名古屋市は介護職員の資格取得に対しての助成金支援や復職目的の研修を実施
名古屋市では、事業者向けの「福祉人材育成支援助成事業」を行っています。
これは、従業員のキャリアアップとなる資格や研修について、事業所が試験の受験料や研修の受講料を負担した場合、その4分の3、あるいは最大20万円までを助成するというもの。
対象となる経費は、社会福祉士国家試験や介護福祉士国家試験、介護職員初任者研修や実務者研修、認知症介護実践者研修など、合わせて27の試験や研修の受験料・受講料です。
また、助成対象となる事業所の従業員は、サービスの利用者に対して直接介護をする業務に従事している方に限られます。
申請方法は、試験日、あるいは研修初日の10日前までに必要書類をサービス種別に対応する窓口に提出するというものです。
重度訪問介護、同行援護、行動援護を含む居宅介護、計画相談支援、地域移行支援、地域定着支援は健康福祉局障害者支援課が対応窓口となり、それ以外は健康福祉局介護保険課が対応窓口となります。
受諾された場合、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院は最大20万円、地域密着型サービス、特定施設入居者生活介護は最大15万円、その他のサービスは最大10万円の助成金を受けることができます。
ここで、「福祉人材育成支援助成事業」以外の助成も解説しましょう。
例えば、市内の介護保険サービスを展開する事業所の職員を対象に行われている「名古屋市介護職員等キャリアアップ研修」。
これは、介護保険制度研修などの新規職員研修、サービス提供責任者業務研修などの中堅職員研修、採用・面接研修などの管理者研修、ケアプラン作成研修などのテーマ別研修など、階層や職種に応じた研修を原則無料で行うものです。
また、「名古屋市小規模介護事業所・復職者支援研修」と呼ばれる研修も実施されています。
これは、市内の小規模事業所に勤務する介護初心者、あるいは市内の事業所に介護職員として復職した方を対象として、移動・移乗および歩行介護研修、認知症の理解とコミュニケーション技術研修に分かれた2つの研修を無料で行うもの。
ここまでみてきた多数の支援制度で、名古屋市は介護職員のキャリアアップや定着の支援を行っているのです。
名古屋市の高齢化は確実に進行し、高齢者層を支える介護の専門職は必須
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「日本の地域別将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
2023年10月時点での名古屋市の総人口は232万6,683人でした。
このうち0歳から14歳の年少人口は26万6,435人で全体の11.5%、15歳から64歳までの生産年齢人口は146万7,308人で全体の63.1%、65歳以上の高齢者人口は59万2,940人で、高齢化率は25.5%です。
人口は年々増え続けていて、2016年に230万人を突破、ここ数年は233万人前後で推移しています。
2020年10月時点の233万2,176人は過去最大で、前年同月比で4,619人の増加となっています。
東京23区を除いて考えたとき、人口が200万人を超えているのは横浜市・大阪市・名古屋市の3市だけ。
ちなみに、名古屋市は東海地区における産業の中心地として労働力が集まっているため、高齢化が抑えられていると考えられます。
高齢者人口を男女別でみると、男性が25万7,213人、女性が33万5,727人となっており、それぞれの高齢化率は22.5%28.3%となりました。
区別にみると、高齢化率が最も高いのは南区の30.2%、最も低いのは中区の19.4%となっており、高齢者の数が一番多いのは緑区の5万9,229人で、最も少ないのが熱田区の1万8,022人となっています。
基本的に全国平均を下回る高齢化率となっているところが多いものの、南区と中区の間には10%以上差ができており、地域ごとで状況は大きく異なっているといえるでしょう。
続いて、国立社会保障・人口問題研究所の『日本の地域別将来推計人口』から今後の同市の見通しを紹介しましょう。
2025年には人口が減少に転じ、2030年には228万8,779人、2035年には226万16人、そして2040年には222万342人と、20年で人口が10万人弱減少するとみられています。
また、高齢化率は、2025年に26.0%、2030年には27.1%、2035年には28.9.1%、 2040年には31.4%とおよそ3人に1人以上が高齢者となる見込みです。
後期高齢化率の推移では、2025年時点せ15.7%だったものが、2030年には16.3%、2040年には17.1%となっています。
つまり、2040時点で高齢者のうち半数以上が後期高齢者となるのです。
以上のように、名古屋市は現在230万人を超える大都市であることも影響し、高齢化は全国平均よりは抑えられていますが、今後は高齢化率が上昇し、その層を支える人材の採用は急務といえるでしょう。