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高齢化社会とは?高齢社会・超高齢社会の定義や日本の対策

高齢化社会という言葉の定義についてわかりやすく解説。人口における高齢者の比率の違いをわかりやすく解説。 また、似た言葉である高齢社会・超高齢社会のそれぞれの言葉の定義についても説明します。

高齢化社会とは

高齢化社会とは65歳以上の高齢者が人口の7%を超える状態を指します。

この基準は1956年に国連が報告したもので、当時の欧米先進国の状況を元に定義されました。

日本では1970年に高齢化社会に突入し、その時点での高齢化率を見てみると7.04%でした。

その後、医療技術の進歩などで長寿化が進み、現在では29%以上の高齢者が占めており、高齢化が急速に進んだことがわかります。

高齢社会の定義

高齢社会の定義は、高齢者人口が全人口に占める割合を基にしています。

そもそも高齢者人口とは何歳以上の人口を指すのか、以下に簡単に年齢区分別の人口分類をまとめました。

年少人口 0~14歳
生産年齢人口 15~64歳
高齢者人口 65歳以上

このように高齢者人口とは65歳以上の方の人口を指します。そして、高齢化率とはこの高齢者人口が全人口に占める割合を示します。

このように求められる高齢化率を使って高齢社会の状態が判断されています。

「高齢化社会」「高齢社会」「超高齢社会」の違い

両腕でガッツポーズする高齢男性と、片手でガッツポーズする女性医師

「高齢化社会」「高齢社会」「超高齢社会」はそれぞれ異なる定義を持っています。

これらの区別は、人口に占める高齢者の割合、つまり高齢化率によって決まります。

これらの用語の違いを理解することが、社会全体の課題を把握するために重要です。

高齢化社会

「高齢化社会」は高齢者の割合が7%以上の状態を指します。

日本では、1970年から高齢化社会に突入しおり、当時の高齢化率を見てみると7.04%でした。

この時期は高度経済成長期に当たり、医療技術や化学技術の進歩により長生きする人が増えたことが、高齢者の割合が増えたことが要因です。

高齢社会

高齢社会とは65歳以上の高齢者が人口の14%を超えた状態を指します。

日本は1994年に高齢社会に突入し、そのスピードは他国と比べても非常に速いものでした。1994年における日本の出生率は1.50、高齢化社会が始まった1970年の2.13と比較すると大幅に減少しています。

少子化が進行し、出生率が低下したことも、高齢社会の到来を加速させた要因の一つです。

超高齢社会

超高齢社会とは65歳以上の高齢者が人口の21%を超えた状態を指します。

日本は2007年に超高齢社会に突入しましたが、これは他国に比べても非常に速いペースでした。

少子化が進む中で高齢者の数が増え続け、翌年の2008年からは人口減少が始まっています。

厚生労働省によると、2070年には総人口が9,000万人まで減少、高齢化率は39%の水準になると予測されています。

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高齢化進行の要因・背景

話をするスーツ姿の若い男性と、話を聞くエプロン姿の若い女性

高齢化が進行した背景には、平均寿命の延びと少子化の影響が大きく関係しています。

日本の平均寿命は、医療の進歩や生活環境の改善によって長寿化が進み、現在も男女ともに過去最高を更新し続けています。

その一方で、出生率は1970年代の第二次ベビーブーム以降減少し続けており、2005年には合計特殊出生率が1.26を記録、2023年には1.20となり年々減少しています。

このように、高齢者が増加し続け、若年層の人口が減少することが高齢化を加速させています。

また、現在の高齢者世代は、戦後のベビーブーム世代が多く、この世代の高齢化がさらに進むことで、2065年には日本の高齢化率が38%に達するとの予測もあります。

高齢者の増加は平均寿命が延びていることと大きく関係しており、以下のことが平均寿命の向上に寄与していると考えられます。

  • 死亡率の低下
  • 乳幼児死亡率の改善
  • 栄養状態や食生活の変化
  • 国民皆保険制度により医療を受けやすい環境

一方で、出生率の低下により人口全体が減少していることから、少子高齢化が進み、社会に大きな影響を与えています。

超高齢社会の動向

高齢化の推移と将来推計

日本の高齢化は急速に進んでおり、2023年時点で高齢化率は29.1%に達しています。

これは、世界でもトップクラスの高齢化率を誇る状況です。

日本の高齢化が急速に進んだ要因には、出生率の低下と医療技術の発展による寿命の延びが挙げられます。

特に、団塊の世代が65歳以上となった2015年以降、急激に高齢者人口が増加しました。

今後も高齢化は進み、2036年には高齢化率が33.3%、2065年には38.4%に達すると予測されています。

この時点では、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になるとされています。

さらに、総人口は2053年には9,000万人を下回り、2065年には約8,808万人まで減少すると見込まれています。

日本の超高齢社会は今後も進行し続け、社会全体に大きな影響を与えることが予想されています。

世界の高齢化

世界的に見ても、日本は最も高い高齢化率を誇り、超高齢社会に突入しています。

他の国々でも高齢化が進行しており、特にイタリアやドイツは日本と同様に超高齢社会に分類されています。

ドイツ

ドイツの高齢化率は2023年で約22.7%とされており高い水準となっています。

ドイツでは1995年に公的介護保険制度が導入され、在宅サービスや介護施設でのケアが充実しています。

さらに、ドイツの制度は介護者に対するサポートも充実しており、現金給付制度を選ぶことで要介護度に応じて最大約11万円を受け取ることができます。

一方、日本では現物給付が中心であり、介護者に対するサポートは限定的です。

また、ドイツの介護保険には年齢制限がないため、医療保険と一体化しており、すべての国民が介護保険に加入することが義務付けられています。

アメリカ

アメリカでは、高齢化率が現在16%ですが、2050年には22%を超え、超高齢社会に突入すると予測されています。

アメリカの公的保険「メディケア」や「メディケイド」は高齢者や低所得者を対象にしていますが、これらは主に病気の治療を目的としており、十分な介護サービスを提供するものではありません。

そのため、多くのアメリカの高齢者は「リタイアメント・コミュニティ」に移り住むことが一般的です。

リタイアメント・コミュニティは、55歳以上の退職者が居住する専用の街で、医療施設やレクリエーション施設が整っており、アメリカでは2,000以上のコミュニティが存在しています。

しかし、同世代以外との交流が減少する問題も指摘されており、大学敷地内に設置される新しいタイプのコミュニティが増加しています。

日本においても、高齢者が生き生きと暮らせる環境の整備が求められ、アメリカのようなリタイアメント・コミュニティの導入が一つの対策となるでしょう。

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超高齢社会の影響・問題点

超高齢社会では、これまでの制度や体制では対応しきれない問題が顕在化しています。

このような状況では、社会全体での対応策が急務となっています。

医療における問題点

超高齢社会では、医療制度における負担が急激に増加し、持続可能性が問われています。

高齢者の増加に伴い、医療費や介護費用の負担が膨らみ、これを税金でまかなうことが難しくなる可能性があります。

特に2025年には団塊世代が75歳以上となり、医療・介護の需要が急増する「2025年問題」が懸念されています。

また、少子化による現役世代の減少と高齢者の増加によるバランスの崩れが、経済の停滞を引き起こすリスクもあります。

さらに、介護保険料の値上げが続いており、2040年度には保険料が9,000円を超えると予測されています。

このような状況では、社会保障制度の維持が難しくなり、税や社会保険料の負担増大が避けられないと考えられています。

介護における問題点

介護における最大の問題は、深刻な人材不足です。

介護現場ではスタッフが不足しており、施設運営が困難になり「介護難民」が増加する恐れがあります。

また、家族による在宅介護が増えることで家族への負担が増大し、特に肉体的・精神的な負担が深刻化します。

さらに、高齢者同士による「老老介護」や認知症の方同士の「認認介護」の増加も懸念されています。

2025年以降、介護職員はさらに不足する予測されており、その対策として政府による介護職の賃上げは行われていますが現状では十分な対策とは言えません。

経済成長率における問題点

高齢化社会では、現役世代の労働力が減少し、経済成長の鈍化が懸念されています。

労働力人口の減少により、国内市場も縮小し、投資先としての魅力が低下する可能性があります。

この結果、新たなイノベーションの創出が難しくなり、経済成長率の低迷が続くリスクが高まっています。

労働力不足が長期的な経済成長に大きな影響を及ぼすことが予測されています。

超高齢社会への対策

並んだ2組の夫婦と、虫眼鏡を持って話をするスーツ姿の若い女性

超高齢社会への対策として、日本では「地域包括ケアシステム」が導入されています。

これは、2025年を目標に、高齢者が住み慣れた地域で尊厳を持って自立した生活を送れるようにする仕組みです。

地域の包括的な支援やサービス提供を強化し、医療や介護、福祉が一体となって支援を行うことを目的としています。

また、「高齢社会対策基本法」に基づき、就業や健康、福祉の分野で対策が進められており、すべての世代が活躍できる社会を目指しています。

この高齢社会対策基本法では以下の3点が示されています。

  • 公正で活力のある社会
  • 地域社会が自立と連帯の精神に立脚して形成される社会
  • 豊かな社会

これにより、高齢者の生活の質を維持しつつ、社会全体の健全な発展を促進することが期待されています。

介護現場のIT化・機械化

介護現場のIT化・機械化は、介護職員不足に対応するための重要な対策です。

日本では2023年までに22万人以上の介護職員が必要とされている一方で、現役世代の減少によりその人数を確保するのは難しい状況です。

そこで、経済産業省と厚生労働省は、ロボット技術の活用に注目し、移乗支援や排泄支援などの分野でロボット導入を進めています。

また、IoTを活用したスマートフォンでの利用者の状況確認など、介護現場での効率化も図られています。

これにより、介護スタッフの負担を軽減し、より質の高いケアを提供できる体制の整備が進んでいます。

ただし、導入コストや使い勝手の課題があり、全国的な普及には時間がかかると見込まれています。

「地域包括ケアシステム」で高齢者を支える

「地域包括ケアシステム」は、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく最期まで暮らせるよう支援する体制です。

厚生労働省は2025年までに全国でこのシステムを整備し、増加する高齢者に対応したいと考えています。

地域によって抱える課題が異なるため、各自治体が主体的にシステムを構築し、地域の特性に応じたケアを提供する必要があります。

地域に根ざしたケアシステムを構築することで、高齢者が自立して暮らせる環境を整えることが可能です。

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