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【2022年3月最新】介護ロボットとは?見守りなどの役割や導入の補助金を解説

慢性的な人手不足に悩まされている介護業界の切り札として期待されているのが、介護ロボットです。着々と開発が進み、実用化も間もなくと言われていますが、今後の動向はどうなのでしょうか?この記事では、ロボットを導入するメリットやデメリットを紹介。ロボットが活躍する未来の介護現場について、各種データやアンケートからも考察していきます。
2022年06月24日更新

介護ロボットとは

介護ロボットの定義は「要介護者の自立支援」

眼鏡をかけたスーツ姿の女性と頭に疑問符を浮かべる若い女性

介護ロボットは現在、まさに発展途上の状態にある技術のため、明確には定義されていません。

そもそも、ロボットの定義自体が、いまだにあいまいというのが現状なのです。

厚生労働省においては、「情報を感知し」「判断し」「動作する」という3つの要素を含み、知能を持った機械のシステムをロボットと呼んでいます。これらが介護に応用され、要介護者の方の自立支援や介護する方の負担を軽減するものを介護ロボットとしています。

介護ロボットの種類

ロボットが介護で活躍する場面は、多岐にわたります。

福祉用具の開発や研究を行う公益財団法人日本テクノエイド協会は、移乗支援、移動支援など、介護ロボットが使用される目的別に12のカテゴリーに分類することを検討しています。

1.移乗支援

移乗支援ロボットは、介護される方をベッドから車椅子などに移し変える際、介護する方の負担を軽減するロボットです。

介護用のマッスルスーツやアシストベッドなどが、このカテゴリに分類されます。

2.移動支援

移動支援ロボットは、自力で移動できない方を移動できるようにするほか、移動が可能な方の負担を減らしたり、移動距離を延ばしたりする際に使われる電動歩行アシストカートなどのことを指します。

3.排泄支援

排泄支援ロボットとは、尿や便といった排泄物を感知し、自動で排泄物の吸引や陰部の洗浄・乾燥、さらに排泄物の処理などを自動で行うロボットのことです。

ベッドサイド水洗トイレなどがこのカテゴリーになります。

4.見守り支援

見守り支援ロボットは、介護される方の心拍や呼吸、あるいは転倒などの非常事態を含めて状態を認識し、PCやスマートフォンなどに通知したりする機能を持ったロボットです。

アウルサイトなどが知られています。

5.入浴支援

入浴支援ロボットとは、浴槽に自力で入浴するのが困難な方に対して、こうした方が簡単かつ安全に入浴、あるいは浴槽への移動をできるように支援するロボットのことです。

6.機能訓練支援

機能訓練支援ロボットとは、会話などのコミュニケーションを用いて、機能訓練を受ける方の意欲を引き出すなど、効率的な機能訓練を行うことをサポートするロボットを指します。

7.服薬支援

服薬支援ロボットは、決まった時刻内に正しい容量の薬が取り出されたかどうかなどをチェックして介護者に通知し、薬の飲み忘れや飲みすぎ、誤った服用などを防ぐのを支援します。

8.認知症セラピー支援

認知症セラピー支援ロボットとは、認知症の方向けのセラピーや会話支援などの機能を有し、そうした方の不穏な行動などを抑制して、介護する方の負担を軽減することを目的としているものです。

9.食事支援

食事支援ロボットは、食事の介助が必要な方に対し、介護をする人の負担を減らしたり、あるいは介助を必要とせずに食事がとれるようにサポートしたりする能力をもっています。

マイスプーンなどが知られています。

10.口腔ケア支援

口腔ケア支援ロボットとは、介護される方の歯磨きや口腔環境の改善、あるいは噛み合わせの調整などを支援し、介護する方の口腔ケアにかける労力を軽減するためのロボットです。

11.介護業務支援

介護業務支援ロボットとは、掃除や洗濯、調理、記録などの身体介護以外の業務を行い、介護を行う人の負担を減らすための各種ロボットを指します。

お掃除ロボットとして知られるルンバもこの一種です。

12.その他

これまでご紹介した以外にも、さまざまな場面でロボットは活躍しています。

たとえば褥瘡の予防や、体位の変換など、上で紹介した以外の介護の業務において、介護する人の負担を減らしたり、介護される人の自立を支援したりするような技術を持ったものです。

介護ロボット開発の現状

では、介護ロボットの開発について、現状はどうなっているのかみていきましょう。

介護ロボット開発のこれまで

うなだれてひざをつく若い女性が元気になって笑顔になる様子

2035年には3人に1人が高齢者になると試算されているなど、高齢化社会が進む日本では要介護人口が増え続けています。介護業界の人不足が深刻化する状況の中、介護ロボットはその解決策として検討され、実用化が目指されています。

政府もこの介護ロボットの開発には力を入れています。2008年には、厚労省の『安心と希望の介護ビジョン』という資料の中で、ロボットの活用が提唱されるなど、すでにこうしたビジョンについて触れられていました。その後2011年に厚労省が福祉用具・介護ロボット実用化支援事業を開始したのが、日本における介護ロボット開発における大きな契機です。

その後、2012年に厚生省、経産省がロボット技術の介護利用における重点分野の策定を共同で行いました。さらに2014年、2017年にこの重点分野の改訂が行われた結果、現在の「6分野13項目」にわたる介護ロボットのカテゴリーが定められています。

詳細については、のちほど詳しく解説していきます。

重点開発分野とは

お金の話をするガッツポーズを浮かべたスーツの男性

介護ロボット開発における重点分野とは、どのような機能を持った介護ロボットを開発するべきかというターゲットを示したもの。厚労省と経産省の協議によって決定されました。

こうした重要分野は、今後社会的な課題となる介護の諸問題を解決するべく進んでいく介護ロボットの開発において、政府が奨励するべく策定されたものです。より多くの機能や使いやすさ、安全性を考えた開発、介護ロボットにおける技術革新を目的としています。

これにより、開発重点分野のロボットの開発が促進されるようにと、公募によって複数の助成金をはじめとした開発補助事業が採択。
民間の開発事業をサポート
できるようになりました。

この開発支援事業については、2013年に「ロボット介護機器開発5ヵ年計画」の一環として「ロボット介護機器開発・導入促進事業」が発足。また2018年度からは新たに3ヵ年計画で「ロボット介護機器開発・標準化事業」として国の支援を受け、多くのロボットが登場することになりました。

課題はコストと”心”にある

介護ロボットを導入するにあたっての課題は、大きく2つあります。

1つ目はコストの問題です。どのような商品でも世の中に普及すれば自然と価格は落ち着いていきますが、介護ロボットを導入している介護施設はまだまだ少数です。そのため、利用したいと考える施設が現れても、コスト高の面で気軽に利用できないという事情があります。

2つ目の課題は“心”です。「心がない介護ロボットには人間のような細やかなケアができない」という心理的な観点から、導入を見送っている介護施設も少なくありません。

介護では、利用者と介護者との間に言葉にはできない信頼関係を構築することが大切です。人と人との間に生まれる会話には、人とロボットとの会話では感じられない温かさがあり、利用者の気持ちを和ませる効果があるという声も少なくありません。そのため、介護ロボットを積極的に導入することにためらいがある施設が多いことも事実です。

一方で、人対人だからこそ嫌な思いをしたり、羞恥心が芽生えたりすることも事実です。トイレ介助やおむつ交換は人間の尊厳にかかわるため、できればやってもらいたくないと考えている方も少なくありません。このような場面で介護ロボットが活用できるようになれば、導入を検討する介護施設も増える可能性がありそうです。

ロボット技術の介護利用における重点分野

それでは、介護分野ロボットの開発で重点分野とされているものをみていきましょう。

①移乗介助 【装着型】
介助者のパワーアシストを行う装着型の機器

【非装着型】
介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器
②移動支援 【屋外型】
高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できる歩行支援機器

【屋内型】
高齢者等の屋内移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援する歩行支援機器

【装着型】
高齢者等の外出等をサポートし、転倒予防や歩行等を補助する装着型の移動支援機器
③排泄支援 【排泄物処理】
排泄物の処理に設置位置の調整可能なトイレ

【排泄予測】
排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する機器

【動作支援】
トイレ内での下衣の着脱など、排泄の一連の動作を支援する機器
④見守り・
コミュニケーション
【施設型】
介護施設において使用する、センサーや外部通信機能を備えた機器のプラットフォーム

【在宅型】
在宅介護において使用する、転倒検知センサーや外部通信機能を備えた機器のプラットフォーム

【コミュニケーション型】
高齢者等とのコミュニケーションに生活支援機器
⑤入浴支援 浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器
⑥介護業務支援 見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、高齢者等の必要な支援に活用することを可能とする機器

産官学連携の動きが活発化

パソコンの間で人差し指を立ててよりそう、若い女性と若い男性

介護ロボットについては、安全性や市場価値などの課題があり、研究開発や実用化が進んでいません。

ただ、介護ロボットを開発、生産および販売する企業が、大学と民間企業が提携した「産官学連携ベンチャー」という形で設立されたりしています。このように、私たちにとって介護ロボットは、徐々に身近なものとなってきています。

現場の反応は?

羽の生えたお札を見つめて顔をしかめる若い女性

まだまだ介護ロボットは需要が少なく大量生産が難しいのが現状。開発から実用化まで進んだとしても1台あたり数百万円もすれば導入できる介護施設は限られてきますし、家庭での利用はほぼ不可能です。

また、介護という仕事はホスピタリティや要介護者への気遣いが大切な仕事。

こうした介護ロボットに対し大歓迎ムードでないことの理由として、介護現場側からは「導入コストの高さ」や「ロボットや機械から想起させられる冷たいイメージ」が指摘されています。

介護に機械やロボットを用いるということに批判や疑問の声が上がるのは、人と人との触れ合いが大切な仕事に、感情を持たない機械・ロボットを使うことをためらうという心理的側面があるのではないでしょうか。

とはいえ介護ロボットは、介護サポートを行い、人手不足の介護現場でゆとりを生む一助になる可能性を秘めている技術です。

開発途上であることから、現場でのニーズの擦り合わせをはじめ、さらなる技術開発が必要ではあるでしょう。

今後のロボット開発について

すでに日本のロボット技術は世界でも認められはじめており、EUでの医療機器指定であるMDD(Medical Devices Directives)認証を取得したロボットスーツ「HAL(Hybrid Assistive Limb)」なども登場しはじめています。

居宅サービスにおいては、介護保険制度の中に福祉用具貸与および購入サービスというものがあります。介護ロボットの重点分野のうち、排泄支援分野では2012年4月から自動排泄処理装置が、見守り支援分野では2015年4月から認知用老人徘徊感知機器が、移動支援分野では2016年4月から介護ロボットが対象になっています。そして、すでに数千台が導入される見通しです。

しかし、すでに約800万台も貸与されている従来型の福祉用具と比べると、まだまだ数が少ないというのも事実です。

また、介護保険の施設サービスにおいては、居宅サービスとは違い、介護保険の対象となるサービス内容に制限がありません。厚労省の「介護ロボット導入特別支援事業」によって導入された約1万台と、多くの都道府県で実施されている介護ロボット導入支援事業で約3,000台、そして各施設で購入された介護ロボットが施設で活躍をしています。

さらなる普及が望まれるなか、厚生労働省は、介護ロボットの導入効果検証、普及加速に向けた研究、ITや介護ロボットを活用した生産性向上ガイドラインの作成とモデル事業等、導入推進に向けた各種事業を展開している。

現場にはどんなメリットがある?

頭をかかえて悩んでいた状態から笑顔になる若い女性

介護ロボットを導入するメリットとしてまず挙げられるのは、施設のスタッフなど、介護をする方の身体的、あるいは精神的な負担が軽減できるという点。

移乗支援ロボットを導入した施設では、ロボットの使用により、介護士の持病となっていた腰痛が軽減できたという例なども報告されています。

こうしたロボットの手を借りて効率的な介護が行えるようになれば、心の余裕もでき、手厚い看護が可能となるわけです。

また、上で説明したような気配りをしてもらえるようになることに加え、トイレや入浴など、利用者が人相手でだと恥ずかしく感じられる介助をロボットが行うことで、精神的な苦痛が減るなどのメリットもあります。

さらに見守り支援ロボットの導入で、利用者が安心して夜間に休めるようになった結果、睡眠が改善されたという例や、歩行支援ロボットを導入して、より良い自立支援が可能になった例などが報告されています。

デメリットは主に2つ

価格が高い

介護福祉施設経営者へのアンケートの結果によると、介護ロボットを導入していないと回答した施設は全体の7割にものぼりました。そのうち、導入していない理由として最も多かったのが「価格が高いから」(54%)です。

ロボットの種類によっては月々数万円でレンタルできるものもありますが、施設側の費用負担は軽くはなく、導入には時間がかかっている状況です。

介護ロボットは高いもので数百万円。月々数万円でレンタルできるものもありますが、導入には時間がかかっています。ただ、日本では国が積極的に介護ロボットの開発や普及を進めており、介護ロボットの購入における助成金の支給や、介護ロボットの活用に対する報酬加算の導入など、施設側の費用負担を減らす取り組みが行われています。

操作が難しい

価格以外に介護ロボットの導入を阻む課題として、「操作が難しい」点があげられます。

慣れてしまえば難しいものではありませんが、介護業界のIT化はまだまだの不十分な状態。報告書やカルテを手書きしている現場では、いきなりロボットの操作と言われても対応が難しい場合も多くあります。

また、介護の現場は多忙を極めるため、介護ロボットの操作練習に時間を割くことはスタッフにとって負担になり、余裕がないのが現実です。今後、介護ロボットが普及するには、これらの課題をどう解決するかがカギになりそうです。

介護ロボットのこれから

より現場の声を活かすために

高齢の男性を介護する若い女性と、その様子を見るスーツ姿の若い男女

現在開発が進む介護ロボットですが、両者の間にミスマッチが生まれていることも確かです。企業側が介護現場におけるニーズを上手く把握できていなかったり、逆に現場がロボットへの知識が不足していたり、ネガティブなイメージを持ってしまっていたりといった状況があります。

厚生労働省では介護ロボットの「ニーズ・シーズ連携協調協議会」の全国50ヵ所への設置・運営を推進しています。高齢者や生活に不便がある障害者など「利用者」と呼ばれる人たちと、介護職をはじめ、ケアをする側の人たちの双方にとって、これらの技術が導入され、負担を軽減したり、機能の向上につなげたりすることを目指しています。

こうした取り組みの中で今後、より現場での使用に即した介護ロボットが登場することが期待されています。

多様な分野での活躍

青い車と夜に熟睡する高齢の男性

AIは将来的に介護分野で活躍することが期待されています。

AI(人工知能)は、自分で集めた情報を将来の業務に役立てる学習機能と、知識の中から状況を判断ができるシステムとなっています。

将棋ソフトや自動運転などにこうしたAIが活用されていることは広く知られていますが、介護ロボットにおいても、こうしたAIを取り入れようとする動きがみられています。

現時点では、見守り支援を行うほか、介護される方とある程度以上の精度を持った会話ができるロボットなどが登場しています。今後もケアプランの作成を行えるロボットや、介護される方の状態を自発的に判断し、睡眠に適した明るさに照明を調整する介護システムなど、さまざまなAIを搭載した介護ロボットが開発されようとしています。

海外での展開を目指す

笑顔で前を見つめるスーツ姿の三人の若い男性

現在、介護ロボット先進国となりつつある日本は、こうした技術を海外でも展開するために、日本が主導して介護ロボットの安全性に関する基準の策定を目指すなど、海外市場への進出を念頭に入れた動きが起きつつあります。

求められる役割が変わってきた福祉機器

現在、高齢者をはじめとした「自立」を、社会福祉においてどう考えるかという視点が変わりつつあります。

以前は、1980年にWHOが制定した国際障害分類(ICIDH)に則り、医学的な視点から失われた身体機能をどう補うかを考える自立支援が一般的でした。

これは主に従来通りのスタッフによるケアや見守りサービスなどが中心となるものであり、福祉用具はあくまでも障害を補うための道具として用いられていました。

しかし、この国際障害分類から2001年に改訂された国際生活機能分類(ICF)という視点により、介護される方の生活全体の質を高めるという自立支援の形に変わりつつあります。

こうした考え方のうえでは、施設による自立支援だけでなく、高齢者を総合的にサポートできる地域の積極的な自立支援を行うことが求められています。そのためにも、介護職員の手を借りるだけではなく、介護される方がより自立した生活に近づくことができる介護ロボットの必要性が高まっていると言えるのです。

他の人はこちらも質問

介護ロボットは何をする?

介護ロボットとは、利用者の自立支援を行い、介護する人の身体的負担を減らす介護機器です。移乗、入浴、排泄、食事、機能訓練、服薬、認知症セラピーなど、介護ロボットの活躍の場は多岐にわたります。介護施設では、介護職員の身体的・精神的負担を軽減することが可能です。

介護ロボットがなぜ?

介護ロボットが開発された背景には、介護施設の職員不足にあります。高齢化が進むなか、介護職員の数はさらに深刻化していくと考えています。打開策として介護ロボットの導入が始まりました。職員の業務不足の解消のほかに、要介護者の自立支援をする働きも期待されています。

介護ロボットはなぜ普及しない?

介護ロボットが普及しない原因は、価格が高い・操作が難しいことです。介護ロボットを導入しない施設の理由は、50%以上が高価格だと述べています。
また、IT化に遅れのある介護業界でロボットの操作は困難だと考える施設が多いです。さらに、日々の業務が忙しいため、操作を学ぶ時間を確保するのは大きな負担です。

介護する人を何という?

介護者は介護をする人、提供する人という呼び方があります。介護される人は要介護者といいます。