看護師とは?仕事内容から受験資格、就職先を解説

高齢化が進む日本では、慢性的な疾患へのケアやそのほか体への医療的ケアを必要とする高齢者の方が多くいらっしゃいます。 そういった方を医師とともに、専門的にサポートをするのが「看護師」です。 現在、国家資格である看護師の活躍は病院やクリニックだけでなく、介護施設や訪問看護ステーションなどでも広く求められています。 ここでは看護師とは何なのか、看護師国家試験の概要や給与などについて詳しく解説していきます。

看護師とは

看護師とは、医師の診療および診察のサポート、病気・怪我を抱えている人に対する医療的ケア、さらに患者本人とその家族への精神的なケアを行う専門職です。看護師の法律上の位置づけは、保健師助産師看護師法の第5条において規定されています。

「『看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診察の補助を行うことを業とする者をいう」

じよく婦とは、分娩後~妊娠前までの状態にある女性のことです。

国家資格なので、無断で「看護師」と名乗ることは制度上許されていません。

看護師として働くには、看護師国家試験に合格して看護師免許を取得する必要があります。

1.人数と男女比

看護師の登録者数の推移

日本看護協会出版会編集『平成29年 看護関係統計資料集 1.就業者数 ⑷看護師,准看護師(年次別・就業場所別)』によると、看護師の総数は2016年時点で121万665人。

毎年、3万人以上の看護師が新たに誕生しています。

看護師の男女比

また、同資料集『⑸保健師、看護師、准看護師(男性、年次別・就業場所別)〔再掲〕』では、先の2016年時点での看護師総数121万665人のうち、男性が84,193人、残りの112万6,472人が女性であることから、圧倒的に女性の割合が多い職種であることがわかります。

2.准看護師とはどう違うの?定義を解説

看護師に似た職種に「准看護師」があります。

准看護師とは、医師および看護師の指導のもとにおいてのみ業務を行える専門職です。

経験が豊富であっても、准看護師は看護師に指示を出すことや、管理職として看護師を指導する立場に着くことなどに制限があります。

また、資格取得の条件における違いも大きいです。

看護師は国家資格ですが、准看護師は都道府県が行う「知事試験」の合格によって取得できます。

ただ、制度上、資格取得条件などにおいて明確な違いはありますが、医療現場で担う役割は看護師とほぼ同じです。

准看護師には行えず、看護師のみが行えるという医療的ケアはありません。

  看護師(正看護師) 准看護師
資格 国家資格 都道府県認定資格
業務内容 ・血圧や体温などの測定
・点滴・注射
・介助・体位変換
・手術の補助
・患者のサポート
看護師と同様
ただし、単独ではなく医師や看護師の指示が必要

仕事は診察・治療の手伝いと患者のケア

看護師の仕事は、診察・治療のサポートをするイメージイラスト

看護師の主な仕事は、病院やクリニックで医師が患者の診察をする際、そのサポートや治療の補助を行うことです。

また、患者の治療をスムーズに進めるために、医師の指示のもと看護ケアを行います。

具体的な医師の診察補助の内容は、血圧や体温、脈を測定するバイタルチェックをはじめ、注射や採血、点滴といった治療で、これらの治療を医師の指示のもと、代わりに行います。

また、入院設備のある病院では食事や入浴の用意やベッドメイキングなどをしたり、医師と患者やその家族との間のコミュニケーションを図ったりするなど、たくさんの仕事があります。

特に入院病棟に勤務する看護師は、医師の診療記録であるカルテとは別に、日々、患者ごとに看護記録をつけています。

看護師の活躍する病院にはさまざまな種類があり、ベッド数が何百もある大病院や救急救命に力を入れている病院がある一方、長期療養や介護が必要な患者専門の病院もあります。

入院施設のない町の診療所やクリニックで活躍している看護師も非常に多く、多様な働き方ができるメリットを持っています。

看護師が求められている現場は、高齢者や障がい者が利用する介護施設や福祉施設、在宅療養を続けている人のための訪問看護ステーション、社内の従業員の保健管理を担当する企業の保健室などさまざまです。

このほか、役所の保健部署や自治体の保健所などに勤務して、市民の医療や公衆衛生の充実を図る仕事もあります。

このように、看護師は勤務する病院や配属される部署によって仕事内容が大きく異なるのがポイントです。

医師の診察補助を行う看護師、入院患者のお世話をする看護師、また大病院では手術専門の看護師もいます。

最近は、終末期医療に力を入れる施設も増えており、ターミナルケア専門の施設で働く場合もあるなど、看護師の業務内容は非常に多様化しています。

看護師は、医師やほかの医療技術職と連携して、患者の病気や怪我の症状改善のための健康サポートを行う大切な仕事です。

看護師になるには

看護師になるには国家試験を受験するのイラストイメージ

看護師になるためには、国家資格の看護師資格が必要です。

看護師の養成課程のある学校で必要な学習を積んでから国家試験に合格後、看護師登録をしてはじめて看護師として働くことができます。

看護師の国家試験を受験するためには、看護系の大学や短大、専門学校、指定の看護師養成所を卒業しなければなりません。

つまり、看護師の学校や養成施設に入学そして卒業しなければ、国家試験そのものも受験できないというわけです。

ちなみに、既に准看護師の資格を持っている人は、指定の学校で2年以上修了すると、看護師国家試験の受験資格が得られるしくみになっています。

ちなみに、最近話題の外国人看護師の導入に関しては、外国の看護師養成施設の卒業者や、インドネシアやフィリピン、ベトナムの外国人看護師候補者であれば、一定の基準で厚生労働大臣が受験資格を認定することもあります。

1.受験資格を取得するためのルート

看護師資格取得ルート

国家試験である看護師試験の受験資格を取得するには、大きく分けて4つのルートがあります。

具体的には、「看護大学(4年生)ルート」、「看護短大(3年制)ルート」、「看護専門学校・養成所ルート」、そして「5年一貫看護師養成課程校ルート」の4つです。

1.【看護大学(4年制)ルート】看護学系学部で学ぶ

看護大学は、看護師を教育するためのプログラムがカリキュラムの中に組み込まれている大学です。

入学後は、4年間にわたって看護師の資格取得を目指して勉学を続けていきます。

看護師として働くまでの期間は最も長いですが、大学卒業の資格を持つことができ、学歴の面では4つのルートの中で最も高いです。

また、保健師・助産師の教育プログラムを用意している大学であれば、看護師だけでなく保健師や助産師の国家試験受験資格を取得できます。

幅広い知見や専門知識を得られるのは、看護大学の大きな特徴です。

2.【看護短大(3年制)ルート】看護学科のある短大に入学

短大には2年生と3年制とがありますが、医療分野の看護短期大学は3年制です。

修養年は養成所ルートと同じですが、短期大学である以上、教養科目なども取得する必要があるため、日々の勉強時間はかなりハードといえます。

ただ、卒業によって短大卒の資格を得ることができ、また、多様な知識や価値観に触れることができるので、人間としても成長できるでしょう。

4年生の看護大学よりも短期間で看護師国家試験に挑戦できるので、看護師として少しでも早く働きたいと考えている方にお勧めのルートと言えます。

3.【看護専門学校・養成所ルート】専門学校または養成所を卒業

看護専門学校・養成所ルートは3年または4年の通学により看護師国家試験の受験資格を得ることができます。

看護大学、看護短期大学のルートは高校を卒業してすぐに入学するというケースが多いルートですが、看護専門学校・養成所は社会人の入学者も想定されているルートです。

医療・看護にかかわる専門分野を集中して学ぶことができるので、看護師として必要な知識・スキルのみを教わりたいという方にはお勧めします。

4.【5年一貫看護師養成課程校ルート】高校卒業後一貫校に入学し、履修

中学卒業時に、将来に就きたい職業を「看護師」と決めている人は、5年一貫看護師養成課程校に進学するという方法もあります。

看護大学、看護短期大学、看護専門学校・養成所は、いずれも高校卒業者を入学対象とした学校です。

一方、5年一貫看護師養成課程校は、中学卒業後すぐに看護・医療について専門的に学んでいくので、10代のうちから体系的な医療知識・スキルを身につけることができます。

また、カリキュラム通りに卒業し、看護師国家試験に合格すれば、4つのルートのうち看護師になる年齢が最も若いです。

2.2020年の国家試験合格率は89.2%

看護師国家試験の合格率の推移

2020年2月16日に第109回看護師試験が実施されました。

受験者数は6万5,569人で、合格者数は5万8,514人となり、合格率は89.29%です。

受験者の約9割が合格しているわけですから、これまで学んだことをきちんと押さえていれば、問題なく合格できるでしょう。

合格率は例年、9割前後で推移しています。

ちなみに、新卒者だけに注目すると、受験者数は5万9,320人で合格者数は5万6,175人。合格率は94.79%に達しています。

合格基準

看護師国家試験は、多数の志願者から選抜して合格者を決めるという試験ではありません。

厚生労働省が定めている所定の合格基準点をクリアすれば合格できます。

合格基準点は「必修問題」と「一般問題+状況設定問題」のそれぞれに設けられていて、両方の基準点を満たすことができれば、看護師国家試験は合格です。

3.受験料

受験料は、2020年時点で5,400円です。

受験願書に5,400円分の収入印紙を張りつける形で納付します。

必要な書類を送付した後、受験票は郵送されてくるので、忘れずに確認しましょう。

4.試験内容

看護師国家試験の試験科目は、保健師助産師看護師法施行規則第22条において定められています。

具体的には以下の通りです。

  1. 人体の構造と機能
  2. 疾病の成り立ちと回復の促進
  3. 健康支援と社会保障制度
  4. 基礎看護学
  5. 成人看護学
  6. 老年看護学
  7. 小児看護学
  8. 母性看護学
  9. 精神看護学
  10. 在宅看護論
  11. 看護の統合と実践

出題数は全部で240問。必修問題50題、一般問題130題、状況設定問題60題で構成されています。

記述式の問題はなく、回答の選択肢を選ばせる客観式、多肢選択式による出題です。

写真など資格素材を用いた問題も出されるので、準備しておく必要があります。

5.試験日と合格発表日

第109回看護師国家試験については、試験日は2020年2月16日(日)、合格発表日は同年3月19日(木)の午後2時でした。

例年、同時期に試験日、合格発表日が定められているので、今後受験を目指している人は、2月を目安に勉強のスケジュールを立てると良いでしょう。

新卒者については、卒業年度までに所定のカリキュラムを修了し、3月の看護師国家試験合格を迎えれば、卒業してすぐに看護師として就職することができます。

6.資格取得後は登録する必要がある

国家試験に合格しただけでは、看護師の免許は取得できません。看護師免許の申請を都道府県や市町村の保健センターで行う必要があります。

申請の手続きは自分で行う場合もあれば、内定の出ている就職先が手続きを代行する場合もありますので、合格の連絡を内定先にする際に詳細を確認してみてください。

自分で免許申請を行う場合は、都道府県の保健所の窓口で申請書を受け取るか、または厚生労働省のホームページから申請書をダウンロードします。

添付が必要な書類は、健康診断書や戸籍抄本、登録済証明書、手数料分の収入印紙、印鑑です。

申請の手続きをすると、厚生労働省から看護師籍登録証が約2ヵ月で手元に届きます。

看護師免許の申請は合格後に必ず行わなければいけないもので、就職先への提出が必要です。手続きを忘れないようにしましょう。

看護師の年収はいくら?

医療や介護、福祉といった私たちの健康にかかわる業界のなかでも、看護師は高い給与水準だと言われています。

実際に看護師の平均的な給料を同じ世代の会社員と比べると、大幅に高い金額となっています。

看護師の月収の相場は25万円~35万円ほど、年収の相場は350万円~500万円ほどです。

月収 25万円~35万円
年収 350万円~500万円

もちろんこれはあくまで目安で、勤務先の規模や業務内容、経験やスキル、地域によっても看護師の給与や待遇は影響を受けます。

基本給のほかに各種手当がつくために、看護師の給料はほかの仕事の給料よりも大幅に高くなる傾向があります。

とくに入院病棟に勤務する看護師は、夜勤手当や休日手当が手厚く給料にプラスされます。

また、看護師の経験やスキルを積んでいき、認定看護師や専門看護師の資格を取ると、それぞれ資格手当がつく場合もあります。

そのため、昼間の外来診療のみのクリニックで働く看護師は手当がつきづらく、ほかの職種のパートや派遣社員と給料があまり変わらないケースもあるようです。

看護師の就職先は?

看護師国家試験に合格し、看護師免許を取得した場合、病院、クリニックに就職できます。

ただ、看護師としての就職先の選択肢は、それだけではありません。

例えば、訪問看護ステーションにて訪問看護師として働き、自宅で療養生活を送っている高齢者の方をサポートするという働き方もできます。

1.介護施設や福祉施設

特別養護老人ホームや有料老人ホーム、介護老人保健施設など、入居者数に応じて看護職員を必ず配置しなければならない施設で求人があります。

介護スタッフでは対応できない病状の変化に対しての医療的ケアや、入居者や利用者の健康管理を担当します。

症状によっては提携する病院や診療所につないだり、救急車で病院へ向かわせるなど、臨機応変な部分も必要な職場です。

2.病院や診療所などの医療機関

看護師の職場というと思い浮かべるのは、入院病棟のある病院かもしれません。病気や怪我の治療を受ける入院患者の看護は、24時間体制で続きます。

二交代制、または三交代制で夜勤も含めた勤務シフトをタフにこなさなければなりません。

外来診療のみの病院や入院施設のないクリニックは、曜日や時間帯で診療期間が決まっている場合が多いので、比較的規則的な勤務が可能です。

日曜、祝日は休診、土曜や平日のうち1日は午後休診という病院やクリニックが多いため、休みもしっかりと取ることができます。

病院やクリニックは国立、公立、民間でそれぞれ運営形態や得意にする診療内容が異なります。自分に合った診療方針や職場の雰囲気を持つ病院選びが大切です。

3.訪問看護ステーション

訪問看護ステーションとは、高齢者が在宅においても安心して療養生活を送れるように、訪問看護師などがかかりつけの医師と連携しながら、看護サービスを提供する事業所のことです。

利用者は訪問看護ステーションに直接利用をお願いするのではなく、介護支援専門員(ケアマネージャー)とケアプランを作成の上、その内容に沿って計画的に利用していくのが制度上のルールです。

訪問看護師には、利用者本人だけでなく、利用者を担当しているケアマネージャーやかかりつけ医とも頻繁にコミュニケーションを取ることが求められます。

4.企業や保育園や幼稚園での仕事

企業の医務室や健康管理室で病気の手当や怪我の応急処置や、労働法に定められている健康診断を実施して、結果の管理や健康指導を行います。

最近はメンタルヘルスケアの重要性から、相談業務を受け付ける看護師もいます。

また、看護師を配置する保育園が増えていることから、保育園や幼稚園の看護師求人が増えています。

子どもに多い病気の予防や怪我の対応を行うなど、責任感の大きい仕事です。

5.専門看護師

専門看護師とは、患者と家族が直面している問題を捉える能力を持ち、専門看護分野にて専門性を発揮しながら、「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」という6つの役割を果たすことが期待されている看護師のことです。

ここでいう専門看護分野には、「がん看護」や「在宅看護」、「家族支援」、「老人看護」などの13分野が特定されています。

専門看護師の認定を受けるには看護師としての5年以上の実戦経験を持ち、看護系の大学院で修士号を取得して必要な単位を取得した後、専門看護師認定審査に合格することが必要です。

取得後は、5年ごとに更新する必要があります。

看護師のやりがい

やりがいは患者の健康を願って、医療知識を役立てられるイメージイラスト

看護師は医師の指示のもと診療補助や看護を行うという、サブ的な立ち回りが求められます。

病気や怪我の患者さんの健康をサポートして、より良い治療が受けられるようにしたり、元気な姿を見たりしたときに、看護師の仕事をしていて良かったと感じることでしょう。

看護の現場はとてもハードで、赤ちゃんの誕生もあれば、患者が亡くなることもあるという、目まぐるしい環境の中、業務を正確かつ確実にこなさなければなりません。

看護業務をするなかで、患者の症状が改善されて元気を取り戻す姿を見たときは、仕事の疲れが吹き飛ぶほどのやりがいを感じます。

看護師の仕事は看護技術や医療知識があることはもちろん、瞬時の判断力やハードな業務にも耐えられる体力が求められます。

責任が大きく、医師や看護師をはじめ、チーム医療(1人の患者に対して複数の医療専門職が連携して医療ケアを行うこと)が推進される現代、ほかのスタッフとのコミュニケーションも図らなければなりません。

ほかのスタッフと協力するなかで自分の仕事を果たせたときに、看護師のやりがいを感じたという声も少なくありません。

看護師に向いている人

病気の患者と向き合うための体力、精神力がある人のイメージイラスト

看護師の仕事は非常にハードです。

入院病棟のように夜勤が含まれる交代制の職場では、生活リズムも一般的な生活とは異なります。また、連続勤務が続いて、前日の疲れを持ち越したまま次の勤務に入ることも珍しくありません。

さらに、現場では生命にかかわる治療の補助や力仕事の看護もあります。肉体的にも精神的にもタフであること、そして一つひとつの業務を丁寧に注意深くこなせるデリケートさも必要です。

看護師は病気や怪我で心身が弱っている人と向き合う仕事です。つらい症状を抱えている患者さんに思いやりの心で接する姿勢は、看護師に最も求められている心構えだといえるでしょう。

また、看護ケアを行いながら患者のちょっとした変化も見逃さず、必要な場合は医師の判断を仰ぐといった観察眼と判断力も求められます。

そして、患者の健康をサポートするため、最後まで仕事を遂行する責任感、日々進化する医療や看護の技術をフォローし続ける向学心があることも、看護師に向いている要素です。

高まる高齢者の看護の需要

高齢者の看護への需要が高いイメージイラスト

高齢者の増加によって、病気や障がいのため病院で治療を受けたり、入院したりする人たちも増えることが予測されます。そのため、今後も看護師を必要とする病院や診療所、施設、企業が減ることはないでしょう。

女性が多い職場だけに、結婚や出産、育児や介護のためキャリア継続をあきらめて現場を離れることも多く、看護師不足はいたるところで起こっています。

また、病院や診療所が看護師の主な活躍の場だった時代に比べて、高齢者や障がい者の介護施設でのニーズも増えており、看護師を求める介護施設は求人に力を入れています。

重い病気や認知症高齢者など、看護師が専門的な知識と経験で対応しなければならない利用者や入居者も増えているため、介護スタッフと連携しながら高齢者の看護ケアを担うことができる看護師が求められているのです。

最近の傾向として、専門的な知識やスキル、経験を持った看護師の活躍できる場が増えています。

看護師として一定の経験を積んで看護技術を磨きながら、さらに専門的な看護ができる認定看護師を目指す看護師もいて、今後はますますキャリアアップを前提として看護師生活を組み立てる必要が出てくるでしょう。

ここまで見て来たように、看護師は看護が必要な人たちが増えている反面、慢性的な人員不足に陥っていること、業界を挙げて看護師の養成に力を入れているものの途中で退職するケースが多いことなどから、将来も需要が落ち込む心配はないでしょう。

まずは看護師として経験やスキルを積むことを目指した後、専門的な看護技術を職場で発揮できる立場を目指すことが今後の看護師にとって大切なポイントです。

看護師ができる3つのスキルアップ

1.助産師・保健師

助産師・保健師のイラストイメージ

看護師は勉強を重ねてスキルアップを図ることができますが、その1つが助産師の資格取得です。

助産師とは、女性の出産を助ける助産を行うための専門職です。日本では女性のみ就くことができます。

助産師は国家資格であり、資格を取得するには看護師免許と助産師免許の両方の取得が必要です。

助産師免許の取得ルートは2つあり、1つは4年生看護大学で看護師課程と助産師課程を修了して、両方の国家試験に合格するという方法があります。

もう1つは、看護大学や看護短大、看護専門学校・養成所などで看護師資格を取得した後、看護短大や看護専門学校、大学院などに進学して助産師課程を修了し、そのうえで助産師国家試験に合格するという方法です。

保健師の資格取得も、助産師同様に看護師免許と保健師免許の2つが必要となります。

保健師養成学校で学ぶ、あるいは看護師カリキュラムと同時に履修し、その後看護師国家試験と保健師国家試験を受けるケースも増えてきています。

2.認定看護師

認定看護師とは、特定の看護分野において高い看護技術・知識を保有する者として、日本看護協会から認定を受けた看護師のことです。

認定看護師に認められている看護分野は、「救急看護」や「緩和ケア」、「訪問看護」、「認知症看護」など全部で21種類。

これらの分野で経験を積んだ看護師が、認定看護師の資格を目指すことができます。

ただし、認定看護師の資格得るには、看護師として5年以上の実践経験があり、日本看護協会が定めている615時間以上の「認定看護師教育」を修了したうえで、「認定看護師認定審査」を受けて合格することが必要です。