徳島県は介護職員のキャリアアップ支援を目的とした社会福祉研修事業を展開
徳島県では徳島県社会福祉協議会が中心となって、これから介護職を目指す方、すでに介護職として働いている方を対象に「とくしま・福祉の研修」を行っています。
研修内容には「階層別研修」「スキルアップ研修」「介護支援専門員研修」と大きく3つのタイプがあり、それぞれの目標に合わせて選択できるようになっています。
階層別研修では「施設長・管理運営職員研修」など、管理職員までそれぞれの経験や役職に応じた研修を行っています。
スキルアップ研修では「福祉職場のメンタルヘルス研修」をはじめ、「地域共生社会推進研修」「リスクマネジメント研修」など、専門性をより一層高めるためのスキルが学べます。
また、介護支援専門員研修ではケアマネージャーの資質を高める研修や、介護支援専門員として実務経験がない方に対しての研修が実施されます。
このように、徳島県ではさまざまなタイプの研修を設け、キャリアやスキルに応じたフォローアップを行っています。
さらに徳島県では介護福祉士、社会福祉士の国家資格を目指す方や、介護職から離れている方の復職を支援する制度も用意。
「介護福祉士修学資金貸付」「社会福祉士修学資金貸付」の制度を利用すれば、各資格を取得するために通う養成施設の修学費用を無利子で貸し付けてもらえます。
授業料や教材費のほか、交通費や受験手数料など、資格取得のための費用が借りられるので、経済的な理由で資格取得をあきらめている方でもチャレンジできるでしょう。
資格取得後に5年以上徳島県内の福祉や介護関連の施設で働けば、借り受けたすべての修学費用の返還が免除されるのも、求職者としてはうれしいですね。
また、すでに介護職として働いている方の資格取得を支援する制度としては「介護福祉士実務者研修受講資金貸付」を用意していています。
この制度を利用することで、実務者研修を受講するための費用や参考図書などの購入費用として最大20万円まで無利子で借りられます。
さらに離職した介護人材向けの「再就職準備金貸付」でも、介護職員初任者研修や介護福祉士の資格を持っているなど、一定の条件を満たせば準備金として最大40万円まで無利子で借りられるので、復職へのハードルも下がるはずです。
いずれも徳島県内の施設で2年以上働けば返還免除が受けられるので、長く県内の施設で働く意思がある場合は、ぜひとも利用したい制度です。
このように徳島県ではさまざまなアプローチで介護職員の受け入れ、育成に取り組んでいるのです。
徳島県の介護職の有効求人倍率は1.42倍!全国で一番低い数字
※福祉人材センター・バンク「令和4年度 福祉分野の求人求職動向」、厚生労働省「一般職業紹介状況」を元に作成
※統計ごとに母数は異なる
2022年12月の徳島県の有効求人倍率は1.30倍で、全国平均の1.36倍よりも低い数値となっています。
介護サービス業に限ってみると、2022年の有効求人倍率は1.42倍でした。
福祉分野全体の有効求人倍率が4.23倍で、徳島県が全国で最も倍率が低くなりました。
また、四国4県は香川県の1.91倍、高知県の2.65倍、愛媛県の5.12倍、となっていて、香川県と同様に1倍台となっています。
2022年の時点では、愛媛県を除いて、四国は3県が全国平均を下回っていることになりました。
徳島県のすべての職業を合わせた有効求人倍率は1.30倍だったので、介護サービス業と全体の差があまり大きくないことがわかります。
それでも、1人に対し1.4人の求人が来ていることになるので、介護職を目指す方には広く門戸が開かれていると考えても良さそうです。
また、完全失業率は2009年のリーマンショックを境に右肩下がりの傾向が進んでいます。
2022年の時点で徳島県の完全失業率は1.9%と、低い数字になっています。
この失業率は有効求人倍率と反比例しながら推移しており、徳島県では今後も就職しやすい状況が続いていくでしょう。
また、介護の仕事はどうしても「つらい」「きつい」とネガティブなイメージで捉えられがちですが、最近は少し様子が変わってきています。
各施設や事業所が働き方改革に取り組んでいるためか、ここ10年ほどで離職率が大幅に低下しているのです。
2007年の介護関連職の離職率はと21.6%でしたが、2008年には18.7%、2009年には17.0%と着実に減少を続け、2010年には17.8%と少しアップしたものの、2011年以降はまた下降に転じて2020年には16.2%にまで低下。
実に13年間で5.4ポイントも低下したことになるのです。
徳島県は、これから介護職で長く働きたい方には良い環境が整っていると言えるでしょう。
徳島県の高齢化率は2025年に35%を超えると予想され、介護人材の発掘が急務
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「日本の地域別将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
1995年以降、徳島県の総人口数は年々下がり続けています。
2005年が81万4,686人、2010年には80万人を割り込んで78万8,523人、2015年には76万2,834人、2019年には73万5,256人、さらに2020年には71万9,559人にまで減少。
2025年頃には70万人、2040年ごろには60万人を割り込むと予想されています。
この人口減少の主な原因は、総人口のなかで最も大きな割合を占める15~64歳の生産年齢人口の減少にあります。
生産年齢人口は1985年に55万3,858人のピークを迎えて以降、減少に転じました。
その後、2005年には51万1,651人、2010年には47万9,232人、2015年には43万5,715人と着実にその数を減らし、2020年には37万5,657人にまで落ち込みました。
また、全国的に出生率が低下するなか、徳島県でも0~14歳の年少人口が増加する兆しはみられません。
1950年には31万9,094人を数えた年少人口も、2005年には10万8,147人、2010年には9万8,883人と3分の1以上も減少し、2015年には9万1,060人、2020年には7万7,129人とついに8万人を割り込んでしまいました。
2040年頃には5万6,000人ほどにまで減少すると予想されています。
生産年齢人口や年少人口が減少するのを尻目に、唯一上昇を続けているのが65歳以上の高齢者人口です。
1985年に11万人を越えて11万9,210人となってからは、2005年には19万4,360人、2010年には20万人を突破して21万227人、2015年には22万8,877人、2020年には23万8,346人へと推移しています。
現状ピークを迎えているとみられていて、今後は減少に転じて、2030年ごろには23万8,000人、2040年ごろには23万人程度にまで落ち込む見込み。
さらに後期高齢者の人口は、団塊の世代が後期高齢者に突入する2025年には約14万2,000人、2030年には約15万人となる予想です。
ただし、2035年を過ぎたあたりから減少に転じて、2040年には約14万人となり、その後は少しずつ減っていくと考えられています。
このような状況のため、当然ながら徳島県では高齢化率が右肩上がりで推移しています。
その高齢化率は1985年時点で13.3%でしたが、2005年には23.9%、2010年には26.7%、そして2015年にはついに30%を突破して30.3%になりました。
2020年には33.12%にまで達しており、2025年には約35.56%にまで上昇すると見込まれています。
このように徳島県では、しばらく高齢化に歯止めがかからない状態が続くことから、介護職員の需要はますます高まっていくと予想されます。