社会福祉協議会が中心となって介護職志望者への貸付を支援
滋賀県では、県内における福祉や介護人材育成と確保、そして定着を支援するため、「介護福祉士修学資金等貸付事業」「介護福祉士実務者研修受講資金貸付」「介護人材再就職準備金貸付金」の貸与制度を用意しています。
まずは、介護福祉士修学資金等貸付事業を紹介します。
この事業では、介護福祉士養成施設に在学し、介護福祉士の資格取得を目指す学生の方に対して無利子で貸付を行います。
貸付金額は以下の通りです。
- 学費月額5万円以内
- 入学準備金20年以内
- 就職準備金20万円以内
- 国家試験受験対策費用4万円(該当卒業年度)以内
この貸付を受ける際のポイントを以下にまとめているので活用してください。
- 介護福祉士養成施設に在学する期間、生活費の一部を貸付する生活費加算もあるが、貸付申請児に生活保護の受給を受けている世帯員であることなど、年齢や居住地によって金額が異なるため、別途確認が必要
- 国庫事業や教育訓練給付制度の修学資金の貸付の併用はできない(ただし、日本学生支援機構などの奨学金を活用しているには、県社協が必要だと認められた場合は併用が可能)
- 国家試験受験対策費用の貸付の対象者は、介護福祉士養成施設を卒業見込みの人でかつ該当卒業年度に介護福祉士国家試験を受験する意思が必要
- 連帯保証人を2人立てる必要がある
また、この貸付の返還は免除される場合があります。
返還免除の条件は、卒業後、1年以内に滋賀県内に介護福祉士または社会福祉士の登録などを行い、県内の民間施設にいて、返還免除対象事業の仕事に携わり、引き続き5年間返還免除対象事業の仕事に携わることです。
次に、介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度を紹介します。
これは実務者研修施設に在学して介護福祉士の資格取得を目指す方に対し、研修受講資金など(無利子で20万円以内)の貸付を行う制度です。
介護福祉士資格登録後、滋賀県内の施設などで介護などの業務に継続して2年以上従事されると貸付金の返還が免除となります。
3年の実務経験がある人は、実務者研修を受講することで、介護福祉士国家試験の受験資格を取得することができます。
この貸付金額は最大40万円で、対象経費は以下の通り。
- 実習費や授業料などの講習費
- 教材費や参考図書などの学用品
- 国家試験の受験手数料など
また、この貸付においても条件を満たすことで返還が免除されます。
それは、実務者研修施設を修了した日から1年以内に介護福祉士の登録を行い、県内において介護などの業務に就き、さらに2年間介護の仕事を続けた場合です。
最後に、介護人材再就職準備金貸付金を紹介します。
この支援では、介護職員などとして1年以上の実務経験がある有資格者の人に対し、滋賀県内の介護保険サービス事業所・施設へ再就職するための準備金の貸付を行います。
この貸付金額は最大20万円で、対象経費は以下の通り。
- 預け先を探す際の活動費
- 介護にかかわる本などの教材費
- 仕事で必要な道具や鞄などの被服費
- 引っ越し費用や通勤用の自転車かバイクの購入費
- 就職するときに経費として認められた金額
また、この貸付でも返還が免除される可能性があります。
それは、滋賀県内で再就労した日から2年以上継続して介護職員などの仕事に就いた場合です。
専門職として高度な知識と経験が必要な介護職。金銭面の部分で介護業界を諦めている人にとっては、活用する価値のある支援ばかりです。
介護関係の有効求人倍率は全国平均をみると低いが、人材不足が続いている
※福祉人材センター・バンク「令和4年度 福祉分野の求人求職動向」、厚生労働省「一般職業紹介状況」を元に作成
※統計ごとに母数は異なる
2023年10月の滋賀県の全産業の有効求人倍率は1.06倍で、前月に比べて0.02ポイント低下しました。
また、全産業の新規求人倍率は1.82倍で0.08ポイント上昇しています。
求人倍率は2ヵ月連続で減少していて、県内の雇用情勢は、持ち直しているものの、求人が減少した産業があるなど物価の上昇等が雇用に与える影響に引き続き注意する必要があります 。
産業別の医療・福祉においては、新規求人数が前月に比べて7.4%減少。
介護関係の新規求人倍率は1.82倍となっています。
滋賀県の 2020年の総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は25.8%。
これは全国平均の28.8%よりも3.0ポイント低くなっており、都道府県のなかで5番目に低い数字です。
滋賀県は大阪市のような大都市がないため、高齢化の進展具合は比較的緩やかな傾向にあります。
しかし今後、高齢化率は2040年まで32.73%に達し、およそ3人に1人が高齢者になると見込まれます。
このことを考えると、今後も介護職の需要は高まっていくと考えて間違いないでしょう。
介護職員の仕事は、利用者一人ひとりの自立やその家族の生活にとって必要不可欠な業務。
しかし、そのような仕事である一方で、「体力的にきつい」「賃金が低い」などといったマイナスイメージも付いてまわっているようです。
そこで滋賀県では、福祉・介護業界への就職を積極的に行うため、1993年から毎年「カイゴとフクシ就職フェアinしが」という約30法人を集めた就職フェアを行っています。
このように介護の現場を正しく知ってもらう場を設けることで、まとまった採用につながることもあるようです。
職場の魅力や職員の声を紹介するブースを出すことで各施設の職員と意見交換もでき、現場の本音を聞けるイベントとなっています。
今後、介護職員の確保はより急務となってくるため、介護・人材福祉センター文ハローワーク、市町などの関連機関との一層の連携強化が不可欠と考えて良いでしょう。
また、介護業界のイメ―ジアップのため、介護職の魅力などについても情報発信を行ったり、高校卒業前の中学生に対して「中学生チャレンジウィーク」を通じて介護体験の機会を早くから設けたりするなどの取り組みが進められています。
滋賀県の高齢化は全国と比べて緩やかだが着実に進行
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「日本の地域別将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
滋賀県の総人口は年々増加し続けていましたが、2015年の142万人をピークに減少が始まり、2020年に141万3,610人、2025年には139万4,593人、2030年に137万1,841人と年を追うごとに減っていく傾向にあります。
総人口が減っていくなか、増加し続けているのが高齢者人口です。
1995年当時は18万1,000人でしたが、2000年に21万6,000人、2005年には24万9,000人、2010年に28万8,000人と増え続け、2015年には34万4,000人、2020年には36万5,311人となっています。
今後も増加傾向は続き、2025年には37万616人、2030年には39万3,510人になると予想されています。
ちなみに、高齢者人口が増加したのは、2015年「ベビーブーム世代」といわれる団塊の世代が65歳以上に達したことが大きな要因です。
日本全体の高齢化率は2010年で23.0%、2015年で26.7%、2020年は28.8でしたが、滋賀県は2010年以降20.5%、2015年に24.2%、2020年に25.8%と、全国平均よりも2.0ポイント以上低い値となっています。
しかしながら、その推移は全国に10年遅れるだけで同様の変化をたどると予想されます。
なかでもこれから急激に増加していくのが、後期高齢者(75歳以上)人口です。
滋賀県の高齢化率の推移をみると、1995年時点では14.1%でしたが、2000年に16.1%、2005年に18.0%、2010年に20.5%、2015年に24.2%、2020年に25.8%と緩やかといえど、上昇していることに変わりはありません。
今後も2025年に27.47%、2030年に28.68%と増加すると推測されているのです。
75歳を過ぎると要介護状態となりやすい傾向にあるため、介護サービスを利用する人も増えるでしょう。
滋賀県では、後期高齢者人口が急増する2025年に向けて、在宅医療と介護の連携強化や地域包括支援センターの整備、地域社会の支え合いなど、多方面から高齢者を支えるための仕組みづくりを構築すべく、さまざまな施策が進められています。