現場にはいったい何人いるの?介護福祉士の資格保有者数!
現代介護の屋台骨を支える介護福祉士。介護職を担う介護労働者のうち、この資格を有している人はいったいどれほどの割合でいるのかご存知でしょうか。
介護労働安定センターの発表では、介護福祉士の資格取得状況は高い割合を示しているようです。介護職員が介護福祉士の資格を持っている割合は49.9%、サービス提供責任者に至っては78.3%が介護福祉士の資格を持っているのです。
全体では、39.5%の人が介護福祉士の資格を保有。初心者向けの介護職員初任者研修の資格は39.6%が保持していますので、ほぼ同程度の割合となっています。

やはり資格取得は介護という仕事を行う上で重要だと認識している人が多いといえます。
介護福祉士は、介護職にある国家資格。日常生活をひとりで送ることが困難なお年寄りに寄り添い介助を行います。特に介護現場の中でも専門性が高く、他業種(医師や看護師など)と連携していくことも期待されている重要な職種となります。
また、介護福祉士は介護の現場でリーダーとなることを任されている資格でもあります。国家資格として認定されている故、国も介護福祉士を介護の現場の中心的存在と位置づけています。
そして、介護福祉士はケアマネージャーの資格を取るためにも欠かせないものとなっており、900日、5年以上の介護職従事によりケアマネージャーの受験資格を得ることができます。
キャリアアップにもつながる資格が介護福祉士。
介護職は外から見るだけでは高齢者のお世話をするということがほとんどのように思えるかもしれません。
しかし、現場で実際に立つスタッフ、またその中でまとめる人や施設の責任者、そしてケアプランを作成者など、さまざまな職種に分けられ上級職になるほど専門性が高くなっているのです。
介護職において介護福祉士の資格取得は、最初にめざすべき資格の第一歩として必須といえるかもしれません。
介護士資格と保育士資格は互いにシナジーを生み出せるか?
そんな介護福祉士ですが、厚生労働省は介護福祉士と保育士の資格取得に一部受験科目の重複があるとし、「社会福祉」などの3つの科目を資格取得者による試験から免除する方針を固めました。
これは、人手不足の福祉業界・保育業界の人材確保を容易にする仕組みです。調査では賛否両論があり、「職業選択の自由が増える」という意見の一方、「介護の仕事をしている人に保育の仕事が務まるとは思えない」との反対意見もあります。
介護職の人に、「介護福祉士などの資格を持っている人が、保育士の資格を取得しやすくなるという取り組みをどう思いますか?」という問いかけに対し、「賛成」は37%、「どちらかといえば賛成」は35%で合計72%もの人がダブルライセンスの可能性に賛成しています。
賛成(37%) | |
どちらかと言えば賛成(35%) | |
どちらかと言えば反対(19%) | |
反対(9%) |
「すでに資格を持っているのであれば、重複した教科は受けなくとも良い」「職業選択の幅が増える」「人材不足の解消につながる」などの意見が出たのです。

介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士が保育の資格を取得することで保育の現場に入る、あるいは保育士が介護福祉士の資格を取得し介護の現場に入ることで「多角的な視点」から物事を見ることができるようになります。
それに加え、さまざまな職歴を積んだ人材が現場に入ることで質も向上するのではないだろうか、という声も上がっています。
そして雇用の流動性が高まることで、劣悪な労働環境ならば辞職という選択肢も選びやすくなり、各業界の待遇改善にも期待が出来るでしょう。
一方で消極的な側面も考えなければいけません。
介護福祉士と保育士は同じ福祉の仕事とはいえ相手が幼児か、お年寄りか、では仕事の内容も大きく異なります。
そして職業選択の自由が増えると言えど、どちらも給与等での待遇で議論が絶えない仕事。
介護士と保育士、双方の往来が両業界における待遇向上へ良い影響を与えることが期待されています。
過去最小にまで落ち込んだ、介護福祉士養成学校の入学者数…
しかし、ここまでみてきた介護福祉士の資格ですが、養成学校の入学者数が右肩下がりに減り続けています。
実際の入学者数は定員1万5,891人に対して7,258人、45.7%の充足率となります。前年は定員1万6,704人のうち入学者数7,752人、グラフを見てもお分かりいただける通り、年々その数は減っています。

10年前は定員2万6,095人に対し入学者数1万6,696人、充足率は64.0%となっていました。高齢化社会になるに従って介護職員のニーズは増える一方であり、このままでは将来的にも人材不足の解消は難しそうです。
若者はもちろん、他業種から介護の仕事を目指すことが出来ない現状にしっかりと目を向けなければなりません。
「やりがい」「介護福祉士のイメージ向上」などの目に見えないものも大切ですが、「待遇」すなわち「賃金」を仕事に見合うように反映しなければ、そうした新しい人材の誘致はできないでしょう。
福祉的な「心」や「思いやり」、「モチベーション」といった言葉を用い、現実的な側面をないがしろにしてきたことは、介護福祉士の待遇が向上していない理由の1つと言えそうです。
外国人学生が8.1%を超えたものの、日本人労働者の増える見通しはありません。国が介護福祉士を増やしたい一方で、介護の現場では今後も深刻な人手不足が続くでしょう。
それに歯止めをかけるには、「介護福祉士の資格取得によって生計を賄う」ということについて具体的なプランを立てていく必要もありそうです。処遇改善加算など平均賃金は1万円上昇しましたが、それではまだまだ不足の声もあがっています。
いま一部で解禁されようとしている混合介護の他、介護施設の売上をアップさせ、生まれた利益から介護職員の給与を向上させていく手立てを考えることが重要です。
抜本的な改革を行い、介護福祉士をより取得しがいのある資格にしていかなければいけません。
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2020年9月7日 制定