介護福祉士の給料は?平均年収や手取り、収入を上げる方法を解説

介護福祉士の給料を徹底解説。賃金形態別の給料相場から初任給、保有資格・職種別の違いや働く施設ごとの違いまでを網羅し、給料アップの方法も紹介。

介護福祉士の平均給料・年収

厚生労働省の調査によると介護福祉士の平均月給は約33.1万円、平均年収は約400万円となっています。

この給料は、介護施設や地域、さらには保有する資格や経験年数によって大きく変動します。

特に資格を持つ介護福祉士は、非保持者に比べて平均で約14,150円高い月給が報告されており、職場によっては年収が430万円を超えることもあります。

介護福祉士の手取り

介護福祉士の手取り給料は、総支給額から税金や保険料、貯蓄積立などの控除後に手元に残る金額で、通常、額面給料の70%から80%に相当します。

常勤の介護福祉士で平均すると月額約26万円、年間では約318万円が手取り額となることが多いです。

この手取り額には平均的な手当の金額が含まれており、実際の取り分は職場や地域により差が出ます。

介護福祉士のボーナス

介護福祉士のボーナスに関するイメージイラスト

介護福祉士のボーナスには、年齢や経験によって大きな差があります。

例えば、20代前半の新入職員は通常、年間で約64万円のボーナスが見込まれ、経験を積むにつれてこの金額は増加します。

50代では、年間約155万円に達することもあり、これは彼らの年収の約三分の一を占めることが多いです。

介護福祉士の年齢、男女別の平均月給

年齢 男性 女性
29歳以下 約29万円 約28.3万円
30~39歳 約33.7万円 約30.9万円
40~49歳 約35.9万円 約31.8万円
50~59歳 約33.9万円 約31.7万円
60歳以上 約27.9万円 約29.1万円

介護福祉士の給料は年齢や性別によって異なります。厚生労働省の調査によると、全年齢の男性介護職員の平均月給は約33.4万円、女性は約30.8万円です。

特に40代で月給が最高になる傾向があり、男性は約35.9万円、女性は約31.8万円と報告されています。

年齢別の詳細を見ると、20代前半の新卒や若手は比較的低く、経験が増すにつれて給料も上昇し、50代では男性が約33.9万円、女性が約31.7万円に達します。

しかし、50代後半からは減少傾向にあり、これは体力的な要因により担当できる業務が減少するためと考えられます。

しかし、男女間での給与差も明らかで、男性が平均で女性よりも年間約37.6万円多く稼いでいることが分かります。

これには身体的な負担が大きい業務が影響している可能性がありますが、業界全体としては男女の待遇差を縮小する動きも見られます。

介護福祉士の初任給

介護福祉士の初任給のイメージイラスト

介護福祉士の初任給は勤務先の規模や採用形態によって異なりますが、平均的には約17万円の基本給からスタートします。

厚生労働省のデータによると、1年目の介護職員の平均基本給は約17.4万円で、この額に夜勤手当やその他の手当が加わると実際の収入はさらに上がります。

介護職の新卒初任給は大卒全体の平均に比べてやや低めですが、中途採用の場合、実務経験に応じて初任給が高く設定されることが一般的です。

このため、実際に手にする給料は初任給の基本給よりも高くなることが多いです。

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施設別の平均給料

介護が必要な人の支援を行う仕事についてのイメージイラスト

介護福祉士の平均給与は勤務施設によって異なります。

特に特別養護老人ホームでの給料が最も高く、介護老人保健施設も同様に高給です。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームでの介護福祉士の給料は、平均月給で常勤が約34.7万円、非常勤が約21.2万円です。

これらの施設では、夜勤が多いこともあり、他施設と比べて給料が高い傾向にあります。

平均年収は約433万円と、介護職の中でも比較的高い部類に入ります。

介護老人保健施設

介護老人保健施設で働く介護福祉士の平均月給は、常勤で約33.8万円、非常勤で約27.8万円です。

この施設での年収は平均約420万円となり、夜勤が多いため他施設より高い給与を得ることが多いです。

グループホーム

グループホームでの介護福祉士の給料は、常勤で平均月給約29.3万円、非常勤で約21万円です。

年収では約365万円と、他の介護施設と比較しても遜色ない水準です。

訪問介護事業所

訪問介護事業所で働く介護福祉士は、常勤で月給平均約31.7万円、非常勤では約19.4万円です。

年収は平均約388万円で、他の施設形態と比べ、常勤と非常勤の給与差が目立ちます。

デイサービス

デイサービスで仕事を行う介護福祉士のイメージイラスト

デイサービスでの介護福祉士は、常勤で月給平均約27.6万円、非常勤では約17万円です。

年収は平均約348万円となります。他の介護施設と比較してやや低い給与額となっています。

しかし、デイサービスでは夜勤がなく、身体的負担が少ない点が特徴です。

施設規模別の平均給料

規模別 平均年収
1,000人以上 約348万円
100人〜999人 約344万円
10人以上 約340万円

福祉施設介護員の年収を施設規模別に比べると、1000人以上の大規模施設が一番高く役位348万円となっていますが、そこまで大きな差はなく、施設規模によって給料が大きく変わることはないと言えるでしょう。

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都道府県別の平均給料

介護福祉士の給料は地域によって大きな差が見られます。全国平均の年収は約362万円ですが、都市部ではこの平均を超える傾向にあります。

たとえば、神奈川県や大阪府では平均年収が402万円、愛知県では392万円と報告されています。これに対して、沖縄県や宮崎県では年収が300万円に満たないことが報告されています。

地方では最低賃金が低く、雇用条件の改善が遅れていることが影響しています。また、介護施設の数が少なく、人手不足も都市部に比べて深刻です。

雇用形態別の介護福祉士の給料

常勤(正社員)の平均給料

常勤の介護福祉士の平均給与は月給約31.8万円、年収は約430万円です。

これには、ボーナスが年間50万円程度含まれています。

国税庁のデータによると、一般の正社員の平均年収は441万円であり、介護福祉士は平均的な会社員より少し低い水準です。

また、介護福祉士の資格保有者は非保持者に比べて約14,150円高い給料を受け取っているとされています。

契約社員の平均給料

契約社員の介護福祉士は、時給換算すると1,600円から2,000円の範囲で設定されていることが多いです。

これにより、平均月給は約13万4,680円、年収は約161万円となることが一般的です。

介護福祉士が国家資格であること、スキルによって現場の即戦力として期待されていることなどが関係し、やや高めの給与相場になっていると考えられます。

パート・アルバイトの平均給料

パートやアルバイトとしての介護福祉士は、平均時給が約1,000円〜1,700円です。

これは、国家資格保持者としての専門スキルが評価された結果です。

しかし、正社員と比べると、ボーナスや退職金の欠如により、全体的な収入は少なめです。

資格有無による給料の差

介護福祉士としての資格を持つと、給料の上昇が見込まれます。

一般の介護職員と比べて、資格所有者の平均給与は高くなる傾向にあります。

また、他業界との比較でも、資格を持つ介護福祉士の給料は見劣りしないと言えるでしょう。

これは、資格による知識と技術が給与に反映されるからです。

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介護福祉士の資格手当

介護福祉士の資格を持つと、給与面で大きな利点があります。

資格手当として約1万円から1万5000円が加算されることが多いです。

この資格による給与のプレミアムは、専門スキルの評価と直結しており、平均で約31万円の収入が見込まれます。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修の資格取得者の給与は、平均で月額約30万円、年間で約360万円です。

これに対して、国家資格である介護福祉士の平均給料は月額約31.3万円と高く、資格手当としても1万円から1万5000円が加わります。

これにより、介護職員初任者研修の資格保有者と比べ、月給で約2万8000円、年収で約33.6万円の差が生まれます。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修の取得者は、平均月給約30.2万円、年収約362万円と評価されています。

この資格は介護職員初任者研修と介護福祉士の中間に位置づけられ、介護福祉士と比較して月給で約2万6000円の差があります。

月額給料では介護福祉士が31.3万円に対し、実務者研修は28.8万円です。

給料をアップする方法

介護福祉士の給料を向上させるには、適切な働き方の選択や経験の積み重ねが大切です。

また、地域や施設によって給与条件が異なるため、自身の状況に合わせた戦略を立てることが重要となります。

夜勤の仕事を増やす

夜勤を行う介護福祉士のイメージイラスト

介護福祉士が給料を増やす方法として、夜勤のシフトを増やすことが効果的です。

夜勤は通常の時給より高率で計算されるため、週に1〜2回の夜勤追加だけでも収入が大きく上がります。

特に、体力に自信がある方には、夜勤手当が加算されるこの働き方が推奨されます。

夜勤の具体的な手当は施設によって異なるため、事前に確認することが重要です。

管理者にキャリアアップする

介護施設で管理職に昇進することは、大幅な給与アップに繋がります。

一般職員から施設長や管理者へのキャリアアップを達成するには、施設内での長年の実務経験とリーダーシップが必要となります。

具体的な給与差としては、一般職員と比べて管理職は月給で約14万円、年収で約180万円の差が出ます。

この昇進は、介護福祉士としての資格だけでなく、教育やシフト管理などの追加責任が認められた結果としています。

管理職としての役割には、施設の運営全般の監督やスタッフのサポートが含まれ、これらの責任が給与に反映されるため、経験豊富な職員は昇進のチャンスがあります。

勤続年数を積む

介護福祉士の給与は、勤続年数によって段階的に増加する傾向があります。勤務を続けることで得られる経験とスキルの向上が給料に反映され、特に長期にわたって同一施設で働くことが給与アップの鍵となります。

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、勤続年数が増えるごとに給与も着実に上がります。

経験年数 平均年収
1年目 約29.8万円
5年目 約31.5万円
10年目 約33.2万円
15年目 約34.8万円
20年以上 約38.1万円

このデータは、勤続年数を重ねるごとに給料が上がるという一般的な傾向を示しており、介護福祉士としてキャリアを積むことが、経済的報酬の増加に直結することを示唆しています。また、介護職員等特定処遇改善加算の制度もあるため、長期にわたる勤務は特に報われる傾向にあります。

長期間にわたる勤務は、介護の分野において経済的な安定と成長をもたらすため、職場に留まり続けることが推奨されます。

ケアマネージャー・生活指導員などの資格を取得する

介護福祉士が給料をさらにアップさせる方法として、ケアマネージャーや生活指導員などの上位資格取得が効果的です。ケアマネージャーは介護保険サービスの計画を立て、利用者に最適なケアを提供する職務を担います。この資格は、介護福祉士の経験を生かし、さらに専門的な知識を必要とするため、資格取得には実務経験が役立ちます。

資格取得による具体的な給与アップの見込みは、月に約3万円から4万円です。また、ケアマネージャーになることでデスクワークが中心の働き方も可能になり、体力的な負担を減らしながら勤務を続けることができます。

ケアマネージャー試験は合格率が10%から20%と難易度が高いですが、資格取得支援がある職場では、働きながら勉強して試験に挑むことが可能です。資格を取得することで、介護の質を向上させ、利用者やその家族からの信頼を得やすくなります。

介護福祉士からキャリアアップを図るには、早期に資格を取得し、専門性を高めることが推奨されます。これにより、生涯収入も向上し、介護職としての充実感を得ることができるでしょう。

給料の高い職場に転職する

介護福祉士が給料を向上させる一つの効果的な方法は、給与水準の高い施設や地域に転職することです。特に、大都市や経済的に豊かな地域の施設では、同じ職種でも顕著に給料が高い傾向にあります。また、施設形態によっても給与差が存在するため、個々のニーズに合った職場を選ぶことが大切です。

給料アップが見込めない現職から、より条件の良い職場への転職は、収入増加に直結します。

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介護福祉士の給料が安いと言われる理由

介護福祉士の給料に対するイメージイラスト

介護福祉士の給料が低いとされる理由はいくつかあります。

  • 専門性の低評価: 誰でもできると見なされる
  • 介護報酬の上限: サービス改善が収入増につながらず
  • 内部留保の高額化: 経営安定のため、利益を給与に回さず
  • 非正規雇用の多さ: 昇給や昇格が困難

一つは専門性が評価されにくいことにあります。多くの場合、介護職は無資格や未経験からでも始められるため、「誰でもできる仕事」と見なされがちで、その結果が報酬の低さにつながっています。

また、介護報酬には上限が設定されており、施設が提供するサービスの質を向上させても、その分の収入増に直接繋がりにくい構造となっています。

さらに、介護業界においては内部留保を多く設定し、施設の経営安定に充てるため、その分が給与に反映されないことも一因です。非正規雇用が多いのも特徴で、これにより昇給や昇格の機会が限られ、待遇改善が進みにくい状況にあります。

これらの要因を改善するためには、業界全体での賃金体系の見直しや、介護職の専門性を高めるための教育・研修の充実が求められます。また、非正規雇用の待遇改善と正社員化を推進することも、給料の底上げに繋がるでしょう。

今後介護福祉士の給料が上がる可能性

介護福祉士の給料は、他の産業に比べて低い水準にありますが、改善への動きが見られます。

人材不足が深刻化している介護業界では、専門的な職務にもかかわらず低給が課題となっており、これが働くモチベーションに影響を与えることも少なくありません。政府はこの問題に対処するため、介護職員の給料を引き上げる政策を推進しています。

政府は介護職の賃金改善に向けた具体的な施策を導入しています。これらの動きは、介護福祉士の給与が将来的にさらに改善される希望を示しており、資格取得を考えている方や現職の継続を検討している方にとって、前向きな判断材料となるでしょう。

実際に給料は徐々に増加しており、この流れが続く可能性があります。

介護職員等処遇改善加算で給料アップ

介護福祉士の給料向上には、「介護職員等処遇改善加算」が中心となっています。この加算制度は、介護職員の給与底上げを目的としており、特に経験豊富な介護福祉士に対しては顕著な給与増が期待されます。たとえば、勤続10年以上の介護福祉士は、月額で最大8万円の給料アップが見込まれています。

これらの加算が施設に適用されることで、介護職員の給料は具体的に改善される見込みです。介護職員の方は、勤務先がこれらの加算を取得しているかを確認し、適用されていなければ申請を促すことが可能です。このように政府は介護職の魅力向上を図り、人手不足の解消を目指しています。

介護福祉士の賃上げ

介護福祉士の給料アップが進んでいます。厚生労働省は、2024年2月から介護職員の基本給を月額6,000円増額する施策を実施すると発表しました。これは、介護報酬改定を通じた長期的な処遇改善の一環としています。

また、岸田総理は、エッセンシャルワーカーとしての介護職員を含む専門職に対し、9,000円の賃上げを2022年2月から実施し、その後の賃金のさらなる改善も検討中です。

政府と関連省庁は、介護職員の待遇改善と労働環境の継続的な向上を目指しており、これらの措置が職場の安定と新たな労働力の確保につながることが期待されています。

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