介護情報の発信や介護関係のイベントに積極的。介護職員への支援も充実。
兵庫県では兵庫県社会福祉協議会が中心となって、これから介護職を目指す方や、すでに県内の介護施設などで介護職員として活躍している方のサポートを行っています。
ちなみに社会福祉協議会とは、行政と連携しながら地域福祉が円滑に機能するようにさまざまなアプローチをしている民間団体のことです。
兵庫県社会福祉協議会は福祉人材センターで求職者と企業とのマッチングを行ったり、職業相談や就職に関係するさまざまなイベントを開催したりしています。
具体的には「福祉体験学習事業」や「福祉のしごと職場見学ツアー」などを通して実際の福祉の現場を知ることや、不定期に「介護に関する入門的研修」を行うことなど。
また、「福祉の就職総合フェアin HYOGO」が、継続的に開催されていて、介護・福祉の事業者と求職者が直接顔を合わせる場所が提供されています。
兵庫県社会福祉協議会ではこのようなイベントを通して、福祉や介護に興味がある方が必要とする情報を発信しています。
また、介護関連の資格取得を目指す方への支援も行っています。
「介護福祉士・社会福祉士修学資金貸付事業」では、介護福祉士もしくは社会福祉士の養成施設に在学し、修了後に各資格を有して兵庫県内の介護施設などで働くことを希望する方に対して、修学資金を貸し付けています。
修了後、実際に5年以上兵庫県内の施設で働いた場合は、借り受けた修学資金の返還が免除されます。
国家資格である介護福祉士や社会福祉士を実質無料で取得できるので、これから介護職を目指す方は活用してみることをおすすめします。
また、すでに介護職として働いている方に対しては「介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業」として、介護福祉士実務者研修の受講料を貸し付けています。
さらに兵庫県では潜在的な介護士(資格は持っているものの介護士として働いていない人)の掘り起こしにも力を入れていて、「介護職員等再就職準備金貸付事業」では、出産や育児などで一度介護職を辞めた方の復職を支援しています。
介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修など、一定の資格や経験がある方を対象とする事業ですが、再就職のための準備資金が無利子で借りられるのは心強いのではないでしょうか。
どちらも県内の介護施設で2年以上働けば返還が免除されるので、経済的な理由でキャリアアップをあきらめている方は利用を検討してみてはいかがでしょうか。
介護関連職の有効求人倍率は今後も右肩上がりと予測される
※福祉人材センター・バンク「令和4年度 福祉分野の求人求職動向」、厚生労働省「一般職業紹介状況」を元に作成
※統計ごとに母数は異なる
有効求人倍率というのは求職者1人あたりに対する求人件数のことで、一般的にはこの有効求人倍率が高ければ高いほど就職がしやすいと考えられています。
全国的に介護関連職はこの有効求人倍率が高く、どのエリアもすべての職業を合わせた有効求人倍率の数値を上回る傾向にあります。
つまり、それだけ介護職員にはなりやすいと言えるわけですが、これは兵庫県にも当てはまっています。
2022年の兵庫県内の全産業の有効求人倍率は1.03倍でした。
つまり、求職者1人に対して求人件数は1件だったわけですが、それに比べて介護職は8.34倍と1人に対して8件ほどの求人がありました。
このデータだけをみても、兵庫県の介護現場の人手不足ぶりが理解できるでしょう。
また、同年の全国の介護職の有効求人倍率は4.23倍でしたから、兵庫県の8.34倍は全国のおよそ倍の求人数だったといえます。
兵庫県の高齢者人口の増加を考えると、今後も有効求人倍率が高い傾向が続くと予想されます。
このように、全国的に少子高齢化が進んでいる影響もあって、介護職員が不足していることは事実です。
しかしこれは、介護職に3K(きつい、危険、きたない)のイメージがあり、求職者が少ないからだと思われる方もいるかもしれません。
以前はそのような理由から求職者から敬遠されていたこともありますが、いまは時代も変わり、介護現場の労働状況は改善しつつあると考えて良いでしょう。
それは離職率の低下をみてもよくわかります。
例えば、2007年の全国の統計データでほかの職業全体と介護関連職の離職率を比べてみると、ほかの職業全体の離職率が15.4%なのに対し、介護関連職の離職率は21.6%でした。
つまり、介護関連職のほうが6.2ポイントも離職する人の割合が多かったのですが、2020年になるとほかの職業全体の離職率が14.2%に対し、介護関連職の離職率は14.1%にまで減少しているのです。
言い換えると、それだけ働きやすい環境が整ってきたということになります。
兵庫県の高齢化率は一貫して上昇し、後期高齢者数が前期高齢者数を上回る勢い
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「日本の地域別将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
兵庫県の総人口は2000年の時点で555万5,740人でしたが、2005年には559万6,010人にまで上昇したものの、この頃を境に減少傾向に転じました。
2010年には558万1,330人となり、その後は毎年1万人ほど減り続けています。
2017年には550万3,000人、2020年には546万5,002人まで減少し、2025年には約530万人にまで落ち込むと予想されています。
しかし、総人口が減少しているにもかかわらず、65歳以上の高齢者の人口は増え続けています。
2000年の時点で93万9,950人だった高齢者人口は、2005年になって100万人を突破して110万8,564人。
その後も増加の一途をたどり、2015年には1,50万1,342人、2020年には154万6,543人にまで推移しました。
今後も総人口の減少とは対照的に高齢者人口は伸び続けると予想され、2030年には約165万人に達すると見込まれています。
総人口が減少する一方で高齢者人口が増加していることから当然、高齢化率は上昇しているのです。
2005年には19.2%だった兵庫県の高齢化率は2010年には22.4%、2015年には26.3%にまで上昇し、2020年には28.3%と30%にまで間もなくという数値にまで達しています。
また、65~74歳の前期高齢者人口と75歳以上の後期高齢者人口の推移をみてみると、2015年の時点では前期高齢者が79万9,150人で後期高齢者が71万4,270人、2020年には前期高齢者が74万5,000人で後期高齢者が80万1,000人と後期高齢者人口が前期高齢者人口を超えています。
今後、団塊の世代が後期高齢者になることを踏まえると、後期高齢者人口が前期高齢者人口を上回り続けていきそうです。
高齢者人口に比べ、0~14歳のいわゆる年少人口は2010 年の76万1,000人から2040 年には50万人にまで減少し、15~64 歳のいわゆる生産年齢人口は2010 年の353万7,000人から2040年には247万2,000人にまで減少すると予想されています。
以上のことから兵庫県では近い将来、高齢者を支えるはずの若い世代が少なくなることで介護の担い手がいなくなり、介護職員不足が深刻化すると考えられているのです。
このような状況は今後、介護の世界に未経験でチャレンジしようとしている方にとっては大きなチャンスとなるはずです。