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難病患者等ホームヘルパーとは?仕事内容から資格の取得ルート、取得のメリットを解説

難病患者等ホームヘルパーは、難病患者の生活を支え、ホームヘルプサービスを提供する専門職であることを証明する資格です。 こちらでは、難病患者等ホームヘルパーの業務内容から資格の取得方法、介護職員として働く場合の給与額などについて詳しく解説します。 難病患者等ホームヘルパーとして働くには、指定の養成研修を終えなければなりません。研修の概要についてもあわせてご紹介しましょう。 介護業界に興味をお持ちの方は、より専門性が高く、それだけに人材ニーズの高い難病患者等ホームヘルパーとして働くという選択肢があることを知っておいて損はありません。また、現在介護業界でお勤めの方も、今後のキャリアアップにつながるとも考えられますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

難病患者等ホームヘルパーとは

難病患者等ホームヘルパーとは、難病を患って自宅で療養生活を送っている方を対象に、生活の質を向上させ、本人の自立と社会参加の促進を図るホームヘルパーです。

難病患者等が持つ多様化したニーズに対応するために専門的な知識、技能を有しているホームヘルパーであり、難病患者等ホームヘルパーとして働くには所定の研修を修了する必要があります。

以下では、難病患者等ホームヘルパーが提供するサービスの内容、介護保険サービスのホームヘルパーとの違い、さらに難病患者等ホームヘルパーが活躍する職場についてご紹介しましょう。

1.サービス内容

難病患者等ホームヘルパーは、難病あるいは特定疾患を持ち、普段の生活において見守りや支援を必要とする患者をサポートするのが主な仕事内容です。

実際にサービスを行ううえでは、利用者が患っている難病・特定疾患の特徴を踏まえ、介助する際にどのような点に注意する必要があるかについて、適切な知識を保有している必要があります。

また、日常生活を支えるだけでなく、利用者が自立した生活を送れるようになること、さらには社会参加の機会を確保できるようにサポートすることも、難病患者等ホームヘルパーの仕事です。

2.ホームヘルパーとの違い

ホームヘルパーとの違い

難病患者等ホームヘルパーは訪問介護事業所に所属してホームヘルプサービスを行う点では通常のホームヘルパーと同じです。しかし難病患者等ホームヘルパーは、疾病の特徴や注意点などを認識したうえで難病患者に対する介護を行うことができ、その点に違いがあります。

難病患者の生活の介助に加えて精神的なサポートも行いながら、利用者の自立と社会参加を実現できるように支援するのが、難病患者等ホームヘルパーの仕事です。

3.活躍する職場

「ホームヘルパー」という名称の通り、基本的には訪問介護事業所が主な職場です。そこからサービスを利用する方のお宅を訪問し、必要な介護を行います。

そのため、すでに訪問介護事業所で働いているホームヘルパーにとって、自分の能力を高め、仕事の幅を増やせるという意味において、取得を目指すに値する資格と言えるでしょう。

資格取得のメリット

1.活躍の場が広がる

難病患者等ホームヘルパーの資格取得までの学習を通して、難病に関する専門性の高い知識を身に付けることができます。介護の知識のみならず、病気に関する専門的な知識を増やすことによって、仕事の幅・質を向上させることができるでしょう。

また、難病患者等ホームヘルパーの資格を得るために受講する研修費用は安価に設定されています。平均だとおよそ1万円で、介護関連の資格の中では費用がかからない資格と言えます。しかも、研修は修了時に試験がないので、不合格になることはありません。

研修さえ一通り終えれば資格が取得できます。研修を通して専門知識を得つつ、修了後に確実に資格を取得できるという点は、難病患者ホームヘルパーの大きな利点です。

2.履歴書で専門性をアピールできる

履歴書に記載して専門性をアピールできる

難病患者等ホームヘルパーの資格は、履歴書の資格欄に書くことができます。介護分野には資格が多くあり、就職・転職時にはできるだけ多く記載をしておきたいところです。難病患者等ホームヘルパーは、難易度がそれほど高くないものの、介護施設・事業所では資格として一定の評価を受けることができます。

履歴書に難病患者等ホームヘルパー資格取得と明記することで、難病患者への対応ができるという専門性をアピールすることができ、就職・転職において有利に働くでしょう。

難病患者等ホームヘルパーになるには?

1.資格取得の条件

難病患者等ホームヘルパーになるための条件

難病患者等ホームヘルパー養成講座を受講するには、所定の要件を満たす必要があります。講座は「入門講座」「基礎課程Ⅰ」「基礎課程Ⅱ」から構成されており、それぞれの受講資格は以下の通りです。

・入門講座…ホームヘルパー3級、介護福祉士

・基礎課程Ⅰ…ホームヘルパー2級、介護職員初任者研修の修了者または履修中、介護福祉士

・基礎課程Ⅱ…ホームヘルパー1級、介護職員基礎研修修了者、実務者研修修了者または履修中、介護福祉士

2.申込方法

難病患者等ホームヘルパー養成講座を受けたい場合、都道府県・地方自治体が指定する「難病患者等ホームヘルパー養成研修実施期間」に受講の申し込みを行います。

受講に必要な資格要件を満たしていれば、問題なく受講できるでしょう。すべてのカリキュラムを修了すれば資格を得ることができます。

3.養成研修カリキュラム

難病患者等ホームヘルパー難病基礎課程Ⅰ

難病患者等ホームヘルパー養成講座の基礎課程Ⅰは、ホームヘルパー2級、および介護職員初任者研修の修了者あるいは履修中の方が受講対象です。現行制度ではホームヘルパー1~3級は廃止されており、もっとも基礎的な介護の資格は介護職員初任者研修となっています。

そのため、これから介護分野で働き、基礎課程Ⅰを受けるという場合は、初任者研修を修了後、もしくは並行して受講するという形となるでしょう。

基礎課程Ⅰでは「難病における保険や医療、福祉の制度」「基礎知識」「患者の心理と家族の理解」に関する内容を学びます。基礎課程Ⅰの受講時間は4時間です。

難病患者等ホームヘルパー難病基礎課程Ⅱ

基礎課程Ⅱは、「難病における保険や医療、福祉の制度」「基礎知識」「難病患者の心理学的な援助法」「介護の実際カリキュラム」などで構成されています。

基礎課程Ⅱの受講資格は旧ホームヘルパー1級、介護職員基礎研修修了者、実務者研修修了者または履修中の方であり、基礎課程Ⅰよりも資格要件が厳しいです。そのため、基礎課程Ⅱの内容は、Ⅰよりも質・量とも多く、受講時間もⅠが4時間であるのに対して、Ⅱは6時間となっています。

4.受講費用と期間

難病患者等ホームヘルパー養成講座は、都道府県あるいは都道府県の指定事業所(スクール)にて受講できます。都道府県やスクールによって受講できる課程が違っているため、実際に受ける場合は、講座内容を必ず確認しましょう。

スクールで受講する場合、費用は若干の違いはあるものの、首都圏では概ね1万円前後。長野県のように都道府県が行っている場合だと、受講料が無料である場合もあります。かかる時間は基礎課程Ⅰが4時間、基礎課程Ⅱが6時間です。

難病患者等ホームヘルパーの給料は?

1ヵ月あたりの実賃金

厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、介護職員の手当や一時金などを含めた月の平均給与額は下記の表のようになります。

年齢 男性 女性
29歳以下 30.3万円 29.1万円
30~39歳 35.1万円 31.5万円
40~49歳 36.6万円 32.4万円
50~59歳 34.1万円 32.4万円
60歳以上 29.7万円 29.5万円
出典:「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」(厚生労働省) 時点

難病患者等ホームヘルパーも概ねこの金額に準ずると考えられます。一般的なホームヘルパーよりも専門性が高い分、待遇が良くなる可能性が高いです。

資格取得でスキルアップを図るには?

一緒に活用できる資格

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護分野で働くうえでの入門資格です。2013年度に行われた制度改正によって、ホームヘルパー2級から名称が変更されました。そのため、介護現場では「ヘルパー2級」と呼ばれることもあります。

介護職員初任者研修を受講することで、介護に関する基礎的な知識とスキルを学ぶことができますが、受講要件などは特に定められていません。誰でも受講でき、資格や実務経験、年齢などは一切不問です。難病患者等ホームヘルパー資格と併用することで、活躍の場が広がります。

ガイドヘルパー(移動介護従事者)

ガイドへルパー(移動介護従事者)とは「外出介護員」と呼ばれることもあり、障がいのある方の外出介助を行う専門職です。介護職員初任者研修は介護保険制度に基づく資格ですが、ガイドヘルパーは障害者総合支援法に基づき、居宅介護や同行援護、移動支援事業などに従事します。

視覚障がいや全身性障がい、知的障がい、精神障がいなどのある方は、1人での外出が難しい場合があります。ガイドへルパーの仕事は、そうした方々が安全に外出できるようにサポートを行います。買い物や通院、通勤・通学、あるいは旅行の際にサービスが利用されます。

ガイドへルパー資格を難病患者等ホームヘルパー資格と併用することで、仕事の幅は一気に広がるでしょう。

生活習慣病予防士、予防指導士

生活習慣病予防士・予防指導士は、生活習慣病の予防を第三者に指導するための知識とスキルを学べる資格です。資格取得により、自分自身のケアはもちろん、家庭や地域、職場などにおける健康づくりを担う役割を担うことができます。

生活習慣病は、かつての日本にはほとんど見られなかった病気です。しかし、豊かな食生活、ストレスが溜まりやすい現代社会、交通機関の発達による運動不足などが原因で、戦後日本において急増していきました。いわば日本社会の「ぜいたく病」であり、今後はさらに低年齢化が進んで行くとも言われています。

難病患者等ホームヘルパー資格と生活習慣病予防士・予防指導士の資格をあわせて取得することで、現代病に関する知識をより深め、日々の業務に生かすことができるでしょう。

難病患者等ホームヘルパー資格の将来性

難病患者等ホームヘルパー資格の将来性

ホームヘルパーとしてキャリアアップを目指す場合、難病を患っている利用者のニーズにも対応できる難病患者等ホームヘルパー資格を取得するのが良いと言われています。

難病患者等ホームヘルパーの資格を持ち、ヘルパーとして幅広く実務経験を積んでいくことで、将来的に介護福祉士、ケアマネージャーといったより上位の資格取得の道も見えてくるでしょう。

また、これから介護分野のホームヘルパーに就職・転職を考えている方も、介護職員初任者研修などとあわせて、難病患者等ホームヘルパーの資格取得を検討してもよいでしょう。雇用主・勤務先である施設・事業所側からの評価アップも期待できます。