介護業界の職務経歴書の書き方とは?

介護職に就職・転職する場合の職務経歴書の書き方について、解説します。ひと目でわかるサンプル画像のほか、記載項目ごとの書き方のポイントを網羅。ぜひお役立てください。

介護職の職務経歴書サンプル

まず、介護職に就職・転職する場合の職務経歴書のサンプルを紹介します。

介護職の職務経歴書サンプル

上のサンプルをさらに詳しく紹介したものが下の表になります。

職務経歴書
日付 20××年×月×日
氏名 介護 太郎
連絡先 090-××××-××××
職務概要
〇〇大学を卒業後、2011年に新卒で通所リハビリテーションの「株式会社△△ケアサービス」に入社。ヘルパーとして、介護サービス利用者と直接かかわりながら介護の基礎的なスキルを身に付けました。2013年に介護付き有料老人ホームの「株式会社××の会」に転職。介護事務員として、診療報酬請求事務のスキルを身に付けました。
職務経歴
勤務先名 株式会社△△ケアサービス
資本金 300万円
従業員数 10名
経験職種・雇用形態 ヘルパー(契約社員)
勤務期間 2011年4月~2013年3月
職務内容 利用者の介護や生活介助、その他イベント運営や事務処理
実績・経験スキル 日々、リハビリテーションに通う利用者とかかわりながら、適切な介護をするための基本スキルを身に着けました。とくに高齢者や障がい者との丁寧なコミュニケーションを大切にしている職場だったため、スタッフ同士の情報共有を通して利用者ごとの個別の応接に力を入れました。
職務経歴
勤務先名 株式会社○○の会
資本金 1,000万円
従業員数 30名
経験職種・雇用形態 介護事務(正社員)
勤務期間 2013年4月~現在
職務内容 老人ホームの事務所内で介護報酬請求事務や経理事務、窓口応対や備品管理など事務全般の業務を行いました。
実績・経験スキル 診療報酬請求の基本的なスキルを身に着けるとともに、エクセルのスキルを生かして帳簿処理や利用者への請求、業者への支払いなどを経験しました。
資格取得
2010年4月 ホームヘルパー2級
2012年10月 介護事務管理士(民間資格)
自己PR・志望動機
 これまで介護事務とヘルパーの仕事を経験して、基本的な介護技術や診療報酬請求事務のスキルを身に付けました。前職までの経験のなかで、利用者と直接触れ合いながら行う介護の素晴らしさと難しさを感じて、さらにコミュニケーションを図って介護に深く携わることができる仕事をしたいと考えるようになりました。
 貴所は、設立当初から利用者側の立場に立った、きめ細やかな介護サービスを提供しているデイケアセンターであると知り、今回貴所での勤務を志望いたしました。
 これまでの介護と事務の両方の経験を生かして、リーダー職として働くことを志望いたします。

職務経歴書の基本的なルール

介護職への転職希望者にとって、職務経歴書の作成は大切なステップです。主なポイントをまとめました。

  • 用紙サイズはA4かB5が基本、1~2枚が適当
  • 手書きの際は丁寧に読みやすく書く
  • 施設や資格の正式名称を用いる

基本項目は氏名、生年月日、連絡先、学歴、職歴、資格等で、下記にて細かく紹介します。

基本ルールを踏まえ、自分らしい職務経歴書を心がけましょう。

手書きとパソコン、どちらでも可能

履歴書や職務経歴書は手書きにすべきだという考え方も、以前は根強くありました。

しかし最近はどちらでも構わないと考える企業が多くなっています。また応募する側も、履歴書は手書きで書いて職務経歴書はパソコンのワードアプリケーションで作成して提出する人も少なくありません。

履歴書よりも文章のボリュームの多い職務経歴書は、毎回手書きをするのが大変なだけでなく、内容をわかりやすくまとめるにはパソコンの方が向いていると考える人が多くなっているようです。

このほか、履歴書に比べて、職務経歴書の書式は自由だと考えられがちなため、自分の転職経験や業務スキルに合わせてアピールしたい項目の順番を入れ替えたり、より強調するため見出しや装飾を工夫したりするなど、自分でカスタマイズしやすいのもパソコンで作成するメリットです。

手書きとパソコン、どちらのやり方で職務経歴書を作成するにしても、自分がPRしたい内容をわかりやすくまとめられるように意識しましょう。

施設名や資格は正式名称で書く

職務経歴書では、勤務先の施設名や資格は必ず正式名称で記載しましょう。

施設名・法人名であればホームページ等で確認し、正確な名称を記載します。

また施設の種類や資格も、「サービス付き高齢者向け住宅」「介護福祉士」「介護支援専門員」のように正式名で記入しましょう。

職務経歴書の書き方を項目別に解説

職務経歴書の記載項目別についてのイメージイラスト

職務経歴書を作成する場合、最低限盛り込んでおくべき内容がいくつかあります。

履歴書に比べると比較的自由に作成できるとはいっても、ある程度流れに沿って一般的によく出回っている職務経歴書のポイントを押さえておくほうが、採用担当者によりわかりやすくアピールできるからです。

ここからは、記入しておきたい記載項目とそのポイントをまとめてご紹介します。

1.タイトル

「職務経歴書」とそのまま記載してください。
付け忘れがないように注意してください。

2.日付

職務経歴書の日付は必ず記入します。
ポイントは、面接を受ける際に職務経歴書を提出する場合は面接日、事前に郵送する場合はポストへの投函日または郵便局の窓口に出した日を記入してください。

日付の記入漏れをしている職務経歴書は意外に多く、大切な書類のマイナスポイントになるので、注意しましょう。

3.氏名

職務経歴書はそれだけで独立した書類です。

履歴書とセットで提出されることが多いため、つい氏名を省略したり書き漏らしたりする人がいますが、ほかの応募者の職務経歴書に紛れて誰のものか採用側に見分けがつかない事態を避けるためにも、必ず氏名を記入しておきましょう。

職務経歴書が複数枚になったとき、クリップなどで閉じてもバラバラになることも考えられます。
書類1枚ごとに氏名を記載しておくとより丁寧です。

4.住所や電話番号などの連絡先

住所や電話番号などの連絡先についてのイメージイラスト

職務経歴書にも必ず住所や電話番号などの連絡先を記入しておきましょう。

履歴書などほかの応募書類に書かれている内容かもしれませんが、もし職務経歴書の内容について応募者に問い合わせしたい点があったとき、書類に連絡先があればすぐに電話やメールができます。

また、万一書類がどこかに紛れてしまったときの対策にもなります。

5.職務概要

ここでは、これまで自分が前職までの勤務先で経験してきた業務や、仕事を通じて身につけた知識やスキルといった、採用担当者へアピールしたい点を整理してまとめます。

業務に関する経験やスキルを抽象的にまとめるのではなく、経験した企業や施設で従事した業務内容や担当部署、業務期間を盛り込んで、「なぜ、現在のスキルを身に付けられたのか」「これまでの業務経験から、応募先の企業や施設でどのように活躍できる可能性があるのか」に絞って短めにまとめましょう。

職務経歴書の「つかみ」になる部分なので、シンプルなわかりやすいものを目指して、長くても5行程度にしましょう。

さらに、仕事のなかで取引先や顧客とのコミュニケーションから得た体験、職場で学んだ知見なども簡潔に添えると、より実感を持った文章になって、採用担当者にアピールできます。

6.職務経歴

職務経歴書の内容で一番中心になる情報です。

過去の仕事の勤務先の概要や業務内容のポイントなどを簡潔にまとめる必要があります。
転職回数が多い人ほど冗長になりがちなので、要点を絞ってほかの経歴と重複するところは思い切って省いたり、まとめて記したりして、あまりボリュームが大きくなりすぎないようにします。

各項目を2~3行程度、長くても5行くらいで簡潔に記載するようにしましょう。

以下、各項目の書き方を紹介します。

勤務先の施設・法人名

職務経歴書での勤務先名称の記載には次の点を心得ましょう。

  • 法人名・施設名は「社会福祉法人○○」のように正式名で記入
  • 施設の規模がわかるよう入居者数等を示す
  • 同じ法人内の異動経歴も併せて示す

採用担当者が理解しやすいよう、正確な名称や業務内容を適切に提示するよう努めましょう。

勤務職種

職務経歴書では実際に従事した職種名を「介護職」「栄養士」などと具体的に示します。

役職があれば「主任栄養士(メンバー5名)」のように記載し、担当者数を明記することでその職責も伝えられます。

雇用形態

職務経歴書の雇用形態では、「正社員」「パート」「アルバイト」の別を示します。

非常勤の場合も応募先と関連性の高い業務であれば、重要な経歴なので記載しましょう。

勤務期間

職務経歴書の勤務期間欄では、在籍開始と終了時期を「令和○年○月~令和○年○月」の形式で示します。

退職済みなら終了時期を記載し、現職の場合は「~現在」と表記します。退職予定が決まっていれば「(退職予定)」を追記するといった表現が有効です。

業務内容

職務経歴書の業務内容欄では、担当した業務をできるだけ具体的に示します。

例えば、「7人の介護職員をリーダーとして指導」や「要介護度3~5の入居者10名のケアマネジメント」のように、具体的な業務範囲や数値を明示することで実績と職責をアピールできます。

7.取得資格

これまでに取得した資格があればまとめて書いておきます。
とくに介護系の資格は転職の際のアピールとして効果的なので確実に記入するようにしましょう。

例えば、介護の現場で活躍できる介護支援員(ケアマネージャー)や介護福祉士、介護職員初任者研修、ホームヘルパーの各級など明記しておきたい資格です。
とくに、介護施設や介護事業所でその資格がなければ業務ができないもの、有資格者の配置義務があるものなどは、採用側から見てとても魅力的な資格です。

また、介護だけでなく福祉や医療などの現場でなじみ深い資格も、記載をおすすめします。
ガイドヘルパーや介護予防運動指導員、認知症ケア専門士などデイサービスや老人ホーム、グループホームなどで役立ちそうな資格です。

福祉住環境コーディネーターや福祉用具専門相談員などの福祉用具や住宅改修にかかわる資格、介護事務関連の民間資格もあわせて記入すると良いでしょう。

8.自己PR/志望動機

これまでの職務経歴を振り返りながら、もし自分が応募先の施設に採用されたらどのようなスキルや能力を発揮できるのか、現場にとってどういう人材になるのかを客観的に書き出します。
前職までの経験で身に着けた知識やスキルに軽く触れながらまとめるのがコツです。

もしこれまで書いた職務概要や職務経歴の項目の内容と重なる部分があっても、これはぜひアピールしたいというものがあれば気にせず明記しましょう。

一番大切なことは、職務経歴だけでは見えてこない、あなたのやる気や転職後に働くイメージを示すことです。

スキルが高く資格を持っていることも大切ですが、実際に入職してどういった働きぶりを期待できるのかを採用担当者にイメージしてもらえるような志望動機も大切な採用基準になります。

志望動機は履歴書で書いたものとは別に作成するのが基本です。
まったく内容を変える必要はありませんが、職務経歴書の内容を踏まえたうえで応募先にマッチングするようなものに仕上げましょう。

パソコンスキル

パソコンスキルについてのイメージイラスト

介護の現場では、日々の介護記録や関係機関へ提出する書類作成などでパソコンが日常的に使われています。

とくにワードやエクセルは事務仕事や経理処理をはじめ、スケジュール管理からイベントのチラシ制作のために利用する機会が多いので、基本的な操作をできるようにしておきましょう。
できればパワーポイントも簡単なスライドがまとめられるくらいの基本操作は習得しておくと実際の業務で役立ちます。

パソコンができる人は、職場でも重宝されることが多いので、スキルをアピールできるパソコン関連の資格を取得するのもおすすめです。

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介護職の職務経歴書の自己PR例文

職務経歴書の自己PRでは、これまでの実績を踏まえた上で、目指す介護職としての姿勢を示すことが重要です。

介護職として入所型介護施設に応募

私は有料老人ホームで合計5年間勤務した経験があります。その間、利用者の方々との信頼関係の構築を大切にし、ケアの質の向上に取り組んできました。また管理職としての経験もあり、スタッフとのコミュニケーションを大切にしながら教育や業務改善にも注力してきたことで、サービス品質の維持・向上を実現できた自負があります。こうした実務経験を通じて培った観察力や応対力は私の大きな強みです。今後も利用者一人ひとりの立場に立ち、細やかな気づきと対応で個々のニーズに応えることで、施設全体のサービス品質の維持・向上に取り組んでいきます。

介護職としてデイサービスに応募

この度、利用者とより関わりの深いデイサービスでの勤務を希望しています。3年間有料老人ホームで食事や入浴の介助に当たり、一人ひとりに合わせた丁寧なケア提供を心掛けてきました。また業務効率化に向けた取組を進めるなど、運営面でも貢献できたと考えています。特にレクリエーション企画や行事準備を率先して担当するなど、利用者の方々の生活向上につながる活動には熱心に取り組んできました。御社のデイサービスでは、これまで培ったケアのノウハウや計画力が発揮できると考えております。スタッフと協力し合いながら、サービスのさらなる充実と利用者満足度の向上を目指したいと考えています。

生活相談員に応募

私は介護職員として、有料老人ホームで5年間勤務しました。利用者の方とご家族の声に耳を傾け、一人ひとりのニーズに合わせた支援が大切だと現場で実感したことから、生活相談員を目指したいと思うようになりました。そのため、社会福祉主事任用資格も取得しました。これまで以上に利用者と施設の懸け橋となり、両者の間で総合的な生活支援が提供できればと考えています。施設運営やサービス内容の向上に向け、自ら積極的に取り組んで参ります。

ケアマネージャーに応募

私は特別養護老人ホームで介護職員として5年間勤務しました。生活全般の介助業務に携わる中でケアマネジメントの重要性を実感するようになり、ケアマネジャーの資格を取得しました。介護職員としての実務経験を踏まえ、より利用者の方々の視点に立ったケアプラン作成ができるケアマネジャーを目指します。実現可能なプラン提案をしながら信頼関係を築き、安心して最期まで過ごせる介護サービス実現を目指します。

介護職に未経験で応募

これまで5年間、営業職として従事してきましたが、両親の介護を機に介護の道に進もうと思うようになりました。未経験ではありますが、利用者の方々のニーズに合わせたケアサービス提供を心掛けたいと考えています。 これまで営業職で培ってきた体力、柔軟な対応力やコミュニケーション能力を最大限に発揮し、笑顔でサポートできればと思っています。全力で業務習得に取り組み、1日も早く戦力となれるよう努めて参ります。よろしくお願い申し上げます。

これまでの転職回数が多い場合

私は過去に4社で介護職として勤務した経験があります。利用者や家族のニーズに応じたサービス提供に努めてきた経験があります。様々な入居者様、ご家族とコミュニケーションを取る中で、どのようなケアが求められ、満足を得られるかを常に考え実践してまいりました。これまで培ってきた経験やノウハウを発揮し、利用者・家族の方々と信頼関係を築きながら質の高いサービス提供を目指します。施設運営の視点も持ち、長期的に貢献していければと思います。

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職務経歴書の書き方のポイント

職務経歴書の書き方のポイントについてのイメージイラスト

職務経歴書には書く項目が多く、転職回数や資格数によってはボリュームがふくらみがちです。

自分の経験やスキルをアピールするため外せない内容も多くなりますが、その分できるだけシンプルかつコンパクトにまとめて採用担当者が読みやすい書類に仕上げるように心がけましょう。

自分の経験をまとめるといっても、これまでの勤務先の基本情報や担当した部署、業務内容などはできるだけ客観的なものになるようにします。

また、アピールしたい業務スキルは全体で重複しないように整理してまとめましょう。

1.具体的に記入する

勤務先の施設規模やサービス内容などを具体的に示すことが大切です。勤務年数も具体的に記載しましょう。

例えばデイサービスであれば、「1日100人の利用者数」や「要介護度3以上の方が7割」といった数字を提示することで、自身の経験値をわかりやすく伝えられます。

また業務実績についても、「新たな業務マニュアル作成で情報共有を徹底し、職員のスキル向上に貢献」といった具体例を示せば採用担当者にアピールしやすくなります。抽象的な記載内容ではなく、できる限り具体性をもった記入を心がけましょう。

職務経歴書は、転職後スムーズに業務を行えるか、専門知識や専門的なスキルの学習が必要でもある程度の期間で習得できそうかを、採用担当者が判断する材料になります。
そのため、前職までの勤務先で担当してきた業務経験を、わかりやすく具体的にアピールする必要があります。

2.要約・整理して読みやすくする

編年式の職務経歴書は、時系列であったことを順番にだらだらと書いてしまいがちです。

職務経歴書では時系列順に羅列するだけでなく、職務経験から得たスキルや知識を要約しながらまとめることが大切です。

例えばが有効です。

また、同じような内容が重複する場合は一カ所にまとめるなどして、支離滅裂な印象を避けることも必要です。簡潔な文章で魅力をアピールできるよう、要約・整理を意識しましょう。

3.施設ごとのニーズに合わせて強みをPRする

履歴書や職務経歴書は「企業へのラブレター」といわれるように、どんな職場でも使えるような内容では採用担当者の心に響きません。

転職先がどういった人材を求めているのかをイメージしながら、内容をまとめることが大切です。

例えば、同じデイサービスという形態であっても、施設によって運営方針や特色、利用者へのサービスで優先しているところは異なります。自分の職務経験や人柄をうまく応募先にマッチするような角度で書きましょう。

4.退職理由は前向きに書く

いくら本当でも「給与が安かったから」「上司と合わなかった」と、ネガティブな理由を書くのは避けましょう。

本音では「もっと良い給与の職場がいい」「人間関係で苦労したくない」と思っていても、ポジティブに言い換えるのがポイントです。

給与面での不満だったら「もっとやりがいのある職場にチャレンジしたかった」、人間関係でのトラブルがきっかけだったら「前職以上に職員同士のつながりや連携を意識した仕事をしたい」など、表現に工夫をしましょう。

5.常勤の経歴は全て記載する

過去の正規雇用(常勤)の仕事経験については全て記載します。短期間の場合や業務内容が些細であっても、常勤歴自体が評価されます。

一方で非常勤やアルバイトである場合、記載は必須ではありませんが、応募先で歓迎されそうな業務内容であれば積極的に示すことをおすすめします。例えば介護未経験者が過去に老人ホームでアルバイトをしていた場合は、関連性が高いので記載した方が良いでしょう。

6.採用担当者の視点で確認する

職務経歴書作成後は改めて内容を読み返し、採用担当者の視点で確認することが大切です。完璧に仕上げたつもりでも改善点が見えてくるもので、記載したいポイントの伝わり方や文章の読みやすさなどを判断できます。

例えば、自分が特にアピールしたい職務経験の内容が目立つように配慮されているか、字の汚れや乱れがないか、勤務年数に比べて記述量が偏り過ぎていないかなど、採用担当者が書類を閲覧する視点を想定しながら確認します。

採用側から見た課題を洗い出し、必要な修正を行うことで応募書類の完成度が高めましょう。

介護職の採用担当者が見ているポイント

介護職志望者の職務経歴書の読まれ方についてのイメージイラスト

介護職の職務経歴書は、応募者の過去の勤務実績や専門性を詳細に確認できる貴重な書類です。採用担当者としては、転職後にスムーズに業務遂行できるかを見極めたり、必要な知識・技能の習得可能性を判断したりする上で重要視しています。

主に注目しているのは、勤務先の種類や規模、担当業務の内容などです。これらを手掛かりに採用後の勤務イメージを描き、応募者の適性や定着可能性を検討していきます。応募者自身も採用担当者の視点を意識し、できる限り具体的な職務経歴を提示する必要があります。

基本項目の記載漏れがないか、文字の汚れや乱れがないかもチェックポイントです。採用側が求める職務経歴書を提示できているかが合否の鍵となります。

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編年式とキャリア式のどちらが良いのか

記載方法は編年式とキャリア式の違いを説明についての図

職務経歴書でよく使われる記載方法には、編年式キャリア式の2つがあります。

編年式は年を追ってキャリアを順番に記載していく方法です。
一方、キャリア式とは、業務経験が長い、専門的なスキルを深めているなど、採用側にアピールしたい職務経歴の順に記載していくスタイルです。

どちらがいいかは、提出する人の社会経験や転職回数などによって使い分けます。
以下、両者の特徴を比較していきましょう。

編年体式は社会人経験が浅い人におすすめ

編年式とは、学校卒業後の職務経歴を古いものから順に書いていく方法です。

時系列順に過去の就職先や業務経験をまとめると、時間の流れに沿って応募者の職務経歴を読み手が追えるので、転職でキャリアを積んできた経緯が明確になるというメリットがあります。

編年式での記載は、介護業界での経験が浅い人や、ほかの業界から介護職への転職を希望する人に向いています。

ここで、記載時のポイントを解説しましょう。

これまで経験した職場を古いものから1つずつ書いていきます。
記載する内容は、勤務先の施設名や施設形態、勤務期間をはじめ、実際の現場での職種や役職、さらに正社員やパート派遣社員などの雇用形態です。

さらに、どういった仕事を行ったのか具体的な内容をわかりやすくまとめましょう。
この作業を繰り返してこれまでの勤務先をすべて書き終えたら、介護に関する資格を中心に、運転免許やそのほかの保有している資格をまとめておきます。

文末には、自己PR、場合によっては志望動機を履歴書に書いたものとは違う観点からまとめておくことをおすすめします。

キャリア式は転職回数が多い人におすすめ

キャリア式は、これまでの職務経験をジャンルごとに分けてまとめる方法です。
介護業界への転職の場合は、過去の介護関連の仕事の経験を最初に持ってきて、勤務先ごとに施設名から業務内容、職種や役職などをまとめます。

もし介護業界にいるなかで、業務経験とともに上位資格を取得したのであれば、取得した時期に在籍していた勤務先の項目に含めてもいいでしょう。
介護福祉士やケアマネージャーなど、業界でもアピール度の高い資格を保有している場合は、職務経験の項目の前に、冒頭から保有資格をまとめてアピールするのもおすすめです。

キャリア式のメリットは、転職回数が多くさまざまな介護の経験を積んできた人が、自分の職務経験をまとめてPRしやすいことです。

介護業界やそのほかの業界を含めてこれまでいくつもの職場を渡り歩いてきた人の場合、編年式で職務経歴書をまとめると、プレゼントしたいポイントがぼやけて採用担当者にうまく伝わらないおそれがあり、編年式よりキャリア式を選ぶほうが得策です。

提出時に気を付けるポイント

職務経歴書の提出時には、書類の汚れや折れを避けた丁寧な取り扱いが大切です。

郵送と直接手渡しの場合でそれぞれ注意点が異なりますので、ケース別に解説していきます。

郵送する場合

職務経歴書を郵送で提出する際は、封筒に入れるなどして折り目やシワが発生しないよう注意が必要です。清潔な状態を保つことも大切なので、丁寧に扱いましょう。

この後、郵送時の具体的な配慮点を解説していきます。

添え状の書き方

職務経歴書を郵送する場合、添え状を同封すると丁寧な印象を与えられます。添え状には以下を記載します。

  • 日付
  • 宛先
  • 氏名
  • 連絡先
  • 用件
  • 自己紹介
  • 同封書類

簡潔に送付書類と送付理由を伝えることがポイント。必須ではありませんが添付することをおすすめします。

封筒の書き方

職務経歴書送付の封筒は、住所を都道府県から記載しマンション名も示し、施設宛ては「御中」、個人宛ては氏名に「様」を付けます。

左下に「応募書類在中」と朱書きすることで内容が伝わりやすくなります。

書類は汚れないようクリアファイルで保護し、郵便料金にも注意しましょう。

送付日は期限に余裕を持たせ、確実に間に合うようにします。必要に応じて、速達便を利用します。

送付後はできればメールでも応募した旨を伝えておきましょう。

面接で渡す場合

面接で職務経歴書を直接渡す場合、封筒や添え状は不要です。表面に面接先を、裏面に氏名と住所を記載した封筒に入れます。

書類の汚れや折れを避けるため、クリアファイルに入れると安心です。

開封しやすい向きで手渡し、中身が読み取りやすい状態にすることも大切です。採用担当者と直接会う面接の場なので、履歴書の読みやすさはもちろん、手渡す際のマナーも好印象につながります。

よくあるQ&A

職務経歴書作成時によくある疑問や質問をQ&A形式でまとめました。

介護職への応募書類に関して不明な点はご確認ください。

転職回数が多い場合は?

転職回数が多くても原則として全ての職歴を記載します。

枠におさまらない場合は介護職経験を充実させ、介護職以外や過去の経験は期間・法人名・職種のみに簡略化することもできます。その代わり、介護職経験を適切にアピールすることが大切です。

例えば10年以上前の経験や介護職以外の職歴については、在籍期間や勤務先名、職種のみ簡単に示すことで枠内に収まるよう調整します。その代わりに介護職としての具体的な業務内容を中心に記載することで、応募先にとって自身の経験値がより実感しやすくなります。

また、転職が多い割に長期間の勤務経験があればアピールするポイントとなります。

休職期間がある場合は?

働いていない期間については職務経歴書への記載は不要です。

介護職では子育て等で空白期間がある方の応募も多く、それ自体がマイナス評価にはなりません。面接時に理由を聞かれることがあるので、その際に答える形で構いません。

例えば出産・育児で離職していた場合、面接時にその理由を簡単に説明します。あるいは「○○年~○○年:育児期間」といった形で空白期間を明示する方法もあります。

休職期間に学習や資格取得を行った場合、学習歴等を記載することでアピールに繋げることも可能です。

パート・バイトの経験のみの場合は?

パートやアルバイト歴であっても可能な限り職務経歴書に記載します。

雇用形態を(パート)等と明示すれば問題ありません。介護未経験よりも関連業務経験があることを示す方が採用側に好印象を与えられるでしょう。即戦力感や業界理解があることをアピールできるため、非正規でも経験は示すことをおすすめします。

応募先によって内容を調整すべき?

同じ業務形態の施設なら内容を変更せずに使用可能ですが、異なる形態に応募する際は部分修正が必要です。

業務内容等を可能な限り応募先に合わせ、自身の経験が活かせることを示す工夫をすると、しっかりと業務理解しているという印象に繋がります。

施設名など転職先情報が明示されていればその部分の改定は必須です。

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