壁面装飾の作り方のポイント
壁面飾りとは、色のついた紙や画用紙をいろいろな形に切り取って、絵になるように貼り付けて壁を飾ることです。
見てすぐに何を表現しているのかすぐにわかる壁面装飾は、高齢者に目から刺激を与え、脳の活性化を促します。
作り方のポイントとして、3つ挙げたいと思います。
季節感が大切
高齢者施設の壁面装飾でも意識したいのが季節感です。
テーマがないと壁面作りは難しいもの。
季節のキーワードからアイデアを広げていくと、うまくまとまりますよ。
過剰に装飾をしない
装飾をあれこれ詰め込みすぎると、ごちゃごちゃした印象を与えてしまうこともあります。
あまり装飾しすぎず、色を使いすぎないよう気をつけることが大切です。
壁紙装飾が持つ手作りの温かみが、高齢者に伝わるといいですね。
わかりやすいモチーフに
高齢者に壁面装飾に興味を持ってもらうには、わかりやすくすることが重要です。
凝りすぎると、高齢者が理解できず、興味を示さなくなってしまいます。
見ていて難しいものでなく、単純でいて、わかりやすい楽しい掲示物。
それが壁面装飾です。
では、壁面装飾の具体例についてご紹介します。
春の壁面飾り
春の季節にふさわしい壁面飾りを5つ紹介します。
梅の花
3月は梅の花がきれいに咲く時期です。
赤やピンク、白の紙で梅の花を作って壁一面に貼ると、入居者に春の到来を感じてもらえます。
ひな祭り
3月はひな祭りの時期でもあるので、お内裏さまやお雛さまを紙でつくるのもおすすめです。
余裕があれば、五人囃子やひな壇に添えられている飾り物などもつくりましょう。
桜
4月に入ると桜の木の壁面飾りをつくるのが定番です。
老人ホームでもお花見に出かけるイベントを行っていることが多いですが、要介護状態の方で外出して桜を見に行くことが難しい方もなかにはいます。
そうした方も、桜の壁面飾りを見ることで、お花見気分を味わうことができますよ。
タンポポ
タンポポの黄色い花も春の到来を感じさせてくれます。
タンポポと一緒にツクシやテントウムシなども描くと、より春らしくなりますよ。
蝶々
さまざまな色でたくさんの蝶々を作って飾ると、見る人の心を明るくしてくれます。
蝶々が集まる花も一緒につくると、より雰囲気が出るかもしれません。
こいのぼり
端午の節句を象徴する、こいのぼり。
最近は、家の庭に大きな鯉のぼりが泳ぐ光景を実際に目にする機会は少なくなりました。
そんな状況を寂しいと思っている高齢者は多いはず。
施設内の壁にこいのぼりをたくさんつくって、泳がせて楽しみましょう。
夏の壁面飾り
次に、夏につくられることが多い壁面飾りを5つ紹介します。
花火
色がカラフルで見る人が楽しめる夏の風物詩といえば、花火が挙げられるでしょう。
花火は夏の行事として欠かせませんよね。
実際の花火のようにダイナミックな構図にすると、より華やかになりますよ。
ヒマワリ
夏を象徴する花であるヒマワリもおすすめです。
日の光に向かって咲くので、大きな太陽もつくると良いかもしれません。
たくさんのヒマワリの花が一斉に咲いている様子を描いた作品にすると、仕上がりが圧巻です。
浴衣や御神輿
夏になると、各老人ホームでは夏祭りのイベントが開かれることも多いです。
それに合わせて、浴衣や御神輿などの壁面飾りをつくるのも良いでしょう。
七夕
6月下旬~7月上旬なら、七夕の壁面飾りをつくると季節を感じられます。
天の川や飾り付けをした竹など、デザインもいろいろと考えられますね。
入居者の皆さんの願い事を書いた短冊を壁一面に飾るというのも良い方法です。
海
大きな青い紙を背景として、その上にいろいろな魚やサンゴなどを描いていく、というのが基本的な構図です。
魚は本物に似せるというよりも、アニメのキャラクターのようにかわいく描くと見ていて楽しくなるでしょう。
朝顔
夏の日の朝を彩る朝顔。
小学校の観察日記で育てていることが多く、高齢者にとってはお孫さんのことを思い浮かべたり、自分自身の夏休みの思い出を回想するきっかけにもなるかもしれません。
そんな身近な夏の花、朝顔で季節を感じられるとうれしいですね。
秋の壁面飾り
続いて、9~11月の秋におすすめのデザインを紹介します。
田んぼ(かかし、稲刈りの様子など)
地域にもよりますが、高齢の入居者のなかには若い頃から農業をやっていた方もいるかと思います。
お米が実った様子、稲刈りの様子を描くと、昔のことを思い出すきっかけとなり、夏の終わり、秋の到来を感じることができます。
十五夜
大きな黒い紙をつなげて背景として、真ん中のやや上部に大きな満月を黄色い紙を貼り合わせて描けば、秋らしい風情が出ます。
月だけだと寂しいので、下部に月見団子やウサギ、ススキなどを配置するといいですよ。
栗
秋の食材である栗も壁面飾りとして最適。
栗の実だけでなく、イガに入った状態のものを描くと絵にバリエーションが出ます。
ハロウィーン
10月に入ると、ハロウィーンのカボチャなどを描くのも良いでしょう。
近年では秋のイベントとして、日本でも多くの人が楽しむようになりました。
高齢者の方には、ややなじみがない部分があるかもしれませんが、壁面飾りがハロウィーンのことを知ってもらうきっかけにもなりますよ。
紅葉
赤や黄色、茶色など、色とりどりの紙を貼り付けて紅葉を表現します。
色づいたモミジを描くのもおすすめですね。
冬の壁面飾り
最後に、冬にふさわしい壁面飾りを5つ紹介しましょう。
クリスマス
12月といったら、やはりクリスマス。
ほとんどの老人ホームでクリスマス会が開催されるので、それに合わせてつくられることが多いです。
お正月
クリスマスが終わったら、お正月に向けて新しい壁面飾りをつくりましょう。
初日の出、門松、富士山などお正月らしい絵を散りばめると雰囲気が出ますよ。
節分
豆をまいて鬼が逃げている様子を描くというのがわかりやすい構図。
節分の豆まきも多くの施設で行われているので、壁面飾りをつくっておくと、行事に向けて雰囲気を高めることができます。
バレンタイン
ハートマークやチョコレートの絵を描くことが多いです。
老人ホームには女性の入居者の方も多いですから、かわいく描くと喜んでもらえますよ。
椿
寒椿は冬を代表する花。
雪が積もった中に咲いている様子を描けば、冬らしい雰囲気ができます。
雪だるま
子どもの頃、雪だるまをつくって遊んだ記憶が残っている高齢者の方も多いと思います。
懐かしい気持ちが蘇るのではないでしょうか。
雪の結晶と組み合わせてつくっても良いですね。
老人ホームで壁面飾りを行う理由と目的
幼稚園や保育園の壁に飾られているイメージがありますが、以下のようなメリットから、多くの老人ホームで積極的に取り入れられています。
準備に手間がかからない
「紙」と「はさみ」と「のり」を用意するだけで取り組めます。感染予防の観点から、「はさみ」と「のり」は共用品にしないで一人ずつ専用にすると安心です。共用とする場合は消毒を徹底しましょう。
高齢者が気軽に楽しめる
高齢になると、体力や認知機能の衰えが生じてくるため、体を過度に使う作業、複雑な作業は難しくなってきます。少人数グループで距離を取りながらでも協力して楽しむことができ、体への負担が少ない壁面飾りは、老人ホームでのレクリエーションとして最適です。
指先のリハビリになる
紙をちぎる、より合わせる、貼る、折る、丸める、書く、塗る、切るといった行為を伴うので、指先のリハビリになります。
施設内の雰囲気が明るくなる
壁に合わせた大きな作品をつくれば、大きな絵が掲げられることになるのと同じ。季節ごとにさまざまな絵をつくって飾れば、入居者に四季の移り変わりを感じてもらうこともできます。
つくることで刺激になることに加えて、見ることでも良い刺激を与えてくれるのが壁面飾りの大きな特徴です。
まとめ
壁面飾りのシンプルでアナログなつくりは高齢者が作業するのに適していますし、何もなかった壁に大きな壁面飾りがつくられると、館内の雰囲気も明るくなるでしょう。
ここで紹介した以外にも、題材に関していろいろアイデアはあると思います。
ぜひチャレンジしてみてください。
四季の変化に加えて、老人ホームが立地している地域の特色や歴史を加味した装飾にするのも良いでしょう。
最近では、購入してすぐに使える壁面飾りのセットや、ムック本も販売されています。
「どんな風につくれば良いのかわからない」「構図をどうするか悩む」といったときは、そういったものを活用するのもひとつの手かもしれませんね。