人生100年時代に増加するシニア結婚。孤独死のリスク軽減や認知症予防の効果も
シニアの結婚件数が増加した理由
増加傾向にある60歳以上の結婚
近年、シニア層の結婚が増加しています。
2021年9月に公表された『人口動態調査』によると、2020年の60歳以上の人の結婚件数は、男性で992件、女性で402件となりました。
これが2000年は男性327件、女性296件で、この20年で大きく数字を伸ばしています。
シニア世代の婚姻が大きく増えていることがわかります。

こうした傾向を受けて、シニア世代による婚活なども盛んになっています。「シニア結婚」が増えているのは、日本の世帯構造が変化していることがひとつの要因だと考えられています。
背景にある高齢単身世帯の増加
『令和3年版高齢社会白書』によると、「65歳以上の者のいる世帯」はは2,558万4,000世帯で、全世帯の49.4%を占めています。
そのうち「高齢単身世帯」は736万9,000世帯に及び、28.8%にも上ります。
これは1980年以降の調査開始以降、過去最高を記録しています。
さらに国立社会保障・人口問題研究所による将来推計によると、高齢単身世帯は2040年には896万3,000世帯にまで増加すると見込んでいます。
離婚や死別など、単身になる理由はさまざまです。人生100年時代が叫ばれ、高齢者の生活も多様化しているとはいえ、高齢単身世帯が増加すると急病などの緊急時の対応が難しくなるなどのリスクが高まるとされています。
単身高齢者のリスク
単身高齢者は未婚や子なし世帯が多い
日本の高齢単身世帯をみると、未婚の割合が高いことがわかります。前述した高齢社会白書の調査では、日本の高齢単身世帯における未婚割合は27.5%。アメリカ12.5%やドイツ13.6%、スウェーデン13.0%と比較すると、2倍以上です。

そのため、高齢単身世帯における子どもがいない世帯の割合も日本は36.4%と最多。アメリカ21.0%、ドイツ19.1%、スウェーデン20.4%とその差は明らかです。
頼れる人がいない
さらに日本の高齢単身者は、他者との交流やつながりが希薄だという問題もあります。
先述の高齢社会白書で「普段どの程度人(同居の家族、ホームヘルパーなどを含む)と直接会って話をするか」という質問では、「ほとんど毎日」と回答した割合は日本が23.7%と最低。
アメリカ48.5%、ドイツ48.5%、スウェーデン52.2%と各国の半分も満たしていません。
当然ながら「ほとんどない」と回答した割合は25.4%で日本が最多となっています。
また、「病気のときや、一人ではできない日常生活に必要な作業(電球の交換や庭の手入れなど)が必要なとき、同居の家族以外に頼れる人がいるか」という質問に対して、日本は「頼れる人なし」の比率が21.4%に上りました。
一方、「友人」と回答した人の割合は、日本は20.3%。
それに対し、他の3ヵ国は約30~50%の高い水準となっています。
「近所の人」と回答した人の割合についても、日本は17.6%なのに対して、他の3ヵ国は約20~40%でした。
近所の人と「病気のときに助け合う」関係があると回答した単身高齢者の割合でも、日本は7.7%で最低です。
日本の高齢単身者は家族以外に助け合える人がいないにもかかわらず、未婚や子どものいない世帯が多いため、社会から孤立するリスクが高いと言えるでしょう。
シニア世代の結婚がもたらすメリット
結婚をしていると認知症リスクが下がる
高齢者の結婚には、さまざまなメリットがあると考えられています。意外なところでは結婚をしていると、認知症のリスクが低下するという報告もあります。
CNNによると、イギリスのロンドン大学の研究チームは「生涯を通じて未婚だった人は、結婚している人に比べてアルツハイマーなどの認知症を発症するリスクが42%高い可能性がある」と指摘。
また、同研究では配偶者に先立たれた人も、認知症になるリスクが20%高いと発表しています。
日本でも同様のデータが得られています。
富山大学や敦賀市立看護大の教授らが発表した論文によると、「配偶者と一緒にいない状況」にあると、認知症のリスクが1.71倍高いことがわかっています。
さらに、脳卒中や糖尿病などの生活習慣病のリスクも高まることがわかっています。

夫婦での見守りによって孤立を防止
第一生命経済研究所が発表した『高齢者の夫婦関係』では、病気などで一時的に寝込んだとき、あるいは寝たきりになったり、体の自由が利かなくなったりした場合、配偶者をどれだけ信頼しているかを調査しています。
それによると、配偶者が「頼りになる」と回答した人は全体で49%に上ることがわかっています。
また、厚生労働省は「単身高齢者の中には、できるだけ他人に迷惑をかけたくない、自分は一人で死んでもいいという考え方を持つ人もいる」点を指摘しています。
配偶者や家族は信用できても、友人や知人にまで迷惑をかけたくないと考える高齢者が少なくないのでしょう。
こうした高齢者が単身世帯になると、他者とのつながりを断ち、社会から孤立してしまう可能性があります。
夫婦関係が良好で健康に過ごせていれば、死別することがない限り、お互いを見守ることができます。こうした意味でもシニア世代による結婚の増加は、メリットが大きいと言えるでしょう。
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2020年9月7日 制定