高齢者向けデイサービス(通所介護)とは
デイサービスとは、要介護認定を受けた方がご自宅で生活を継続できるように、各種機能訓練やほかの利用者用者・スタッフとの交流を通して、心身機能の維持・向上を図る通い型の介護保険サービスのことです。
介護保険制度では「通所介護」とも呼ばれ、自宅を離れてデイサービスに通うことで、社会的孤立感の解消にもつながります。
また、利用中は家族介護者が介護負担から解放されるため、介護者の身体的・精神的負担の軽減もデイサービスが果たす大きな意義・役割となっています。
1.サービス内容
送迎
デイサービスには1日型と半日型の2種類あります。どちらの場合も事業所の車で送り迎えをしてくれます。ご家族が自動車の免許を持っている必要はありません。
送迎時間は各事業所によって異なりますが、概ね車で片道30~40分が一般的です。
入浴、排泄、食事等の介護
デイサービスは多様なサービスを受けることができますが、排泄介助もその1つです。
デイサービス事業所での滞在時間は1日デイ、半日デイによって変わりますが、利用中に排泄を行う場合は、所属の介護職員の介助を受けることができます。
機能訓練
心身機能の維持・向上につながる機能訓練を受けることができます。機能訓練・リハビリの知識を持つスタッフの手厚いサポートを受けながら取り組めるので、自宅にて自分で取り組むよりも成果が出やすいです。
デイサービスのなかにはリハビリ特化型のところもあり、そのような事業所ではエアロバイクなど身体機能向上のための器具が数多く取り揃えられています。
レクリエーション、体操
レクリエーションや趣味を楽しむ場を提供することも、デイサービスの大きな役割です。レクリエーションでは職員と利用者が一緒になって、体や頭を使ったゲームなどを行います。
また、生け花や将棋、囲碁など、趣味に打ち込めるよう器具・設備を整えている事業所も多いです。
2.要支援、要介護ごとのサービスの回数
デイサービスの利用頻度は要介護認定の段階によって異なる傾向があります。
介護保険サービスでデイサービスを中心的に利用した場合、概ね要介護1~2の方だと週3~4回、要介護3~4の方だと週4~5回、要介護5の方だとほぼ毎日の利用が可能です。
介護保険が適用されるため、自己負担額1割であれば、1回あたりの利用は数百円~1,000円強の範囲内で収まります。
例えば通常規模デイサービスであれば、「8~9時間未満」の利用の場合だと、要介護1で659円、要介護3で902円、要介護5で1,150円です(1単位10円で計算、2019年10月時点)。
なお、介護予防サービスを受けることになる要支援1~2の認定を受けた場合は、費用算定の方法が変わります。その都度、サービス担当者会議などを通して、1週間に何回利用するかを決めていくのが基本です。
3.デイサービスの定員
各デイサービスの定員規模は、前年度にその事業所を利用した1ヵ月あたりの延べ人数によって決まります。
具体的には、「小規模デイサービス」=300人以下、「通常規模デイサービス」=301~750人、「大規模デイサービス1」=751~900名、「大規模デイサービス2」=901名以上です。
通常規模デイサービス以上の事業所は都道府県が管轄します。一方、小規模デイサービスは2016年度から地域密着型サービスに位置付けられ、市区町村の管轄とされました。
4.一日の流れ
デイサービスを朝から夕方まで利用する場合の一般的な一日のスケジュールを以下にご紹介しましょう。
- 08:30…事業所の職員が利用者の自宅まで車で迎えに行きます。車椅子が必要な方には、専用のリフト車で迎えに行くので安心です。
- 09:30…事業所に到着すると、まず体温、血圧、脈拍を測定し、健康面に異常がないかを確かめます。
- 10:00…みんなでレクリエーション活動を楽しみます。一緒になって盛り上がれるので、良い気分転換になります。
- 10:30…希望する人を対象に入浴を行います。入浴に際しては職員の介助を受けることができるので、要介護度が高めの方も安心です。
- 12:00…昼食を提供します。食事の際には職員の介助を受けることができるので、1人での食事が難しい方でも心配ありません。必要に応じて糖尿病食やきざみ食、減塩食なども用意してくれます。
- 13:30…午後の運動の時間です。個別のリハビリや、その日の利用者全員が集まって体操などが行われます。
- 15:30…おやつの時間です。ほかの利用者との交流を楽しむ時間でもあります。
- 16:30…職員が車で自宅まで送り、この日のサービスは終了です。
こちらのスケジュールを視覚的にわかりやすくイラストで表したものが下記になります。
こちらは朝から夕方まで利用した場合の典型例ですが、半日のみの利用コースなどもあります。実際に利用する際は、本人・家族の状況を踏まえつつ、担当のケアマネージャーと相談しながら時間帯を検討しましょう。
5.平均年齢、平均介護度
介護保険制度の要介護認定は、特定疾病などのケースを除くと原則として65歳以上の方が認定対象です。
そのため、デイサービスを利用する人は大半が高齢者であり、2016年に公表された厚生労働省の調査結果によると、利用者の平均年齢は82.1歳。75歳以上の後期高齢者が多く利用している介護サービスです。
また、同調査によれば、利用者の要介護認定の段階は平均で「要介護1.66」。要介護認定は要支援1~2、要介護1~5の合計7段階で構成され、要支援1が最も軽度で、要介護5が最も重度の状態であることを示します。
平均で1.66という数値からは、比較的軽度の方が多く利用していると推測できるでしょう。
6.スタッフの人員基準と役割
デイサービスは介護保険サービスに該当するため、事業所には介護職員をはじめ、社会福祉士などの生活相談員や看護職員などが常駐しています。
要介護認定を受けている方を支援するために必要な専門職が揃っているので、介護度の高い方でも安心です。
機能訓練を受ける際は、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などの有資格者から指導を受けることも可能です。
リハビリの専門家のサポートを受けられるので、心身機能の維持・向上を図りやすいです。
以下に、デイサービスで働いている専門職の種類とその役割についてご紹介しましょう。
管理者
管理者は事業所全体の管理を行うスタッフです。
デイサービスによっては、管理者としてのみ勤務するのではなく、以下で紹介する各種専門員の業務を兼務することもあります。
生活相談員
デイサービスの利用を希望する方の手続き対応や、利用者を担当するケアマネージャーとの連絡業務などを行う役職です。
また、利用にあたっての利用者とその家族からの相談にも対応しています。
機能訓練指導員
機能訓練を行う専門職です。
理学療法士や作業療法士などの資格を持ち、利用者が計画的に機能訓練を行えるように支援、指導を行います。
看護職員
専属の看護職員がいるデイサービスと、近隣の訪問看護ステーションと連携し、看護師を派遣してもらっているデイサービスとがあります。
バイタルチェックや、デイサービス利用中に生じた小さな傷などの処置を行うのが主な役割です。看護職員から十分なサポートを受けたい場合は、その事業所における看護体制を事前にチェックしておくと良いでしょう。
デイサービスで医療行為はできない
デイサービスには看護師資格などを持つ看護職員がいますが、基本的に医療行為は提供されていません。
バイタルチェックやすり傷など特定の怪我の処置、軟膏の塗布、湿布の貼り付け、爪切り(糖尿病などの疾患を伴わない場合)、口腔ケア、耳垢掃除、ストーマ用装具の排泄物を捨てる、カテーテルによる自己導尿の介助、グリセリン浣腸器の利用などは行えます。
しかし、それ以上の医療行為は原則として行えません。
介護職員
ほかの介護施設などと同様、食事や入浴、排泄時の介助を行う介護職員が多数在籍しています。
また、介助だけでなく、レクリエーションを行う際の進行役などの役割を任されていることも多いです。
ほかのサービスとの比較
1.デイケアとの違い
デイケアはデイサービスと同じく、自宅から通いで利用する介護保険サービスです。
しかし、両者には大きな違いがあり、その最も大きな点は、医師の常駐の有無。デイサービスは自立した生活を送れるように支援するサービスであるのに対して、デイケアは医師の指示の下でリハビリを行うことを目的とするサービスです。
デイサービスでも機能訓練を行うことはできますが、医療的・専門的なリハビリを必要とする人は、デイケアを利用する必要があります。
ただし、デイケアはデイサービスに比べて施設数が少ないため、利用できる場所を探すのが大変になることも多いです。また、デイケアはデイサービスよりも料金が高めであるため、利用にあたってはサービスの違いを理解したうえで、本人の状態にあったサービスを選ぶようにしましょう。
2.ショートステイとの違い
デイサービスが日中のみの利用である一方、ショートステイは宿泊を伴います。
デイサービスもショートステイも、昼間に提供されるのは食事の介助や入浴介助、排泄介助、レクリエーションなどで、サービス内容自体に大きな違いはありません。
しかし、ショートステイは入所系の介護施設と同様のスケジュールとなるため、時間の配分にゆとりがあると言えます。
どちらのサービスを利用するかについては、家族介護者が旅行や帰省などの理由で数日自宅を留守にする場合だとショートステイ、日中の介護負担を軽くしたいという場合はデイサービスが利用されるのが一般的。介護者の都合に合わせて決められることが多いです
デイサービスの種類
1.リハビリ特化型デイサービス
一般のデイサービスに比べて理学療法士や作業療法士が多く勤務するなど、リハビリを重視しているデイサービスです。
事業所のなかには、エアロバイクのようなマシントレーニングを取り入れて、フィットネスクラブと同水準のトレーニングを行えるところもあります。
デイケアもリハビリに特化した通所サービスですが、リハビリ特化型デイサービスはデイケアよりも人員が少ないことが多いです。
リハビリ特化型デイサービスでは、1日型だけでなく半日型も多く、適度な運動をして半日だけで帰る、専門職の指導を集中的に受けて帰る、といった利用もできます。
また、医療職のいるデイケアに比べると、投薬、注射などの医療的ケアが難しいこともあるため、事前に確認が必要です。
2.認知症対応型デイサービス
医療機関で認知症との診断を受けた方を利用対象としたデイサービスです。認知症の方に適切な介護を行うには、認知症に関する正確な知識が欠かせません。
例えば徘徊などの症状が見られる場合は、適切な対策を施せる職員でなければ、利用者が行方不明になるといった事態も起こるでしょう。
認知症対応型デイサービスでは、各職員が認知症に関する知識を持ち、必要に応じて研修を受けています。
自宅では認知症の影響もあって入浴を頑なに拒否する方も、認知症デイサービスであれば、職員の適切な声掛けにより入浴できるというケースも多いです。
また、必要に応じて、認知症のことで悩んでいる利用者家族へのアドバイスも行っています。
3.レスパイト型デイサービス
介護者の介護負担を軽減することを目的とするデイサービスです。レスパイト型デイサービスと一般的なデイサービスと大きく異なる点は、要介護者を預かる時間が長いという点にあります。
例えば、通常のデイサービスの場合、提供される食事は昼食のみです。しかしレスパイト型デイサービスでは、夕食も事業所で食べることができ、その後、利用者は自宅に車で送ってもらえます。
夕食も事業所で食べることができるという点は、介護者が昼間働いている家庭ではかなり便利です。
フルタイムで朝から夕方まで働く場合、時に仕事時間が長引き、残業を余儀なくされることもあるでしょう。もし夜遅くまで自宅に帰れなくなってしまうと、要介護者の分の夕食をつくる余裕がなくなってしまいます。
そんなとき、レスパイト型デイサービスであれば夕食も出されるので、介護者は食事作りの負担を免れることができ、仕事に集中することもできるでしょう。
また、なかには「お泊りデイ」という名前で、宿泊できるデイサービスもあります。ただし、宿泊は介護保険適用外となるため、その点は注意が必要です。
4.趣味特化型デイサービス
趣味特化型デイサービスは、高齢者向けのカルチャーセンターのように、趣味を行うことに注力したデイサービスです。
これら施設で扱われている趣味としては、フラワーアレンジメントや編みもの、刺繍、ビーズ、水彩画、書道、絵手紙、カラオケ、囲碁、将棋、麻雀などがあります。
サービス利用中に作成したものは、各人が自宅に持ち帰ることができます。家の中に飾ったり、友人や家族へのプレゼントなどにも使ったりすることができるので、こうした点も趣味特化型デイサービスの大きな利点と言えるでしょう。
5.療養通所介護
医療的なケアを常時必要とする方や日常生活において看護師の観察を要する方が利用するデイサービスです。
食事・入浴・排泄の介助やレクリエーション、機能訓練など、一般的なデイサービスと同様のサービスに加えて、必要に応じて随時医療ケアを受けることができます。利用者の主治医や地域内にある訪問看護ステーションと連携して運営されており、対応力を高めるために利用者は1日18人以下とされている点も特徴です。
なお、療養通所介護は地域密着型サービスに分類されているため、原則として利用者の住民票のある市区町村に立地している施設のみ使用できます。
6.地密密着型通所介護
地域密着型通所介護とは、利用定員が18人以下である小規模タイプのデイサービスのことです。
人数が少ない分、利用者数の多い通常のデイサービスよりも、手厚いサービスが提供されます。より質の高い見守りや介護サービスを受けたいという場合の利用に適していると言えるでしょう。
なお、こちらのデイサービスも地域密着型サービスであるため、原則として現在住んでいる市区町村に立地している事業所以外は使用できません。
利用を希望する場合、お住まいの自治体に地域密着型通所介護がどのくらい立地しているのか、どこに立地しているのかを確認しておく必要があります。
デイサービスで働く
1.仕事内容
デイサービスでの仕事は、利用者の送迎から始まります。送迎者に同乗して、利用者の自宅前から事業所までの送り迎えをします。
送迎車の運転手が別途雇用されている場合は、来る前の誘導指示などを行いますが、そうした運転手がいない場合は、各職員が自分で運転しなければなりません。
利用者が施設に到着したら、入浴介助、食事介助、排泄介助などを適時行う必要があります。また、こうした介助に加えて、レクリエーションの企画、運営も行うのが一般的です。
大勢の利用者の前でレクリエーションのルール説明をし、進行のための司会も行うことが求められます。
2.働くために必要な資格
デイサービスで働く場合、介護分野のもっとも基礎的な資格である「介護職員初任者研修」の資格は取得しておきたいところです。こちらは実務経験がなくても取得できるので、就職・転職の前に取得しておくと、業務をスムーズに行うことができます。
介護職員初任者研修の上位資格として位置づけられているのが「介護福祉士実務者研修」です。取得により高度な介護職員としてのスキル、知識を持つことを証明できます。
なお、実務者研修は介護福祉士試験を受験するには取得が必須ですので、将来的に介護分野でキャリアアップを図っていきたいなら、早めに取得しておくのが望ましいです。
介護分野の国家資格であり、取得により介護士として高く評価されるのが「介護福祉士」です。取得により、サービス提供責任者、もしくは生活相談員になることもできます。
また、生活相談員として勤務するという点では、「社会福祉士」の資格取得もおすすめです。介護サービスの提供にかかわる関係者との連絡、調整役としての役割を果たします。
上記以外にも、認知症予防プログラムを作成し、トレーニングを指導できる「介護予防」の資格もあり、実務者研修修了もしくは介護職員初任者研修を修了してから2年以上の実務経験を積むことで資格取得を目指せます。
3.雇用形態別の給料
デイサービスで勤務する場合は、介護士としての勤務経験や保有する資格によって待遇が変わってきます。
「みんなの介護求人」の求人情報を見てみると、正職員として就職する場合、概ね月給額は14万円~26万円。最低額や最高額は事業所ごとに大きく違っています。
一方、アルバイト・パートとして働く場合の時給額は、850~1,200円ほどが相場です。この場合も実務経験や保有する資格が時給額に大きく影響してきます。
時給のあり方も事業所によって大きく異なり、最高額でも900円に届かないケースもあれば、最低でも1,000円以上の時給を設定しているケースもあり千差万別です。
介護職員処遇改善加算の影響で給料アップ
2019年10月に創設された「介護職員等特定処遇改善加算」により、一定の経験・技能を持つ介護職員の処遇がアップしています。
この新制度のもとでは、職場で最低でも1人以上、キャリアを持つ介護福祉士の給与を月8万円以上アップさせて、年収を440万円以上にするというルールが適用されます。
新人の介護職員にはあまり関係ありませんが、ベテランの介護職員の方の給与額がこの制度によりアップする可能性があります。
良いデイサービスとは?選び方のポイント2つ
1.デイサービスの目的、条件をまとめる
デイサービスを利用する際は、まず、利用の目的を確認しておくことが大切です。日常生活においてどのようなことに困っているのか、あるいはデイサービスを通して楽しみたいことは何か、という点についてメモ帳などに書き出してみましょう。
また、デイサービスで提供されるサービスは事業所ごとに異なるため、利用にあたっての条件をまとめておくことも重要です。
例えば、送迎サービスの場合だと、出発時間はいつか、車椅子の送迎車を利用できるか、送迎の時間がどのくらいかかるかなどを事業所ごとに確かめ、本人・家族の希望する条件に適した事業所を利用するようにしましょう。
また、食事についても塩分やアレルギー食材などの制限にどのくらい対応できるのか、きざみ食やとろみ食をきちんと用意してくれるかどうかなどによっても、利用できる事業所が限られてくることもあります。
ほかの利用者が多い大規模型のデイサービスでも良いのか、それとも利用者が少ない小規模型のデイサービスの方が好ましいのか、なども考慮すべき条件です。
2.事前に見学、体験入所をする
自分が希望する条件をそのデイサービス事業所が備えているかどうかを確認するには、見学が一番です。
パンフレットやホームページなどを見て本人・家族の利用目的や条件にあう事業所が見つかったら、そのまますぐに契約に向かうのではなく、その前に見学を行いましょう。
特にはじめてデイサービスを利用するという場合は、複数の事業所を見学してそれぞれの事業所が持つ長所と短所を見極めることをお勧めします。
また、見学に対応してくれた職員や事業所内で働いている職員の人柄や服装、身だしなみなどもチェックし、職員に信頼がおけるのかどうかも確かめましょう。
デイサービスの利用方法は?
1.利用対象者
デイサービスは介護保険サービスであるため、要介護認定を受けていることが大前提です。お住まいの自治体にて要介護認定の申請を行い、要支援1~2、要介護1~5の認定を受けた場合に利用できます。
要介護認定は65歳以上の人を対象としていますが、特定疾病を患っている場合は、64歳以下でも申請は可能です。
要介護認定の申請は、市区町村役場の所定の窓口で受け付けており、申請後、訪問調査などが実施されたのち、役1ヵ月後に認定結果が報告されます。
要支援・要介護の認定が出ていたらデイサービスの利用対象者となるので、担当となったケアマネージャーと相談しながら具体的な利用方法を決めていくと良いでしょう。
2.利用料金
デイサービスの自己負担額は、実際にかかる費用の1割です。しかし、65歳以上で一定以上の所得がある人については、自己負担が2割または3割とされます。
また、要介護度や利用時間、デイサービスの種類や事業所の所在地によっても金額は変わってくるので注意しましょう。
なお、デイサービスで出される食事やおやつ、あるいはレクリエーションで使用したものの材料費などは介護保険適用外ですので、全額自己負担で請求されます。ただし、送迎の料金は利用料に含まれているので、別途支払う必要はありません。
サービス時間は3時間以上で1時間ごとに設定され、最大で14時間まで延長できます。実際にどのくらいの時間利用するかについては、担当のケアマネージャーや事業所側と相談の上決めましょう。
利用料の計算方法
デイサービスを利用した際の自己負担額の料金は、事業所が立地している地域区分によって変わってきます。
例えば、奈良県奈良市だと地域区分は「6級地」と定められており、この場合、1単位当たりの単価は10.27円です(平成30年8月改定分で換算)。
そのため、奈良市おけるデイサービス利用の自己負担額は、一般的に紹介されている「1単位=10円」で計算した場合よりもやや高くなってきます。
通常規模型の場合、1単位=10円と計算すると、3~4時間未満の利用であれば要介護1=364円、要介護2=417円、要介護3=472円、要介護4=525円、要介護5=579円です。
しかし、奈良市の場合は1単位=10.27円なので、実際の負担額(1割負担の場合)は、要介護1=372円、要介護2=427円、要介護3=483円、要介護4=536円、要介護5=592円になるわけです。
一日あたりの自己負担費用
デイサービスの利用料金は、利用時間と要介護認定の段階ごとに制度上規定されています。自己負担1割の場合、通常規模型のデイサービスの金額は以下の通りです。
ただし、以下の金額は1単位=10円換算で計算しています。実際の金額は、先述の通り、級地区分によって多少変わってくるため注意しましょう。
自己負担額(円/回) ※1単位10円の 地域の場合 |
単位 | ||
---|---|---|---|
3時間以上 | 4時間未満の 場合要介護1 | 364円 | 364単位 |
要介護2 | 417円 | 417単位 | |
要介護3 | 472円 | 472単位 | |
要介護4 | 525円 | 525単位 | |
要介護5 | 579円 | 579単位 | |
4時間以上 | 5時間未満の 場合要介護1 | 382円 | 382単位 |
要介護2 | 438円 | 438単位 | |
要介護3 | 495円 | 495単位 | |
要介護4 | 551円 | 551単位 | |
要介護5 | 608円 | 608単位 | |
5時間以上 | 6時間未満の 場合要介護1 | 561円 | 561単位 |
要介護2 | 663円 | 663単位 | |
要介護3 | 765円 | 765単位 | |
要介護4 | 867円 | 867単位 | |
要介護5 | 969円 | 969単位 | |
6時間以上 | 7時間未満の 場合要介護1 | 575円 | 575単位 |
要介護2 | 679円 | 679単位 | |
要介護3 | 784円 | 784単位 | |
要介護4 | 888円 | 888単位 | |
要介護5 | 993円 | 993単位 | |
7時間以上 | 8時間未満の 場合要介護1 | 648円 | 648単位 |
要介護2 | 765円 | 765単位 | |
要介護3 | 887円 | 887単位 | |
要介護4 | 1,008円 | 1,008単位 | |
要介護5 | 1,130円 | 1,130単位 | |
8時間以上 | 9時間未満の 場合要介護1 | 659円 | 659単位 |
要介護2 | 779円 | 779単位 | |
要介護3 | 902円 | 902単位 | |
要介護4 | 1,026円 | 1,026単位 | |
要介護5 | 1,150円 | 1,150単位 |
時点
こちらの表を視覚的にわかりやすくグラフで表したものが下記になります。
ご覧のようにどの利用時間であっても要介護度が上がるにつれて料金も上がっていることがわかります。
デイサービスを利用するメリット・デメリット
1.メリット
デイサービスを利用するメリットの1つとして、高齢者の孤独を防げるという点があります。要介護認定を受けた高齢者は自宅に引きこもりがちになり、人によっては社会的孤立感を強く感じやすいです。
デイサービスに行くと自分と同じような境遇にある方と交流でき、同じ悩みに直面しているのは自分だけではないと、思うことができます。
また、ほかの利用者や職員と話をする機会を持つことで、生活にハリがでるという点も大きなメリットです。デイサービスに行くことで気分転換となり、ストレス解消や認知症予防にもつながります。
ほかにも、介護職員のサポートを受けながら安心して入浴できる、家族の介護負担を軽減できるなど、デイサービス利用で得られるメリットは多いです。
2.デメリット
デメリットとしては、人によって利用を嫌がる、という点を指摘できます。家で自由に過ごしたい人や、人との交流が苦手な人にとっては、デイサービスのような大勢の人が集まる場所を避けたいものでしょう。
無理に通うと、ほかの利用者や事業所の職員との付き合いに疲れ、それがストレスになる場合もあります。
そのため、デイサービスの利用を検討する場合、周囲の家族は、本人が本当に望んでいることなのかという点をきちんと確認するのが望ましいです。
人との交流が苦手であれば、定員が少ない小規模な事業所を勧めるなど、利用にあたって工夫すると良いでしょう。