介護福祉士志望者へ修学資金の貸付などの支援を実施!
鳥取県では介護職員を対象としたさまざまな支援が行われています。
どれも現在介護職員として勤務している方、そしてこれから介護職を目指す方に活用してもらいたい制度ばかりです。
まずは、介護福祉士修学資金の貸付制度を紹介しましょう。
鳥取県社会福祉協議会では、介護福祉士として介護保険施設などで働く介護人材の養成確保を目的として、介護福祉士もしくは社会福祉士の養成施設に通学し、介護福祉士の資格取得を目指している学生に対して、修学資金の貸付を行う制度を実施。
対象となるのは、以下の要件を満たす人です。
- 介護福祉士の養成施設等に進学する、もしくは在学している
- 将来、鳥取県内において介護福祉士の業務に年間180日以上従事する勤務条件で従事しようとする方(国立施設で県外でも該当となる場合も)将来、鳥取県内で介護福祉士などの業務に従事することを希望している
- 学業成績優秀で心身共に健全である
なお、受験対策費の貸付については、卒業年度に介護福祉士国家試験の受験を考えている人のみが支給対象となります。
貸付限度額は、修学資金として月額5万円以内×在学期間(月単位)、入学準備金(初回貸付時に支給)として20万円以内、就職準備金(最終回の貸付時に支給)として20万円以内、介護福祉士試験の受験対策費として4万円以内。
なお、この事業は「貸付」という形ではありますが、養成施設などを卒業した年度の翌年度4月1日から1年以内に介護福祉士あるいは社会福祉士としての登録を行い、鳥取県内に立地する介護保険施設等において介護福祉士として5年間継続して業務に従事した場合、返還の必要はありません。
続いて、介護福祉士実務者研修受講資金の貸付制度を紹介します。
3年間の実務経験を持っている人は、実務者研修を受講することで介護福祉士国家試験の受験資格を得られますが、この制度を利用することで、実務者研修にかかる費用や参考図書の費用に対して、最大で20万円の貸付を受けることができます。
この制度も、介護福祉士の資格を取得した後、鳥取県内で2年間の介護業務に従事することで返還は全額免除となります。
なお、対象となるのは以下の要件を満たす人です。
- 実務者研修施設に在学している方
- 将来、鳥取県内において介護福祉士の業務に従事しようとする方
- 学業成績優秀で心身共に健全である方
- 本貸付事業を利用して実務者研修施設を受講完了する年度の3月31日において、介護に関する実務経験年数の在職期間が1095日以上かつ従事日数が540日に到達しているもしくは到達見込である
- 本貸付事業を利用して実務者研修施設を受講完了する年度に実施される、介護福祉士国家試験を受験しようとする者であること
介護関連職の有効求人倍率は、全国平均よりも低いものの3倍を超える数値に
※福祉人材センター・バンク「令和4年度 福祉分野の求人求職動向」、厚生労働省「一般職業紹介状況」を元に作成
※統計ごとに母数は異なる
鳥取県における全産業の有効求人倍率は1.52倍(2022年12月時点)で、全国平均(1.31倍)に比べるとやや高くなっています。
また、鳥取県の介護関係の職種における有効求人倍率は3.65倍(2022年)と労働力の売り手市場は続いている状況です。
全国平均(4.23倍)と比べるとこちらは低くなっていますが、愛知県が3.93倍、大阪府が4.81倍であることを考えると、他県よりは介護人材の不足状況は軽度と言えるでしょう。
実際、鳥取県の介護人材数は全国に比べると多いことが各種データからもわかります。
鳥取県が公表している数値によると、県内の要介護認定者1,000人あたりの職員数は介護職員が299.5人で、そのうち介護福祉士は147.1人、看護職員は54.2人です。
同じ項目について全国平均をみてみると、介護職員数は308.5人と鳥取県よりも上回っていますが、介護福祉士の数は115.9人と鳥取県よりも30人以上少なく、看護職員の数も鳥取県の方が上回っています。
鳥取県は介護職員において介護福祉士の有資格者が多く、また看護師の配置状況も全国平均以上となっており、それだけ手厚い介護サービスを実現している自治体であると言えるでしょう。
しかし、鳥取県の若い世代が介護の仕事に興味を持っているかというと、必ずしもそうとは言えない側面もあります。
鳥取県が出しているデータによれば、県内の介護福祉士養成施設への入学者が近年減少傾向にあるのが実情です。
2011年度では4校合わせての定員140人に対し、入学者数は115人と充足率は80%を超えていたのですが、その後急速に減少していき、2014年度には42%、2017年度には29%にまで落ち込んでいます。
このような状況は、介護関係以外の求人も増加していることが大きな要因のひとつとして考えられるでしょう。
また、以前は養成施設を卒業するだけで介護福祉士の資格を取得できましたが、2017年度試験からは国家試験の受験が義務づけられたので、さらなる落ち込みを招いたとも考えられます。
比較的介護人材が充実している鳥取県ですが、これから介護職を目指そうという人を増やすために、介護という仕事の魅力を伝えていくことが急務であると言えそうです。
鳥取県では人口減少がハイペース、高齢化に加え要介護認定者数も増加中
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「日本の地域別将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
鳥取県の総人口は2020年時点において55万3,407人で、これは5年前の2015年の時点から約2万人も減少しています。
0~14歳の年少人口、15~64歳の生産年齢人口がともに年々減り続けているのがその原因です。
総人口の減少は今後さらに進むとみられ、2025年には55万人を下回り、2030年までには51万人、2030年には50万人以下になると予想されています。
その一方で後期高齢者人口は年々増加。
1985年には約10万人弱でしたが、その後は右肩上がりで増え続け、2020年には18万311人となりました。
総人口が減り続ける一方で高齢者人口が増え続けているため、高齢化率も年々上昇。
2020年時点ですでに31.99%に達していますが、今後はさらに上昇していき2030年には34.92%、2040年に37.44%に上ると試算されています。
同時期の全国平均値は、2030年では31.2%、2040年では35.3%なので、全国平均よりも2~3ポイント近く高い値で推移していることになり、鳥取県は全国的にみても高齢化が進んでいる県であるといえるでしょう。
高齢化が進むなか、介護保険サービスを利用する介護保険の要介護認定者も年々増えています。
2015年度では3万4,230人、2020年度では3万5,120人まで増加。
高齢化が進むなか、認定者数は今後さらに増えていくとみられ、2030年度では3万9,757人、2030年では4万3,163人に達する見込みです。
鳥取県は少子高齢化の深刻化を食いとめるべく、2030年までに合計特殊出生率を1.95まで上げるとの目標を定め、将来的には自然減を食いとめる水準である2.07まで上げたいとしています。
また、人口の流出を防ぐために、県外への転出数を減らして、転入者と転出者をプラスマイナスゼロにすることも将来的な目標として掲げているとのこと。
そのための取り組みとして、県を挙げて結婚や子育て環境の整備に取り組んでいるほか、Uターン就職を促進すること、労働力を流出させないために雇用を創出すること、そして県外から移住者を呼び込むことに力を入れています。