北九州市は「介護のしごと就労セミナー」による就労支援や職員向けの研修を多数実施!
福祉・介護の現場においては、依然として需要と供給のバランスが取れていない状況が続き、福祉人材の養成と安定的な確保、定着が課題です。
北九州市のホームページを見ると、市内で行われている介護人材確保のための取り組みについて知ることができます。
では、実際に北九州市が介護職員の方向けに行っている支援を見ていきましょう。
まずは、「北九州市福祉人材バンク(運営:北九州市社会福祉協議会)」や「福岡県福祉人材センター」の取り組みを紹介します。
これらの団体では、福祉・介護の職場の求人情報の提供や求職相談、就労支援セミナーなどを行っています。
例えば、市内約60の事業所や法人が参加する「福祉のしごと合同就職面談会」を開催し、福祉や介護人材の確保につなげています。
また、市内で開催されている「介護のしごと就労支援セミナー」は、介護の職場への就労を希望する方を対象に行う就労支援セミナーです。
介護業務の知識・技術の研修や相談会を通じて、参加者の就労を支援し、介護人材の確保につなげようとしています。
例えば、2022年には以下のような内容で実施されました。
- 介護技術を振り返ろう!(講義・実技講習)
- 就職支援専門員との相談コーナー
- 要望に応じて、職場体験や施設見学等の調整
また、「北九州市魅力ある介護の職場づくり表彰」では、職員の育成や処遇・職場環境の改善などに向けた介護事業所のさまざまな取り組みを募集し、そのなかで有効な取り組みを行う事業所または法人を表彰するものです。
さらに、良好な職場環境づくりに努める事業所などについては、広く市民に公開するとともに、市内の各事業所などに対しても、受賞事業所などの取り組みを周知することで、各経営者に職員の就業環境の改善に対する意識を高めてもらう狙いを持っています。
続いて、「介護サービス従事者研修」をご紹介しましょう。
これは、北九州市内で介護サービス事業所に所属していて、かつ現在時点で介護サービスに従事している人向けに行われている研修です。
介護サービスに必要な知識や技能の向上のためのさまざまな研修を、年間を通して実施しています。
最後に、「介護のしごと出前授業」は、核家族化が進み、身近に高齢者や介護を手伝うことが少ない小中高生に対して行っているもの。
保健福祉局が、「介護の仕事の魅力」や「社会的役割・重要性」などを伝える出前授業を実施します。講師は介護事業所で働く介護職員が担当し、現場の魅力を若者や子ども達に伝えています。
北九州市は高齢化率が急上昇し、介護職員不足が懸念される
出典:「北九州市の地域福祉 2021~2025」(北九州市)
国勢調査の統計によると、北九州市の人口は2023年10月1日時点で92万2,665人でした。
これは、2010年の97万6,846人から5万人以上の減少です。
なお、世帯数は、2023年1月には43万7,856世帯でした。2015年の42万702世帯から増加しています。
長い推移で見ると、1920年の第1回調査で43万3,325人だった市域人口は、1930年調査で50万人を超え、門司、小倉、若松、八幡、戸畑の5市合併後の1965年調査では100万人を突破。
以降は増加を続けましたが、1980年調査の106万5,078人をピークに減少に転じ、その後も人口は減少し続けています。
その一方で、65歳以上の高齢者の数は年々増加しており、2005年には22万985人だった高齢者人口が、2015年には27万7,120人、2023年には28万9,598人と増加を続けています。
高齢化率も2010年の22.2%、2015年の29.3%から、2023年は31.3%以上にまで跳ね上がっており、2023年の日本全体の高齢化率が29.1%であることを考えると、比較的高い数値だと言えます。
総人口の減少と高齢者人口の増加は今後も続く見通しで、高齢化率は依然上昇が続くと見込まれているのです。
2025年には総人口が約90万人にまで減少し、高齢者人口は30万人を超えると予測されています。
このときに高齢化率は32.8%にまで達する見込みで、この場合、北九州市に住む人口の約3人に1人が高齢者ということになります。
さらに、75歳以上の後期高齢者については、2015年には13万6,035人で、高齢者人口の約半数近くに迫っていました。それが、2023年時点では、16万1,787人、すでに前期高齢者の数を上回っているのです。
ちなみに、75歳以上の人口も2028年頃をピークに減少すると見込まれています。
このように、介護を必要とする可能性の高い75歳以上の高齢者が増加していることから問題視されているのが、介護施設・介護職の不足。
今後も高齢者の増加傾向が続くと予測されている北九州市では、高齢者がいきいきと安心して暮らしていくための対策が求められているのです。