高齢者向けの体操レクリエーション10選
1.握って開いて
概要

「握って開いて」は、車椅子の方でも取り組める下肢の運動を取り入れたレクリエーション。
足の指先を使って新聞紙などの紙を丸めたり、広げたりすることで楽しみながら下肢を動かせます。座ったまま取り組めるので、車椅子の方が参加できるのもポイントです。
この体操によって、足の指を鍛えることができます。
室内で行うことができるので天候を問わず実施できます。
遊び方の手順
- 椅子
- 4分の1の大きさに切った人数分の新聞紙
- <準備>
- 楽しくなるようなBGMも用意すると、場の雰囲気が和みます。
- <ルール>
- 靴下を脱いで椅子に座った状態で、新聞紙の真ん中を利き手でつまみます。
まずは利き足だけを使って、足の指で新聞紙を丸め、今度は両足を使って新聞紙を広げます。 - 片足で新聞紙を丸めるのが難しいようなら、両足を使ってもいいでしょう。
進め方のコツ
グループ分けをして、早く新聞紙を丸めた人が勝ちというようなゲームの要素を取り入れても楽しめます。
ゲームに集中すると前のめりになってしまうこともあるので、参加者が転倒しないようによく注意することも忘れないようにしましょう。
2.新聞紙パンチ&キック(全身の運動)
概要

「新聞紙パンチ&キック」は、全身の運動に最適なゲームです。
スタッフが目の前で広げた新聞紙に向かって、参加者がパンチやキックをし、新聞紙を破るゲームです。
このとき肝心なのは、思いきりのよさ。
バリッ!と勢いよく破ることで、ストレス発散と、腕と足を動かすことで全身運動になります。
そして新聞紙を的にすることで、集中力や注意力が養われる効果があります。
遊び方の手順
- 新聞紙(全判、2分の1サイズ、4分の1サイズ)
新聞紙は1枚ずつに分けておきます。
- <準備>
- <ルール>
- 参加者の前でスタッフが新聞紙を広げて掲げます。
両端を持ち、新聞紙が「ピン」と張るように持ってください。 - 参加者はパンチやキックをして、新聞紙を破ります。
進め方のコツ
異なる大きさの古新聞を用意する理由は、全判から始めて徐々に小さい目標にチャレンジするため。
参加者の集中力を刺激することができるでしょう。
新聞紙を持つスタッフは、両端をピンと張って広げることが大切。
その方が、破りやすいからです。
気をつけなければならないのが、キックのとき。
バランスを崩しやすいので、参加者もスタッフも転倒やケガに注意しましょう。
3.風船キック(体幹を鍛える運動)
概要

「風船キック」は、床に置いた得点が書かれた紙の上に、風船を蹴って乗せるゲームです。
風船を蹴ることで、下肢の運動になることはもちろん、的を狙って蹴ることで、バランスを維持する体幹を強くする効果もあります。
また、異なる点数をつけることで、風船をどの得点がついた紙の上に乗せれば高得点が取れるか、といった思考力も刺激します。
遊び方の手順
- 膨らませた風船
- 得点を大きく書いた紙
- <準備>
- 風船の口には洗濯バサミを付けておきましょう。
- 参加者には椅子に座ってもらい、足元に得点用紙を並べます。
- <ルール>
- 風船が得点用紙の上に乗るように蹴ります。
- 制限時間を設けて、時間内に最も高い得点を獲得した人を優勝とするのも良いですし、チーム戦にしても楽しめますよ。
進め方のコツ
軽く、舞い上がりやすい風船を、狙って蹴ることは困難です。
風船に洗濯バサミなどをつけて重りにすることで、風船が舞い上がりにくく安定します。それによって、参加者が蹴りやすくなります。
なお、風船が割れて驚くこともあるかもしれませんが、スタッフが「大丈夫ですか」とすぐに声をかけることで、参加者も落ち着きやすいでしょう。
4.泳げ!鯉のぼり
概要

広い室内スペースがあれば、目で見て楽しい大きな鯉のぼりを室内に泳がせるレクリエーションもおすすめです。
腕全体を使った運動になります。
大きなシーツなどの布を使って、ゴミ袋に入った風船を上に飛ばし、チームワークをとりながら落とさないように行うレクリエーションです。宙に浮かせる鯉のぼりは見た目にも非日常感があり、盛り上がります。
遊び方の手順
- シーツ
- ゴミ袋
- 風船
- 油性ペン
- 折り紙
- <準備>
- まずはゴミ袋に膨らませた風船をたくさん入れ、それに目を描いたり折り紙を貼ったりして鯉のぼりをつくりましょう。
- <ルール>
- 4人から8人のチームでシーツを広げ、その上に作った鯉のぼりを乗せます。
- チームで息を合わせてシーツを上下に動かしながら、鯉のぼりを宙に浮かせてみましょう。
シーツから鯉のぼりが落ちないように注意しながら、どのチームがより高く、上手に宙に浮かせて泳がせられるかを競い合ってみても楽しめます。
進め方のコツ
チームで息を合わせて取り組むことが大切です。
最初はコツがいるので、スタッフも一緒にチームに加わってもいいでしょう。
風船だけだと軽くてうまく宙に浮かない場合は、スーパーボールなどを一緒に入れれば重さを調整することができます。
参加者がバランスを崩して転倒してしまう可能性もありますので、しっかりと足を床につけておくように気をつけてチャレンジしてみてください。
5.足じゃんけん(下肢の運動)
概要

「足じゃんけん」は、足を使ってじゃんけんをするレクリエーションです。
グーは足を揃える、チョキは前後に開く、パーは左右に開く、という動きをすることで、下半身の運動を促し、下肢筋力を向上させる効果があります。
立ったまま行う以外にも、座って足を浮かせながら行う方法もあります。この場合は、参加者が転倒しないよう気をつけましょう。
足を床から浮かせることで、腹筋を鍛えることにもなります。
また、足と同時に足の指も動かせば、血行促進の効果も期待できます。
遊び方の手順
- <準備>
- 準備するものはありません。
- 始める前に、椅子に座った状態でじゃんけんのやり方を説明しておきます。
- 「グー」のときは両足を閉じます
- 「チョキ」のときは足を前後に開きます
- 「パー」のときは両足を開きます
- <ルール>
- ルールは、通常のじゃんけんと同じです。
- 参加者同士、あるいはスタッフ対参加者全員で行ったり、スタッフが出した手に勝つように「後出し」でじゃんけんをしたり・・・。
さまざまな方法で楽しんでください。
進め方のコツ
進め方は普通のじゃんけんと同じです。
「じゃんけんぽん」の掛け声とともに、足を自分の出したいじゃんけんの形に動かします。
注意点は、バランスを崩して転倒しないようにすることです。
また、椅子に座ってやる際は、足を小さく動かしがちになります。
足を大げさに動かした方が、何を出したのか相手にわかりやすいでしょう。
6.ボール運び
概要

ラケットや円盤などにボールを載せて、どれだけボールを落とさずに持ちこたえられるかを競うレクリエーションです。
ボールをピンポン球やお手玉、テニスボールなど重さを変えることで負荷を変えることが可能。そうすることによって、参加者それぞれの筋力に合わせた筋力維持や回復に繋がるリハビリ要素を取り入れています。
目標時間を設けることで、達成感も生まれ、参加者のモチベーションアップにも繋がります。
上肢・手指の筋力を鍛えると同時に、バランス感覚も培うことができます。
遊び方の手順
- 卓球ラケットやダンボールを切り抜いて作った円盤
- ピンポン球やテニスボール、お手玉などのボール
- <準備>
- ボールは参加者の身体状況に合わせて選べるよう、いくつか重さを用意しておくといいでしょう。
また、持ちやすいように、円盤の親指部分に穴をあけておけば安定感も増します。 - 場所はある程度距離を置いて座れるくらいの広さがあれば大丈夫です。
- <ルール>
- 参加者に円盤を配り、円盤が床と平行になるように持ってもらいます。
- その上にボールを乗せ、円盤からボールが落ちないようにバランスをとっていきます。
最初は軽いボールの方が取り組みやすいです。 - 利き手だけでなく、反対側の手でもチャレンジしてみましょう。
肘を伸ばした状態で行うと難易度が上がり、上肢のトレーニング効果を高めることができます。 - 20秒~30秒の目標時間を設定し、落とさずにいられるかトライしてみましょう。
進め方のコツ
ボールの動きに集中してしまうと、姿勢が崩れてしまうこともありますので、転倒に注意しましょう。
また、筋力やバランス感覚は参加者によって異なりますので、円盤の大きさやボールもバリエーションを持たせるといいでしょう。
7.スリッパ飛ばし(足首の運動)
概要

椅子に座り、履いたスリッパを飛ばす「スリッパ飛ばし」。
得点の書いてある床や、床に置いてあるペットボトルを使い、目標に向けてスリッパを飛ばします。
このときもっとも動かすのは、足首。
普段、あまり動かすことのない足首を、意識的に動かすことで運動不足の解消となります。
つま先があげやすくなり、段差につまずきにくくなる効果も期待できます。
また、飛ばす場所を調整しなければならないので、力加減が必要になります。
そのため、足首の最適なリハビリとなるでしょう。
遊び方の手順
- ペットボトル数本
- スリッパ
- <準備>
- ペットボトルに大きく点数を書いた紙を貼っておいても良いでしょう。
- <ルール>
- 競技は1人ずつ、スリッパを履き椅子に座って行います。
ペットボトルの的に向かって、履いているスリッパを飛ばしましょう。 - より多くのペットボトルを倒した人が優勝です。
また、ペットボトルごとに得点をつけると、あまり倒せなかった人でも大逆転が起きたりするので盛り上がりますよ。
進め方のコツ
「スリッパ飛ばし」は、椅子に座ったままできるレクリエーションなので、車椅子の方でも参加しやすいのが魅力。
ただ、注意したいのは、思わぬ怪我です。
普段あまり動かすことのない足首だけに、突然勢いよく動かしてしまうと、怪我の元になることも。
そうならないために、開始前に入念に足首を回すなど、準備運動が必要です。
8.新聞紙リハビリ(指先の運動)
概要

新聞紙を使ったレクリエーションは、準備も簡単でバリエーションも豊富です。
新聞紙リハビリは、新聞紙をびりびりとちぎることで指先や握力の機能回復訓練ができるレクリエーションです。
新聞紙を破ることでストレス発散もできますので、ゲーム的な要素も取り入れながら行ってみましょう。
遊び方の手順
- 新聞紙
- タイマー
- <準備>
- 参加人数は、5人から15人くらいまでです。
テーブルの上で新聞紙をちぎるのに、お互いが邪魔にならないくらいの広さが確保できる人数で行いましょう。 - 制限時間を設けますので、タイマーがあると便利です。
- <ルール>
- ひとり1枚の新聞紙を配り、「よーい、スタート!」の合図で新聞紙をちぎります。
制限時間内で何分割できるかを競い合いましょう。 - ちぎり方を「両手」「片手」「親指と人差し指」「グーの状態で」「手首から肘のみを使って」などと設定することで体のさまざまな場所を動かせます。
- また、制限時間が過ぎたら、1枚ずつ玉入れの要領でカウントしていくと盛り上がります。
進め方のコツ
制限時間は1分から2分がちょうどいいです。
新聞紙を折りたたんで折り目をつけたうえでちぎると難易度が下がるので、折りたたんでいいかどうかもあらかじめルールとして決めておきましょう。
指先を使うことで認知症予防やストレス解消になることを伝えると、参加者のモチベーションもアップします。
また、介護の方法を動画でわかりやすく解説する「介護求人ちゃんねる」の記事、「【動画でわかる】認知症予防は”指の体操”で脳トレを!」で認知症予防の”指体操”を紹介しています。あわせてご覧ください。
9.紙コップフーフー(心肺機能を向上させる運動)
概要

「紙コップフーフー」は、テーブルに置いた紙コップに息を吹きかけ、得点が書かれた用紙の上に移動させるレクリエーションです。
紙コップを動かせるくらいの息を吹きかけることで、心肺機能の維持や強化に効果があります。
また、目標となる場所まで、どのくらいの息を吹きかければ倒れずに移動できるのかなどを考えることで、思考力や集中力アップを促します。
遊び方の手順
- 紙コップ
- 得点表
- セロテープ
- <準備>
- 得点表は、大きな模造紙にいくつか円を描き、その内側にそれぞれの得点を書いておきます。
- 模造紙の端からスタートし、遠くなるほど得点が高くなるようにすると良いでしょう。
- 参加者の息が届くくらいの大きめのテーブルに得点表を広げ、セロテープで固定しましょう。
紙コップはスタート位置にセットしておきます。 - <ルール>
- スタートの合図で息を吹きかけ、紙コップを移動させます。
紙コップが倒れたときはスタート位置からやり直しです。 - 息の強さを加減しながら紙コップを進めましょう。
進め方のコツ
得点を競うこのレクリエーションは、1対1の個人戦でも、団体戦でも楽しめるでしょう。
勝つために、より高得点の場所まで息を吹きかけコップを移動させたいところですが、息を吹きすぎて、吸うことを忘れてしまうと、酸欠になってしまいます。
スタッフは、参加者が加減をして息を吹きかけるように気をつけたいところです。
10.グーパー入れ替え体操(認知症予防運動)
概要

「グーパー入れ替え体操」は、脳の活性化に最適なレクリーションです。
椅子に座ったまま行えるので、車いすの方や足腰に不安がある方でも参加できます。
脳へ刺激を与えることができ、認知症の防止にもなります。
遊び方の手順
- <準備>
- ものは必要ありません。
腕を前方に突き出したときに、他の参加者に当たらないように間隔を取っておきましょう。 - <ルール>
- 片手ずつ交互に腕を前に出します。このとき、前に出している方の手はグーに。
反対側の手はパーにして胸に当ててください。 - 腕の動きを入れ替える度に、手の形も変えましょう。リズミカルに行うのがおすすめ。
- 慣れてきたら、歌を歌いながら行ったり、前に出す手をパーに、胸に当てている手をグーに入れ替えても楽しめます。
進め方のコツ
1人でできる体操なので、ちょっとした時間に取り組めます。
空き時間に継続して取り組めば、手足や脳のトレーニングを習慣化できるでしょう。
「グー」と「パー」だけでは簡単に感じた場合は、スピードを速くしたり、「グー」と「パー」以外に「チョキ」も混ぜることおすすめです。
また、「もしもしかめよ、かめさんよ」など歌いながらリズムに合わせると、より刺激がもたらされるはずです。
グーパー体操の詳しいやり方は「【動画でわかる】”グーパー体操”で遊びながら認知症予防の脳トレ」で解説していますよ。