スマート介護士とは
スマート介護士は、介護ロボットあるいは介護センサーなどを活用しつつ、介護現場のクオリティの向上と効率化を実践できる介護士であることを証明する資格です。
この資格は、社会福祉法人善光会のサンタフェ総合研究所が2019年に創設し、資格の認定を行っています。
介護ロボットなどの活用
近年、介護現場では介護ロボットの導入が進められていますが、実際には「使用方法がわかりにくい」「使い勝手がよくない」といった理由から十分に活用できていないケースが少なくありません。
しかし、少子高齢化が進む日本では介護人材の不足が深刻化しており、介護ロボットなどの導入、生産性を上げるオペレーションシステムの構築などは急務です。
そのため、介護ロボットやセンサーを効果的に使いこなせるスマート介護士は、今後ますます重要な役割を果たすことが期待されています。
介護ロボットや介護センサー等に関する知識を豊富に持つスマート介護士は、介護現場の効率化を実現し、介護職員の負担を減らせる人材として注目が集まっています。
国も、介護分野におけるデジタル技術の普及に力を入れており、2029年までに多くの介護施設でロボットやICTツールが導入されることを目指しています。
スマート介護士は、今後の介護現場で欠かせない存在として期待されており、その役割はますます重要になるでしょう。
介護現場では、課題解決のためにデジタル技術を活用できる人材が求められており、スマート介護士の活躍が期待されています。
スマート介護士の取得メリット
スマート介護士の資格を取得することで得られるメリットは多岐にわたります。
- 介護ロボットの運用により、介護現場の効率化が期待できる
- 介護事故のリスクを軽減が期待できる
- 介護ロボットやICTに関する知識を深めることで、現場での存在感を高めキャリアアップに繋がる
人手不足が進む中、介護職員の負担を軽減し、より専門的なケアに時間を充てることができる点は大きな利点です。
ロボットによる見守りが導入されることで、夜勤職員の負担を減らし、より安全で質の高いケアを提供できるようになります。
結果として、介護事故のリスクを軽減することが期待されています。
スマート介護士は、介護業界においてますます重要性を増す資格であり、今後のキャリアに大きく寄与するでしょう。
スマート介護士の資格取得方法
受験資格
スマート介護士の受験資格には制限はなく、誰でも挑戦可能です。
スマート介護士の認定を行っている株式会社善光総合研究所は是非資格に挑戦してほしい人材として以下の条件を提示しています。
- 介護ロボット・ICT活用に興味がある人
- キャリアアップのために有望な資格を得たい人
- 現場の業務オペレーションを改善したい人
- LIFEや科学的介護の最新情報を学びたい人
試験の種類
スマート介護士の試験には、4つの種類があります。
資格種別 | 難易度 | 受験資格 |
---|---|---|
スマート介護士Starter | 基礎 | 誰でもオンラインで受験可能 |
スマート介護士Basic | 初級 | 誰でもオンラインで受験可能 |
スマート介護士Expert | 中級 | 誰でもオンラインで受験可能 |
スマート介護士Professional | 上級 | Expert資格保持者を対象 |
スマート介護士には入門編にあたる「スマート介護士Beginner」もあります。こちらは受験の必要はなく、指定の認定校にて研修を修了すれば取得できる資格です。
スマート介護士Starter
これはBasicよりもさらに基礎の資格となっており、24時間365日いつでもオンラインで受験可能、かつ受験料無料の試験となっています。
今後スマート介護士の知識を深めたいと考える方にとっては、足がかりとなる資格です。
スマート介護士Basic
スマート介護士Basicは、介護ロボットやICTツールの基礎知識を学べる初級資格です。
主に一般の介護職員や、介護ロボットメーカーで働く方向けに設けられており、介護現場での活用方法を学ぶことができます。
試験は選択式と記述式で構成され、正答率70%以上で合格ラインとなります。
スマート介護士Expert
スマート介護士Expertは、実践的なスキルを習得できる中級資格です。
主に施設管理者や主任クラスの職員、介護ロボットやセンサーを現場で運用するための知識を深めたい方向けです。
試験は選択式と記述式で、Basicよりも難易度が高く、正答率70%以上で合格ラインとなります。
介護現場のオペレーション改善や技術の浸透を目指す方に最適です。
スマート介護士Professional
スマート介護士Expert資格保持者を対象に、介護機器を用いた実際の介護施設での現場実習を含む3日間で、導入前から導入後のオペレーション改革のための技術を習得を目標とした資格です。
デジタル技術の習得と業務改善を同時に理解することで、各介護事業所でのデジタル技術導入をリードしたい方向けです。
試験内容
スマート介護士の試験内容は、BasicとExpert共通で以下の6つの分野から構成されています。
- 介護ロボット概論
- 介護基礎論
- 介護オペレーション基礎論
- 介護ロボットの評価論
- 介護ロボットの導入と運用の実践
- 介護業務支援システムの導入
「介護ロボット概論」では、ロボットの基本知識や国の施策、普及に向けた課題が出題されます。
「介護基礎論」では、日常的な介護技術の理解度が問われます。
さらに、介護現場でのオペレーションやロボットの評価基準、実際の導入方法に関する知識が出題されます。
すべての問題は公式テキストに基づいているため、テキストを活用して自学することが重要です。
合格率・難易度
スマート介護士Basicは、標準的な知識を問う内容で、公式テキストをしっかり学習すれば十分に合格が狙える難易度です。
合格基準は正答率約7割で、初学者でも挑戦しやすい資格です。
一方、Expertはより深い理解が求められるため、テキストの内容を暗記するだけでなく、実際の現場での応用力が試されます。
介護業務の経験がある方にとっては、学習すれば合格できるレベルと言われています。
受講費用
スマート介護士Starter | 無料 |
---|---|
スマート介護士Basic | 6,600円 |
スマート介護士Expert | 8,800円 |
スマート介護士Professional | 75,000円 |
BasicとExpertは併願が可能で、併願する場合1万3,860円が必要ですが、グループでの申し込みや施設単位での受験には割引が適用されます。
特定の試験回では割引キャンペーンが実施されることもあるため、事前に確認することをおすすめします。
勉強法
スマート介護士の資格取得に向けた勉強方法は、「公式テキスト」と「オンライン講座」の2つがあります。
公式テキストは、BasicとExpert両方に対応しており、試験はすべてこのテキストから出題されます。
テキストの内容をしっかり学習すれば、Basicは十分に合格が可能です。
Expertに合格するには、さらに深い理解が必要となります。
また、オンライン講座は、テキストの内容を動画でわかりやすく解説しており、別途費用がかかりますが、内容を効率的に学べます。
特にExpertを目指す方には、テキストと併用することで学習効果が高まります。
スマート介護士の給料
スマート介護士の給料について、正確なデータはありませんが、参考までに介護職員全体の給料を見てみましょう。
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、介護職員の手当や一時金などを含めた月の平均給与額は下記の表のようになります。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
29歳以下 | 約29万円 | 約28.3万円 |
30~39歳 | 約33.7万円 | 約30.9万円 |
40~49歳 | 約35.9万円 | 約31.8万円 |
50~59歳 | 約33.9万円 | 約31.7万円 |
60歳以上 | 約27.9万円 | 約29.1万円 |
もし介護福祉士がスマート介護士の資格を取得し、さらに専門性を高めれば、さらなる待遇向上、キャリアアップに結びつく可能性が高まるでしょう。
スマート介護士の将来性
少子高齢化の進行に伴い、介護業界は慢性的な人材不足に直面しています。
その解消策の一つとして、生産性の向上が求められています。
介護ロボットやICT技術の導入が進む中、これらを効果的に活用できる人材は極めて貴重です。
スマート介護士の資格を持つことで、介護現場におけるロボットやICTツールの活用を推進し、業務効率化を図ることが可能になります。
介護ロボットやセンサーの活用が進むにつれて、スマート介護士の重要性は一層高まるでしょう。
資格を取得することで、人材不足の課題解決に貢献できるだけでなく、今後の介護業界でのキャリア形成にも大きなメリットがあります。