高齢者女性の就業意欲も高い!若者だけでない女性の社会進出に注目
意外に小さい日本のジェンダーギャップ
日本人の男女平等に対する意識
2021年3月、世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2021」を公表しました。
この指数は、各国における男女格差を測るため、「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの分野のデータから作成されています。
数値が1に近いほど、男女平等が実現していることになります。
2021年の日本のスコアは0.656で、順位は156ヵ国中120位。
先進国の中では最低レベルで、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となりました。
主な問題点として「国会議員の女性割合の低さ(9.9%)」「女性管理職の少なさ(14.7%)」などが指摘されています。
この指標によって「日本は男女格差が著しい」と報じられることも少なくありません。
一方、世界価値観調査では、日本人の男女平等に対する意識はそれほど低くないことがわかっています。
「民主主義の性質として必須のもの」という項目で「女性が男性と同じ権利を持つ」と回答した人は80.8%に上ります。
また、「男性の方が女性より経営幹部として適している(17.1%)」「大学教育は女子より男子にとって重要である(11.4%)」「男性の方が女性より政治の指導者として適している(20.5%)」という質問に対して、日本人はいずれも否定的な態度を示しています。
このように、日本ではデータによる指標と意識に差があることがわかります。必ずしも「男女平等が遅れている」というわけではないのです。
高齢女性の就業者数は年々上昇
日本では、2015年より「一億総活躍社会」を掲げて、女性や高齢者の就業を推進しています。
2020年の『労働力調査』によると、平均就業者数は6,676万人で前年と比べて48万人の減少。
そのうち15~64歳の就業者数は5,771万人で61万人も減少しました。
対して、65歳以上の就業者数は906万人で14万人増加しています。
そのうち女性は367万人。
2016年と比較すると59万人も増加しています。
全体の就業者数が減少する今、高齢者は労働力として注目されています。中でも高齢女性の就業者が増加すれば、男女格差の緩和にもつながります。
日本の高齢者の就労意欲は世界トップクラス
高齢女性も働く意欲が高い
『高齢社会白書』(2021年)によれば、日本の高齢者は就労意欲が高いことがわかっています。
各国の60歳以上の人に「今後、収入を伴う仕事をしたいか」という質問に対し、日本を除く国の過半数が「収入の伴う仕事をしたくない(辞めたい)」と回答しています。
一方、「収入の伴う仕事をしたい(続けたい)」と回答した割合は、日本が40.2%と最も高く、次いでアメリカ29.9%、ドイツ28.1%、スウェーデン26.6%の順となっています。
さらに、厚生労働省が調査した「65歳以上の継続雇用状況」を見ると、2021年は女性が93.8%で、男性の92.7%を1.1ポイント上回っています。
継続雇用を希望しない人も、男性1.5%に比べて女性は0.9%と低くなっています。
高齢女性には「継続して働きたい」という人が多く、就労意欲が高いと言えるでしょう。
「非正規でも働きたい」と考える理由
高齢就業者は「卸売業・小売業」が126万人と最多で、次いで「農業・林業」が108万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が103万人、「製造業」が94万人となっています。
また、高齢就業者のうち役員を除くと、非正規の職員・従業員が77.3%を占めており、そのうちパート・アルバイトの割合が52.7%と最も高くなっています。
雇用形態が非正規の職員・従業員の高齢者の主な就業理由は、男性では「自分の都合のよい時間に働きたいから」(30.9%)が最も高く、次いで「専門的な技能等をいかせるから」(17.5%)、「家計の補助・学費等を得たいから」(16.5%)などとなっています。
一方の女性は、「自分の都合のよい時間に働きたいから」(38.6%)が最も高く、次いで「家計の補助・学費等を得たいから」(21.1%)、「専門的な技能等をいかせるから」(8.2%)などとなっています。
また、高齢者の就労ニーズなどを事例を基に分析してまとめた論文『高齢者の就労に対する意欲分析』によると、以下の4つに分類されるようです。
- 「無理なく働きたい」
- 「誰かのために役に立ちたい」
- 「満足できる人間関係を得るために働きたい」
- 「お小遣いを稼ぐために働きたい」
中でも、「無理なく働きたい」と考えている高齢者はすべての事例に当てはまっていました。高齢者は正社員として仕事に集中するよりも、働く時間に制限のある非正規雇用の方を選びやすい傾向があるようです。
高齢女性が活躍するために
女性経営者が活躍する農業
高齢女性がすでに活躍している産業のひとつに農業が挙げられます。基幹的農業従事者は約130万人で、51.2%を女性が占めています。そのうち、65歳以上の割合は90.2%にも上ります。
また、農林水産省で開催されていた「女性の農業における活躍推進に向けた検討会」によれば、女性が農業経営に参画すると、経常利益が増加しやすいことがわかっています。
さらに、売上規模別でも、5億円以上の売上がある経営体のうち67.1%は、経営に女性が関与しています。
ちなみに、1,000万円未満の農業経営体では、女性の関与率は35.9%にとどまっており、売上が大きくなればなるほど女性が経営に関与しています。
こうした女性を増やすため、農林水産省では「女性農業地域リーダー育成支援」や「農業における子育て地域ネットワーク支援」などを実施しています。
女性リーダーがいると経営力がアップ?
高齢女性でも就労意欲が高く、技能や意見を発揮すればリーダーになれる可能性を秘めています。農業だけでなく、一般企業にも広めていく必要があるでしょう。
日本における女性の役員数は2019年7月時点で2,124人で全体の5.2%にとどまっています。その一方で、ESG投資調査によると、株式時価総額が100億ドルを超える企業では、女性取締役が1人以上いる企業の方が株価が高くなるとも指摘されています。
また、高齢者は経験や実体験が乏しい若手の指導に向いているともされています。就労意欲の高い高齢女性が役員などの指導的立場に立つことで、男女平等だけでなく、経営にも少なくないメリットをもたらすことでしょう。
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2020年9月7日 制定