【動画あり】介護ドライバーとは?仕事内容や資格、なり方を解説

介護ドライバーとは、通所介護施設の利用者に対し、施設と自宅との間の送迎業務を行う運転手です。 送迎業務のほか、介護ドライバーは車椅子の上げ下ろしや乗車の介助なども行う場合があります。 こちらでは、介護ドライバーの一日の仕事の流れや働くために必要な資格をカバー。働くうえでのやりがいや就職先も網羅しています。介護ドライバーとしての就労を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

介護ドライバー(送迎ドライバー)とは

デイケアやデイサービスのような、日帰りで介護やリハビリを受けられる通所介護施設では、利用者の送迎を行っています。

介護ドライバーは、通所介護施設の利用者に対し、施設と自宅との間の送迎業務を行う運転手です。

通所介護施設の介護ドライバーは、大抵の場合は施設のワンボックスカーを運転し、朝、利用者の自宅まで迎えに行きます。そして施設での1日が終わると、夕方に利用者を自宅まで送り届けるのが、仕事の流れとなります。

送迎業務のほか、介護ドライバーは車椅子の上げ下ろしや乗車の介助なども行う場合があります。

施設によっては、来所する訪問マッサージ師などの送迎を行ったり、介護職員が運転業務を兼務したりするケースもあります。

ちなみに、通所介護施設以外では、一部の有料老人ホームに勤務している介護ドライバーもいます。この場合、施設によって介護ドライバーの仕事内容は異なり、運転業務に加えて施設メンテナンスや清掃業務を兼務することがあります。

1.介護タクシーと福祉タクシーの違い

介護系ドライバーの職種には、介護ドライバーのほかに「介護タクシー」「福祉タクシー」のドライバーという仕事があります。これらの仕事と介護ドライバーには、どのような違いがあるのでしょうか。

まず、介護ドライバーは基本的に通所介護施設などの施設に雇用され、その施設の利用者を中心に送迎を行います。

これに対し、介護タクシーや福祉タクシーのドライバーは、タクシー事業者や通所介護施設を運営する法人内の別事業所で雇用され、運転業務を行います。

介護タクシーは、車椅子利用者や寝たきりの要介護者が、自宅から外出するときに利用できるものです。ドライバーは移乗介助やおむつ交換など、基本的な介護を行うこともあり、在宅介護を受けている人、施設利用者どちらも利用できます。

利用目的が通院や役所での手続きなどであれば介護保険が適用になりますが、プライベートでの用事など、目的や行き先によっては介護保険が適用されず、全額自己負担となります。また、介護保険を適用するにはケアマネージャーを通す必要があります。

福祉タクシーは、身体障がい者の外出をサポートするタクシーで、対象は身体に障がいを持つ人のみです。利用料金は全額自己負担なので、目的にかかわらず利用可能ですが、場合によっては居住する自治体で一部負担が受けられる場合もあります。

このように、介護ドライバーと介護タクシー、福祉タクシーは業務の内容や利用目的や対象者、利用方法が異なります。

2.一日の仕事の流れ

デイサービスに勤務する介護ドライバーの一般的な一日のスケジュールをご紹介しましょう。

介護ドライバーの1日

一般的にデイサービスの利用者を迎えに行くのは7時30分~9時30分頃なので、7時頃にはデイサービス事業所に出社して、当日迎えに行く利用者の確認を行います。

迎えに行く人数は日によって変わりますが、要介護度が高い利用者の場合、車への乗り込みのサポートも必要です。

その後、15時30分頃から、利用者を自宅に送り届ける作業が始まります。送る作業は、日によって変わりますが18時30分頃には終了するのが通例です。担当する利用者すべてを送り届けたら事業所に戻り、その日の仕事は終了します。

フルタイムで働き続ける仕事ではないため、朝と夕方の送迎時のみパート・アルバイトとして働く人も多いです。介護職員として働きながら、送迎の作業を行うケースもあります。

介護ドライバーになるには?

介護ドライバー、介護タクシー、福祉タクシーの違いについての図版

車の運転が主な業務の介護ドライバーとして働くには、当然運転免許が必須です。

ただし、利用者の送迎にはワゴンやワンボックスカーなどの大きめの車両が用いられることが多いため、ある程度の運転技術は求められます。

このことから、普段運転をあまりしていないペーパードライバーや、大きめの車両を運転したことがない人が介護ドライバーとしては働くことは難しいでしょう。

基本的に、普通自動車第一種免許の資格保持者であれば介護ドライバーとして働くことが可能です。

ただし、中型自動車免許の保持者が介護ドライバーとして求人されていることもまれにあります。

1.普通自動車二種免許は不要

介護タクシーや福祉タクシーを運転する場合は、「普通自動車二種免許」が必要です。二種免許は、料金を徴収し乗客を乗せて旅客自動車を運転する際に必要な免許で、この免許を持っていればタクシーの運転が可能です。

しかし、介護ドライバーは利用者から料金を徴収することがないため、介護タクシーや福祉タクシーと大きく異なります(送迎は介護施設のサービスの一部であり、利用者から別途料金を徴収していません)。

通所介護施設の送迎車は料金を徴収する旅客自動車には当てはまらないため、普通自動車一種免許さえ持っていれば、介護ドライバーとして働くことが可能です。この理由から、普通自動車二種免許は必ずしも取得しておくべきものではありません。

普通自動車免許の場合、AT(オートマチック)限定の免許証もあります。多くの介護施設ではAT限定可となっているため、MT(マニュアル)免許も特に取得しておく必要はありません。

2.介護系の資格があれば選択肢が広がる

デイサービスなどの送迎車には、介護ドライバーのほかに介護職員が同乗し、利用者の介助を行うことがあります。しかし施設によっては、介護職員などが同乗しないところもあります。

その場合は、介護ドライバーがひとりで送迎を行いながら利用者の介助もしなければならず、介護の知識も必要になる場面があります。そのため、介護ドライバーの求人では介護職員初任者研修などの介護系資格を条件にしているところも少なくありません。

介護ドライバー職であっても、介護職員の同乗がない施設で働く場合に備えて、介護職員初任者研修や介護福祉士などの介護系資格を取得している方が、採用時に有利となります。

このなかでも介護職員初任者研修は、介護の仕事をするならまず取得しておくべき、数ある介護系資格のなかで基本となる資格です。

この資格はどのような立場の人でも研修の受講が可能で、介護の基本知識や技術を習得できます。資格を取得すれば身体介助ができるようになります。

介護職員として働くこともできる資格なので、介護ドライバーを目指す人でも取得しておくことをおすすめします。

介護ドライバーの求人を検索する

訪問介護員研修(ホームヘルパー)1、2級

訪問介護員研修(ホームヘルパー)1、2級のイメージイラスト

無資格者はホームヘルパーとして訪問介護事業所で働くことはできません。ホームヘルパー1・2級は既に廃止された資格ですが、廃止される前に資格を取得していた人については、有資格者とみなされ訪問介護サービスに従事できます。

デイサービスの利用者には、要介護状態の方が多いです。寝たきりの方や移動時に車椅子を必要とする方が数多く利用されています。

介護ドライバーとして働く場合、介助に関する知識を持っていることを証明するため、ホームヘルパー1・2級の資格を持っていると就職・転職に有利となるでしょう。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、現行の介護関連の資格制度の中では最も基礎的な資格です。2013年の制度改正によって、ホームヘルパー2級から名称が変更されました。そのため「ヘルパー2級」と呼ばれることも多いです。

介護職で働く人が最初に取得する資格ではありますが、取得に向けた勉強の中で、介護に関する基本的な知識やスキルを学ぶことができます。

要介護者と接することの多い介護ドライバーにとって、介護職員初任者研修の取得はスムーズに仕事を行ううえでも有用です。デイサービス事業所側からも、資格保持者は高く評価されます。

介護福祉士

介護福祉士のイメージイラスト

介護福祉士は介護に関する唯一の国家資格であり、有資格者は介護現場のリーダー的な存在として、ほかの職員に指導やアドバイスを行うことが求められます。介護の専門家としてキャリアアップを図る場合、介護福祉士資格の取得を目指すのが一般的です。

介護福祉士の有資格者であれば、介護ドライバーが持つべき介護知識・スキルは申し分なく保持しているといえます。

利用者の心身状態に合わせたきめ細やかな対応・サービスを行える能力を持つとみなされるため、就職・転職できる機会もそれだけ多くなるでしょう。

平均月給・年収・時間給

介護ドライバーの一般的な給与は、正社員の場合は月収換算だと28万円前後、平均年収だと335万円前後です。

なお、介護ドライバーの仕事自体は朝と夕方の短時間で終わるため、アルバイト・パート、あるいは派遣社員として働く人が多くいます。その場合、アルバイト・パートの平均時給は1,000~1,050円、派遣社員だと1,150円ほどです。

しかし、これはあくまで平均的な額で、働くことを希望する人の実務経験や保有する資格によって、実際の金額は変わってきます。介護関連の資格を持ち、介護施設での勤務経験があれば、待遇は上がるでしょう。

また、地域によっても賃金のあり方に違いがあります。例えば、神奈川県だと平均時給が1,000円を超えていますが、ほかの都道府県の場合だと800円台~900円台の場合も多いです。

介護ドライバーの雇用形態

介護ドライバーとしての仕事自体は、利用者を迎えに行く7時30分~9時30分、自宅に送り届けに行く15時30分~18時30分の間のみです。

そのため介護ドライバーとしてのみ働くのであれば、通常はアルバイト・パート、派遣社員などの雇用形態で採用されます。

正職員として働く場合は、介護ドライバーとしてだけでなく、デイサービス事業所内でほかの作業にも従事するのが一般的です。

1.非正規職員で雇用されるケース

運転免許証のみ保持し、介護に関する知識や技術、実務経験がない場合は、アルバイト・パートなどの非正規職員として勤務することが多いです。

あるいは、介護関連の有資格者・実務経験保持者の場合でも、ご家庭の都合によりフルタイムで働けない場合、経験を活かしながらアルバイト・パートとして短時間で働くという選択もできるでしょう。

2.正社員で雇用されるケース

介護職員と兼務の場合は正社員で雇用されるのイメージイラスト

介護ドライバーとしてだけでなく、職員として利用者への対応や事務作業にも従事する場合は、正社員として雇用されるケースも多いです。その場合、介護関連の資格や実務経験があれば、より雇用の機会が増えるでしょう。

ただし当然ですが、アルバイト・パートよりも勤務時間はもちろん、仕事の作業量、種類、責任が増えます。自宅で子育てや親の介護を行い、仕事に十分な時間が取れず、家のことだけで疲労が蓄積しているという場合だと、その点を考慮して職場を選択する必要があるでしょう。

介護ドライバーの就職先

1.デイサービス、デイケア

デイサービス、デイケアのイメージイラスト

介護ドライバーの職場は、主にデイサービスやデイケアなどの通所介護施設です。

デイサービスは、食事や入浴の介助、リハビリやレクリエーションなどの介護サービスを受けることができる施設です。

デイケアの場合はリハビリを主に行いますが、デイサービスと同様に介護サービスを一通り受けることもできます。

一部のデイサービスでは、そのまま宿泊が可能な「お泊りデイサービス」を実施している施設もあります。

いずれの通所介護施設でも、利用者は施設と自宅の間を送迎してもらうのが一般的で、各施設のドライバーが送迎車両で迎えに行き、利用後は自宅まで送り届けます。

2.介護保険内での開業も可能

介護ドライバーとして経験を積み、将来的に介護タクシーを運営する事業所を立ち上げるという道もあります。

介護タクシーには、大きく分けて「介護保険適用外の福祉輸送に限定したタクシー」と「介護保険と連動したタクシー」の2種類があり、実際に開業する場合、どちらの形態で運営するのかを決めなければなりません。

介護保険と連動する形でタクシーサービスを行う場合、各種の運営基準や人員基準、設備基準をクリアして「訪問介護事業所」としての指定を受ける必要があります。

ほかにも、専用の車両、第二種運転免許の取得、タクシー会社を運営するための人員、営業所、車両保管所などを確保する場所なども必要です。

運転が好きという人におすすめ

介護タクシーや福祉タクシーと異なり、介護ドライバーとして働くには普通自動車二種免許は必要ありません。普通自動車免許のみ持っていれば働くチャンスがあるので、普段よく車を運転している、車の運転が好きという人にはおすすめです。

介護ドライバーの仕事では、施設を利用する多くの利用者の送迎を行います。安全に施設と利用者の自宅との間を送り届けることにより、利用者本人やその家族から感謝されることもあります。

感謝の言葉をもらったときには、介護ドライバーとしてのやりがいを実感できるでしょう。

そして何よりも、施設を利用する高齢者や在宅介護をしている家族の役に立てることも魅力のひとつです。

安全運転が基本中の基本

車の運転や高齢者との交流を好む方のイメージイラスト

介護ドライバーの仕事は、ただ単純に車の運転さえできればいいというわけではなく、利用者の命を乗せて運転していることを忘れてはいけません。

近年は、介護施設の送迎時の交通事故もたびたび報道されています。そのため、安全運転を行うことが基本中の基本です。

交通法規に則り安全運転を行うためには、運転中はもちろん、運転前や到着時のチェックや利用者への積極的な声がけなどが必要です。

乗車時・降車時には、利用者とのコミュニケーションも発生します。介護ドライバーとして適性があるのは、車の運転が好きな人以外に、高齢者との交流が好きな人も挙げられます。

また、施設の利用者のなかには、ちょっとした振動や衝撃を嫌がる人もいます。安全・丁寧な運転のためにも、安全運転教習などに参加をして自身の運転を省みながら運転スキルを上達させる向上心がある人も介護ドライバーとして適した人材でしょう。

加えて、介護ドライバーは、常に利用者を気にかける必要があります。

乗車時には、あらかじめ体調がすぐれない人がいないかどうかを必ずチェックし、車内を適正温度に設定、シートベルトがきちんと締まっているか・締まりすぎていないかなど、細かなところに気遣いが必要です。

また、ドライバーの態度は利用者の目につきます。

運転中に悪い態度を取っていると、クレームの原因になる場合もあります。特に、運転中にイライラしていると、態度が悪くなりがちなので、利用者に対して細かな気配りができる人に加えて、自身を律することができる人が、介護ドライバーに向いているでしょう。

デイサービスの増加により将来性は十分

デイサービスの利用者増加は予測されるイメージイラスト

近年、デイサービスの施設数は右肩上がりで増加しています。

介護保険制度が始まった2000年以降、事業者数は約4倍、利用者数は2.6倍にもなっており、2013年度末時点でデイサービスは4万弱、利用者は約173万人に達しています。これは、介護保険利用者の3人に1人はデイサービスを利用していることを示しています。

現在の日本は、著しく高齢化が進行中です。年々高齢化率は上昇し、2025年には30%、2060年には40%に達するといわれます。

このような現状から、今後もさらにデイサービスの数は増えることが見込まれます。同時に、デイサービスで働く介護ドライバーの需要も増加すると予測できます。

通所介護施設は送迎が必須のサービスのため、介護ドライバーは、将来性があって長く続けやすい仕事だと考えて良いでしょう。

介護ドライバーの求人を検索する