介護職員の研修に対する補助金支給や認知症介護の実践研修を実施
松山市の人材育成に対する補助金や研修制度については、市だけで対策を講じるのは難しい状況になっています。
そこで、松山市は愛媛県社会福祉協議会と連携して、人材のスキルアップや長く努めてもらうための対策を取っているのです。
ここでは、介護職員の支援のうち、主なものをピックアップしました。
まずは、「松山市人材育成事業補助金制度」をご紹介しましょう。
これは、松山市内における中小企業者、または中小企業団体が従事者の質の向上を図るために、研修などを受講するときにかかる必要経費の一部を補助する制度のことをいいます。
補助の対象となる研修は、「国家資格、公的資格の取得に必要な研修」、「県や市の入札要件になっている研修や、法律等で施設ごとに配置が義務付けられている専門家になるための研修」です。
補助金の額としては、補助対象経費(受講料)の2分の1以内で、1つの中小企業等につき、1年度に合計で20万円までの補助金を受けることができます。
次に「愛媛県認知症介護実践者研修」をご紹介しましょう。
これは、認知症高齢者の介護に関する実践的研修のことをいいます。
開催する目的は認知症介護技術を向上させることです。
認知症介護の専門職員を養成することにより、認知症高齢者に対する介護サービスのいっそうの充実が期待されます。
続いて「介護職員初任者研修受講促進事業」をご紹介しましょう。
これは、介護事業所が雇用する職員に介護職員初任者研修を受講させた際の受講料を助成するものをいいます。
ちなみに、この事業の目的は介護職員の確保・定着を促すことです。
介護職員初任者研修を受講する際の受講費用を負担した金額に対して、3分の2の金額が助成の対象となっています。
ちなみに2023年度は100名程度、先着順で募集していました。
このように、松山市は介護職員向けのさまざまな支援を用意しているのです。
もしも松山市で介護職員になろうとしている方は、ここで紹介したような支援を活用しつつ、スキルアップを図っていくことをおすすめします。
2020年の高齢化率は27.3%!高齢者のいる世帯の急増が特徴
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「日本の地域別将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
愛媛県の県庁所在地の松山市は、愛媛県の約60%の人口が集中している、四国全体で見ても最大の人口を抱えた都市です。
松山市の人口は、20世紀が終わる前から増加を続けており、2000年頃に50万人を突破しました。
ただし今後は、ゆっくりと減っていくと予想されています。
国勢調査によると、松山市の総人口は2020年時点で51万1,192人でした。
ここで、年齢3区分別に人口を見ていきましょう。
1990年の国勢調査では、0~14 歳の年少人口が11万6,800人(18.9%)、15~64 歳の生産年齢が42万2,000人(68.3%)、65歳以上の老人人口が7万8,100人(11.7%)でした。
その30年後の2020年の国勢調査をみると、 年少人口が6万1,680人(12.07%)、生産年齢人口が28万6,198人(55.99%)、老年人口が13万9,574人(27.3%)だったのです。
(ちなみに、2020年時点での全国の高齢化率の平均値は28.8%でした。)
このように、年少人口と生産年齢人口が ともに減少傾向にある一方で、老年人口は急激に増加しています。
また構成比でも、年少人口と生産年齢人口の割合が低下している一方で、老年人口の割合は急上昇していますね。
2025年には、高齢化率は30%を超えるものとみられています。
松山市は、高齢化率だけに目を向けるなら、まだほかの地域と比べると深刻な状況には陥っていないと考えて良いでしょう。
しかしそれは、松山市が県庁所在地であるという背景を持つためで、これまで人口がずっと流入してきたためといえます。
松山市の高齢化率は全国平均の高齢化率に比べて低いですが、年々上昇しているのです。
現状の高齢化率の低さを甘く見るべきではありません。
さらに、高齢者のいる世帯数の増加にも着目すべきです。
今後は人口の増加が劇的に伸びることが考えにくいため、高齢化の問題はより顕在化していくでしょう。
2015年度では高齢者のいる世帯数は9万5,281世帯だったのに対し、5年後の2020年度には10万3,614世帯と、10万世帯を突破。
高齢者単身世帯も、2015年度の4万1,712世帯から、2020年度は4万8,642世帯と7,00世帯近く増加しました。
また、高齢者の増加に伴い、要介護等認定者は年々増加しており、松山市の認定率は、2020年度が21.5%となっています。
全国平均が18.4%という数値を見ると、高い状況がうかがえます。
今後は人口の増加が劇的に伸びることが考えにくいため、高齢化の問題はより顕在化していくでしょう。