介護職志望者への貸付制度が充実
群馬県では、介護福祉士の資格を取得するための費用や、介護職を離れていた人が再就職するときに必要となる費用を社会福祉法人群馬県社会福祉協議会が貸与する「介護福祉士修学資金貸付事業」「介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業」「離職した介護人材の再就職準備金貸付事業」があります。
これらの制度は、地域の介護人材の育成や確保を目的としており、指定された業務に一定期間従事すると、返済が免除となります。
どんな概要なのか、対象者や返金免除について見ていきましょう。
まずは、介護福祉士修学資金貸付事業をご紹介します。
貸付対象者は、以下の4点すべてに該当する方です。
- 群馬県内の介護福祉士養成施設に在学中の方。または、群馬県外の介護福祉士養成施設に在学中で県内に住民登録がある方。あるいは、介護福祉士養成施設に在学することになった年度の前年に住所が群馬県にあり、修学のために転居した方
- 介護福祉士養成施設を卒業した日から1年以内に介護福祉士の登録を済ませ、群馬県内で介護業務に就く意思がある方
- 介護福祉士訓練や生活福祉資金の修学資金、日本学生支援機構の奨学金などの修学資金をほかから受けていない方
- 世帯の年間所得の合計が、1000万円未満で、家庭の経済状況などで修学資金の貸付けが必要と認められる方
貸付金額としましては、月額5万円の学費、国家試験受験対策費用4万円(年度当たり)、初回の貸付のときに入学準備金20万円、最終回の貸付のときに就職準備金20万円を上限として無利子で貸し付けます。
生活費が加算される場合もありますが、詳細は群馬県庁のホームページをご確認ください。
貸付方法は、県社協と修学生との契約によって成立し、年4回(初年度は年3回)指定の口座に振り込みます。
なお、2022年度以降介護福祉士養成校卒業見込みの人で、卒業する年度に介護福祉士国家試験を受ける人が対象です。
貸付期間は、養成施設に在学する期間となっています。
貸付を希望する場合、貸付希望者と別の生計の人か、登記されている法人を連帯保証人として立ててください。
卒業後、1年以内に介護福祉士の登録を行い、群馬県内で介護などの仕事に携わり、5年間引き続き従事(過疎地勤務の場合等は3年間)した場合、修学資金返済債務猶予申請書または在職証明書を提出すれば、返還が免除されます。
続いて、介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業をご紹介しましょう。
対象者は、以下の条件のいずれかに該当する方です。
- 群馬県内の実務者研修施設に在学中(入学を希望する方も含む)か、群馬県内に住むが、県外の実務者研修施設に在学している方
- 県内の介護施設、事業所で働いている方
- 県内の介護施設、事業所に勤めていて、同種の修学資金(ハローワークの教育訓練給付制度との併用は可能)をほかから受けていない方
実務者研修施設の授業料やテキスト代相当を、20万円を上限に無利子で貸し付けます。
実務者研修施設を卒業した日から1年以内に介護福祉士の登録を行い、県内において、介護などの業務に就き、2年間引き続き従事したときは返還が免除されます。
最後に、離職した介護人材の再就職準備金貸付事業をご紹介しましょう。
対象者は、4点の用件を満たす方です。
- 介護保険法に基づく居宅サービスなどを提供する事業所か施設、第一号訪問事業所か第一訪問通所事業所の介護職員としての実務経験が1年以上ある方
- 介護についての資格、介護福祉士、実務者研修終了者、介護職員初任者研修修了者を持っている方
- 離職した日から介護職員として再就職する日までの間にあらかじめ群馬県内で求職登録または、現状届けを出し、貸付申請書類を提出している方
- 介護保険法に基づいた居宅サービスなどを提供する事業所か施設、群馬県内の第一号訪問事業所か第一訪問通所事業所の介護職員として就労した方
この資金は、就職先を探す際の活動費や、介護にかかわる情報収集のための本代、講習会の費用、仕事で必要な道具や鞄代、転居が必要なときの費用や通勤用の自転車かバイクの購入費、といった就労目的の活動経費の支払いに使えます。
貸与額は20万円を上限とし、無利子で貸し付けます。
独立の生計を立てている人から連帯保証人を立ててもらいます。
群馬県内で再就労した日から2年以上該当する事業所に勤務すれば、全額免除になります。
2022年の有効求人倍率は4.35倍!人材確保のための養成研修制度も実施中
※福祉人材センター・バンク「令和4年度 福祉分野の求人求職動向」、厚生労働省「一般職業紹介状況」を元に作成
福祉人材センター・バンク 職業紹介実績報告によると、群馬県の介護分野における2022年の有効求人倍率は4.35倍となっています。
この数字からわかるように、介護業界の求人倍率が高いことは明確です。
厚生労働省群馬労働局の発表によれば、 2023年10月に発表された群馬県の業種全体の有効求人倍率は、1.42倍で全国13位、全国平均より0.13ポイント上回っています。
産業別の医療・福祉における新規求人数は2,884人で2ヵ月連続の減少となっています。
群馬県では、2022年10月現在、65歳以上の高齢者人口が約58万人で、高齢者の割合は全体の人口の31.0%になります。
つまり、4人に1人が高齢者という超高齢社会を迎えています。
また、群馬県における2018年の統計では、65歳時における平均余命が男性19.50年、女性24.21年となっています。
1965年と比較すると、男性では約8年、女性では約10年、老後を過ごす期間が延びています。
昔より老後を過ごす期間が長くなっていることから、要介護や要支援の高齢者の数も増加。2040年度には要介護認定される高齢者人口が全体の22%に当たる13万5,682人になると予測されます。
介護職員が必要になるなか、群馬県の介護職の有効求人倍率は非常に高くなっています。
これは介護職員の確保が難しいことを表しています。
群馬県では、働きやすい環境づくりを支援する定着支援、技術の向上と質の高いサービスを提供する資質向上、介護に携わる人を促進する参入促進の3つの柱で人材確保対策を進めています。
また、介護現場のリーダーとして人材の育成や必要な知識・技能を有する介護福祉士を養成し認定する「ぐんま認定介護福祉士」という独自の制度を創設し、2009年度より養成研修を開始しています。
超高齢社会に突入した日本において、どこの地域でも介護サービスに合った人材の確保が急務です。
かつては「きつい」「汚い」「厳しい」といわれた介護の職場環境。
介護福祉士の資格を取得したのに仕事に就かなかったり、子育てや親の介護でやむを得ず離職したりする人も多くいます。
給与面や労働環境の改善が進み、時短勤務にも臨機応変に対応する体制を取ることができれば、離職した人も介護職に戻ることが増え、介護の現場は長く働きたいと思える職場になっていくでしょう。
少子化と高齢化が急速に進行しつつあり、2040年には37%が高齢者に
※総務省統計局「統計ダッシュボード」、日本医師会「地域医療情報システム」、
群馬県「群馬県年齢別人口統計調査結果」を元に作成
2023年10月1日時点での群馬県の総人口は191万3,192人。
年齢5歳階級別にみると、70~74歳が15万1,008人で最も多く、総人口に占める割合は8.1%でした。
群馬県の年齢5歳階級別人口を年齢3区分別にみた場合、0~14歳が該当する年少人口が21万3,925人、15~64歳が該当する生産年齢人口が107万6,640人、 65歳以上が該当する老年人口が58万781人でした。
それぞれ総人口に占める割合は、11.4%、57.5%、31.0%となりました。
前年の統計と比較すると、年少人口割が0.2ポイントの減少、生産年齢人口割合が0.1ポイントの減少、老年人口割合が0.2ポイント増加しました。
3区分別の人口と割合をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
はじめに年少人口について見てみます。
1945年をピークに減少を続け、第2次ベビーブームの影響で一時的に増加。1982年から再び減少を始め、2022年には過去最低の21万3,925人になりました。
また、年少人口の割合は、1950年から減少傾向となり一旦は増加したものの、1980年から再び低下を始め、2022年には過去最低の11.4%という結果になりました。
次に生産年齢人口です。
戦前戦後を通じ一貫して増加を続けていましたが、1999年から毎年減少していきました。
2022年には前年に比べて 8,353人減って107万6,640人に。
生産年齢人口の割合は、戦後上昇を続け、1970年を頂点に一旦下降しましたが、1982年からは再び上昇しました。
しかし、1991年を境に毎年減少しており、2022年は57.5%となりました。
最後に老年人口ですが1950年から急速に増加し、 2022年には1950年の7倍を超える58万781人となりました。
2022年の群馬県の総人口は1950年の約1.19倍であることから、老年人口の増加が顕著に表れています。
老年人口の割合は戦後から上昇を続けており、平成に入ってからは毎年約0.5ポイントずつ上昇続けています。2022年には過去最高の31.0%に達しました。
群馬県は出生率が減少傾向にあります。
2022年の合計特殊出生率における47都道府県での順位は29位でした。
これらを踏まえて、今後も少子化はより進展すると予想されています。
団塊世代が65歳以上を迎え高齢者人口が増えていくなか、 2040年には群馬県の人口が約163万人にまで減少すると予想されています。
少子高齢化は進行し、人口の約37%は高齢者になる見込みです。