保健師の平均給料・年収
厚生労働省が実施した「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、保健師の平均年収は約481万円です。この数字は、基本給、賞与、および残業や夜勤の手当を含んでいます。
平均月給 | 約33.4万円 |
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平均年間賞与 | 約80.7万円 |
平均年収 | 約481万円 |
給料は勤務地や職場の規模、勤続年数によって変動します。特に、大規模な施設や経験年数が長い保健師の場合、より高い収入が期待できます。
保健師の手取り
たとえば、保健師の平均月収約33.4万円であれば、手取りは約25万円程度が一般的です。
求人情報は、通常「額面給料」として表示されます。ここから住民税や健康保険料、雇用保険料などの社会保険料が差し引かれます。
これらを引いた後の実際に手元に入る金額が「手取り」と呼ばれ、一般に額面給料の約70%から80%が手取り額となります。
手取り額は、個人の家庭状況(独身か家族持ちか)や居住地によっても変動するため、具体的な数字は職場の詳細に依存します。このように、手取り額を理解することは、実際の生活設計を行う上で重要です。
保健師のボーナス
厚生労働省の調査によると保健師の平均年間賞与は約80.7万円です。
保健師のボーナスには職場による差異が顕著に表れます。公務員として勤める保健師、例えば地方自治体の保健所や関連部署では、ボーナスは夏と冬の年2回、条例に基づき基本給の約4.45ヶ月分が支給されます。この額は自治体により異なる場合もあり、年度による変動も見られます。
民間の場合、特に学校や企業に勤務する保健師は、その勤務先の財務状況や規定によってボーナスが左右されます。一般的には年2回の支給が多く、ボーナスの月数も1ヶ月から4ヶ月分の範囲で様々です。
保健師の年齢別、男女別の平均月給
保健師の平均月給は年齢とともに変化します。以下は、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」に基づくデータです。
年齢 | 平均年収 |
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20~24歳 | 約347万円 |
25~29歳 | 約392万円 |
30~34歳 | 約408万円 |
35~39歳 | 約477万円 |
40~44歳 | 約529万円 |
45~49歳 | 約614万円 |
50~54歳 | 約540万円 |
55~59歳 | 約537万円 |
60~64歳 | 約357万円 |
65~69歳 | 約461万円 |
このデータから明らかなように、保健師の給料はキャリアが進むにつれて増加し、特に40代から50代前半にかけて最高値に達します。この年代での収入のピークは、多くが管理職としての役割を担い、それに伴う給料の増加が見られるためです。
しかし、60代に入ると役職定年や再雇用が増えることから、物理的および精神的な負担の増大とともに給料は減少傾向にあります。また、夜勤の機会が減少することも、給料低下の一因となっています。
保健師の初任給
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると保健師の初任給は概ね20万円前後で、勤務地や雇用形態により異なります。公務員や学校保健師、産業保健師など職場によって初任給の基準が設定されており、夜勤が無いため看護師と比べて低めです。
しかし、経験を積むにつれて役職が増えると収入も向上し、多くの場合で看護師の平均年収を超えることが一般的です。
保健師の種類別の平均給料・年収
保健師の給料は勤務先によって大きく異なります。保健師の主な種類には「行政保健師」、「産業保健師」、「病院保健師」、「学校保健師」というカテゴリがあり、それぞれの勤務場所は以下の通りです.
行政保健師 | 保健所や保健センター |
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産業保健師 | 一般企業や民間企業 |
病院保健師 | 医療機関 |
学校保健師 | 学校(小中高校、大学、専門学校) |
これらの保健師の平均年収は職場の環境や地域によって異なり、種類による年収差も指摘されています。
各種類の保健師ごとに具体的な平均年収データを説明していきます。
行政保健師
行政保健師は公務員としての役割を果たし、安定した収入を得ることができます。彼らの主な勤務先は保健所や保健センターなどです。
平均的な初任給は約300万円からスタートし、経験と共に昇給していくのが一般的です。
平均月給 | 平均年間賞与 | 平均年収 | |
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地方公務員 | 約38.4万円 | 約150万円 | 約611万円 |
国家公務員 | 約38.5万円 | 約178万円 | 約640万円 |
行政保健師の給料は民間企業と比べて遜色なく、特に福利厚生が充実していることが大きな魅力です。また、無理な残業や夜勤がほとんどないため、ワークライフバランスを重視する人にとって理想的な職場環境と言えます。公務員としての安定したキャリアを望むなら、行政保健師は非常に良い選択肢です。
産業保健師
産業保健師は、主に民間企業で働く保健師で、労働者の健康管理や予防医療を担当します。彼らの年収は勤務先企業の規模や財務状況に大きく左右されます。
大企業では医務室や保健室に常駐し、年収が平均よりもはるかに高い1000万円近くに達することもありますが、中小企業では限られた予算内での運営が一般的で、それに伴い年収も500万円前後で推移することが多く、伸び悩みが見られることもあります。
産業保健師はその稀少性から、平均的な日本人の年収を超えるケースが多く見られます。
この職種は、保健指導やメンタルヘルスケアなど多岐にわたる専門知識を活かすことが求められ、その専門性が高い報酬につながるのです。
学校保健師
学校保健師は、主に私立の教育機関で勤務し、公立学校の養護教諭と異なる役割を果たします。学校保健師の平均年収は一般的に約400万円から500万円の間で変動し、勤務先の種類によって大きく異なります。
公立学校では養護教諭の配置が義務付けられており、そのため、養護教諭として勤務するためには専門の免許が必要です。
学校保健師の業務は、学生の健康診断、急病や怪我の応急処置、衛生管理などが中心です。休日が多く、残業が少ないというメリットがあり、働きやすい環境が整っています。
ただし、給与の伸び悩みを感じることもありますが、キャリアパスとして養護教諭の免許を取得することで、公立学校でのより高い給与を目指す選択も可能です。
学校保健師は、教育現場での保健活動に専念し、学生たちの安全と健康を守る重要な役割を担っています。彼らの専門性は教育環境において不可欠であり、将来的には養護教諭としての更なるキャリアアップも視野に入れることが推奨されます。
病院保健師
病院保健師は、大規模な総合病院や訪問看護ステーションなどでの活動が主です。平均年収は約400万円から500万円の範囲です。これは、看護師資格を持つ保健師が看護業務も担当する場合が多いためです。
特に大規模医療機関では、夜勤手当やその他の業務手当が加算され、保健師の給料は上昇します。たとえば、夜勤にも参加する保健師の場合、通常よりも高い給料を得ることが可能です。
また、医療機関の規模によっても給料に差が出ます。大きな病院ほど、諸手当が充実し、福利厚生が整っているため、全体としての収入が増える傾向にあります。これにより、大規模医療機関での勤務は、多くの保健師にとって、魅力的な選択肢となっています。
職場別の保健師の平均給料・年収
病院
病院で働く保健師は、一般的な健康管理業務に加え、検診や全般的な看護業務も担当することが多いです。
病院やクリニックでは、保健師としての経験に加え、看護師資格を持つ場合、年収が500万円を超える場合もあります。
平均年収は約330万円から500万円の範囲で変動し、この収入には夜勤手当や資格手当などの追加給付も含まれる場合があります。
このため、看護スキルの向上が見込まれます。また、勤務体系は日勤と夜勤の交替制が一般的で、夜勤が含まれることも多く、その準備が必要です。
クリニック・診療所
クリニック・診療所では平均年収が約300万円から420万円、美容クリニックでは約460万円から510万円の範囲で推移しています。
クリニックや診療所での保健師の仕事は、一般的な保健業務に加えて看護業務も含まれます。
夜勤がないため、ワークライフバランスを求める方に適しています。
一方、美容クリニックでは「美容看護師」として働くことが多く、美容関連のカウンセリングや専門機器を使用した施術が主な業務です。
介護施設
介護施設での平均年収は約350万円から450万円の範囲で、施設の種類や提供するサービスの範囲によって変わることがあります。
介護施設での保健師の業務は、有料老人ホームや老健施設で見られ、彼らは保健師および看護師としての業務に加えて、介護サービスも提供します。
主な職務には、スタッフ間の連携を通じた利用者のサポートやケアが含まれ、保健師特有の知識を活用する場面も多いです。
この職場では、日常的な看護活動以外にも、特定の介護ニーズに対応する専門性が求められるため、継続的な教育とスキルアップが重要とされています。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションの保健師は、平均年収が約340万円から410万円の範囲にあります。
訪問看護ステーションでの保健師の職務は、主に利用者の自宅を訪れて看護ケアを提供することです。
この職種の特徴として、夜勤がなく、ワークライフバランスを保ちやすい環境が整っています。
加えて、この職場ではコミュニケーション能力や対人スキルが高く評価されるため、このようなスキルを磨くことが職業成長に直結します。
一般企業
一般企業での保健師の業務は、産業保健師としての基本的な職務に加え、医療や看護関連のサポートセンターでの業務を担うこともあり、他の職場に勤務する保健師よりも業務範囲が広がっています。
また、一部の企業では夜勤が必要な場合もあり、そのような働き方は給与に影響を与えるため、平均年収は約360万円から480万円の間で変動します。
また、企業によって提供される福利厚生や手当も給与差に影響を及ぼします。
治験関連企業
治験関連企業で働く保健師は、主に治験事務局担当者(SMA)として活動し、製薬メーカーと医療機関間のコーディネーションを担います。
夜勤がなく、先進医療に携わることができるため、働きやすさと専門知識の向上というメリットがあります。
この職場での平均年収は約390万円から440万円で、専門的な知識を活かすことでさらなるキャリアアップも見込めます。
保育施設
保育施設での保健師は、主に園児の健康管理と看護を担当します。
この職種の平均年収は約320万円から400万円の間です。
子どもたちが経験する転倒や病気の際の対応が主な業務で、小児特有の疾病に対する知識が不可欠です。
また、時には保育のサポートも求められることもあります。
勤務形態別の平均給料・年収
病院における保健師の勤務形態は主に「常勤(二交代制)」「常勤(三交代制)」「夜勤なし」「夜勤専従」という4つに分けられます。
これらの勤務形態ごとに年収が異なり、特に二交代制や三交代制での勤務、または夜勤専従で働く場合は給料が高くなる傾向にあります。
夜勤なしの場合、平均年収は比較的低めです。
勤務形態に応じて保健師の給料が大きく変わります。これらを詳しく説明していきます。
二交代制
この勤務形態における平均年収は約430万円から500万円の範囲です。
二交代制で働く保健師は、日勤と夜勤のシフトを交互に行います。
具体的には、日勤は朝9時から夜18時まで、夜勤は夜18時から翌朝9時までです。
夜勤中は120分の休憩が設けられており、この時間には仮眠も取れます。
三交代制
平均年収は約360万円から440万円の範囲です。
三交代制での勤務は、日勤(朝9時〜16時)、準夜勤(16時〜深夜0時)、そして夜勤(深夜0時〜朝9時)のシフトに分かれています。
この勤務体系では、夜間の勤務回数が比較的少なくなり、それによって体力的な負担が軽減されるというメリットがあります。
このため、体力的に持続可能な働き方を求める保健師にとって好まれる勤務形態です。
夜勤なし
この勤務形態での平均年収は約300万円から400万円の範囲です。
夜勤がない勤務形態では、保健師は日中のみのシフトで働きます。
この形態は生活リズムを一定に保ち、仕事と私生活のバランスを取りやすいため、心身の健康を保ちやすいという大きな利点があります。
特にワークライフバランスを重視したい保健師に適しています。
夜勤専従
この勤務形態の平均年収は大体380万円から450万円の範囲になることが多いです。
夜勤専従の保健師は、基本的に夜間のみの勤務を担当します。
多くの保健師や看護師が家庭の事情で夜勤を避ける傾向にあるため、夜勤専従の職は需要が高く、その結果、基本給も他のシフトに比べて高めに設定されています。
都道府県別の平均給料
保健師の給料は都道府県によって大きく異なります。
都道府県 | 平均年収 |
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和歌山県 | 約596万円 |
広島県 | 約592万円 |
山口県 | 約589万円 |
静岡県 | 約573万円 |
島根県 | 約569万円 |
都道府県 | 平均年収 |
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福井県 | 約274万円 |
宮城県 | 約287万円 |
鳥取県 | 約290万円 |
福島県 | 約306万円 |
香川県 | 約320万円 |
厚生労働省の調査によると、最も年収が高いのは和歌山県で約596万円、次いで広島県約592万円、山口県約589万円となっています。
これらのデータから、地域による保健師の給料の差がわかります。
雇用形態別の平均給料
下の表は保健師の雇用形態別の収入相場を表したものになります。
正社員 | 平均月給25~30万円 |
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パート、アルバイト | 平均時給1,300~1,700円 |
これらについて詳しく説明していきます。
正社員の平均給料
職場に勤務する保健師のうち、もっとも安定しているのが正社員です。
正社員の平均年収は約25万円から30万円が相場となります。
給料やボーナス、福利厚生が充実しているほか、雇用契約に限りがないので、じっくり腰を落ち着けて働くことができます。
保健師の正社員向けの求人情報をみんなの介護求人で見てみると、地域や施設規模によって月給モデルに幅はありますが、例えば京都府のある特別養護老人ホームの場合は月給約23.3から27万円。
管理職募集の千葉県の事業所では、月給約34万円から40.4万円といった前職までの経験を含めた給与が提示されています。
このように地域や経験年数によっても給料は変動します。
パート・アルバイトの平均給料
保健師のパートやアルバイトの平均時給は約1,300円から1,700円です。
これには地域や勤務先による差が見られ、みんなの介護求人の求人情報を見ると、愛知県の地域包括支援センターでは、高齢者向けの相談業務を担う保健師の時給が1,330円から1,450円の範囲で設定されています。
また、大阪府の市立保健センターでは乳幼児健診を行う職員の時給が1,686円と他地域より高めです。
パートやアルバイトの雇用は正社員と比較して不安定な要素はありますが、勤務時間の柔軟性や他の仕事とのかけもちが可能であるため、多くの保健師にとって魅力的な選択肢となっています。
看護師との給料差
保健師の給料は、その働く環境や役職によって大きく異なりますが、一般的には看護師と比較して基本給が高い傾向にあります。
特に公務員として働く保健師は、国家公務員で平均年収が約560万円、地方公務員では約570万円とされています。
これに対して、看護師の平均年収は約507万円で、夜勤手当がその差を一部補っています。
また、学校や企業で勤める保健師は、勤務先の規模に応じてさらに高い給料を得ることも少なくありません。
看護師は新卒後の初期の数年間、夜勤手当のおかげで月給が高くなりますが、保健師は基本給自体が高設定で、キャリアを積むことで40代前後から看護師の年収を上回ることが多く見られます。
助産師との比較では、助産師の平均年収が約584万円と最も高く、その理由は助産師に求められる知識や技術の専門性が高いためです。
保健師としてのキャリアパスは多岐にわたり、その資質と専門性が給与に反映されています。
保健師が給料を上げる方法
勤続年数・経験年数を重ねる
保健師として長期にわたり同一職場で働くことは、給料を上げる効果的な手段の一つです。
勤務年数が長いほど、管理職やリーダー職に就くチャンスが増え、それに伴い収入も向上します。
以下に、勤続年数に応じた平均年収を示します。
経験年数 | 平均年収 |
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0年 | 約312万円 |
1~4年 | 約382万円 |
5~9年 | 約418万円 |
10~14年 | 約470万円 |
15年以上 | 約544万円 |
勤続年数が5年を超えると、平均年収は日本の平均を上回る水準に達します。
これは、役職に就いたり、新人指導など重要な職務を担うことが増えるためです。
また、職場での信頼を築き上げることが重要で、信頼されていると後輩の指導や人材管理がスムーズに行えるようになります。
長期間勤務することは、職場の環境に慣れるだけでなく、スキルや経験を積む機会にもつながります。そのため、給与の向上にもつながり、安定した職場での長期勤務が望ましいとされています。
養護教諭免許などの資格を取得する
保健師が給料を向上させる一つの方法は、養護教諭などの関連資格を取得することです。
養護教諭免許を持つことで、学校保健師としても働くことが可能になり、専門性を活かした職務を担うことができます。
この免許を取得するには、保健師の資格だけでは不十分で、教育関連の科目を履修し、申請を通して免許を取得します。
- 文部科学省の定める必要単位を取得
- 各都道府県の教育委員会に申請
また、養護教諭として働くためには、別途採用試験に合格する必要があります。
これにより、保健師は学校の環境で生徒や教職員の健康管理を行い、公務員としての安定した職場で勤務することが可能になります。
加えて、教育的な観点からの専門性が求められ、給料面での優位性も期待できます。
給料の高い職場に転職する
保健師の給料を上げる方法として、待遇の良い職場への転職が考えられます。
特に大企業での産業保健師では年収800万円を超える可能性もあり、高収入を求める場合には魅力的です。
以下に、転職時の検討ポイントを示します。
大企業 | 産業保健師として高収入 |
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学校・公務員 | 安定した雇用と収入 |
病院 | 夜勤手当で収入アップ |
転職を考えているなら、さまざまな転職サイトに登録し、優良な転職支援サービスを活用すると良いでしょう。
早期に情報収集を始め、より良い勤務条件を見つけることが成功の鍵です。