資格取得や再就職者への資金貸付制度を用意している
宮城県では介護職員を目指す方の資格取得サポートにより、介護の現場で働く人材を育成しようとしています。
特に宮城県では、経済的にゆとりがない方でも介護職にチャレンジしていただけるように、資格取得のために必要な資金の支援をしているのです。
介護の資格にはさまざまなものがありますが、最も取得しやすいとされているのが介護職員初任者研修で、介護の仕事が未経験の方は、まずこの資格の取得を目指すことになります。
次に多くの方が目指すのが介護福祉士実務者研修です。
宮城県では、「介護福祉士実務者研修」の資格取得に対して「介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度」を設けて受講資金の援助をしています。
この制度は、介護福祉士の実務者研修施設で学んでおり、修了後は介護福祉士の資格取得を目指しながら宮城県内の介護施設などで働く方をサポートするためのものです。
実務者研修を終えた後、1年以内に介護福祉士の資格を取得し、なおかつ宮城県内の介護施設などで2年間働いた方に対して、介護福祉士実務者研修の受講費用が免除されます。
また、「介護福祉士修学資金貸付事業」では介護福祉士の養成施設への入学者、在学生に対して修学資金の貸付を行っており、
国家資格である介護福祉士へのチャレンジについても、資金面でサポートしています。
「介護福祉士修学資金貸付事業」によって介護福祉士の養成施設への入学者、在学生に対して修学資金の貸付を行っています。
ほかにも、社会福祉士を目指す方も同様に「社会福祉士修学資金等貸付制度」にて修学資金の貸付が受けられるので、介護の枠にとどまらずに福祉関連の仕事がしたい方は、こちらの制度を利用するのがおすすめです。
ここで、介護福祉士と社会福祉士の違いを説明しましょう。
基本的に仕事内容も職場もまったく違います。
介護福祉士が対象とするのは高齢者や要介護者、障がい者ですが、社会福祉士の場合は子どもや低所得者など、もっと対象となる人や事例が幅広くなるのです。
また、介護福祉士は利用者に介護サービスを直接行います。
一方、社会福祉士は利用者の相談にのることが主な仕事です。
そのため、介護の分野で集中して働きたいという方は「介護福祉士修学資金貸付事業」を利用して介護福祉士を、福祉全般をフィールドにしたいという方は「社会福祉士修学資金等貸付制度」を利用して社会福祉士を目指すのが良いでしょう。
また、宮城県にはほかにも「介護人材再就職準備金貸付事業制度」があります。
これは、以前介護職として働いていた人に対して再就職の準備金を無利子で貸し付ける制度です。
「せっかく介護職としてスキルや経験を積んだのに出産・育児のためにやむなく離職した」「介護以外の分野で働くことにチャレンジしたけど、やっぱり介護職に戻りたい」そんな潜在介護職員に対して経済的な負担を軽くすることで、復帰へのサポートをする取り組みです。
宮城県ではこれらの制度を設置することで介護職員になるハードルを下げ、県内の介護事業の充実を図っています。
宮城県の福祉関連職の有効求人倍率
※福祉人材センター・バンク「令和4年度 福祉分野の求人求職動向」、厚生労働省「一般職業紹介状況」を元に作成
※統計ごとに母数は異なる
2022年の宮城県における福祉分野の有効求人倍率は5.46倍です。全職業の有効求人倍率が1.37倍であることを考えると、かなり需要のある職種であることが数字に表れています。
宮城県内で働きたいのならば、介護関連の職場も候補に入れて検討するのがおすすめです。
また、少子高齢化の影響もあって全国的にも福祉分野の有効求人倍率の高さは際立っています。
2010年の一般職業の有効求人倍率の全国平均は0.48倍、一方で介護職関連の有効求人倍率は1.31倍でした。
それぞれの有効求人倍率の開きは0.83ポイントです。
その後、一般職業も介護職関連も有効求人倍率は上昇するのですが、2016年の一般職業の有効求人倍率は1.36倍だったのに対して介護分野は3.02倍。
つまり、それぞれの倍率の開きは1.66ポイントと、2010年と比べてその差が広がっているのです。
ほかの職業と比べてこれだけ有効求人倍率が高いのは、それだけ介護職関連の職場で新たな人材が求められていることを示しているのです。
なお、介護職の離職率はほかの職種に比べて高めであるものの、実はここ数年下降傾向にあります。
2021年の「介護労働実態調査」(厚生労働省)によると、ほかの職業の平均が13.9%だったのに対して、介護職は14.3%と、ほぼ変わらない数値です。
この要因として一番に挙げられるのは、やはり働く環境の改善でしょう。
介護職といえば、以前はやりがいはあっても給与が低かったり、休みを取得しづらかったりするなどの問題点がありました。
そのような環境は、職員が長く働きたいと思える仕事へと徐々に変わりつつあるのです。
有効求人倍率の高い今こそが、より一層働きやすい職場を探すチャンスと考えて良いでしょう。
2022年の高齢化率は28.9%!高齢化率は全国平均同様に上昇傾向
※総務省統計局「統計ダッシュボード」、日本医師会「地域医療情報システム」を元に作成
宮城県の65歳以上の人口は、介護保険制度がスタートした2000年には40万9,156人でした。
その10年後の2010年の時点では約11万人増えて52万794人、2022年には65万9,000人にまで増加しました。
さらに、国立社会保障・人口問題研究所が2018年3月に算出した将来推計人口によると、2025年に約69万5,813人、2045年に約72万9,395人と、確実に増え続けると予想されています。
また、75歳以上の後期高齢者は2018年に30万人を突破しており、すでに高齢者人口の過半数を超える勢いですが、2025年には38万9,640人、2045年には43万2,822人と、大きく上回ってくると考えられているのです。
高齢化率をみてみると、2000年の時点では17.3%だったのが、2010年には22.2%、その5年後の2015年には25.2%と着実に伸びています。
また、2018年には26.9%となっており、この先、2025年には30.7%、2040年には36.2%まで上がると予想されています。
全国の高齢化率は2000年には17.36%、2010年には23.02%、2015年には26.65%、さらに2020年には28.56%ですから、数字だけを見ると宮城県の高齢化率は全国平均と足並みをそろえるように右肩上がりで上昇しているのです。
2025年には高齢化率の全国平均は30.3%、そして宮城県は30.7%、2040年には全国平均が36.1%で宮城県が36.2%になると考えられています。
この数字だけを見ても、今後は介護関連の仕事の需要が伸びていくことがわかるでしょう。
一方で、若い世代の人口流出などを考えると、介護職のなり手が少なくなっていくことが予想されているのです。
また、宮城県内では一人暮らしの高齢者が年々増えているというデータがあります。
2012年に73,382人だった一人暮らしの高齢者が、2015年には87,607人、2018年には102,004人と、着実に増え続けているのです。
要介護認定を受けている、受けていないにかかわらず、一人暮らしの高齢者を支える体制の早急な整備が求められています。
このように、増え続ける高齢者のQOL(生活の質)を守るために不可欠なのが介護職です。
今からスキルを身につけてキャリアアップを図れば、宮城県の高齢者を支える一人として、やりがいを感じながら働けるでしょう。