看護師の平均給料・年収
看護師の平均年収は508万円になります。勤務地や性別、さらには年齢によっても異なりますが、比較的安定した収入を得ていると言えるでしょう。
また、看護師の職場は女性が多いことから男女間の給料の差は他業種に比べて小さい傾向にあります。
平均月収 | 約35.2万円 |
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平均ボーナス | 約85.6万円 |
平均年収 | 約508.0万円 |
最新の統計によると、看護師の平均給料は、月額約35.2万円、年間では約508万円となっています。
これには、夜勤手当や賞与も含まれており、他職種に比べやや高めの水準です。ただし、この数字には税金や社会保険料が含まれていませんので、実際の手取り額は約370万円から400万円程度と考えられます。
全体的に見ると安定した収入を得ている職種であることがわかります。しかし多忙な業務内容や専門性の高さを考えると、給料が仕事量に見合っているかどうかについて様々な意見が存在することも事実です。
将来的に看護師を目指す方々や現在働いている方々にとって給料の実情を知ることは、キャリアプランを考える上で非常に重要です。
看護師は患者の健康を支える重要な役割を担っており、精神的・体力的な負担も大きい仕事です。そのため、給料アップを目指す場合は、夜勤手当や特定の資格取得、経験年数を増やすことがキーとなります。
看護師の生涯年収
看護師の仕事は、命を預かる大きな責任と共に、経済的な見返りも期待できる職業です。
新卒で22歳からキャリアをスタートし、65歳で退職するまでの間、看護師として働き続けることで、生涯にわたって約2億円以上の収入が見込めます。特に、看護師職は男女問わず、一般的な職種に比べて生涯収入が高い傾向にあります。
男女平均 | 約2億1,800万円 |
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男性 | 約2億2,500万円 |
女性 | 約2億1,700万円 |
しかし、高収入を得るためには、身体的・精神的な健康管理にも留意する必要があります。
看護師として長く働くことで、安定した生涯収入を確保し、社会に貢献することが可能です。
大卒と専門卒の看護師の給料差
最新のデータによると、大学を卒業した看護師の平均月収は約27万円、専門学校卒業者は26万円と、約1万円の差があります。初任給で見ると、この差は年間約12万円になります。
しかし、看護師としてのキャリアが進むにつれて、学歴よりも職歴や資格が給料に影響を与えるようになります。そのため、新卒時の給与差は長い目で見れば大きな影響を与えないと言えるでしょう。
看護師の給料は、勤務先や経験、資格によって大きく左右されるため、学歴によるわずかな開始点の差は、長期的な視点では重要な要因とはなり得ません。
看護師と准看護師の年収差
看護業界には、「正看護師」と「准看護師」の二つの職種がありますが、彼らの年収には顕著な差が見られます。
正看護師は平均で年収約500万円を得ているのに対し、准看護師の年収は約400万円で、この100万円の開きは彼らの職務範囲と資格の違いから来ています。
正看護師が国家資格を保持しており、より専門的な医療行為を担当するのに対し、准看護師は補助的な役割に徹しなければならないためです。
加えて、医療現場の需要に応えるためには、高度なスキルと知識が必要とされており、このため准看護師のポジションは将来的に廃止される可能性が高まっています。
さらに、准看護師は医師や正看護師の指示のもとで働くため、管理職に就く機会も限られており、それが年収差に直結しています。
看護師としてキャリアアップを目指すならば、正看護師への資格取得が重要と言えるでしょう。
看護師の給料の内訳
看護師の給料は、基本給や夜勤手当、残業代、ボーナスといった諸要素から構成されます。これらに加え、通勤や家族、住宅手当などの追加的な収入もあり得ます。
特に、病院の種類や規模、勤務地により、手取りで18万円から24万円程度が一般的な範囲となっています。
看護師の基本給
看護師の基本給は、全給与の約75%を形成し、残りは夜勤手当などの追加手当で補完されます。初任年度の看護師の基本給はおよそ21万円で、勤務10年目には約24万円へ増額します。
看護師のボーナス
看護師の年間ボーナスは平均約86万円とされ、生涯で見ると年齢と共に増加することが一般的です。
看護師のボーナスは経験年数が増えると共に顕著に上昇し、50代で最大約112万円に達します。
しかし、初年度のボーナスは男女ともに10万円に満たず、実績に基づく査定がないため入職直後の夏のボーナスは5万円から10万円程度、場合によっては未支給もあり得ます。
このため、長期間同じ職場で働くことで、ボーナスの額も徐々に増加する傾向にあります。
看護師の残業代
看護師の残業代は、全収入のうち比較的小さな割合を占め、月間平均残業時間は約6時間。
この時間を基に算出される残業代は月に約1.1万円から1.2万円、年間では約13万円から14.5万円程です。
労働基準法により、通常の労働時間を超えた場合は基本給の25%が時間外手当として追加されますが、医療現場の多くは変形労働時間制を採用しており、特定の条件下では通常の時間外手当のルールが適用されない場合があります。
各種手当
看護師の給与は、基本給に加え、さまざまな手当が重要な役割を果たしています。
- 通勤手当:交通費補助
- 住居手当:家賃支援
- 家族手当:家族のための追加支給
- 交代勤務手当:夜勤や特定業務への補償
- 特殊勤務手当:特定の専門領域や特殊な勤務条件への報酬
- 資格手当:専門資格取得者への報酬
- 役職手当:管理職やリーダーシップポジションへの報酬
しかし、これらの手当が全ての職場で提供されるわけではなく、勤務地や施設によって異なります。
夜勤手当
看護師の収入にとって、夜勤手当は重要な部分を占めています。
日本看護協会の最新の実態調査によると、2交代制では一回あたり約11,000円、3交代制では約5,000円の手当が支払われ、月には夜勤だけで約3万~5万円を稼ぐことが可能です。
この手当は、2交代制の方が業務の負担や拘束時間が長い分、高額に設定されています。年収のうち約40万~60万円が夜勤手当から得られることも珍しくなく、夜勤の多さが直接給料に影響することが伺えます。
資格手当
資格手当は、専門看護師や認定看護師などの特定資格を持つ看護師に毎月数千円から数万円が支給されることがあります。
これらの手当は、施設によって差があるため、就業規則を確認することが重要です。
資格を取得することでスキルアップの機会が得られ、経済的なメリットだけでなく、キャリアアップにもつながります。
職場別の平均給料額
総合病院と大学病院の給料
大学病院での看護師は平均年収490万円で、看護職界の高収入層に位置します。これは、研究施設としての役割や、先進医療の提供、感染症対策など特殊な業務が給与に反映されているためです。
一方、総合病院での看護師の平均年収は465万円となっており、大学病院と比べるとやや低くなります。
総合病院は地域医療の要であり、救急対応や高度医療を扱う重要な立場にあるため、看護師は多忙でありながらも多岐にわたる専門知識が要求されます。
また、公立病院では給与体系が全国統一の俸給表に基づいており、勤務条件や業務の厳しさにかかわらず一定の基準で給料が決定されます。
このように勤務先によって看護師の給与に差が生じ、特に大学病院や総合病院での勤務は知識と技術が高く評価される傾向にあります。
病院の規模による給料差
1,000人以上を擁する大規模病院では平均年収が約556万円と高めで、小規模施設の約508万円と比べると約48万円の差があります。
規模が大きな病院では、入院病棟が多く、高度な医療技術や特殊な業務を求められるため、給料も上昇傾向にあります。
さらに、大病院では人事評価や昇給制度が整備され、高度なスキルを持つ職員には特殊業務手当などの各種手当が充実しています。
結果として、大規模施設ほど年収が高くなり、看護師としてのキャリアアップや専門技術の習得にも有利な環境が整っています。
クリニックの給料
クリニックで働く看護師の平均年収は約390万円とされています。
これは、夜勤勤務がなく深夜手当が付かない、また休日出勤や残業が少ないため、大学病院や総合病院に比べて低めです。クリニック勤務は、外来患者のケアを中心に、医師の補助が主な業務であり、比較的責任の重い業務は少ない傾向にあります。
その結果、勤務時間内に仕事が完了しやすく、休日やプライベートの時間も確保しやすいのが特徴です。
美容クリニックの給料
美容クリニックで働く看護師は、一般的な病院勤務とは異なり、脱毛やフェイシャルといった美容施術を担当し、基本給が高めに設定されていることが特徴です。
加えて、業績に応じてインセンティブが付く制度が一般的で、個人の成果が直接収入に反映される点が魅力です。仕事のプレッシャーはあるものの、成果に応じた報酬を得ることができるため、モチベーションの維持にも繋がります。
美容クリニック勤務は、美容分野に興味があり、自身の努力を収入アップにつなげたい看護師にとって、有益な選択肢の一つと言えるでしょう。
介護施設の給料
介護施設で勤務する看護師の平均年収は約375万円から550万円です。
特に、有料老人ホームや特別養護老人ホームなどでは、平均年収が450万円から550万円に達することもあります。夜勤を伴う場合とそうでない場合で年収に差が出ることがあり、夜勤が少ないまたはない施設では平均年収が400万円から500万円程度となります。
主な業務は入居者の健康管理であり、介護スタッフや協力医との連携が重要です。
交代勤務や夜勤があっても、病院勤務に比べると急変のリスクが少なく、身体的な負担は比較的少ない反面、精神的な負担や緊急時の対応の重要性が高まります。
年齢別の平均給料
看護師の給料は、年齢やキャリアの段階によって大きく変わります。最新の統計によると、新卒の看護師の平均年収は約400万円前後からスタートし、経験を積むにつれて着実に増加していきます。
年齢 | 平均月給 | 平均年間賞与 | 平均年収 |
---|---|---|---|
20~24歳 | 29.5万円 | 46.3万円 | 400.3万円 |
25~29歳 | 33.3万円 | 73.5万円 | 473.1万円 |
30~34歳 | 33.7万円 | 82.0万円 | 486.4万円 |
35~39歳 | 33.6万円 | 81.2万円 | 484.4万円 |
40~44歳 | 35.7万円 | 92.3万円 | 520.7万円 |
45~49歳 | 37.4万円 | 102.2万円 | 551.0万円 |
50~54歳 | 38.8万円 | 100.7万円 | 566.3万円 |
55~59歳 | 39.4万円 | 112.0万円 | 584.8万円 |
60~64歳 | 33.5万円 | 75.6万円 | 477.6万円 |
65~69歳 | 33.0万円 | 53.8万円 | 449.8万円 |
70歳~ | 30.2万円 | 44.5万円 | 406.9万円 |
看護師の給料は、年齢だけでなく、所属する医療機関の規模や地域、さらには専門性や役職によっても大きく異なります。例えば、管理職になると、通常の看護師の平均年収よりも約44万円高い年収が見込めます。
看護師の初任給
看護師の初任給は、学歴や勤務先によって異なりますが、全体的に見ると安定して上昇傾向にあります。新卒での初任給は、平均して約26万円から27万円の間で推移しており、手取り額は21万円から22万円程度となることが一般的です。
専門学校卒業者と大学卒業者の間では、基本給や総支給額に微差があり、大卒の方が若干高い傾向にあります。
大卒の初任給が平均で約27万円、専門卒では約26万円となっており、この差は主に夜勤手当や通勤手当などの各種手当が影響しています。
また、勤務開始初月は締め日の関係で満額の給与が支給されないケースもあるため、この点を考慮する必要があります。
男女別の平均給料
年齢 | 平均月給 | 平均年間賞与 | 平均年収 |
---|---|---|---|
男性 | 36.5万 | 87.5万 | 525.5万 |
女性 | 35.0万 | 85.4万 | 505.4万 |
看護師の職場では、男女の年収差が目立つ職種と比べると、差は比較的小さいです。最新の調査によれば、男性看護師の平均年収は約526万円、女性は約505万円と、男女間で約21万円の差があります。
この差は、勤務形態の違いや、男性が多く勤める大病院での手当の違いなどによるものです。しかし、看護師業務自体は性別による差異がほぼないため、全体的に見ると、他業種と比べて男女差は小さい傾向にあります。
都道府県別の平均給与
日本国内における看護師の給与は地域によって大きな差があります。特に都市部では給与が高めに設定されており、首都圏最高額は神奈川県の平均年収545万円、全国平均最高額は大阪府の567万円です。対照的に、地方では給与水準が低く、熊本県が最低の418万円です。
このような差は、生活費の高さや医療施設の規模、地域による需要の違いに起因します。さらに、全国平均は約508万円であり、都市部の看護師はこの平均を大きく上回る傾向にあります。
給与水準の変動には年度による影響もあるため、最新の情報を常にチェックすることをお勧めします。
看護師の年収を上げる方法
看護師の初任給は同年代の他職種と比べて高めですが、経験年数が増えても給料の大幅なアップは期待が薄く、不満のある方もいることでしょう。
ここでは給料アップの4つの方法をご紹介します。
1.夜勤を増やす
看護師の給料を上げる有効策の一つとして、夜勤手当の活用が挙げられます。夜勤手当は看護師の給与で重要な割合を占め、夜勤回数の増加は直接的に収入向上に繋がります。
特に夜勤がない施設に勤める看護師は、夜勤専従のアルバイトを検討することで、顕著な給料アップを実現できる可能性があります。
ただし、夜勤は身体への負担も大きいため、適切なバランスを見極めることが重要です。
適度な夜勤による収入増加と健康管理の両立を図りましょう。
2.資格を取得する
「認定看護師」「専門看護師」などの資格は、看護のスキルと専門知識を証明し、資格手当や昇給の可能性を高めるだけでなく、将来的なキャリアアップにも繋がります。
これらの資格を取得することで、特定分野での高度な看護提供や指導能力が認められ、患者やその家族へのより良いサポートが可能になります。
加えて、診療報酬の加算が見込める病院も多く、資格取得支援制度が整っている職場もあるため、積極的にチャレンジする価値は大いにあります。更に、助産師や保健師など他の資格取得にも目を向けることで、より多様なキャリアパスが開けるでしょう。
ただし、専門資格取得には一定の実務経験が求められるため、早期からの計画的なキャリア構築が推奨されます。
3.管理職へ昇進する
看護師としてキャリアを積み、管理職への昇進を目指すことは、顕著な年収アップへの一つの道です。
役職には看護部長や看護師長、主任などがあり、さらに病院の副院長にまで上り詰めることができれば、その収入増加は大きいでしょう。
管理職への昇進は、専門的な知識や技術が高く評価されるため、認定看護師のような専門資格を持つことが有利に働くことがあります。
ただし、役職に就くことは、業務範囲が変わり、環境改善や業務改善が主な仕事になるため、看護に携わる時間は減少します。
加えて、役職手当の付与があり、収入が上がりますが、責任も大きくなるため、昇進には慎重な考慮が必要です。
大きな病院では、昇進のための研修や資格取得、試験が求められる場合もあり、昇進への道のりは容易ではないかもしれません。
4.転職する
看護師として給料アップを図るには、転職を検討するのも一つの有効な手段です。
特に、夜勤手当や社会保険完備といった条件が充実した職場や、病床数が多く給与水準が高い病院への移籍は、収入の向上に直結します。
ただし、転職は即座に収入を増やす方法ではありますが、新たな職場の業務量や職場環境など、他の側面も考慮する必要があります。
給与だけでなく、勤務条件、休日の数、福利厚生の充実度を総合的に評価し、自身のキャリアプランに合った職場選びを心がけましょう。
転職サイトや専門のエージェントを利用して、待遇面だけでなく働きやすさやキャリアアップの機会も含め、幅広く情報収集することが推奨されます。
職場選びは慎重に検討しよう
看護師としての転職を考える際、給与面だけを重視することは避けた方が良いでしょう。
高収入を求めて飛び込んだ先が過酷な労働環境だったり、期待していた職場の雰囲気と異なる場合、精神的な負担が大きくなる恐れがあります。
また、人間関係が良好であることも職場選びで重要なポイントとなります。良好なコミュニケーションと支援体制は、日々の業務をスムーズに進める上で欠かせない要素です。
特に、看護師同士が協力し合い、家庭の事情や急なシフト変更にも柔軟に対応できる職場環境は、職場の満足度を高める重要なポイントです。
職場選びでは、給与だけでなく、労働条件、職場の文化、自身のキャリアプランに合致するかどうかを総合的に考慮することが重要です。転職を成功させるためには、事前の情報収集と慎重な判断が必要になります。