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柔道整復師とは?仕事内容から受験資格、就職先を解説

柔道整復師の試験内容、合格率、仕事内容のイメージイラスト

介護施設での柔道整復師は、主に機能訓練指導員としてかかわってくることが多い資格です。

この記事では、街中で見かけることの多い「整体」との違いについても解説しました。

そのほか、受験資格や試験での合格率、年収をはじめとする給与待遇についても紹介。

「どんな人が向いているか」「柔道整復師としての就職先にはどんなところがあるか」などについても触れています。

柔道整復師とは

柔道整復師は骨折や脱臼、打撲、捻挫、挫傷といった怪我に対して、手術を行わない「非観血的療法」によって整復・固定などの治療を行う専門職です。

日常生活あるいはスポーツの場面では、事故や転倒、激しい接触などにより、骨や関節、筋、腱、靭帯などにさまざまな損傷が発生するリスクがあります。

そうした急性、亜急性の要因によって生じる怪我に対処するのが、柔道整復師の仕事です。

人数の推移

柔道整復師における人数の推移

厚生労働省「3 就業あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師及び施術所」(厚生労働省『平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』)によれば、2018年12月末時点で柔道整復師の人数は7万3,017人。

2016年と比較すると5,000人弱増加しています。

整体師・理学療法士との違いは?

柔道整復師と似た職種に「整体師」があります。

どちらも体の状態を整えるための施術を行うという共通点がありますが、実際のところはまったく異なる職業です。

整体師は、体の歪み矯正やリラクゼーションを目的にマッサージを施します。

これに対し、柔道整復師は怪我の治療を行うのが大きな違いです。

また、整体師の施術は健康保険適用外なのに対して柔道整復師の施術は保険適用対象である点や、整体師の資格は整体の学校などの民間資格で柔道整復師は国家資格である点も異なっています。

「理学療法士」は運動療法を用いたリハビリテーションを行い、体幹や運動機能を中心とした利用者の日常生活動作(ADL)を改善し、生活の質向上を目指します。

機能回復のための訓練に特化した理学療法士とは異なり、柔道整復師は怪我そのものの完治・治療に特化した職種です。

柔道整復師の仕事内容は、3つの方法を用いて治療を行うこと

柔道整復師は非観血的療法によって治療を行いますが、具体的な方法としては、「整復法」「固定法」、そして「後療法」の3種類があります。

怪我の症状、状態に合わせて適切な治療を施し、怪我の回復を図るのです。

柔道整復師は国家資格であるため、これらの治療行為を営利目的で無資格者が行うことはできません。

「整復法」骨折や関節がはずれた箇所を元の位置に戻す

整復法とは、骨折した部位の状態を回復する、あるいは肩などの関節が外れたときに元の状態に戻すために必要な技術のことです。

例えば骨折した場合、転んだ時に発生した外力や、骨まわりにある筋肉の影響によって、折れた箇所の骨にズレが生じてしまいます。

柔道整復師は整復法を用いて、ずれた骨を元の位置に近くなるように戻していくのです。

関節が外れる脱臼は、骨の位置が本来あるべき箇所からずれることで生じるわけですが、この場合も整復法によって、ずれた部分を元に戻す治療を行います。

「固定法」骨折や脱臼した幹部を固定する

固定法とは、骨折や脱臼が生じた際に、包帯や三角巾、副木などを用いて患部を固定する治療法のことです。

固定法を行うことによって、日常生活の中で生じる患部の余計なぐらつきを防ぐことができます。

患部を固定することにより状態を安定させ、身体機能の速やかな回復を図るわけです。

固定法は患者ごとに大きさや形状に合わせて行う必要があり、高度な専門的知識と技能が求められます。

「後療法」傷ついた組織を回復させる

後療法とは、怪我により損傷した体の組織を回復させる治療法のことです。

実際の療法としては「物理療法」「運動療法」「手技療法」などがあります。

  • 物理療法…
    電機や温熱、冷却、超音波などの物理的なエネルギーを用いて損傷個所の細胞の働きを促す療法
  • 運動療法…
    患者の筋力を増やすトレーニングや、複雑な体の動きに対応するための訓練
  • 手技療法…
    機械や器具などを一切使わずに、施術者が手で揉む、押すなどの刺激を与えることで、生体機能の活性化や損傷組織の回復を早める療法

柔道整復師になるには国家試験を受験する

柔道整復師は国家資格であるため、現場で働くためには国家試験の受験が必須となります。

しかし、誰でも受けられるわけではありません。

ここでは受験資格を得る方法や合格率、試験内容について解説します。

受験資格を取得するための3つの柔道整復師養成施設ルート

柔道整復師資格の取得におけるルート図

柔道整復師となるには、所定の養成課程を経て柔道整復師国家試験に合格しなければなりません。

受験資格を取得するには、「大学(4年制)ルート」「短期大学(3年制)ルート」「専門学校ルート」のいずれかのルートを経る必要があります。

1.【大学(4年制)ルート】医学技術系学部などでカリキュラムを取る

柔道整復師養成施設として認定されている4年制大学に入学し、必要な単位を取得することで受験資格を得ることができます。

医療技術系学部などにおいて、専用のカリキュラムが設けられていることが多いです。

入学試験を突破する必要がありますが、卒業により学士の称号を得ることができます。

大学生活を通して、教養科目や語学などの専門科目以外の学問にも触れることができ、幅広い知識を身につけることができるでしょう。

2.【短期大学(3年制)ルート】リハビリテーション科に就学

短大には2年制と3年制がありますが、柔道整復師養成課程のある短大は3年制です。

大学よりも通学期間は短いですが、その分、カリキュラムを短期間でこなす必要があるため、入学後は勉強に追われる日々を送ることになるでしょう。

4年制大学よりも1年早く資格取得を目指せるので、合格すればより若い年齢で仕事を始めることができます。

入学後に進路を変えると学んだことが無駄になりかねないため、入学時に将来の進路を明確に定めておくことも大事です。

3.【専門学校ルート】専門科目を3年以上履修

柔道整復師養成施設として認定されている専門学校に通学し、必要な科目を履修することでも受験資格を得ることができます。

大学・短大は高校卒業してすぐに入学する人が中心ですが、専門学校であれば社会人経験のある方も多いです。

短大ルートと同じく、3年以上の通学が必要です。

専門科目を集中して学ぶことができるので、勉強の効率性は高いと言えます。

ただし卒業しても大卒・短大卒といった学歴は得られません。

柔道整復師養成施設の初年度の学費
専門学校の場合 100万円~150万円
短大または大学の場合 125万円~200万円

2020年第28回柔道整復師国家試験の合格率は64.5%

柔道整復師国家試験の合格率

2020年3月1日に行われた「第28回柔道整復師国家試験」は、受験者総数が5,270人でそのうち合格者は3,401人。合格率は64.5%でした。

このうち新卒者の受験者数は3,708人、合格者数は3,144名であったため合格率は84.8%です。

既卒者の受験者数は1,562人で合格者は257人、合格率は16.5%となっています。

新卒者は8割以上の合格率であるのに対し、既卒者は2割にも届いていません。

学んだことの知識が多く残っている新卒時ほど、合格する人が多い傾向が見て取れます。

合格基準

柔道整復師国家試験には必修問題、一般問題があり、合格するにはそれぞれの問題を一定数以上正答している必要があります。

必修問題と一般問題の両方を合格基準以上正答していなければ、合格することはできません。

合格の条件は以下の通りです。

  • 必修問題(全50問)…40問以上・8割以上の正答
  • 一般問題(全200問)…120問以上・6割以上正答

必修問題が満点でも、一般問題で5割しか正答できなければ、不合格になるわけです。

受験料

受験手数料は1万6,500円です。

公益財団法人柔道整復研修試験財団が指定する銀行または郵便局の口座に振り込みます。

受験関連の書類を提出後では返金されないため注意しましょう。

試験内容

受験科目は、以下の通りです。

  1. 解剖学
  2. 生理学
  3. 運動学
  4. 衛生学・公衆衛生学
  5. 一般臨床医学
  6. 病理学概論
  7. 外科学概論
  8. リハビリテーション医学
  9. 整形外科学
  10. 柔道整復理論および関係法規

視力に障がいのある受験者に対しては、申請により展示や試験問題を録音したDAISY-CDの使用または併用などが認められています。

出題範囲は広いですが、いずれも養成施設である大学・短大・専門学校で学ぶ内容ですので、授業で教わったことをきちんと復習しておくことが、合格への近道と言えるでしょう。

試験日と合格発表日

2020年3月1日に実施された第28回柔道整復師国家試験については、合格発表が同年3月26日(木)午後2時に行われました。

例年では厚生労働省に受験地と受験番号が掲示され、公益財団法人柔道整復研修試験財団のホームページでも同様に掲示されます。

柔道整復師の年収はいくら?

初任給 20万円~26万円
経験の浅い新人の年収 300万円~400万円
ベテランの人の年収 700万円以上

柔道整復師が国家資格を取得してすぐ独立するケースは珍しく、最初は整骨院などで柔道整復師として勤務するのが一般的です。

この場合の初任給は平均20~26万円です。

スキルや経験を積めば、当然収入はアップします。

柔道整復師の平均年収は資格取得後の経験の浅い新人で300万円~400万円ほどですが、実務年数が長くなると年収700万円ほどになる場合も。

整骨院や接骨院は競争が激しいため、独立開業しただけで年収アップにすぐに結びつくとは限らないようです。

ちなみに、厚生労働省の『平成29年度介護従事者処遇状況等調査結果』によると、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・機能訓練指導員を合わせた平均給与額は、33万5,210円でした。

もしも、柔道整復師が介護施設で機能訓練指導員として勤務したときの給与待遇は、平均33万円前後と考えて良いでしょう。

また、出産や育児で一時的に離職した女性が、資格を持っていたために、柔道整復師としての再就職に成功するケースもあります。

柔道整復師の待遇は勤務先によってさまざまですが、大手整骨院に勤務する場合は、厚生年金保険や健康保険、労災保険や雇用保険などの福利厚生がしっかりしている場合がほとんどです。

しかし、従業員5人以下の小規模な個人経営の場合はこれらの保険に加入していない場合もあるため、働く前に確認しておくことをおすすめします。

柔道整復師の就職先は?

介護施設で機能訓練指導員として勤務

柔道整復師に対する介護施設における需要は大きいです。

介護施設に就職すると、「機能訓練指導員」として高齢者のリハビリテーションのサポートなどを担当します。

特別養護老人ホームやデイサービス、ショートステイには、機能訓練指導員を1人以上配置しなければなりません。

今後もこれらの介護施設は増加していくと予想され、機能訓練指導員として就職し、高齢者の治療経験を積んでいくことは、安定した職の確保にもつながるでしょう。

整骨院や接骨院

柔道整復師の資格取得後、接骨院や整骨院で勤務する人は多いです。

学んだ内容をそのまま活用できる仕事であるため、就職後は即戦力として治療現場で活躍できるでしょう。

柔道整復師の有資格者は開業することもできるため、必要な資金があれば、自分の接骨院や整体院を運営することもできます。

質の高い施術をするには施術管理者研修を受講

柔道整復師の上位資格として、柔道整復施術療養費の受領委任の取り扱いを管理できる「施術管理者」の資格があります。

以前は、柔道整復師の資格があれば施術管理者としても働くことができましたが、2018年4月から、実務経験と2日間の施術管理者研修(2日間)の修了が要件に加わりました。

求められる実務経験年数は、届け出る期間によって異なりますので注意しましょう。

  2018年4月~
2022年3月まで
2022年4月~
2024年3月まで
2024年4月以降
実務経験年数 1年間 2年間 3年間

施術管理者研修の受講は、仕事の幅を広げ、質の高い施術を行ううえでも役立ちます。

柔道整復師の資格取得後は、施術管理者の資格取得を目指すと良いでしょう。

患者の悩みを解決できることがやりがい

患者の悩みを解決できるやりがいのイメージイラスト

柔道整復師は、体の痛みやしびれに悩む患者に治療を施すのが仕事です。

日頃から体に痛みを感じて日常生活に支障を来している人は少なくありません。

そのような方に対して、正しい柔道整復術を施すことにより患者の苦しみが解消され、生きる喜びを与えられるのがやりがいです。

また、近年の著しい高齢化により、高齢の患者の増加が見込まれます。

高齢者の身体ケアのためを目的とした柔道整復師の仕事の需要は増加し、今後活躍できる場も増えていくことでしょう。

一方で、体の不調は一度の施術で完治することは少なく、中長期的に同じ患者と向き合って施術を続けなければならないケースも少なくありません。

そのため、患者とのコミュニケーションが重要です。

痛みに悩む患者の心のサポートも大事で、これに失敗すると患者との信頼関係が成り立たなくなることもあります。

また、体への負担の大きさに苦労する方も多いようです。

施術は立ち仕事が基本で、手技を使うことが多く体力を消耗しやすいため、手や腰、足に大きな負担がかかります。

施術を続けながら自身の体調管理をしっかり行う必要があります。

柔道整復師に向いている人はこんな人

柔道整復師に向いている人のイメージイラスト

さまざまな人と接する機会が多い仕事なので、それぞれの患者に寄り添う気持ちや心配りが求められます。

患者の状態を知るために、悩んでいる症状を患者本人から聞く必要があります。

なかにはうまく説明ができない人もいるので、相手の話を聞く力、理解する力を持つコミュニケーション能力の高い人が、柔道整復師として向いているでしょう。

患者の話を聞き取ったうえで、適切な施術を行うのが柔道整復師です。

常に謙虚な気持ちを忘れず、患者の声を聞きながら必要な施術を行えるスキルも重要です。

また、本当に患者に必要な施術のため、原因追求のために常に新しい情報を取り入れる探究心を持てる人も、柔道整復師として適した人物でしょう。

また、テーピングなど細かな作業も増えるので、手先が器用な人も柔道整復師に向いています。

柔道整復師の施術には、健康保険や労災保険などが適用可能です。

患者にとっては自己負担が軽減される制度である一方、利用方法を誤ると医療費増加などの社会問題につながってしまいます。

柔道整復師には保険などの利用に関する正しい理解と解釈を持つ、倫理観も求められているのです。

高齢化が進む日本では、特に将来性が高い資格

高齢化が進む日本では、将来性がある資格イメージイラスト

全国的な高齢化の進行に伴って、ただ長生きをするだけではなく、介護を必要としない年齢である「健康寿命」を延ばすことが重視されるようになってきています。

関節や筋肉の衰えによって歩けなくなることがきっかけで要介護状態になる高齢者も多いので、長く自分の足で歩けるよう、体の痛みをきちんと治療することが重要です。

このような現状からも、介護予防のための高齢者に対する健康指導を行ったり、適切な施術を提供できたりする柔道整復師の仕事は、超高齢社会を健康面で支える仕事として期待されています。

右肩上がりで高齢化が進み、同時に要介護の高齢者の増加も見込まれているため、介護施設数も増えています。

介護の分野での柔道整復師の需要はますます増えることが見込まれるため、将来性も高い資格です。