今回は、「香東園やましな」(京都府京都市)で働く介護士の中島薫さんにお話を伺いました。約30年にわたって飲食店で接客をしていた薫さんは、なぜ未経験だった介護の世界に飛び込んだのでしょうか。入社後に感じた介護職の魅力についてもお聞きしました。明るい笑顔が印象的な中島さんの転職ストーリーをご紹介します。

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Profile 介護士 中島 薫さん

高校卒業後、主に飲食店などの接客業に従事。介護業界で働いている知人が多く、自身も興味があったことから、2020年に福祉の専門学校へ入学。学校から現在の職場である「香東園やましな」を紹介され、通学しながら就業する。現在は、小規模多機能型居宅介護スタッフとして勤務している。

経歴
1994年4月 飲食店などでの接客業に従事
2007年 結婚を機に転居
2020年 福祉の専門学校に通う
2020年6月~ 香東園やましなに入社
長所 ポジティブな性格
短所 おおざっぱなところ
趣味 愛犬・愛猫と戯れること
特技 カラオケ

コロナ禍でも安定して働くために転職を決意

以前はどのようなお仕事をされていたのですか?

高校を卒業してから約30年間、レストランなどの飲食店で働いていました。人とかかわることが好きなので、接客業が向いていると自分でも思っていました。

介護業界に転職したきっかけを教えて下さい。

新型コロナウイルス感染症が拡大した影響で、飲食店での仕事はどんどん減っていました。そこで、安定して長く働ける仕事はないかと考えて、以前から興味があった介護の道へ進んでみようと思ったんです。

もちろん、簡単な仕事ではないことはわかっていました。でも、介護職に就いている知人からいろいろと話を聞くうち、やりがいのある仕事だなと思うようになりました。私にとって大きかったのは、介護が「人から必要とされる仕事」であるということです。そこに魅力を感じ、思い切って飛び込むことにしました。

決断を知ったご家族の反応はいかがでしたか?

夫からは「おまえには絶対できない」と言われました。まあ、接客業しかやったことがなかったですからね。でも実は、転職しても続けていく自信はあったんです。接客も介護も、人とかかわる仕事という点では同じですから。

これまでに磨き上げてきたコミュニケーションスキルを活かして働けば、なんとかなるんじゃないかと思いました。夫の言い分を押しのけて(笑)、福祉の専門学校に通うことにしました。

現在の職場を選んだ理由は何だったのですか?

社会福祉法人香東園は、通っていた福祉の専門学校で先生に紹介してもらいました。私が住んでいる地域にあって通いやすいですし、設備が充実している点も良いなと思いました。

実際に働き始めてからも、香東園やましなを選んで正解だったと思っています。職員も利用者さんもいい人ばかりで、とても和やかな雰囲気です。先輩たちも丁寧に仕事を教えてくれるので、日々成長を感じます。

また、イベントが実施できるほどの広々としたエントランスホールや、随所に造られた庭など、敷地内にはたくさんの居心地の良い場所があることも魅力ですね。

  Before After
雇用形態 パート 正社員
業種 飲食業 小規模多機能型居宅介護
職種 ホール 介護士
勤務時間 9:00~16:00 8:30~17:30、10:00~19:00、夜勤のシフト制
休日 シフト制 月休8~9日
仕事内容 接客など 身体介助・生活支援

「利用者さんたちと一緒に時間を過ごすこと」が仕事

現在の具体的なお仕事内容について教えてください。

現在は、小規模多機能型居宅介護のスタッフとして働いています。食事・入浴・就寝の誘導や介助をしたり、共用スペースでくつろぐ利用者さんたちを見守ったり、訪問介護で利用者さんのご自宅へ伺ったり、車を運転して送迎したりと、業務内容は多岐にわたります。「利用者さんたちと一緒に時間を過ごすこと」が仕事だと、私は考えています。

1日で何名くらいの利用者さんのケアを行うのですか?

施設では15人~17人の利用者さんのケアを行っています。訪問介護の利用者さんをあわせると、25名くらいになりますね。ケアを行うスタッフは私を含めて4~5人です。ケアといっても、利用者さんたちと一緒に過ごして、楽しんでいる感覚ですね。

もちろん大変なこともありますが、先輩たちがしっかりとサポートしてくれるから安心できます。利用者さんも私たちスタッフも笑顔でいられるよう、気持ちのいい人間関係づくりを心がけています。

お仕事にはすぐに慣れることができましたか?

はじめは戸惑いましたが、先輩の仕事をまねて少しずつ仕事を覚えましたね。排泄介助については、最初は体力的になかなか大変でした。先輩たちの指導のおかげで、今は少しずつ要領を掴めてきています。まだまだ勉強が必要なことはたくさんありますが、最近は業務にも少し余裕を持って過ごせています。

現在はどのような働き方をされていますか?

日勤(8:30~17:30)、遅出(10:00~19:00)、夜勤(16:00~翌9:00)の3パターンのシフト制です。月曜~金曜までずっとほぼ同じリズムで働いていた接客業時代と比べると不規則ですが、負担は感じていません。

もともとストレスを溜めにくい性格もあって、介護の仕事に転職してからは日々に変化があって充実しています。また、連休や有給休暇も取りやすく、家族との時間がしっかり確保できるところも気に入っています。

夜勤がありますが、転職後の娘さんの反応はいかがですか?

最初は「夜、お母さんがいないと寂しい」と言われることもありました。今はすっかり慣れて「行ってらっしゃい、がんばってね」と笑顔で見送ってくれるようになりましたね。

近頃は、夜勤で家を空けている間に家事を済ませてくれていることもあります。娘が積極的に家事を手伝ってくれるようになったことは、思わぬ収獲だったと思っています(笑)。

介護は「人から必要とされる仕事」

どんなときに仕事のやりがいを感じますか?

最もやりがいを感じるのは、利用者さんから「ありがとう」と言われたときです。私からするとちょっとしたお手伝いでも、利用者さんたちはしっかりと感謝を伝えてくれます。

介護業界に惹かれた大きな理由が「人から必要とされる仕事であること」だったので、その通りの環境で感無量です!この仕事を選んで良かったなと思います。

仕事をするうえで大切にしていることはありますか?

利用者さんとのコミュニケーションです。挨拶やちょっとした会話を通じて、利用者さんと意思疎通できる良い関係性を心がけています。関係性ができていないと、利用者さんが求めていることをしっかりと把握して、良いサービスを提供することができません。

会話をするときは、相手の目を見て、ゆっくり、はっきりと話すようにしています。また、利用者さんのパーソナリティや当日のコンディションを汲み取って、声のトーンを使い分けることも大切です。こういう点では、以前に培った接客のスキルが役に立っているなと思います。

疲れを感じたとき、職場でリフレッシュできる場所はありますか?

落ち着くのは、休憩用の和室です。休憩時間は、ここでひと息ついていることが多いですね。

あと、敷地内にある「TSUBAKI」というカフェもたまに利用します。施設の利用者さんだけでなく、地域の住民さんたちも利用できるので、近隣のコミュニティスペースのような空間です。今はコロナ禍で休業しているのですが、再開したらまた利用したいですね。

なるほど。お休みの日はどのように過ごされていますか?

以前はカラオケが好きでよく行っていました。今は新型コロナの影響でそういう機会もなくなってしまいましたね。最近は専ら、愛娘と一緒に愛犬と3匹の愛猫たちと遊んでいます。

気遣い・言葉遣いで介護のスキルを伸ばしていきたい

介護業界に転職してみて、感じたことはありますか?

専門学校時代の友人と職場でのことを話し合っていると、「そういうこともあるのか」と勉強になることが多いです。

元美容師で介護業界で働いている知人は、美容のスキルを活かして、利用者さんの髪をカットしたり、セットしたりすることもあるそうなんです。利用者さんはとても喜んで、すごく元気になるんだとか。その話がすばらしくて、感心しました。

女性は特にわかると思うのですが、美容やお化粧って、人間を内面から元気にする力がありますよね。そういう意味では、そういったケアも介護の仕事のひとつになるんだと思いました。

私も接客業時代のスキルを活かして、もっともっと利用者さんと深いお付き合いをしたいと思いましたね。

今後の課題や目標について教えて下さい。

課題だと感じているのは、自分自身の「メンタルコントロール」です。どうしても利用者さんと上手にコミュニケーションを取れないことがあります。やはり人対人ですから、意見がすれ違ってしまうこともあるんですよね。

そういうとき、先輩のすごさを改めて思い知ります。繊細な気遣いや言葉遣いによって、空気を濁さず、上手に利用者さんとコミュニケーションを取っているのです。ちょっとした違いだと思うのですが、そういったところに介護士のスキルは表れるのだと思います。私も先輩たちのようにスキルを磨いていきたいです。

介護職への転職を考えていらっしゃる方に、一言お願いします。

介護の仕事で1番大切なのは、なんといっても「コミュニケーション」だと思います。人とかかわることが好きな人なら、介護業界に転職してもきっと大丈夫。私のように異業種からの転職者もたくさんいるので、安心して門を叩いてほしいですね。

介護職は、「人に必要とされる仕事」です。やりがいと同時に大変なこともありますが、これまでに培ってきたスキルを発揮して、笑顔の絶えない環境をともに創っていきましょう!

撮影:平井進造

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