介護施設管理者の給料相場(平均値)
1.施設管理者の平均給料
公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、介護施設管理者の平均収入は月給制の場合で月額35.9万円、時間給制の場合で時給1,166円となっています。
年齢別や男女別の施設管理者に関するデータはないため、厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」で介護管理職のデータを見てみましょう。
役職 | 平均給与 |
---|---|
管理職 | 35万6,570円 |
管理職以外 | 30万8,070円 |
施設管理者ではありませんが、介護職員を管理する管理職の平均給与は約35万円となっており、施設管理者ですとさらに高い給与となることが見込まれます。
2.手取り
給料について話す場合、額面給料と手取りという2つの種類があります。額面給料とは、月ごとの基本給に通勤手当や住宅手当、資格手当や残業手当などを含めて企業がひとりの従業員に支払う総支給額のことです。
一方で、手取りとは、その額面給料から税金(所得税、住民税など)、社会保険料(厚生年金や健康保険など)、労働保険料(雇用保険など)の支払に必要なお金を差し引いて、実際に給与口座に振り込まれる金額をいいます。
一般的に手取りの金額は、額面給料の7〜8割程度が相場です。つまり、企業の総支給額が25万円なら、手取りは17.5〜20万円、30万円なら手取りは21〜24万円というのが目安というわけです。
3.ボーナス
ボーナスの相場はどのくらいでしょうか。介護労働安定センターのデータによると事業所管理者(施設長)のうちボーナスがあると回答したのは51.2%、ないと答えたのは23.9%で、半数の回答者がボーナスを支給されています。
ボーナスがあると回答した方の平均ボーナス額は71.1万円でした。
介護職員全体の数字と比較してみましょう。回答者のうち、ボーナスがあると答えたのは72.3%、なしと答えたのは11.2%でした。
介護職員のうちあると回答した方の平均ボーナス額は57.9万円。さらに、正規職員は平均ボーナス額59.8万円で非正規職員の場合は33.9万円となっています。
ボーナスのある介護職員全体の平均額と比べても介護施設管理者は約13万円高めの支給額であるとわかりました。
都道府県ごとの平均給与額
1.給料が高いのは東京
地域別の介護職員の収入を見比べて、介護施設管理者の地域による賃金の違いをイメージしていきます。
厚生労働省による「令和5年度賃金構造基本統計調査」から介護職員の現金給付額を男女平均で算出したところ、もっとも金額が高いのは東京都で約29.2万円。全国47都道府県中第1位でした。
東京都のデータをさらに掘り下げてみると、介護職員の平均月収約29.2万円のうちボーナスは約60.7万円でした。
地域別のこうした賃金データは年度などによっても変化するものですが、東京都がトップを独走し続けていて、周辺の千葉県や神奈川県の介護職員の平均収入も軒並み全国トップクラスです。
もともと最低賃金や物価が高いこと、さまざまな求人案件が集まっていることなどが背景にあると考えられます。
2.給料が低いのは宮崎
東京都が介護職員の平均賃金トップなのに対して、もっとも金額が低いのは宮崎で平均月収は約22.6万円でした。東京都と宮崎県では介護職員の平均収入がおよそ約6万円の差が生じています。
平均ボーナス支給額も約43万円と東京都と比較すると低い値となっています。
東北や中国・四国、九州といった地方になるほど首都圏や近畿圏の大都市の多いエリアより給料が下がっていく傾向が顕著です。
特に東北地方では秋田県、九州地方では沖縄県や佐賀県などが全国的に見ても低い傾向があります。
老人ホームの種別ごとの平均給与額
1.有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームで働く介護施設管理者の給料の相場は20万円台後半から30万円前後となっています。施設の種類や立地している地域、運営規模などによってもかなり幅があります。
みんなの介護求人で実際の募集案件を見てみると、例えば神奈川県のある介護付き有料老人ホームの場合、月給33.5万円〜となっています。
運営主体が介護関連の企業であること、介護業界が未経験でも前職までのキャリアで評価されれば管理職への道も開けます。
愛知県のある施設で5年以上の介護職の実務経験者を募集しているケースでは月給28.5万円となっています。
また、福岡県のある施設では正社員で管理職を募集していますが、月給は24~28万円と年齢や経験による評価で初任給が異なるケースもあります。
2.グループホーム
アットホームな雰囲気で職員同士の距離感も近いグループホーム。施設管理者募集の案件を見ると、神奈川県のある介護施設では月給30〜40万円と、介護業界でも高めの給与設定になっています。
また、大阪府のある施設では、月給25〜30万円。学歴不問で40代以上歓迎、4週8休で研修制度や福利厚生も充実しています。
神奈川県横浜市郊外のグループホームでは、月給30〜40万円で募集。残業が少ないのがメリットで年齢は不問、ボーナスもあります。
グループホームの管理職の給料相場は30万円〜。介護施設管理者でもほかの就業先より高めの水準で働けるのが魅力です。
3.デイサービス
高齢者が日中をレクレーションやリハビリなどをして快適に過ごせるデイサービス。通所介護事業所とも呼ばれる施設管理者のお仕事は、月給25〜30万円前後が相場です。
たとえば、千葉県のあるデイサービスでは、月給25〜32.7万円前後で募集しています。日勤で土日は休みの施設なので、家庭のある主婦でも働きやすく、40代から50代の女性が多数活躍しているのが特徴です。
また、新潟県のある施設は20.5〜25万円の月給で募集していて、未経験でも応募可能です。年齢も不問で研修制度もあるので安心。相場に比べるとやや低めですが、残業がほぼないのがメリットです。
施設によっては月給18万円程度で募集している求人もあって、相場がかなり広くなっています。
4.介護老人保健施設
24時間体制の介護施設で、数多くのスタッフをまとめる大切な役割となる介護老人保健施設。
みんなの介護求人の求人募集を見てみると、管理職として現場の運営から人事・研修、さらに財務や経理、利用者の入居促進を含めた幅広い営業活動など、多彩な業務を一手に引き受けるケースが目立ちます。
例えば、新潟県にある施設の管理者募集では月給27〜37.3万円といった求人も見受けらます。
また、奈良県の介護老人保健施設では施設全般の運営や経営まで携わる管理職を募集しており、月給は31万円です。
5.小規模多機能型居宅介護
地域によって特徴や多様性をもった運営が特色の小規模多機能型居宅介護。みんなの介護求人を見ると、全国各地でさまざまな運営主体が施設の管理者を募集しています。
金額は地域や施設によって異なりますが、給料相場は25〜30万円前後となっています。経験や年齢などによっては40万円程度の月給で募集している案件も少なくありません。
例えば、静岡県のある施設は24時間365日体制で残業はほぼ無しという条件で月給25.5〜32.5万円となっています。
また、神奈川県で管理職を募集しているある小規模多機能ホームでは月給30〜40万円。宮城県のある施設では、22万円〜など、月給設定も案件ごとに幅が広くなっています。
6.特別養護老人ホーム
社会福祉法人など公的団体が運営している特別養護老人ホームでは、比較的、管理職経験のある人材募集が目立ちます。
例えば、京都府のある特別養護老人ホームの募集情報によると月給37〜38.6万円。正職員の管理職を求めていて、経験豊富でリーダーシップを発揮できる人材を募集しています。
また、北海道のある施設では、月給29.2〜35万円程度での募集。残業がほぼないため、ワークライフバランスが取りやすいといえます。
このほか、大阪のある求人情報では月給40.7〜56.5万円という介護職員でも高収入が見込める施設もあります。
事業所規模別の平均給与
みんなの介護求人で給料相場を見てきてわかるように、施設ごとに給料の金額はさまざま。とくに介護施設の事業所規模による影響が大きいと考えられます。
下の表は福祉施設で働く介護職員の平均月収を企業規模ごとに表したものになります。
事業所規模 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
10~99人 | 約27万円 | 約24.3万円 |
100~999人 | 約28.6万円 | 約25.6万円 |
1,000人以上 | 約29.6万円 | 約26.5万円 |
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、事業所の規模が大きくなるほど平均給与額も高くなる傾向にあります。
介護施設管理者が給料を上げる方法って?
給料、手当が充実している施設に転職する
もし年収アップを目指すなら、まずは今の勤務先で昇給や昇進、手当や福利厚生の充実などを上司や経営陣に掛け合ってみるところからスタートしてみましょう。
しかし、企業側も経営方針や人件費の配分など、さまざまな事情で思うような成果は得られない場合が多いはず。一つの職場での経験年数やスキルアップだけでは給料アップが難しいケースのほうが一般的です。
資格取得で昇給や昇進を狙う場合でも、介護施設管理者でケアマネージャーやそのほかの介護や医療系の資格を取得しても、職場によってはニーズがなかったり、そもそも企業側も施設の管理職だけを求めている場合も多いかもしれません。
そんなときは、いくら頑張って資格取得やスキルを磨いても、思うような昇給にはつながりづらいでしょう。
勤務先との交渉がこれ以上進まないと思ったら、ほかの介護施設への転職を考えてみるのもおすすめです。
施設によっては前職までの経験を高く評価して、管理職として厚遇してくれる転職先も見つかる可能性があります。
求人情報を検討する際も、能力給でどこまで判断してくれるのか、昇給や昇進制度はわかりやすいか、など、収入増にダイレクトに直結する情報をしっかりとチェックしながら、転職活動を進めてみてください。