世の求人には高齢者就業を阻む”年齢”という高い壁が…現役世代と遜色ないフラットな雇用理念が”総活躍”のポイントに!?
高齢者就業を、年齢が弾く
仕事をしたいと思っている高齢者や実際に働いている高齢者存在するという事実がある一方で、実際の高齢者就業にはやはり壁が存在しています。
総務省統計局の調査において、国全体の完全失業率はが2.8%と非常に低くなっていますが、これは社会が人手不足に陥っているということも意味しています。
日本は福祉大国であるヨーロッパ諸国に比べ完全失業率は低くなっているものの、高齢者においては全年齢の倍以上の失業率となっているのです。
問題は、経済的な事情から働きたいと思ってはいるものの、実際の求人とマッチングしないということ。60代後半になれば、潜在的な失業率はさらに高くなってしまいます。年を取れば取るほど仕事探しが困難になるという現状があるのです。
では、何が高齢者就業の壁になっているのでしょうか。
内閣府が発表した「高齢者の就業:意識と現実」では中高年・高齢者の場合、やはり年齢がネックになっている様子がわかります。
再就職をしたいと考えた場合、50代後半で「求人の年齢と自分の年齢とがあわない」と答えた人は46.4%に。60代前半では49.6%、60代後半では61.9%と年齢がハードルとなり仕事を見つけることができないというのが就職の壁となっているようです。
また、60代前半では30%が就労していません。その他には仕事をしたくても見つからない人が5%程度、パートやアルバイトで就労している人が20.6%、正社員が18.4%、役員となっているのが10%、自営業が15%程度という項目が見て取れます。
そして非就労の割合は65歳以上で70%まで上昇。自営業者は15%と変わらない割合になっていますが、それ以外は大幅に減ってしまいます。
仕事をしたいと思ってはいるが、やはり求人と年齢がマッチしないということが高齢者就業の壁になっているのです。
小規模な会社が高齢者雇用には積極的な様子!
以前、高齢者は実際の就業においてパートやアルバイトでの就業を希望しているということをお伝えしました。
第302回 高齢者の労働はやりがいよりも生活を続けていくための選択だった…アルバイトを希望するデータもあり、マッチングが課題に!?(ニッポンの介護学)
ここでも従業員数が99人を下回っている、企業規模の小さい会社が高齢者雇用を行っていることがわかります。
若い人の場合は長期間働きたいと希望する人が多く、終身雇用や年功序列がまだまだ存在している大企業での就労を希望します。しかし、高齢者の場合では必ずしも長期就労を希望するわけではないのでパートやアルバイトといった形態での就労が多いようです。
また、ハローワークで仕事を探そうにも「キャリア形成のため若年層を希望」というパターンが多く、募集年齢は35歳、高くても40歳前後になっているケースがほとんどです。
こうした募集時の年齢層がマッチしないことからも高齢者の再就職が難しいことがうかがえます。
景気に左右されやすいのが高齢者就業で…
高齢者就業は景気にも大きな影響を受ける対象となっています。
簡単な仕事を任せられるケースが多いので、不況下ではそうした簡単な仕事からレイオフされてしまうのです。
昨今は経済状況が良好であり、人手不足といった状況にあるため高齢者でも比較的就労しやすい環境となっていますが、高齢者が肉体に負担をかけずにできる仕事は依然として競争率が高くなっています。
また、バブル期と同水準の雇用状況を達成するなど上向きとなりつつある経済は、特に首都圏でパート・アルバイト賃金の底上げを実現させています。
しかしデータが示しているいるように、就労したい仕事がないために就業を断念している人が一定数存在。
それを含めれば高齢者の失業率は低いとはいえず、むしろ高い水準といえるでしょう。
結果として生活苦より借金や軽犯罪を犯し、自分を追い詰めてしまう人が後を絶ちません。
シルバー世代には多くのチャンスがある!
数年前にハンバーガーチェーンのモスバーガーが、「モスジーバー」という名前で高齢のスタッフを雇ったことがニュースとなりました。マニュアルだけではない、温かみのある接客や丁寧に仕事が店舗にも顧客にも好評だったようです。
新聞配達やコンビニ、駐車場の警備やガードマンなどは高齢者の定番ともいえる仕事。楽な仕事ではありませんが、街中でよく見かける高齢者就業の現実です。
現在では厚生労働省の指導に従い、希望者の定年退職後再雇用が義務付けられています。65歳までの再雇用に加えて定年延長なども検討されている中、現役時代に雇用されていた職場で再び働き続けるという選択肢も取れるようになってきました。
これは若年層の雇用や派遣社員などの雇用を奪うとして一部批判もあるのですが、高齢者の働く場がないということは社会福祉面での出費が増え、結局は増税につながることになってしまうのです。
それならば高齢者も現役世代も能力に応じた対価を受け取ることができるような、フラットな雇用理念を実現していくことが大切になってきます。
チャンスは若い世代だけにあるのではありません。シルバー世代になってから起業して雇用を創出している人もいることに加え、クラウドソーシングなどで活躍する高齢者が増えてきているのも事実です。
高齢者になっても働けている人はなんといっても健康です。
福祉に頼らず、自分の力で生き抜いてくという気概が肝要なのかもしれません。
1億総活躍社会では高齢者の就業の場も今後はさらに増えていきます。
生涯に渡ってさまざまな経験ができるチャンスは、誰にでも開かれているのです。
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2020年9月7日 制定