけでなく精神面にも気づかうなどの負担が大きく、慎重さが求められる業務です。
環境整備
介護施設によって、建物内や敷地内の清掃や美化の仕事も介護職員が行います。廊下や居室の掃除、ゴミ出しから庭木の剪定、除草作業や芝刈りなどの雑用も、入所者が気持ちよく毎日を過ごすのに欠かせない仕事です。
また、利用者や職員の服の洗濯、消毒などの衛生管理も大切な業務です。日常的には食事の配膳や後片付け、浴室の清掃も必要となります。また、定期的に開催するレクリエーションやイベントの運営も行います。
要介護者や家族とのコミュニケーション

コミュニケーション能力が低下している要介護者も少なくないため、相手の立場に寄り添ったコミュニケーションスキルを磨く必要があります。高齢者の中には、認知症や老人性うつ病の特徴を持った人も多いので、症状と対処法に基づいて細心の注意を払いながらやりとりするのが大切です。
また、本人の家族とのコミュニケーションも介護職員の仕事の一つです。面会のときに出会ったら、本人の様子を正確に伝えます。介護施設によっては定期面談で家族と話し合う機会もあるので、関係性を構築しておく必要があります。
介護記録の作成
介護記録は介護保険制度で定められている書類も多く、本人の状況の変化を確認するのに重要なので正確に記録します。毎日、要介護者の心身の状態を記録するのはもちろん、バイタルや食事量、排泄のほか、その日のレクリエーションの参加の有無や様子も含めて記録します。
複数の介護職員が記録するため、誰が読んでもわかりやすい内容にしておくことが大切です。今後の介護方針を決めたり、ケアマネージャーへの報告で使ったり、介護記録の作成は重要な業務といえます。
2.介護職の勤務時間
未経験者の場合、入職当初はまず先輩や上司の職員について一緒に仕事を学びます。そのため、勤務時間は日勤帯が中心です。24時間体制の入所施設では慣れてきてから夜勤帯のシフトも入ってきます。
入所施設の勤務時間帯の一例(特別養護老人ホームや有料老人ホームなど)
- 日勤帯:9時〜18時
- 早出:7時〜16時
- 遅出:11時〜20時
- 夜勤:17時〜翌10時
通所型施設などの勤務時間帯の一例(デイサービスなど)
- 9時〜18時
- 8時30分〜17時30分
- 8時〜17時/9時〜18時
不安5:どんな職場で働けるの?

介護で活躍できる職場の種類はたくさんあります。
大きく分けると、利用者の自宅が仕事場になる訪問介護と、施設で入居者や利用者の介護をする施設介護の2つです。
このうち、介護業界未経験でも働きやすい職場を選びたい場合、施設介護をおすすめします。なおかつ、身体介護や夜勤が少ない施設がベターです。
なぜなら、身体介護をするのは体力的にハードで、かつ資格が必要だからです。
また、夜勤は生活リズムが崩れて疲労が蓄積してしまうケースがあるからです。
おすすめなのは、デイサービスや通所リハビリテーション施設、介護ケアが必要なクリニックなどです。
このほか、ショートステイや「サ高住」と呼ばれるサービス付き高齢者向け住宅、入居者の介護の必要度によっては有料老人ホームも比較的スムーズに馴染める可能性が高いでしょう。
1.有料老人ホーム
略して「有料」と呼ばれる老人ホーム。公的な特別養護老人ホームと違って民間が運営しているのがポイントです。運営元が民間企業なので、ユニークなサービスを提供している施設も多く、高級マンションのような高額の利用料のところもあります。
入所条件も比較的ゆるやかで、幅広い要介護度の高齢者や障がい者が暮らしています。それぞれの特徴を生かしたレクリエーションやイベント運営、共有スペースでの交流など、介護を受けながら快適な毎日を送る体制が整っています。
2.グループホーム

認知機能の低下した認知症患者に対する独特なスキルや専門知識が求められる職場です。認知症患者は、感情の起伏が激しく、精神的にムラがある場合が大きいのが特徴。メンタルケアに十分気をつけながら、本人の特性やペースを生かした介護が必要となります。
施設の特徴は、認知症患者が共同生活をする場であるということ。入所者9人以下の小規模な「ユニット」を介護職員がお世話します。
介護業務の中心は身体介護です。食事介助、排泄介助、入浴介助は業務の中でも大きな割合を占めます。このほか、日常生活に必要な身支度や着替え、遊びやレクリエーションなど、入所者と密接に時間を過ごすのがポイントです。
3.デイサービス、デイケア
デイサービスは通所型介護施設の一つ。一人暮らしや、家族が仕事で家を空ける高齢者が施設で日中を過ごします。大半のデイサービスは朝、車で迎えにやってきて夕方にまた車で送るというスタイルです。
デイケアはデイサービスよりリハビリ中心の介護内容になっていて、半日型も多く利用されています。
デイサービスでは、高齢者の家の閉じこもりを予防して、外部で積極的にコミュニケーションを図り、社会とのつながりを維持するのが大きな目的です。また、食事や入浴、レクリエーションが受けられるため、介護する家族の負担軽減にもつながっています。
4.訪問介護
利用者の自宅に直接訪問して、排泄介助や移乗介助などの身体介護や調理や洗濯、清掃、買い物代行などの生活援助を行う仕事です。家事と共通する業務が多いため、主婦や女性が多く働いているのが特徴です。
実施する介護サービスは、利用者を担当するケアマネージャーが要介護者の要介護度や暮らしの状況を見て、適切に作成したプランに従います。
要介護度や要支援度に合わせた介護ケアのため、重度の要介護者の場合は排泄介助や褥瘡ケアといった専門スキルが求められる仕事も増えます。
5.特別養護老人ホーム
「特養」と呼ばれている自治体や団体が運営する公的な入所介護施設です。民間企業の運営する有料老人ホームとの違いは、要介護度3以上といった入居条件が厳密に定まっているところです。
低収入でも介護の必要が高ければ、入所しやすくなるので、自宅で自立できない人たちが多く暮らしています。
特養では、食事や排泄、入浴など身体介助を中心に、体力仕事が続きます。また、要介護度が高い人が多いので、精神的な気づかいも大きいだけに、やりがいも感じられる職場です。
6.介護老人保健施設
「老健」といわれる入所型介護施設で、長期的な入所ではなく、病院から在宅までの間をつなぐ自立支援を重点的に行っています。
そのため、施設ではリハビリを積極的に実施しながら、医療的ケアを受けられる、病院と老人ホームの中間的な存在といえるでしょう。
入所期間が比較的短期間なのが特徴で、3ヵ月ごとに医師によってリハビリをこのまま施設で続けるか、自宅に復帰するかが判断されます。そのため、入所者の入れ替わりが大きい中で仕事をしていきます。
7.病院
看護だけではなく介護も必要な入院患者のお世話が必要な病院で働きます。現場で介護職員として、医師や看護師の指示に従いながら、食事介助や排泄介助、とくに入浴介助で活躍します。
介護業務には、パジャマやシーツの洗濯、ベッドメイキングなどバックヤードの仕事も多くこなす現場が多く、医療現場を陰で支える大切な存在です。
病院の介護職員として働くと、転職にも有利に働きます。医療的ケアや感染症対策が強く求められる入所施設では重宝されるでしょう。
不安6:職場、施設を選ぶ方がわからない

未経験で介護業界に入るとき大切なことは、最初に就職する職場選びです。一口に「介護現場で働く」といっても、施設の種類、事業者の経営方針などさまざまです。そのため、自分自身の希望する働き方や待遇とのマッチングを意識した就職活動をする必要があります。
とくに気を付けておくべきなのが、職場の人間関係です。
なぜ職場の人間関係が重要かというと、これには介護現場の特徴が関係しています。介護現場は、小規模な施設だったりチームでシフトを組んでいたりするためにスタッフ数名で密接にかかわらなければならないことが多くあります。
また、業務がハードなので円滑なコミュニケーションができる相手でないとスムーズに仕事がこなせない、といった面があります。このような特徴から、介護現場での人間関係が非常に重要であることがわかります。
人間関係は、職場見学時に施設内の雰囲気を確かめる、介護に特化した人材紹介会社のエージェントに質問・相談してみることなどで知ることができます。
このほか、給与や昇給、福利厚生などの待遇条件や休日や残業発生の状況を確認することなどが大切です。
1.人材育成に取り組む有料事業所を選ぼう
未経験の場合、入職後に手厚い研修制度が整っているような施設だと、スムーズに介護の仕事や現場になじみやすくなります。
そのためにも、離職率が低い安定した運営を続けている事業所を選ぶのが何よりポイントになります。とくに人材育成に力を入れているかどうかを注意してチェックしましょう。
介護の現場では今でも「習うより慣れろ」で、早めに現場に出して教え込むOJT研修が当たり前といった施設も少なくありません。
ですが、初心者のためのプログラムが組まれている研修制度やキャリアアップに応じてチャレンジできる教育制度が整備されている施設なら、未経験でも現場で働きながら効率よく経験を積めるはずです。
2.よい求人を探す方法
求人サイト、求人情報誌

民間の求人情報誌には、さまざまな産業の求人案件が集まったものがいくつかあります。全国規模のものから地域限定のものまで、特徴もさまざまです。出版元の公式ホームページでネットでも求人情報を公開している場合もあるのでチェックしましょう。
また、最近は介護専門の求人サイトが増えています。こちらも全国から情報が集まっているほか、エリア別、施設の形態別で検索できるなど使いやすいので、積極的にチェックしてみてください。
ハローワーク
地域ごとに設置されていて、エリアのあらゆる求人情報をまとめて提供しています。
介護の業種に絞って条件検索すれば、希望する施設規模や雇用形態、業務内容に合わせてチェック可能です。
ハローワークは窓口も開設しているので直接相談もできます。定期的に開催している介護に絞った会社説明会に参加するなど、いろいろな使い方ができるでしょう。
新聞
新聞の求人欄や折り込みチラシにも求人情報が多数掲載されています。全国紙より地方紙のほうがより地元の求人に強いので、新聞によって使い分けてみるのがおすすめです。
また、フリーペーパーや自治体の広報誌に求人が掲載されている場合も多いので、チェックしてみましょう。
不安7:雇用形態別で働き方はどう違う?

介護職もほかの仕事と同じように、雇用形態によってそれぞれメリットやデメリットがあります。正社員とそれ以外の契約社員やパート勤務ではどのような違いがあるかをご紹介しましょう。
1.正社員
未経験でも正社員になれる

正社員を募集している施設や事業所には、未経験歓迎で経験や資格を条件にしないところも少なくありません。その場合、介護の現場で必要な資格は就職後に取得していきます。
正社員は常勤で給与も高く、現場で中心となって活躍できます。基本給や資格手当のほかにボーナス支給もあるので、パートや派遣社員に比べると介護職員の中でも高めの給与がもらえるからです。
その分、責任も伴います。リーダー的役割や管理職として現場をまとめたり、経営も考えた運営が必要だったりすることも。
また、契約や派遣、パートを指導して、臨機応変にその場で判断する決断力も求められます。このほか、職場によって残業が多い、積極的に夜勤に入らなければならないというところも少なくありません。
2.契約社員
契約社員は、期限が定められた契約で働くスタイルです。契約社員の雇用主は契約社員が働く会社となります。
最長5年の契約期間で働くスタイルで、条件が折り合えば更新もできます。事業所によって正社員登用制度を設けているので、まずは契約社員からという働き方も増えています。
常勤なら月給制、非常勤なら日給制や時給制で働きます。正社員よりも介護の実務経験が求められるため、現場ですぐに活躍できる有資格者や経験者を優遇する傾向が高いのがポイントです。
3.派遣社員
派遣社員も、期限が定められた契約で働きます。派遣社員の雇用主は派遣会社で、派遣会社から派遣されて働きます。 多くの場合、給料は時給制で定められています。
働き方は1日単位、時間単位で週ごと月ごとにシフトを組む場合もあれば、正社員のように常勤で働く場合もあります。
派遣社員の雇用期間は、有期と無期の2種類。有期雇用派遣の場合には、同一業務で最長3年までという雇用契約の制限があるので、気をつけましょう。
パート、アルバイト
パート、アルバイトは時給制であることがほとんどです。シフト制で自分の希望する勤務時間帯に働けるため、比較的自由なワークスタイルが実現します。雇用契約は勤務先と相談の上、5年以内で設定する場合がほとんど。5年を超える契約更新も可能ですが、その場合は労働者から申し込めば無期雇用契約に切り替えられます。雇用は不安定な分、自分の都合に合わせて勤務日数やシフトの時間を調整できるのが大きなメリットといえるでしょう。
応募先へ履歴書や職務経歴書を送って、書類審査に無事通ったら次は面接試験が待っています。
不安8:面接を受ける際の注意点がわからない
1.服装
面接では、何よりも服装や身だしなみが大切です。男女ともスーツ着用が基本。リクルートスーツがいいでしょう。カラーはベージュやシルバー、ネイビーやブラックなど、落ち着いたものがおすすめです。女性の場合は、ピアスやイヤリング、指輪などのアクセサリーは控えましょう。香水も避けてください。
なお、応募先から私服やカジュアルで構わないと伝えられる場合もあります。その場合もオフィスカジュアルが基本です。襟がある清潔なシャツ、シワのないズボンやスカートなど、派手なファッションは控えましょう。
2.転職理由の伝え方

転職者の場合、面接で必ず前職までの転職理由を質問されます。それぞれの職場でどういった業務経験や実績があって、なぜ退職したのか。スムーズに話せるように前もって準備してください。
退職理由はできるだけポジティブな表現にしましょう。人間関係や待遇などの不満はダイレクトに伝えず、将来のビジョンに従って積極的に介護職につきたい理由を強調します。
数ある業種・職種のなかから介護を選んだ理由も合否に影響する重要な質問です。自分なりの言葉で、介護に対する思い、就職後の働き方のイメージなどを前向きに伝えて採用担当者にアピールしてください。
また、小規模から大規模な施設に移る場合は、「キャリアアップに必要な研修制度が整っているから」「将来大きな組織で中心的に活躍したい」など、アピールできる理由をまとめて用意しておきましょう。
3.転職で前職の経験が活かせる
未経験でもこれまでほかの業種や職種の経験を十分に生かした転職も可能です。例えば、ずっと営業職をしてきたなら、介護で必要なコミュニケーションスキルを発揮して現場で活躍できるでしょう。また、経理に強い人なら、レセプトなど事務処理でスキルを発揮できるはず。
とくにシニア世代で中途採用された場合は、経験や能力に応じて将来の幹部候補としての期待を寄せる施設も少なくありません。介護とまったくちがう畑から転職した場合でも、経験を生かした転職ができるでしょう。