言語聴覚士の給料を年齢や職場、都道府県ごとに徹底解説!

言語聴覚士の給料を平均給与から初任給、ボーナスなどを見ながら詳しく解説していきます。 ほかのリハビリ職員や看護師との給料の違い、雇用形態別、働く施設ごとの平均給料の違いも紹介。比較しながら言語聴覚士の給料の実態に迫ります。 気になる給料アップのための方法も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

言語聴覚士(ST)の平均給料・年収

言語聴覚士の平均年収は約400万円から430万円程度です。

言語聴覚士の給料は年齢や勤務地、勤続年数など様々な要因が影響します。

また、勤務先によるボーナスの有無や支給額、職場の規模や地域によっても大きな差があります。

言語聴覚士の手取り

一般的に、額面給料の7割から8割が手取りになるといわれています。月給の額面が30万円なら21万~24万円程度が手取りとなります。

給料の金額を見るとき、額面給料なのか、手取りなのかによってイメージする給料の金額に差が出ます。

額面給料とは、企業が従業員に対して支払う給料全体のことを指します。基本給や通勤手当、資格手当、残業手当などを含めた総支給額です。

一方、手取りとは、額面給料から企業が所得税や住民税などの税金、雇用保険や健康保険などの社会保険料などを納めるために控除した残りの金額のこと。つまり、実際に給料日に口座に振り込まれる金額をいいます。

言語聴覚士のボーナス

言語聴覚士のボーナスのイメージイラスト

厚生労働省の統計によると、言語聴覚士の平均賞与は男女で異なり、男性は約74.9万円、女性は約67.1万円となっています。

言語聴覚士のボーナスは施設や勤務年数によって大きく異なりますが、一般的には基本給の数ヶ月分が支給されることが多いです。

例えば、月給が18万円の場合、年間で約72万円(4ヶ月分)のボーナスが支給されるケースがあります。

新卒では初年度のボーナスが50万円から60万円程度で、少ない場合は20万円から30万円となることもあります。

ボーナスの支給回数は、ほとんどの職場で年2回(夏と冬)ですが、場合によっては1回のみ、または複数回に分けて支給されることもあります。

職場の規模や職員の役職によっても差が出るため、一概に全員が同額を受け取るわけではありません。

言語聴覚士の手当・福利厚生

福利厚生とは、従業員が快適に働きやすいように、プライベートを充実させたり、家計を支援したりするためのものです。

  • 健康保険
  • 有給休暇
  • 慶弔休暇
  • リフレッシュ休暇
  • 育児休職

上記のような休暇、休職制度などが代表的です。

法律で定められている休暇制度に上乗せして、企業が独自に休暇をプラスする制度を設けていることも珍しくありません。

職場ごとの独自の福利厚生制度は、施設規模が大きい場合や国公立の病院勤務の場合、より手厚くなる傾向があります。

福利厚生が充実している施設ほど、妊娠や出産、育児、看護や介護などでも安心で、仕事を続けやすい環境といえるでしょう。

言語聴覚士の年齢別、男女別の平均月給

厚生労働省の調査による、男女別、年齢別の給料データを表にまとめました。

男女別平均年収
男性 女性
平均年収 約443万円 約407万円

このデータから、男性の方が女性よりも年収で約35万円ほど高い水準となっていることがわかります。

年齢別の平均給料
年齢 平均月給 平均年間賞与 平均年収
20~24歳 約24.3万円 約39.6万円 約330万円
25~29歳 約26.6万円 約66.2万円 約378万円
30~34歳 約28.6万円 約67.2万円 約409万円
35~39歳 約30.9万円 約82.9万円 約454万円
40~44歳 約33.4万円 約84.7万円 約485万円
45~49歳 約35.6万円 約92.5万円 約513万円
50~54歳 約38.8万円 約107.6万円 約573万円
55~59歳 約38.4万円 約104.9万円 約566万円
出典:「令和2年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)

言語聴覚士としての経験が豊富になるにつれて、賞与を含めた年収も増加していることがわかります。

言語聴覚士は国家資格者としてのキャリアを重ねることで、より高い報酬が期待できる職業であることが確認できます。職場の種類や地域、役職の有無によっても収入に差が出るため、これらを踏まえた上でのキャリアプランを考えることが重要です。

言語聴覚士の初任給

言語聴覚士の初任給の相場は、18万円から20万円程度となります。

医療従事者の中で、リハビリ職員は医師、薬剤師、看護師などに次いで初任給が高めといわれています。

同じリハビリ職の理学療法士や作業療法士と比べて、言語聴覚士は資格取得者数が少なく初任給も高めだったり、その後の昇給がスムーズな場合も多いようです。

勤務先となる病院や高齢者施設の運営規模をはじめ、都会か地方かによっても違いが出やすくなります。

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職場別の言語聴覚士の平均給与額

言語聴覚士の給料は勤務先によって大きく異なります。

特に医療機関、福祉施設、教育機関といった分野での活躍が見られ、それぞれの施設タイプによって年収が変動します。

また、公務員として公立病院や自治体運営の保健施設、特別支援学校などで働く場合は、安定した収入と待遇が保証されます。

言語聴覚士としてのキャリアを考える際には、これらの点を踏まえた上で、職場の環境や条件を比較検討することが重要です。

病院

病院での言語聴覚士の給料は、平均年収でみると約320万円から420万円の範囲にあります。

月給は平均約21万円から28万円となっており、賞与は年間で基本給の合計約3ヶ月分が一般的です。

総合病院や大学病院などの大規模医療機関では比較的高い給料が期待できますが、一方で、小規模なクリニックや地方の医療施設ではそれほど高くないことが一般的です。

介護施設

介護施設で働く言語聴覚士の平均年収は約340万円から420万円です。

月給は平均約25万円から31万円で、年間賞与は合計で約2ヶ月分となります。

福祉施設では、夜勤の有無や施設の運営規模により給料が左右されますが、大きな施設や夜勤が多い場合は病院並み、またはそれ以上の収入を得ることも可能です。

有料老人ホーム

有料老人ホームで働く場合の給料相場は20〜30万円前後。

主に民間企業や団体が運営する高齢者向け施設で、充実した介護が受けられるのが特徴です。

リハビリに力を入れているので、言語聴覚士の活躍する施設も多くあります。

グループホーム

グループホームで働く言語聴覚士のイメージイラスト

介護施設で働く資格職の中では、看護師よりは下回ることが多いですが、同じ国家資格である社会福祉士と同じくらいの待遇が見込める施設が目立ちます。

みんなの介護求人でそれぞれの都道府県の求人情報を見ると、例えば岡山県のあるグループホームでは正職員で20.2万~30.5万円。通勤手当、住宅手当、資格手当有りといった求人も見受けられます。

グループホームは、認知症の患者が少人数で介護職員と一緒に集団生活をする高齢者向け施設です。

話し方の改善をサポートしたり、嚥下障害のための予防を指導するといった役割が期待されます。

デイサービス

デイサービスは自宅で生活している高齢者や障がい者が日中を過ごしてリハビリやレクリエーションなどを楽しむ高齢者向け施設です。

要支援から要介護の方までさまざまな要介護度の利用者が利用するのが特徴でもあります。

みんなの介護求人デイサービスの募集を見てみると、例えば新潟県のあるデイサービスでは正社員で月給19.5~27.5万円となっています。

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都道府県別の平均給与額

言語聴覚士の平均年収は地域差が大きいのが特徴です。地方より都会のほうが平均年収は高くなる傾向があります。

みんなの介護求人の言語聴覚士の求人を見てみると、東京都の場合だと月給28.8~32万円、25.2~29.1万円といった求人も見受けられ、概ね25~28万円が給料の相場といえそうです。

大都市圏は地価・物価が高めであることから、その点が給与面にも反映されていると考えられます。

しかし、家賃・生活費が高額になるため、平均給与額が高くても、そのことが生活水準の向上に直結するとは限りませんので、その点は注意が必要でしょう。

人口が集中する地域ほど言語聴覚士の平均年収は高めになり、人口の少ない地方にいくほど低めになることが見て取れます。

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雇用形態別の言語聴覚士の平均給料

言語聴覚士の雇用形態別の収入のイメージイラスト

下の表は言語聴覚士の雇用形態別の収入相場を表したものになります。

正社員 月給30万円
非正規雇用 時給1,500~2,000円程度

正社員の平均給料

正社員の平均月給は約30万円となっています。

言語聴覚士として病院や高齢者向け施設で働くなら、正規雇用の正社員が一番給料も高く安定して働けます。

社会人で転職する場合は、前職までの経験の有無によって、初任給に差がつくでしょう。もし言語聴覚士ではなくても介護や医療の現場経験があるなら給料に反映される可能性が高くなります。

言語聴覚士は資格の取得者も限られるため、安定した収入が見込めます。現場で活躍すれば役職手当もついて、さらに働くやすくなるでしょう。

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非常勤(契約社員・パート・アルバイト)の平均給料

パートやアルバイト、契約社員といった非正規の雇用形態で働く場合、時給1,500円〜2,000円程度の求人が多いです。

時給で働く場合、言語療法士の業務だけなのか、介護現場の仕事がどこまで含まれるのかをチェックしておきましょう。

特に訪問看護で利用者宅を直接訪問する働き方では、言語聴覚士の業務に移動や業務記録にかかる時間が必要です。純粋に利用者宅でのリハビリだけの時給計算かどうかによって、収入が大きくちがってきます。

正社員でなくても、時給で求人募集している施設は少なくありません。前任者の休職や急な退職、一時的な人員補充などもあるので、比較的見つけやすいといえるでしょう。

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作業療法士(OT)・理学療法士(PT)との給料の違い

言語聴覚士(ST)、作業療法士(OT)、そして理学療法士(PT)はいずれもリハビリテーションの専門職であり、それぞれが特定のリハビリ領域を専門としています。

作業療法士は主に機能回復や日常生活の動作改善を支援し、理学療法士は基本的な動作能力の回復と維持を目的としています。

言語聴覚士の資格は比較的新しく、1998年に設立されたのに対し、作業療法士と理学療法士の資格は1965年から存在しています。

このため、言語聴覚士の平均年齢は比較的若く、20代から40代の間で多く見られます。

リハビリ業界では年齢と共に給料が上がる傾向があり、勤続年数が長いほど高収入を得やすいですが、言語聴覚士の平均給料が同業他職種と比較してやや低めの傾向にあるのは、平均年齢の低さも要因の一つであると考えられます。

しかし、言語聴覚士の給料も経験を積むことで上昇すると予想されており、職種が成熟し、役割がより定着するにつれて、作業療法士や理学療法士との給与差は縮小しています。

さらに、手話通訳士や心理カウンセラーなど関連資格を取得することで、より広い領域での活躍が可能となり、給料アップにつながる可能性も広がっています。

特に心理学やカウンセリングのスキルを持つ言語聴覚士は、利用者との信頼関係を深め、より良いサポートを提供することができるため、職場での評価も高く、給与向上に寄与することが期待されます。

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言語聴覚士が給料を上げる方法

言語聴覚士が給料を上げる方法は、自分のキャリアパスに合わせて選択できます。

具体的には、以下の三つのアプローチが考えられます。

  • 勤続年数を積む
  • 管理職を目指す
  • 資格を取得する
  • 転職する

これらの方法を適切に活用することで、言語聴覚士としての年収向上が期待できます。詳しく説明していきます。

勤続年数を積む

言語聴覚士の給料は年齢と勤務年数に比例して上がることが多いです。

医療職の病院や介護施設では基本的に昇給は年功序列が根強く、頑張りを評価される場合もないわけではありませんが、着実な昇給は年1回の給与規程にしがたって、というパターンが一般的です。

長く同じ職場で働くことで、経験を積み重ねると共に役職に就くチャンスも増え、それに伴い給料も上がります。

現在の勤務先に大きな不満がないなら、日々の業務に励んで昇給を待つのも得策でしょう。

資格を取得する

資格を取得する言語聴覚士のイメージイラスト

言語聴覚士として専門性を高め、給料アップを目指す重要な手段は、関連資格の取得です。

特に「認定言語聴覚士」資格は、摂食・嚥下障害や言語発達障害など特定の領域に特化しており、この資格を持つことで専門性の証となります。

さらに、手話通訳士や心理系の資格を追加することで、より広範な患者への対応が可能となり、市場価値が上昇します。

これらの資格は昇給審査や転職時にも有利に働くため、キャリアアップには欠かせない選択肢です。

管理職にキャリアアップを目指す

言語聴覚士として給料を増やすためには、勤務先での昇進が効果的です。

長期にわたり同じ施設で働くことで、経験を積み重ね、スキルアップが可能となります。

これにより、管理職への道が開かれ、昇進することで責任の増大とともに給与の向上が見込めます。

給料の高い職場に転職する

言語聴覚士が給料を上げるための一つの効果的な方法は、条件の良い施設への転職です。

転職市場は競争が激しいため、効率的な求人検索と給料交渉が鍵を握ります。

言語聴覚士は理学療法士や作業療法士に比べると比較的新しい資格のため、一つの施設で働いている人数は少ないかもしれません。

しかし、資格保有者自体が少ないので、ニーズが高く、募集に力を入れている事業所は少なくないのが現状です。

もし今の勤務先で働き方や給与待遇に不満があるようなら、思い切って転職するのもおすすめです。

似たような条件の求人情報を比較すれば、それぞれの施設の良さ、給料、手当、福利厚生と業務内容とのバランスなどが見えてくるでしょう。

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言語聴覚士の給与が安いと言われる理由

言語聴覚士の給与が低いと感じることは少なくありませんが、その背景にはいくつかの要因があります。

まず、言語聴覚士の給与は診療報酬制度によって大きく影響を受けています。

この制度下では、リハビリ業務に対する報酬が経験年数に関係なく一律で設定されており、ベテランであっても昇給が難しいのが実情です。

また、リハビリ業務には1日の上限単位数が設定されており、それにより収入が制限されてしまいます。

これが、給与が思うように上がらない一因となっています。

加えて、言語聴覚士は比較的新しい国家資格であり、現在の資格保有者数は約38,000人です。

この職種は1997年に国家資格が制定され、初めての国家試験が実施されたのは1999年と、他の専門職に比べて歴史が浅く、そのため給与体系もまだ発展途上にあると言えます。

しかし、経験を積み重ねることで、将来的には給与の向上が見込まれます。

そのためにも、現職でスキルアップを図りながら勤続年数を重ねることが、将来の給与アップへの投資となるでしょう。

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