
「認知症の予防には食生活の改善が良い」。
今や一般常識として当然のように考えられていますが、その分、情報過多になっており“結局、何を食べれば良いの?”と分からなくなってしまっている人も多いのでは?そこで今回は、認知症予防に効果的と考えられる食材や食べ方についてまとめてみました。
これを読んで健康的な食生活を、そして認知症の発症・進行の予防に努めましょう!
日々の食生活で“ゴミタンパク”を溜めないことが認知症の予防になる!

具体的な食材や食べ方についてご説明する前に、認知症が発症するメカニズムについて、簡単にご説明しておきましょう。
アルツハイマー型認知症の原因物質として、「アミロイドβタンパク」という物質が考えられています。
これは、加齢とともに脳内に溜まってくる“ゴミタンパク”の一種。
若いうちにもあることはあるのですが、その時点では体内で掃除する機能があり、一時的に溜まることはあってもすぐにキレイになるのです。
このゴミタンパクは、「ラクナ梗塞」と呼ばれる小さな脳梗塞の原因にもなり得る物質です。このゴミタンパクが脳内に溜まって血栓になると、脳梗塞や脳出血のリスクが高まり、同時に脳血管性認知症になる可能性も出てくることに。
つまり、アルツハイマー型認知症でも脳血管性認知症でも、いかにゴミタンパクである「アミロイドβタンパク」を溜め込まないかということが認知症の予防になる、ということになります。
そのためには、糖分・油分・塩分・アルコールの摂取を控えることが大事。
体内にこれらが蓄積されると、細胞から徐々に水分が減少し、代謝機能が悪化すると考えられています。
すると、ゴミタンパクが体内に溜まっていき、認知症を引き起こす一因になってしまう。
こう考えると、食生活の改善が認知症の予防につながるのも頷けますよね。
<認知症予防に効果的な食材① 緑黄色野菜>認知症予防にはビタミンC&ビタミンEの同時摂取が効果的!

人間の脳は、体重の2%ほどしかありません。
しかし、エネルギーの消費量は全体の20%にも上ると言われており、そのためには大量の酸素とエネルギーが必要。
大量の酸素を消費すると同時に活性酸素も発生しやすく、活性酸素によって脳が酸化すると細胞や血管が老化し、認知症になりやすくなってしまいます。
そこで注目したいのがビタミン類で、特に緑黄色野菜から摂取することが望ましいと言われています。
緑黄色野菜とは、ご存知の通り色のついた野菜のことで、一般的にはカロテンなどの色素を多く含んでいます。厚生労働省でも緑黄色野菜の基準が設けられており、原則として「可食部100gあたりカロテン含有量が600μg以上」とされています。

さて、ビタミンに話を戻しましょう。アメリカの『ブルームバーグ公衆衛生大学』の研究から引用します。
研究では、1995~1997年と1998~2000年にかけて3000人以上の65歳以上高齢者の認知機能について調査しています。
すると、延べ300人以上のアルツハイマー型認知症の患者が判明したのですが、認知症を発症していないひとを見ると、ビタミンC群とビタミンE群の栄養補助剤を一緒に飲んでいることが分かったのです。
つまり、ビタミンCとEを一緒に摂ることが認知症の予防に適していること。ビタミンCとは、体内の免疫力や抵抗力を高めたり、血中コレステロール値を下げたり、鉄分の吸収を助ける作用があるものです。
対してビタミンEは、老化の主な原因とされる過酸化脂質が作られるのを妨げる働きがあります。ビタミンCと一緒に摂ることで、体内の抗酸化作用を高めると言われているため、CとEを一緒に摂るのがベスト、というわけです。
上記のカロテン含有量が多い野菜には、総じてビタミン類が多く含まれているので、認知症の予防のために積極的に摂ることをオススメします。
<認知症予防に効果的な食材② 青魚>不飽和脂肪酸と同時に、カルシウムの摂取で認知症予防に!

「不飽和脂肪酸」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。これは魚などに多く含まれる成分で、代表的なものがDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)で、オメガ3脂肪酸と総称されています。
イワシやサンマ、サバといった青魚に多く含まれているDHAやEPAといった不飽和脂肪酸は、アミロイドβなどのゴミタンパクが溜まるのを防ぐ役割があり、血栓ができたり動脈硬化になったりするのを予防する働きがあるのです。
こちらもすでに研究が進んでおり、アメリカのニューイングランド地方にある『ロードアイランド病院』の医師らによって、定期的に魚油を摂取している高齢者ほど脳の状態が良好だということが判明しています。
800人の高齢者の脳をMRIで検査したところ、魚油を積極的に摂取していた人は、そうでない人よりも脳の萎縮の度合いが小さかったそうで、つまりは認知機能が正常に働いているという結果が出ているということになります。

もうひとつ魚をオススメしたい理由が、カルシウムです。
人間の体内にあるカルシウムの99%は骨や歯に含まれていますが、残りの1%が不足しだすと、骨や歯にあるカルシウムが血液や筋肉に溶け出してしまいます。
そうして骨がスカスカになって骨粗しょう症を引き起こすのは問題ですが、骨から溶け出したカルシウムが血管内に溜まって動脈硬化を引き起こし、そこから高血圧、ひいては認知症…とつながる例も珍しくないのです。
たった1%、されど1%。その1%をしっかりと確保しておくためにもカルシウムの摂取は重要なのです。そう考えると、やはり魚も、認知症予防のために積極的に食べておきたい食材だということになります。
と同時に、昨今の研究では乳製品の摂取も効果的だと考えられています。
これは、福岡県の久山町で行われている研究の結果を受けたもの。
牛乳をはじめとした乳製品の摂取量が多い人ほど、その量と反比例するように認知症の発症率が下がっていることが判明しているそうで、乳製品の摂取も、青魚と同様にオススメしたいところです。
<認知症予防に効果的な食材③ 大豆製品>大豆製品+血液サラサラ食材の摂取で血管を若く保とう!

豆腐や納豆、みそ、豆乳、おからといった大豆製品には、抗酸化作用のある大豆サポニンが多く含まれています。この大豆サポニンには、コレステロールを低下させ、高血圧や動脈硬化、ガンを予防する効果があると言われています。
特に高血圧や動脈硬化、高脂血症は認知症になる一因とも言われているため、その予防には大豆製品が最適というのは言わずもがなでしょう。
また、大豆製品には大豆レシチンという成分も多く、脂質の代謝を高めて肥満予防や糖尿病につなげる効果もあり、そこからもまた認知症予防につなげられると考えられています。
大豆サポニンや大豆レシチンを効果的に作用させるためには、血液をサラサラにする食材を摂るのも効果的。
玉ねぎやキャベツ、らっきょう、長ネギ、にんにくetc。
脳内の血液をサラサラにして血管を若く保ち、なおかつ大豆が含む成分を作用させるためには、“血液サラサラ食材”の摂取も忘れずにしたいところです。
<認知症予防に効果的な食材④ カフェイン>認知症予防にはコーヒー&緑茶!1日2~3杯を目安に飲むと効果的

「カフェイン」と聞くとコーヒーを思い浮かべる人も多いと思いますが、日本人にはおなじみの緑茶にも多く含まれているもの。これらコーヒーや緑茶に含まれるカフェインが認知症予防に効果的とする研究は世界各国で行われており、学術論文としても発表されています。
例えば『オランダ国立公衆衛生環境研究所』の研究によると、コーヒーを1日3杯飲む高齢者の認知機能の低下が最も小さく、逆にコーヒーを飲まないという高齢者の中には認知機能の著しい低下が見られる人が多かったそう。
国内に目を向けると、東北大学医学部の社会医学講座公衆衛生学分野の研究により、緑茶を1日2杯以上飲むことが認知機能の維持に効果的だということも判明しています。
認知症予防のために緑黄色野菜を積極的に摂ると良いというのと同様に、カフェインもまた、血液にゴミタンパクが溜まるのを防ぐ役割があるというのが根底にある考え方。血流を良くし、かつ脳内の神経伝達を良くする働きがあるというのです。
とはいえ、摂取のし過ぎは禁物です。
ビタミンや不飽和脂肪酸と異なり、カフェインの摂り過ぎは心拍数の増加や不整脈、感覚過敏や神経過敏、睡眠障がいを引き起こす可能性も。
アメリカでは、カフェインが多量に入っているエナジードリンクを飲んだ少女が亡くなるといった事故も起こっており、過剰摂取には十分な注意を払いたいもの。
持病や既往歴のために定期的に通院している高齢者は、主治医とも相談した方が良いでしょう。
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2020年9月7日 制定