今回のゲストは、デイサービスセンター・山形敬寿園(所在地:山形県山形市)で働く高木龍さん。ITエンジニアとして活躍後、介護士へ転職したのは2021年。コロナ禍の在宅勤務に孤独を感じていた彼にとって、人との出会いにあふれる介護の世界は魅力いっぱいに映っているそうです。働く前は「正直、介護職のイメージは悪かった」と笑う高木さん。この1年、何を感じ、どう変化したのでしょうか?

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Profile 介護士 高木 龍さん

情報系専門学校で学んだ後、システムエンジニアとしてIT企業へ就職。webシステムやスマホアプリの開発を担当。激務が続く労働環境やコロナ禍による働き方の変化をきっかけに転職を決意し、介護の世界へ。介護士2年目の26歳。

経歴
2014年〜2016年 IT・情報系専門学校で学ぶ
2016年〜2021年 システムエンジニアとして活躍
2021年5月 社会福祉法人敬寿会へ入社
長所 周りの状況を見て判断・行動できる
短所 マルチタスクが苦手
趣味 写真撮影、ドライブ、キャンプ
特技 ルービックキューブ、剣道

アプリ開発で豊かなライフスタイルを。憧れのSEとして過ごす日々

以前はどんなお仕事をされていましたか?

IT企業のシステムエンジニア(以下、SE)として5年間働いていました。ソフトウェアの開発・設計などが主な仕事でした

小さい頃からパソコンなどがお好きだったんですか?

私が中高生の頃に、ちょうどスマホが一般的に普及しはじめました。実際に自分も使うようになり、それまでのガラケーにはなかった「アプリ」というシステムに衝撃を受けました。

ゲームアプリも面白かったけど、それ以上にショッピング・レシピ・健康管理といった、ライフスタイルに関するアプリに特に興味を惹かれました。

手軽なのに生活の質向上へつながるというのがとにかく驚きでしたね。なんて画期的で価値ある技術なんだろう!と。

そのうち自分でもアプリを作ってみたくなり、IT系の専門学校へ進学を決めました。スマホ向けアプリの開発をメインに学んだのち、念願のSEとして就職したんです。

       
  Before After
勤務形態 常勤 常勤
業種 IT 通所介護事業所
職種 システムエンジニア 介護士
勤務時間 10:00〜19:00 8:30〜17:30
休日 土日祝 週2日のシフト制
仕事内容 システムの新規開発・改修 身体介助・送迎業務

どういった業務を担当されていたのでしょうか?

就職したのが幅広いIT案件を担う会社だったため、アプリ開発に限らず、Webサイトのシステム構築などさまざまなジャンルに携わることができました。

中でも一番思い出に残っているのは、海外のある国が取り組む大きなプロジェクトに関わったこと。オーダー内容は、国民の健康増進を目的としたヘルスケアアプリの開発でした。

ITに興味を持ったきっかけが「誰かの幸せにつながるアプリを作ってみたい」という想いだったこともあり、やりたいことに関われているという実感を得ることができました。

あなたは信じる?信じない?介護職へのマイナスイメージ

夢だった仕事に就きながらも退職された理由は?

いくつか理由はありますが、20年・30年後も自分がIT企業で働いている姿を想像できなかったことが大きいです。納期に追われて残業が続くことも、深夜帯や年末年始に稼働しなければいけないメンテナンス業務もあります。

将来、家庭を持ったり、年齢を重ねて体力が落ちたとき、果たして今のこの労働環境で働き続けていけるのだろうかと悩んでいました。

そうやって退職へと傾いていた気持ちを決定づけたのが、コロナの感染拡大です。リモートワークに変わったことで人と接する機会が極端に減り、精神的に参ってしまって。同時に、仕事へのやりがいも感じられなくなりました。

01

それで異業種への転職を決断されたんですね。

転職先を選ぶにあたって、まずは自分にとって譲れないポイントを見直しました。在宅勤務があんなに苦痛だったのは「コミュニケーションの有無」が労働に対する私の価値基準のひとつだから。

そのため、人との交流・対話に重きをおいた職種を中心に考えることにしました。また、自分の学歴・年齢や気質を棚卸ししてみて、現実的かつやってみたいと思えた職業が介護士だったんです。

ご家族への介護経験などはあったのですか?

介護は未経験でしたが、印象的な思い出があります。学生時代、目の前で車椅子の方が転倒し、友人と男2人で助け起こそうとしましたが、どうやって持ち上げればいいのか分からず困ってしまって。

そのとき、通りかかった女性がその方をすっと車椅子に移乗させたんです。小柄な女性だったので驚いていると、介護の仕事をしているとお話してくれて、介護職ってすごいんだなと感じました。

そのときの記憶が、転職先として介護業界を思い浮かべた最初のきっかけかもしれません。

02

高木さんの人生を変えた出来事ですね。退職を決めてからはすぐに転職活動を?

それがなかなか介護1本に思い切ることができず、結構長い間悩んでしまいました。

「介護職はつらい」というマイナスイメージが頭の中で先行していたし、相談した親や友人も「大変そうだからやめときなよ」といった反応がほとんど。

「やりたいな、でもやっぱりどうしようかな」の間を行ったり来たりで、気持ちが揺らいでいました。

それでも介護士として働くに至ったのには、どんな心境の変化があったのでしょうか?

世間一般でいわれる「介護職の悪いところ」って、本当に私にとっても耐えられないことなんだろうかと思考を変えてみたんです。

どんな業界・職種でも、同じ業務内容に対する感じ方は人それぞれ違うじゃないですか?だから少しずつ介護に触れてみて、やっぱり無理だと感じれば別の道に進めばいいかなって。

それで、SEを続けながら初任者研修の資格講座に通い始めました。講座を通して手応えを感じられたし、資格という武器も手に入ったことで、自信を持って介護士として再スタートを切ることができました。

では勤務先に敬寿会を選んだのはなぜですか?

まず、経営母体が大きくて信頼できたためです。提供する介護サービスも多岐に渡っており、色々な経験を積めそうだと思いました。

また、会社のHPに業務内容がしっかりと書かれていたので、自分が働いているイメージを持てたことも決め手となりました。

03

介護職の醍醐味は、主体性を持った学びと多種多様な出会い

現在のお仕事内容について教えてください。

配属先は通所介護事業所(デイサービスセンター)です。

普段は在宅生活を送る要介護・要支援の方が週に数回ご利用になられ、私たち介護士が入浴や食事といった身体介助や機能訓練を提供しています。利用者様の送迎業務やレクリエーションの企画といった仕事もあります。

勤務スタイルはいかがですか?

8:30〜17:30が勤務時間です。介護サービスが終わった後は、書類作業などをしてから帰宅します。お休みは週2日もらっています。

スケジュール

SE時代と比べてライフスタイルは変化しましたか?

残業が減ったことで自分の時間が増え、オンオフのメリハリが付くようになりました。休みの日は、介護関係の資格の勉強をして過ごしています。

私は介護未経験からのスタートなので学ぶことがたくさんありました。

例えば、以前衝撃を受けた車椅子への移乗ですが、ポジショニングを少し変えただけで介助者への体の負担がまったく違うんですよ。はじめてこれを知った時はまさに目からうろこでした。

介護職とIT業界とで働き方の共通点は何かありますか?

毎日知識のアップデートが求められる点が私にとってはよく似ています。ただ、SEの頃は「勉強せねばならない」だったため、学びの姿勢は大きく異なりますね。

スマホやPCは1〜2年であっという間にバージョンアップされますから、常に勉強し続けないと仕事になりません。最新の情報を逃してはいけないという義務感に追い立てられているだけで、学びへの楽しさや、やりがいといったプラスの感情はありませんでした。

その点、介護の世界は資格や研修内容が幅広く、受ける受けないも個人の裁量に任せられています。自分の興味関心に基づいて道を選べる楽しさがあり、主体性を持って取り組めるのが魅力的です。

モチベーショングラフ

逆に、前職のIT業界と比べて、働き方の違いを感じる部分はありますか?

以前も基本的にはチーム単位で動いていましたが、作業に入ってしまえばPC対自分ひとりという孤独感がありました。

けれど今の仕事は、利用者様だけでなく、ご家族やスタッフ・連携する他職種の方など、かかわる相手が多くてとても楽しく感じます。これまで接点のなかった世代の方も多いため、新鮮で刺激になります。

大勢と円滑なコミュニケーションを取るために、高木さんが実践していることを教えてください。

人間関係の基本、あいさつを欠かさないこと!施設では、人の出入りが激しい朝の時間帯など「あれ?この人にはもうあいさつしたっけ?」なんて分からなくなることがよくあります。

でも「一度あいさつしたからもういいや」と2回目以降はスルーするのではなく、目が合ったら何度でも笑顔で声をかけるようにしています。

特に、あいさつを大切にされているんですね。

前職時代、20代の私はまだまだひよっこのSEでした。でも業務では外部フリーランスへ発注することも多く、立場上、10歳20歳も年上のベテランの方に指示を出さなければいけません。

仕事とはいえ、相手からするとやはり複雑な気持ちになっても仕方ないですよね。私自身、うまくやろうと気負いすぎて空回りしたこともありました。

多くの失敗を繰り返して気がついたのが、仕事で成果を出すためには、まずは関わる人すべてが気持ちよく仕事のできるムードづくりが大切だということ。

明るくあいさつをし、私が接しやすそうな人間だと安心してもらえてはじめて、人間関係を築く第一歩が踏み出せるのかなと思っています。

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悩んでいる誰かへ。自分を信じる少しの勇気が世界を変える

高木さんの今後の目標を教えてください。

まずは、現在勉強中の実務者研修に全力を尽くすこと。その後は介護福祉士の資格取得を目指すつもりです。

介護の世界は広いですから、こうなりたい!と将来の姿を決めつけてしまわず、いろんな分野に興味を広げる柔軟性を持っていたいと思います。

また2年目の今は、目の前の業務へ1つずつ丁寧に取り組んで、着実に自分の糧にしていけるよう頑張るのみです。そうやって毎日を積み重ね、「敬寿園に高木あり」といわせるくらい頼りにされる存在となりたいですね。

今の職場では、年齢でいうと私は下から2番目。それでも任せられるところはどんどん任せてほしいし、先輩方にはどうぞ私を使ってくださいという謙虚な気持ちで、この施設の一翼を担いたいです。

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最後に、介護転職へ悩む方へメッセージをお願いします。

何事も挑戦あるのみ!介護業界への転職というと、イメージだけで外野が口を挟んでくることもあるし、ネットでクチコミをついついチェックしちゃいますよね。

でも、実際に働くのは自分自身だということを忘れないで。他者の評価に振り回されず、自分軸で考えてほしいなと思います。

それに、もしも介護の仕事が合わなくても、また別の仕事を見つければいいだけ。自己否定する必要なんてありません。うまくいけばラッキーくらいの気持ちで(笑)、気楽にチャレンジしてみてください。

記事末

撮影:Photo Studio いのせんと

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