60代でのSNS利用者は約2割。Facebookを使うと高齢者の認知症予防に効果アリ?
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用が、高齢者の間で増加しています。実は、高齢者のSNS利用にはメリットが多いとされます。
2017年現在、巷で人気のSNSは、Facebook、Twitter、Instagram、LINEなど。
Facebookは実名を基本としたSNSで、生まれ年などから高齢者ということがわかります。
Twitterは匿名性が強いですが、プロフィールに60代、70代、80代であることを公言している方も少なくありません。
インスタグラムはスマホのカメラを使ってアプリから投稿するサービスのため、利用のハードルが高いと思われがちですが、女優の黒柳徹子さんなどは80代にも関わらず、インスタグラムを見事に使いこなしています。
LINEで家族とコミュニケーションを取っている方も増加しているようですし、高齢者の間でもSNSは確実に普及しつつあると言えるでしょう。
では、具体的に、どのように普及し、どのようなメリットがあるのか、見ていきましょう。
高齢者のインターネット・SNS・スマートフォンの利用率は上昇中
総務省が発表している全世代のインターネット利用動向の調査結果を見てみると、高齢者のインターネット利用率上昇が確認できます。
たとえば、60~69歳は2011年に68.7%だったものが、2015年には76.6%に上昇。
70~79歳は2011年に42.6%だったものが2015年には53.5%。
さすがに80歳以上の利用率は20.2%と控えめですが、それでもこのデータからは、高齢者のインターネットの利用率は高くなってきていることがわかります。

高齢のインターネット利用者の増加に伴い、SNSの利用者も増える傾向にあります。
総務省はこちらも調査していますが、SNSの利用者は60~69歳の間で、2014年19.0%、2015年22.5%、2016年22.6%と、徐々に利用割合の上昇が見られます。
高齢者にスマートフォンとタブレットが普及しつつある状況
また、ソニー生命保険株式会社が、2016年に実施した50~79歳の男女1,000人へのリサーチによると、シニアのスマートフォン、タブレット端末等の利用状況はとても好調の様子です。
特にスマートフォンは、「現在、利用している」が40.9%、「利用はしていないが、したいと思う」が15.2%、タブレット端末は「現在、利用している」が19.6%、「利用はしていないが、したいと思う」が16.0%となっています。

この関心は、高齢者の間でも高いようです。
テレビでも頻繁にスマホやタブレットのCMが打たれていますし、携帯ショップでも取り扱いが大きく、また周囲のシニア仲間が利用していたり、子供や孫が利用しているのを見て関心が高まったり、ということが背景にありそうです。
では、高齢者は何を目的として、インターネットを利用しているのでしょうか。
高齢者にインターネットの用途を訪ねたところ、多かったのが「メールの送受信」「地図や交通情報などを無料で利用」「ショッピング、サービスの購入」「金融、デジタルコンテンツの購入」など。
その中には「SNSの利用」との回答も20%程度ありました。
高齢者のインターネット、SNS利用には大きなメリット!特にうつ病・抑うつ神経症の対策に
アメリカの調査によると、高齢者に限りSNS利用はメリットが多く、とくにリタイア世代にとってうつ病や抑うつ神経症等のリスクを低下させることが明らかとなっています。
若い世代がSNSに夢中になることが問題視される反面、高齢者のSNS利用は孤独感を紛らわせ、精神衛生上とても良いことが調査で発覚したのです。
これは、高齢者は実名と年齢を明かしSNSを利用する傾向が高く、他の利用者に新鮮な驚きを与えていることに加え、投稿する内容がそれまでの長い職業生活や家庭を営んできた実感、人生経験などから生み出される示唆に富んだコンテンツが若い人に刺激を与えて尊敬されるため、自己肯定感が高まるからだと考えられます。
実際、アメリカ在住の89歳女性は、夫と子供を亡くした喪失感を乗り越えるためにインスタグラムを始め、独自のファッションセンスで300万人以上のフォロワーを獲得しているという例もあるくらい。
国内でもボケ防止やうつ病の予防、そして違う世代の方とのコミュニケーションのためにSNSアカウントを開設する高齢者が少なからずおり、Twitterなどで多くのフォロワーを抱えているケースも多いのです。
また、不特定多数と交流しなくとも、FacebookやLINEなどで家族や同級生、知人などと旧交を温めている人も多いようです。
高齢者のSNS利用は、認知症の対策にもなる
国民生活基礎調査によると、介護理由の15.8%を占めるのが認知症です。
認知症は、コミュニケーションが活発で、人間関係が充実していると起こりにくいということが明らかになっています。
認知症の方を介護する結果になるのは、もともとコミュニケーションが足りていなかったから、という側面も一部には指摘されているほどです。
アメリカでの実験によると、高齢者にパソコンで日記をつけてもらうケースと、Facebookに1日1度以上ポストしてもらうケースに分けたところ、認知能力に向上が見られたのはFacebookのグループでした。
パソコンで日記をつけるなど、指先を使う行為が認知症予防につながるというのは、もはや定説と言って良いでしょう。
しかし、そこにSNSが加わり他者からの承認が生まれると、脳に新鮮な刺激が伝わり、活性化されるのです。
また、他人の投稿を見て人の生活状況や異なる価値観に触れることでも、脳の機能が改善されます。
実際に、練馬区ではFacebookの認知症予防効果に注目し、高齢者と職員だけのグループを作り、そこで交流を行うレッスンをしています。
認知症予防プログラムで全12回。
ここで投稿やFacebookの使い方、基本的なネットマナーなどを学習し、子供、孫、友人、知人、そして不特定多数に見られても問題のない投稿を学んでいきます。
そして反対に、他者との交流が少ない高齢者は、認知症リスクが1.4倍高まるという調査が、日本福祉大学によって明らかになっています。
人付き合いが少ない高齢者は、認知症になりやすいことが、追跡調査によって理解されました。
コミュニケーションを取らないと、認知症になりやすいのです。
高齢者の4人に1人は親しい友人がいない?
内閣府の調査によると、高齢者に「友人がいるか」と訪ねたところ、同性、異性ともに友人がいないと答えた人が25.9%となりました。
これは全体の1/4を占めており、今回見てきた状況とあわせて鑑みると、うつ病、抑うつ神経症、認知症などのリスクが高い人が一定数いる、ということになります。

孤独を解消することは、高齢者にとってとても重要なことであることがわかりました。
人は誰しもコミュニケーションの欲求を持っています。
上手に周りと人間関係を築いていくことは、意外と難しいことではあるのですが、生活の質、すなわちQOL(quality of life)を高めてくれます。
それは、オンライン越しであっても変わらないのです。
今の高齢者は、若い頃インターネットがなく対面の交流が当たり前だったこともあり、社交性が高い人も多いという印象です。そのコミュニケーション力をオンラインでも発揮して、認知症などの予防につなげてもらいたいものです。
高齢者は機械が苦手、というのは過去の話になりつつあります。 高齢者が増えるにしたがって、認知症高齢者も増える、といわれていますが、SNSの普及がそれに歯止めをかける役割を果たす日は近いかもしれません。
みんなのコメント
ニックネームをご登録いただければニックネームの表示になります。
投稿を行った場合、
ガイドラインに同意したものとみなします。
みんなのコメント -件
投稿ガイドライン
コミュニティおよびコメント欄は、コミュニティや記事を介してユーザーが自分の意見を述べたり、ユーザー同士で議論することで、見識を深めることを目的としています。トピックスやコメントは誰でも自由に投稿・閲覧することができますが、ルールや目的に沿わない投稿については削除される場合もあります。利用目的をよく理解し、ルールを守ってご活用ください。
書き込まれたコメントは当社の判断により、違法行為につながる投稿や公序良俗に反する投稿、差別や人権侵害などを助長する投稿については即座に排除されたり、表示を保留されたりすることがあります。また、いわゆる「荒らし」に相当すると判断された投稿についても削除される場合があります。なお、コメントシステムの仕様や機能は、ユーザーに事前に通知することなく、裁量により変更されたり、中断または停止されることがあります。なお、削除理由については当社は開示する義務を一切負いません。
ユーザーが投稿したコメントに関する著作権は、投稿を行ったユーザーに帰属します。なお、コメントが投稿されたことをもって、ユーザーは当社に対して、投稿したコメントを当社が日本の国内外で無償かつ非独占的に利用する権利を期限の定めなく許諾(第三者へ許諾する権利を含みます)することに同意されたものとします。また、ユーザーは、当社および当社の指定する第三者に対し、投稿したコメントについて著作者人格権を行使しないことに同意されたものとします。
当社が必要と判断した場合には、ユーザーの承諾なしに本ガイドラインを変更することができるものとします。
以下のメールアドレスにお問い合わせください。
info@minnanokaigo.com
当社はユーザー間もしくはユーザーと第三者間とのトラブル、およびその他の損害について一切の責任を負いません。
2020年9月7日 制定