20年後は約4割が一人暮らしに
2040年には世帯総数の約4割が一人暮らしに
国立社会保障・人口問題研究所によると、夫婦と子どもから成る世帯はすでに減少し始めており、今後もその傾向は続くとされています。また、2025年以降は、夫婦のみ世帯が減少に転じます。
そして、2040年に一人暮らしをしている人の割合は、世帯総数のうち39.3%になると推計されています。

2040年は、今の40代半ばが高齢者になる頃です。ここ数年で、未婚率も非常に高まってきており、今後は高齢者の独居率もさらに上昇していくと考えられています。
独居高齢者が増えて社会から孤立することも
2040年には65歳以上男性は14.9%、65歳以上女性は9.9%が未婚であると推計されています。男性の場合は約5人に1人が、女性の場合は約4人に1人が一人暮らしをする社会になると予想されているのです。
独居高齢者であっても地域との付き合いや友人らとの交流があればよいですが、社会から孤立してしまうことも少なくありません。
最近では新型コロナの影響もあり、そもそも家に閉じこもりがちだった高齢者がますます外出を控え、運動不足で持病が悪化したり、人と会話できないストレスから不眠や食欲不振になったりすることも起きています。
周囲が高齢者の体調の悪化に気づけず、対処が遅れてしまった事例もあります。その結果、起こるのが孤独死です。
新型コロナの感染拡大を受けて、厚生労働省は全国の自治体に対し、高齢者の見守りを強化するよう求めています。一方で、高齢者やその家族らが、各々できちんと備えをしておくのは大切なことです。
独居高齢者に必要なのはお金と体調の管理
60歳以上単身者の月々不足額は2万7,090円
まず考えたいのがお金の管理。老後のために貯金していないと生活に困窮することにもなりかねません。
総務省統計局『家計調査』によると、60歳以上の単身者の場合、月々の不足額は2万7,090円で、不足総額を試算すると975万円になります。
ただし、これらはあくまでも目安ですので、自分の年金額や家計状況を考慮して、「自分の場合はどうなのか?」と整理して考えるのが大切です。
年金については、毎年誕生日前後に送られてくる「ねんきん定期便」を確認するのが好ましいです。また、日本年金機構のサイトでは、年金見込み額の試算が行えるので、なるべく正確な年金支給額を把握しておくことが必要になってくるでしょう。
独居高齢者は地域との交流が少なく死亡リスクが高い
また、独居高齢者はお金の備えだけでなく、体調の管理にも気を配る必要があります。そこで大事なのが地域での人付き合いです。
内閣府が2020年に行った『世論調査』で、地域での付き合いをどの程度しているか聞いたところ、「付き合っている」と回答した割合が65.4%(「よく付き合っている」16.4%+「ある程度付き合っている」49.0%)、「付き合っていない」と回答した割合が34.3%(「あまり付き合っていない」27.4%+「全く付き合っていない」6.8%)となっています。
地域での付き合いがないと回答した人が全体の3割以上いる結果です。
筑波大学の研究調査によると、近所付き合いが少ない独居高齢者は、要介護の状態になる、または死亡する割合が1.7倍高いといったデータもあります。

小都市よりも大都市の方が地域付き合いが希薄になる傾向があります。さらに、女性よりも男性の方が地域付き合いは少ないのです。
会社を定年退職した後に、近所付き合いや友人らとの交流がなく、家に閉じこもりがちになってしまう人も一定数います。その場合、周囲は独居高齢者の体調の悪化に気づきにくい傾向があります。社会全体で独居高齢者を見守る体制強化が求められています。
社会全体で見守る体制強化が必要
玄関先の小旗や高齢宅を訪れる事業者とのコミュニケーションが大切
地域によっては、独居高齢者が玄関先に小旗を掲げることで、対面せずに安否を知らせているところもあります。
そのほか、定期的に独居高齢者宅を訪れる電気やガス、水道の事業者や宅配業者、新聞販売店などと見守りの協定を結んでいる自治体は多くあります。
2020年から発生している新型コロナの感染拡大の影響を受けて、厚生労働省は全国の自治体に対し、高齢者の見守りを強化するよう求めていますが、コロナ禍で対応すべきことは多く、なかなか手が届いていないこともあります。
『令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』によると、健康状態が「良くない」と回答した高齢者の割合は19.5%にも上ります。

性別による大きな差は見られず、70代後半と80歳以上とでは、20%台にも達しています。コロナ禍の混乱の鎮静を待たず、さらに増加する独居高齢者のケアを早急に対処する必要があります。
テクノロジーも活用して独居高齢者を見守ろう
全国には独居高齢者を見守る人手を補いながら、テクノロジーを有効活用している自治体もあります。
2020年2月には、青森県むつ市、NTTコミュニケーションズ、NTTレゾナントが、IoT電球(通信SIMを内蔵しているLED電球)を用いた高齢者向け見守りサービスの実証事業に関する連携協定を結んだことを発表しました。
このIoT電球は、高齢者がトイレを使用したときに自動点灯し、その点灯記録をネット上のクラウド経由で離れた場所にいる家族や行政職員のスマートフォンに通知するものです。
トイレは定期的に使用するものですので、長期間にわたってIoT電球が反応しないなら何か健康状態に不具合が発生しているのではないか、と考えられます。
万が一、独居高齢者に一定時間動きがないときは、自治体職員のパソコンやスマートフォンにアラートが出て、異常事態を即座に把握することができます。
各家庭でこういったサポートを行えれば良いですが、中には家族や親戚との付き合いがない方もいます。こういった方々も社会から孤立させない取り組みが今後も一層求められるでしょう。
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2020年9月7日 制定