栄養士とはどんな仕事?必須資格・なり方、役割ややりがいを解説

健康的な体づくりに欠かせないのが、バランスの取れた食事の摂取です。 しかし高齢化が進行すると、飲み込むことがうまくいかなくなったり、食欲が低下したりなど、「食」に関する問題が多く発生します。 そこで高齢者だけでなく、子どもや障がい者の病気の予防や健康維持のために栄養管理や調理を行うのが「栄養士」の仕事です。 ここでは栄養士はどんな資格なのか、管理栄養士との違いや給料、就職先まで丁寧に解説。 料理が好きな方や、「栄養面・体づくりで困っている人を支えたい」と考えている方はぜひ参考にしてください。

栄養士とは



栄養士とは、食や栄養の専門家として、個人や集団などに対して「食事や栄養に関する指導」をするアドバイザーの役割を担う専門職です。

主な業務は次のようなものがあります。

  • 栄養バランスの取れた献立の作成
  • 調理方法の改善指導
  • 栄養素の計算
  • 食品成分や栄養素に関する専門知識の活用

栄養士は、乳幼児から高齢者まで、あらゆる人々の健康的な食生活を支援します。

そのため、雇用先も病院、福祉施設、学校、企業など多岐にわたります。

近年、健康意識の高まりから、栄養士の活躍の場が増えています。

栄養士と管理栄養士の違い

栄養士と管理栄養士は、ともに国家資格を持つ食と栄養のスペシャリストですが、その業務内容や資格取得方法に大きな違いがあります。

栄養士 管理栄養士
免許発行者 都道府県知事 厚生労働大臣
主な業務対象 健康な人、怪我や病気をした人 健康な人、怪我や病気をした人
必要な知識・技術 基本的な栄養指導 より高度な専門知識と技術
資格取得の難易度 やや容易 高度

管理栄養士は、栄養士よりも高度な専門性が求められ、特に病院や介護施設などで、より複雑な栄養管理やケアが必要な人々への指導を行います。

一方、栄養士は主に健康な人々に対する栄養指導が中心です。

栄養士

栄養士は、健康な人々の食生活を支援する国家資格保持者です。

主な仕事内容は以下のようなものがあります。

  • 栄養バランスの取れた献立の作成
  • 調理方法の改善指導
  • 栄養指導
  • 給食管理

栄養士になるには、都道府県知事免許を取得する必要があります。

具体的な取得方法は、以下のとおりです。

  1. 栄養士養成施設(専門学校、短大等)で2年以上の専門課程を修了
  2. 必須科目50単位以上を習得

資格取得後は、学校、病院、企業など、幅広い分野で活躍できます。

管理栄養士

管理栄養士は、栄養士の上位資格であり、より高度な専門性を持った国家資格保持者です。

主な業務内容は以下のようなものがあります。

  • 健康な人からアスリートまで、幅広い対象者への栄養指導
  • 糖尿病や腎臓病などの病気を持つ人への特別な配慮が必要な献立の提案
  • 療養施設や病院などでの給食の管理・指導
  • 栄養に関する企画立案や労務管理

管理栄養士になるには、以下のいずれかの方法で資格を取得する必要があります。

  1. 管理栄養士養成施設で4年以上学び、国家試験に合格
  2. 栄養士資格を取得した上で、3年以上の実務経験を積み、国家試験に合格

管理栄養士の資格発行は厚生労働大臣となり、栄養士よりも難易度が高い資格です。

栄養士の仕事内容

主な業務内容は以下のようなものがあります。

  • 献立作成
  • 調理
  • 栄養指導
  • 食材の管理・発注
  • 衛生管理
  • 事務作業

栄養士は、学校給食センター、病院、福祉施設、企業の社員食堂など、様々な職場で働くことができます。

健康な人々を対象とした一般的な栄養指導や食生活相談のほか、特別な配慮が必要な人の献立作成など、幅広い業務に携わります。

総合的なマネジメント能力が求められる職種でもあり、栄養面だけでなく、衛生面や経営面での知識も必要となります。

栄養指導



栄養士の重要な役割の1つが、高齢者や障がいのある方に対する栄養指導です。

こうした方々の健康維持のためには、年齢や障がいの状況に応じた適切な食事内容が重要です。

栄養状態が偏ると、心身の状態が悪化し、健康を損ねるリスクがあります。

栄養士は、個人の症状や障がいの状況、そして高齢化の進行といった背景も踏まえ、最適な献立を提案するため、介護施設などでの活躍が期待されています。

一方で、健康な人に対しても、栄養士は個人の年齢や生活習慣に合わせて、必要な栄養素やカロリーを考慮した食事指導を行います。

このように、栄養士は高齢者や障がい者、健康な人など、幅広い対象者に対して、適切な食事内容のアドバイスを提供します。

給食管理(献立作成・調理)

栄養士の主要な業務の1つが、給食の管理・運営です。

栄養士は、一人ひとりの健康状態や年齢、体調に合わせて、必要な栄養素やカロリーを計算しながら、献立を作成します。

例えば、保育所では小さな子ども向けの食事を、介護施設では高齢者向けの食事を考案・調理します。

単に栄養面だけでなく、アレルギー対応や食べやすさにも配慮が必要です。

また、季節の行事やその地域の郷土料理を取り入れるなど、楽しく食べられるよう工夫することも重要な役割です。

学校や福祉施設など、さまざまな現場で栄養士が活躍しています。

年齢や体調に合わせた適切な給食提供を行い、利用者の健康維持・増進に寄与しています。

食育

栄養士の重要な役割の1つが、食育の推進です。

保育園・幼稚園、小中学校などでは、子どもの成長を促す献立作成が求められます。

栄養士は栄養学の知識を活かし、子どもの発育に最適なメニューを提案します。

また、給食センターや教育施設では、調理師と協力しながら実際の調理にも携わります。

近年では、保育園・幼稚園、小学校などで「食育」の授業が行われるようになってきました。

その授業の企画・実施、教員のサポートなども栄養士の業務範囲です。

子どもたちだけでなく、保護者に対しても食事や栄養に関する情報提供を行うこともあります。

さらに、簡単な調理体験や野菜の収穫などを企画して、子どもたちが食に関する正しい知識や良い食習慣を身につけられるよう、栄養士が指導しています。

このように、栄養士は学校や保育施設において、子供たちの健やかな成長を支援する重要な役割を担っています。

栄養士の働き方

栄養士の一日の流れ

栄養士の一日の業務内容を、保育所勤務の例で見てみましょう。

時間 作業内容
7:45 出勤・着替え、仕事の準備
8:00 食材の仕込み・調理
  • 食材の下処理やカット、調理、食器の準備
10:00 盛り付け
  • クラスごとの人数分の配食
  • アレルギー食の個別対応
11:00 給食提供
  • 12時までに提供を完了
12:00 昼食(職員食の提供)
13:00 食器の洗浄
13:30 おやつの調理
15:30 おやつ提供後の食器洗浄、書類作成、食材発注等
17:00 退勤

このように、栄養士は食事提供の準備から、調理、配膳、食事提供、食器洗浄、事務作業まで、給食運営に関するさまざまな業務に携わります。

保育所以外にも、学校、医療・福祉施設など、栄養士の一日は多忙を極めます。

栄養士の休日の過ごし方

栄養士の休日は、勤務先によって大きく異なります。

  • 幼稚園や学校などでは、基本的に土日祝日が休みとなり、長期休業期間も休暇がある
  • 病院や介護施設では24時間体制のため、シフト制が多く、週休2日でも曜日が固定されていない
  • 4週8休などの変形労働時間制の職場もある

このように、栄養士の休日は勤務先の業種や体制によって大きく異なります。

医療・福祉の現場では、利用者のニーズに応えるため、栄養士にも柔軟な勤務体制が求められます。

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栄養士の給料

栄養士の時給・月給・年収の全国平均相場

栄養士(管理栄養士含む)の全国平均の給与水準は以下のようになっています。

時給 1,200円ほど
月収 17万~22万円
年収 250万~400万円

栄養士と管理栄養士の給料の違い

栄養士の平均年収は、2021年の賃金構造基本統計調査によると、おおよそ367万円前後と推計されています。

ただし、この金額には管理栄養士の給与も含まれているため、明確な差は公表されていません。

一般的に、給与に資格手当が上乗せされる職場では、管理栄養士の方が栄養士よりも高い傾向にあります。

理由としては以下のようなことが考えられます。

  • 管理栄養士は、より高度な知識と技術が求められる
  • 大規模な施設では、管理栄養士の配置が義務付けられている
  • 管理栄養士の業務範囲が広く、責任も重い

ただし、就職先のカテゴリーや企業規模によっても、給与水準は大きく異なります。

一概に管理栄養士の方が高給とは言えず、個々の環境によって変動します。

おおむね年収367万円前後がボリュームゾーンと考えられます。

資格取得やキャリアアップを進めることで、収入面でのメリットも期待できるでしょう。

職場別の給料差

栄養士の年収は、勤務先によって大きく変動します。

勤務先 特徴
公務員として行政機関で働く場合 年収が比較的安定、年齢に応じて上昇傾向
病院や民間企業の大規模施設 高い収入が見込める
介護現場 ・ 施設の規模や経営状況によって年収がばらつきやすい
・ 平均的には他の職場よりやや低めの傾向

このように、栄養士の給料水準は職場環境によって大きく変わります。

また、雇用形態によっても収入に差が出ます。

正社員は年収が高めの傾向にあり、正規社員やパートは年収が相対的に低めになっています。

栄養士の勤務先

栄養士の就職先は多岐にわたります。

主な勤務先には以下のようなものがあげられます。

勤務先 主な業務内容
学校給食センター 献立作成、調理支援
病院 入院患者の栄養管理、献立作成
高齢者福祉施設 利用者の栄養状態管理、食事指導
企業の社員食堂 献立作成、調理管理
行政機関(保健所など) 地域住民への栄養指導
食品メーカー 商品開発、研究

さらに近年では、フィットネスクラブでのダイエットメニューの考案や、地域の食育活動など、活躍の場が広がってきています。

栄養士には、幅広い選択肢が用意されています。

自身のスキルや関心に合わせて、最適な職場を見つけることができるでしょう。

病院・クリニック



栄養士は、給食運営を中心とした業務に携わります。

具体的には以下のような役割があります。

  • 医師の指示に基づいた献立作成
  • 調理や食事の提供、配膳
  • 患者の嗜好や症状に合わせた食事の提供

食事は治療の一環として重要視されており、おいしく楽しい食事を提供することも、心の健康につながるのです。

介護福祉施設

主な業務内容は以下のようなものがあります。

  • 利用者一人ひとりの状況や要介護度に合わせた食事の提供(軟食、きざみ食、ペースト食など、個々の身体状況に合わせた調理)
  • 季節のイベントに合わせた特別メニューの提供
  • 利用者の低栄養、嚥下障害などへの対応
  • 医療・ケアチームとの連携

栄養士は、利用者の状況に合わせた調理や食事提供を担当します。

このように、介護施設の栄養士は、利用者の心身の健康を支える重要な存在といえます。

給食会社

給食会社では、病院、介護施設、保育所、幼稚園などに対し、栄養のある食事を提供する業務を行っています。

栄養士は以下のような役割を担います。

  • 施設の栄養士や調理スタッフと協力し、利用者のニーズに合わせた献立作成
  • 利用者の年齢や健康状態に応じた適切な栄養管理
  • 食物アレルギーや生活習慣病などへの対応
  • 調理工程の管理および調理員への指導
  • 食材の発注や食品管理

業務範囲は施設との契約内容によって異なります。

例えば、献立作成は施設側の栄養士が担当し、給食会社の栄養士が残食量チェックなどを行うこともあります。

適切な栄養バランスと、コスト面での配慮を両立させることが求められます。

また、直営雇用のほか、派遣として勤務する場合もあります。

施設の特性に合わせた柔軟な対応力が必要とされる職場です。

学校

具体的な業務は以下の通りです。

  • 給食の献立作成と調理
  • 食材の発注と衛生管理
  • 調理員への指導
  • 残食量のチェック
  • 給食だよりの作成
  • 食育指導や個別の栄養指導

特に小中学校では、「学校栄養職員」として児童生徒に適した栄養バランスの献立を考案することが求められます。

また、2005年から「栄養教諭」の教員免許が新設され、食に関する授業の計画立案や食育推進、アレルギーや疾病のある児童生徒への個別指導なども担当しています。

一方、保育所では調乳やおやつ作り、園児の食事サポートなども栄養士の役割です。

園の規模や設備により、調理環境は異なるので、就職時にはよく確認する必要があります。

官公署

主な業務は以下の通りです。

  • 母子保健での妊産婦や離乳食に関する指導
  • 健康診断時の生活習慣病予防の栄養指導
  • 集団給食施設への献立や衛生管理に関する指導
  • 栄養に関する住民相談対応
  • 食育イベントの企画と実施
  • 国民栄養調査の実施

栄養士は医師や運動指導士など他職種と連携しながら、住民一人ひとりの健康的な食生活の実現を目指します。

そのため、高齢者から妊婦、子供まですべての年代をカバーする高度な専門性が求められます。

このように公衆衛生や公衆栄養に特化した役割を担うため、「行政栄養士」と呼ばれることもあります。

地方公務員として採用されれば、定年までの長期勤務が可能です。

ただし、採用試験の倍率は高く、合格は容易ではありません。

栄養士になるには

栄養士資格の取得方法

栄養士として就労するには、国家資格である栄養士免許の取得が必須です。

免許取得の手順は以下の通りです。

  1. 栄養士養成施設(大学、短大、専門学校)に入学
  2. 必修科目(社会生活と健康、人体の構造と機能など)を履修
  3. 卒業後、都道府県に免許申請を行う

栄養士養成施設は、全日制のみが認可されており、夜間部や通信制はありません。

通学期間は2〜4年間と養成施設によって異なります。

一部の養成施設では、栄養士実力認定試験を課す場合もありますが、これは義務化されたものではありません。

資格取得には長期の学業に専念する必要がある半面、確実に免許が得られるメリットがあります。

資格を取得するための3つのルート



栄養士資格を取得するためには、以下の3つのルートがあります。

  1. 【大学ルート(1)】栄養士養成課程を履修
  2. 【短大・専門学校(2・3年制)ルート】2年または3年間履修
  3. 【大学ルート(2)】管理栄養士養成課程を履修

いずれのルートを選んでも、高校卒業が入学要件となります。

重要なのは、厚生労働省から指定を受けた養成施設に進学することです。

指定養成施設でなければ、栄養士資格の取得は認められません。

進学先を検討する際は、必ず指定施設かどうかを日本栄養士会のサイトなどで確認しましょう。

【大学ルート(1)】栄養士養成課程を履修

4年制大学の栄養士養成課程を履修すれば、卒業時に栄養士資格が取得できます。

このルートでは、単に栄養学だけでなく、食に関する専門科目や教養、語学など幅広い分野を学ぶことができます。

一方で、一部の大学では栄養士課程のみを設置しているため、上位資格の管理栄養士を目指す場合は、1年以上の実務経験が必要になります。

進路を決める際は、将来的に管理栄養士資格の取得を視野に入れるかどうかをよく検討しましょう。

大学ルートのメリットは、単に資格取得にとどまらず、食と健康に関する総合的な知識が身につけられる点にあります。

【短大・専門学校(2・3年制)ルート】2年または3年間履修

短期大学や専門学校の2年制または3年制コースでも、栄養士資格の取得が可能です。

このルートのメリットは、4年制大学に比べて修業年限が短く、早期の就職が見込めることです。

2年制の場合は最短ルートとなりますが、上位資格の管理栄養士を目指す際には、更に実務経験が必要になります。

一方の3年制は、履修期間が長めですが、管理栄養士への実務経験期間が短くなるというメリットがあります。

コース選択の際は、学費の違いや卒業後の進路を慎重に検討する必要があります。

栄養士資格のみを目指すのであれば2年制でも十分ですが、介護現場で活躍する上では、専門知識を十分に身につけられる3年制が適している場合もあるでしょう。

ただ、自身の経済的な理由や生活スタイルに合わせてベストなコースを選びましょう。

【大学ルート(2)】管理栄養士養成課程を履修

栄養士資格に加え、上位資格の管理栄養士を同時に取得したい場合は、大学の管理栄養士養成課程を選ぶのがおすすめです。

この課程を履修し、必要単位を修得することで、卒業と同時に管理栄養士国家試験の受験資格が得られます。

実務経験は不要で、試験に合格すれば管理栄養士の資格取得が可能となります。

管理栄養士は、栄養士よりも高度な専門知識が求められる上位資格です。

社会的な評価も高く、就職の選択肢が広がるメリットがあります。

一方で、栄養学に加えて管理栄養士課程の科目も同時に学ばなければならず、勉強量は相当多くなります。

しかし、将来的にキャリアアップを図りたい方にとっては、この大学ルートは最も効率的な資格取得方法と言えるでしょう。

将来的な展望に立って、管理栄養士資格の取得を視野に入れるのも賢明な選択だと言えます。

栄養士免許の交付

栄養士養成施設を卒業後、各自治体に免許申請を行えば、栄養士免許が無試験で交付されます。

具体的な手続き方法は以下の通りです。

  1. 住所地の都道府県のウェブサイトで、必要書類や提出先を確認
  2. 必要事項を記入した申請書類一式を、指定の提出先へ郵送
  3. 審査を経て免許交付が承認されれば、栄養士名簿に登録
  4. 免許証が郵送されてくる

申請から免許交付までの所要日数は自治体によって異なります。

卒業後は速やかに申請し、免許取得を目指しましょう。

免許取得後は、各自治体の管理栄養士・栄養士名簿に登録されるため、免許の有効期限はありません。

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独学での取得は可能か

通信講座だけでは資格取得は不可能

栄養士の国家資格を取得するには、通信講座や通信教育では不十分です。

なぜなら、厚生労働省の指定を受けた養成施設において、全日制の栄養士養成課程を修了することが義務づけられているからです。

通信制や夜間コースは認可されていないため、それらだけでは資格取得要件を満たすことができません。

確実に資格を取得するには、指定の大学、短大、専門学校に通学し、カリキュラムを履修する必要があります。

一方で、一般の方を対象とした食育関連の通信講座もあります。

しかしこれらは、栄養学の基礎知識を学ぶことができますが、資格取得を目的とした養成課程ではありません。

社会人の資格取得ルート

栄養士資格の取得には年齢制限がありません。

つまり、社会人から栄養士を目指すことも可能です。

ただし、留意点がいくつかあります。

まず、資格取得には厚生労働省認可の養成施設における教育が必須です。

これは昼間の全日制のみで、夜間部や通信制はありません。

そのため、働きながら資格を取得するのは現実的に難しいと言えます。

一方で、仕事をしながら徐々に単位を取得し、最終的に大学や専門学校に編入する方法もあります。

あるいは、退職して専念するなど、環境を整えた上で養成施設に通うルートも選択肢になります。

社会人から栄養士を目指すのは手間と時間がかかりますが、決して不可能ではありません。

費用や時間的なゆとりなども踏まえ、しっかり計画を立ててチャレンジする価値は十分にあります。

栄養士を取得するメリット

介護現場において、栄養士の資格取得には、以下のようなメリットがあります。

  • 介護分野で活躍できる専門的な知識が身につく
  • 高齢者や障がい者など、幅広い年代の食生活をサポートできる
  • 管理栄養士への道が開かれる

介護現場では、栄養学の知見を活かして利用者一人ひとりに合った栄養管理ができます。

また、上位資格の管理栄養士を目指せるのも大きな魅力です。

資格を持つことで、確かな専門性が身につき、キャリアアップの機会が広がります。

栄養のエキスパートになれる

栄養士資格を取得すれば、栄養学のエキスパートとして幅広い分野で活躍できるようになります。

例えば、介護の現場で利用者一人ひとりに適した高度な栄養管理がため、専門家として強く信頼されます。

キャリア・スキルアップにも役立つ

栄養士の資格取得は、キャリアアップとスキルアップの大きな機会ともなります。

公認スポーツ栄養士などの付加資格を取得すれば、アスリートへの栄養指導や食生活サポートなどの新しい分野にも進出できます。

スポーツに興味がある方には、理想的なキャリアパスと言えます。

また、公務員として働く行政栄養士を目指すこともできます。

地域住民の健康増進を図る立場から、幅広い活動が可能です。

ただし、公務員採用試験に合格する必要があります。

このように、介護分野はもちろん、医療、スポーツ、行政など、多岐にわたるキャリア選択肢の幅を広げてくれます。

安定性した職場につきやすい

栄養士の職場は、医療・介護施設、学校、行政機関など、比較的安定性の高い分野が中心となります。

多くの場合、正社員としての雇用が用意されているため、雇用の不安から解放されます。

特に介護分野では、高齢化が進む中で栄養士の需要は今後も拡大していくと予測されています。

施設における給食管理や利用者への栄養指導は欠かせないサービスであり、長期的に安心して働ける環境が整っています。

医療現場や行政の場でも活躍が期待され、専門職としての地位も確立されています。

このように、栄養士は社会に対する必要性が高く、将来にわたって需要が見込まれる職種です。

再就職がしやすい

栄養士や管理栄養士は、結婚や出産による一時的なキャリア中断後の再就職が比較的容易な職種です。

国家資格であり、確かな専門性が身につく仕事であるため、一定期間のブランクがあっても求人側は理解を示してくれます。

実際、「結婚・出産後の復帰OK」といった求人案内も少なくありません。

また、高齢化が進む中で管理栄養士の需要はますます高まっていくと予想されています。

食生活改善の必要性が高まれば、病院や介護施設のみならず、食品メーカーや飲食店からの相談や依頼も増えるでしょう。

活躍の場が広がることで、再就職のチャンスも増えるはずです。

ワークライフバランスを保ちつつ、スキルを発揮できる点も魅力的だと言えるでしょう。

やりがい



栄養士の仕事には、多くの人の健康維持・増進に貢献できるというやりがいがあります。

栄養はあらゆる年代に関わる重要な要素です。

バランスの取れた適切な食生活を送ることで、病気のリスクを下げたり、既に持病がある方の体調改善にも役立ちます。

しかし、栄養に関する正しい知識がなければ、偏った食習慣に陥りがちです。

栄養士は専門的見地から適切な食事指導を行うことで、暴飲暴食や栄養の偏りによる生活習慣病などの予防に貢献できます。

高齢者施設では個々の健康状態に合わせた献立の提供、調理指導を通じて利用者の健康を守ります。

さらに、利用者一人ひとりに合った「おいしい」食事を提供できる点も、大きなやりがいにつながります。

食材選びから調理まで関わり、満足そうな表情を見ることができれば、プロとしての誇りも感じられるはずです。

このように、栄養士には多岐にわたるやりがいがあり、人々の健康的な生活を全面的にサポートできる醍醐味のある仕事と言えるでしょう。

向いている人は「食」に関心と興味がある人

栄養士は、食と健康に携わる専門職です。

したがって、この仕事に向いているのは、まず何より「食」に関心と興味がある人です。

栄養バランスを考えた献立作りはもちろん、おいしく食べられるメニュー開発も業務のひとつです。

料理が好きで、美味しい食事を人に提供したいという思いがあれば、やりがいを感じられるはずです。

また、最新の栄養学の知見を常に取り入れる必要があります。

学ぶ姿勢と向上心があれば、プロフェッショナルとしてのスキルが身につきやすいでしょう。

さらに、協調性とコミュニケーション能力も欠かせません。

調理場では複数人でチームを組み、介護施設などでは他の職種との連携も求められます。

このように、食への関心、向学心、そして人間力が栄養士には欠かせない資質です。

栄養士の将来性

栄養士の仕事は、今後ますます需要が高まると予想されています。

その理由として、以下の2点が挙げられます。

  1. 健康志向の高まりにより、食生活の乱れから生じる生活習慣病への関心が高まっています。このため、国民の健康維持に携わる栄養士の役割がますます重要になっています。特に介護施設や病院などでの需要が見込まれます。
  2. 高齢化が進行する中、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年以降、高齢者への適切な栄養管理がより一層求められるようになります。そのため、介護施設での栄養士の活躍が期待されています。

このように、栄養・食生活面でのニーズが高まる中、栄養士の就職先は増加基調にあります。

専門職として安定した就労が可能で、将来性にも優れた職業です。

管理栄養士へステップアップも可能

キャリアアップのひとつの選択肢として、管理栄養士の資格取得があげられます。

栄養士資格を取得後、一定の実務経験を積んで国家試験に合格すれば、上位資格の管理栄養士になれます。

管理栄養士は、疾病者への高度な栄養指導や公的機関での活動など、より専門性の高い業務に従事できます。

栄養士と比べて活躍の場が広がり、処遇面でも有利になる可能性があります。

将来的なキャリアビジョンを考えた上で、管理栄養士資格の取得を検討するのも賢明でしょう。

栄養士を基盤に、管理栄養士へとステップアップすることで、さらに幅広い活躍が可能になるはずです。

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