今回のゲストは訪問介護員として活躍する中村幸江さん。セントケア千葉(所在地:千葉県千葉市)で働き始めて5年目の今、思いやりにあふれた仕事ぶりで、お客様や仲間たちから大きな信頼を集めています。そんな彼女が介護職へ転職したのは、病気が理由だったそう。心身と向き合いながらイキイキと介護の仕事を楽しむ中村さんに、ワークライフバランスの取れた働き方の秘訣をお聞きしました。

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Profile 介護士 中村 幸江さん

高校卒業後、施工会社で事務職に従事。庶務からCAD操作まで多岐にわたる業務を担っていたが、病気療養をきっかけに退職。回復後は配送会社に勤務するも症状が再燃する。治療を経た後、ホームヘルパー(訪問介護員)として勤務している。

経歴      
1984年〜2010年 施工会社の事務職として勤務
2011年〜2016年 配送会社の倉庫内作業に従事
2017年 セントケア千葉株式会社に入社
長所 ポジティブ
短所 気が小さい
趣味 映画鑑賞
特技 手芸

不調とうまく付き合っていく。病気をきっかけにガラリと変わった働き方

これまでのご経歴を教えてください。

高校を卒業後は、配管工事を行う施工会社で働いていました。経理関係や営業のバックサポートといった一般事務のほか、CADを使用した図面制作も任されていました。それに加えて副業もこなしており、忙しい毎日を送っていたんです。でも無理がたたったのか、10年ほど前に体を壊してしまって…。

それは大変でしたね。しばらくご療養されたのですか?

数ヶ月間の入院を経験しました。退院後は、体力がずいぶん落ちていることに愕然としましたね。横断歩道で青になったからと歩きはじめても、再び赤に変わるまでに渡り終えられなかったんです。自分の感覚では必死に歩いていたつもりなんですが、まったく体がついてこなくて苦労しました。また、病気の影響で声が少し出にくくなったこともあり、電話応対や長時間の集中が必要とされる前の職場へ復帰するのは難しいと判断しました。

そこで、リハビリを兼ねて体を動かす仕事が良いかもしれないと、配送会社のピッキング作業員へ転職しました。1日中、広い倉庫内で出荷用の商品を集めて回るんですが、総移動距離がものすごい数字になるんです。病後のリハビリにしては少々ハードな気もしましたが、自分のペースで動けるし、快適な空調の環境下ということもあり、大丈夫かなと思っていました。

  Before After
雇用形態 契約社員 契約社員
業種 流通 訪問介護
職種 倉庫内作業 介護士
勤務時間 7:00〜16:00 8:30〜18:00
休日 週休2日 週休2日
仕事内容 ピッキング 身体介助・生活支援

どれくらいの期間、お勤めになったのですか?

ピッキングの仕事は3年程度続けましたが、病状がまた悪くなってしまいましてね。働き方を抑え気味にしたとはいえ、やはり頑張りすぎてしまったように思います。繁忙期には、「どうしても」と残業を頼まれることもありましたから。

病気がぶり返すのはお辛かったでしょうね。

ええ。とにかく無理はせず、体の不調と上手に付き合っていくしかないと改めて認識しました。そして療養を経た後「さて、これからどうしようかな」と考えた時、友人がやっていた介護職のことがふと頭に浮かんだんです。

それまでも「困っているのかな?」というお年寄りや視覚障がいの方を街中で見かけるたび、パッとお手伝いに行けない自分を歯痒く感じることがありました。何かしたいけれど、かえって迷惑がられるんじゃないか。具体的にどんな行動だったら役に立つのか。私には気の弱いところがあるので、まず頭の中でぐるぐる考えてしまうんですよ。

でも、福祉関係の仕事に就いて知識を得れば、誰にでもスマートに手を貸せるようになるかもしれない。そこでハローワークの職業訓練を使い、初任者研修講座を受講することにしたんです。

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ご自身の闘病経験も、介護の世界に目を向けたきっかけの1つでしょうか?

そうですね。体が思うように動かないもどかしさを経験したことで、不自由さを抱えた方に共感できる部分が多くなったと思います。それに、私は家族や医療関係者のみなさんのおかげで、また働くことができるくらい元気になりました。今度は自分が困っている誰かに寄り添う役割を果たすことで、周囲から受けた支援への恩返しになるといいなという気持ちがありました。

ワークライフバランスの取れた職場で、自分の得意を活かせる喜び

資格取得後は、現在もお勤めの「セントケア千葉」へご転職されたんですね。

実習でお世話になったご縁で、今の会社へ入社することを決めました。「セントケア美浜」でホームヘルパーをしています。

さまざまな形態の高齢者施設がある中、訪問介護事業所を選んだのはなぜですか?

実習ではデイサービスや特養にも行きました。どの施設も魅力的でしたが、家事が好きな私には、身体介助だけでなく生活支援を行うホームヘルパーが一番適しているんじゃないかと思ったからです。また、1人で黙々と作業することが好きなので、施設などに比べてマイペースに作業を進められる点も自分に向いていそうだなというのも理由です。

なるほど。では、現在の勤務スタイルを教えてください。

8:30〜18:00の間が勤務時間で、曜日固定で週2日のお休みをいただいています。1日5〜6件のお客様のお宅を訪問し、さまざまな介護サービスを提供します。

業務内容は食事や入浴といった身体介助のほか、生活援助です。生活援助では調理や掃除といった家の中でのお手伝いに限らず、生活必需品の買い物援助など外に出かけることもあります。

スケジュール

ご体調面も考慮しながらの働き方かと思いますが、実際に勤務してみていかがですか?

残業のない規則的な勤務時間としっかりお休みが取れる環境ということもあって、問題なく働けています!それに、業務中の移動は基本的に自転車を利用しているのですが、これが心身ともにリフレッシュになってすごくいいなと感じています。

「やる気のあるスタッフを全力でサポートする」という風土がセントケアの自慢。事業所のみんなのやさしさと支えもあって、楽しくヘルパーを続けることができています。今年で勤続5年目なんですよ。

ほかのヘルパーさんへの指導を任される機会も増えてきたのでは?

そう、気がついたら先輩枠になっちゃってて(苦笑)。新しいスタッフが入った時は、一緒に訪問先へ行って教えることもあります。

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事務やピッキングのお仕事と比べて、最も違いを感じる部分はどこですか?

これまでの職場は、周囲の人たちとうまくコミュニケーションを取って…という業務内容ではなかったため、笑顔で仕事をするという意識自体がなかったんですよね。でもホームヘルパーは、人と人とのつながりや信頼関係こそが最も大切。何もかもが違いすぎて、いつも新鮮な気持ちで業務を行っています。

お客様と接する時の、中村さん流コミュニケーション術を教えてください。

まずは明るい声。そして、声がけには励ます言葉を選ぶこと。どなたが相手でも、笑顔で前向きになれるようなお手伝いがしたいものです。また、お客様には耳が遠い方が多いため、大きい声でゆっくりと話すようにしています。

介護の現場では、これまでの私の人生経験すべてが糧になる

ホームヘルパーの仕事をする上で、特に意識されていることは?

お客様のご自宅にお邪魔すること自体、最初は緊張でガチガチ。「1人でちゃんとやり遂げられるのかな」という不安もありました。けれど通い続けるうちに、利用者様とは自然と気心の知れた間柄になってきます。私自身、この仕事の面白さの1つはコミュニケーションだと思っていますし、ヘルパーの訪問を心待ちにしてくださる方もたくさんいらっしゃいます。

ただ、その感覚が度を越してしまうと、お互いに「慣れ」が出て、トラブルにつながる可能性もあります。「仕事は仕事」と一線を引き、姿勢を正して業務にあたる。私が日々心掛けていることです。

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お客様と1対1の現場だからこそ、対応に悩んでしまう時もありそうですね。

サービス提供が終わって帰宅する際に「この郵便物、ポストに出しといて!」なんて、ちょっとした用足しを気軽に頼まれたりすることはあります。無理なくできる範囲のことなら、お引き受けしたり延長で対応しますが、さすがにそれはちょっと…と感じる場合は「サービスに含まれていないので申し訳ございません」と毅然とした態度でお断りするようにしています。

現場で自分1人というのは、プレッシャーに感じることはありませんか?

私としては、ルールに縛られるより、ある程度の自由度があった方が仕事をしやすいと思っているのでそれほど問題ありません。トラブルになりそうな時はすぐに上司へ電話で相談できる体制もあって心強いですよ。

前職で身につけたスキルが役立つ場面などはありますか?

スキルとは少し違うかもしれませんが…。CADで製図していた頃、私の書いた図面に対して現場の人から厳しいクレームが入ることがありました。当時はそれがものすごく悔しかったし、思いが伝わらない悲しさのような感情に襲われたものです。

けれど今、介護の現場で働いてみて、根本は同じだなと感じます。自分の思うベストな行動も、相手によっては必ずしも喜んでいただけるものではありません。お互い価値観が違う人間同士ですから、受け取り方や感じ方が異なるのは当たり前。ちょっとくらい理不尽に怒られるようなことがあっても、いちいち気に病んだり心が折れずに済んでいるのは、これまでのさまざまな経験のおかげかなと思います。

モチベーショングラフ

お休みの日はどのようにお過ごしですか?

普段の業務で体力を使うので、休みの日はゆっくり休養を取ることを心掛けています。外出する場合は、同居している高齢の両親と散歩や買い物などへ行くことが多いです。介護の仕事をしていると、「外出せず自宅に閉じこもってしまうこと」が高齢者のフレイル(虚弱)の大きな原因だと痛感しますから。

やはり何事も自分自身でやらなくなってしまうと、残存能力が低下してしまいがち。うちの母はもともと料理が苦手なタイプですが「すごいじゃん」なんて声をかけると張り切って作ってくれるので、介護予防のためにもできる範囲内で家事をお願いしているんですよ。結果的に私は楽をさせてもらっています(笑)。

毎日の業務に手を抜くことなく、ずっと続けていきたいホームヘルパーの仕事

これからの目標を聞かせてください。

できるだけ長く、ホームヘルパーの仕事を続けること。訪問先での「ありがとう」という言葉や、喜んでくれているお客様の顔って、やっぱりすごく嬉しいんですよね。小さな力かもしれませんが、困っている人のお力になれると思うと、大きなやりがいを感じます。これからも初心を忘れることなく、日々の業務に精一杯取り組んでいきたいです。

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その一生懸命な姿勢が、中村さんが周囲から大きな信頼を寄せられている理由なんでしょうね。

もっと経験を積み、より良いケアを実践することで、皆さんからの信頼に応えていきたいです。ただ、知見を深めるためには介護福祉士の資格取得が良いとは思うのですが、目を悪くしてしまって…。小さな文字を読むと疲れてしまうんです。だから勉強は少しお休み中。

けれど最近では音声アプリなど、学習ツールが充実していますよね。映像を見るだけで取れる資格もあると聞きます。体調と相談しながら、積極的にチャレンジしていきたいと思っています。

介護業界を目指す方へエールをお願いします!

介護の仕事に興味を持つ方って、それだけで本当に優しい気持ちの持ち主だと思うんです。だから、そんな自分に自信と誇りを持ってください。もしも壁にぶつかった時には、1人で抱え込まずに周りの人と相談してください。一人では困難なことがあっても、きっと乗り越えていけると思います!

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撮影:丸山剛史

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