介護職員処遇改善加算や職場体験ツアー、入門技術を学べる研修などを実施
高齢者の増加に伴い、尼崎市で介護サービスの支援体制の強化が早急の課題となっています。
そのためには介護職員の質の向上はもとより、その介護職員を支える介護施設や事業所へのサポートも欠かせないでしょう。
そこで尼崎市では介護職員の方が気持ち良く働ける環境を整え、さらに公正な賃金が受け取れるように、介護施設や事業所に対して「福祉・介護職員の処遇改善に係る加算」の申請をおすすめしています。
「介福祉・介護職員の処遇改善に係る加算」の中でも「介護職員処遇改善加算」は、介護職員のためにキャリアアップの仕組みをづくり、あるいは労働環境の改善に取り組んだ介護施設・事業所に対して、職員の給与アップを目的にお金が支給されるという制度です。
また、介護職員の確保・定着につなげていくため、「処遇改善加算」に加え、経験・技能のある介護職員に重点化したさらなる処遇改善を行うための加算「介護職員等特定処遇改善加算(特定加算)」が、2019年に創設されました。
2022年には、「介護職員等ベースアップ等支援加算(ベースアップ等加算)」が創設。介護職員の収入を3%程度引き上げることを目的として、2022年2月から9月までの措置として介護職員処遇改善支援補助金が創設され、その要件および仕組みを引き継ぐ形となっています。
「介護職員処遇改善加算」の要件は、「キャリアパス要件」や「職場環境等要件」を満たしている必要があり、キャリアパス要件がどのくらい満たせるかで、加算額が増える形となります。
キャリアパス要件は以下の通りです。
- キャリアパス要件Ⅰ・・・職位や職責、職務の内容に応じた任用(役割)要件、賃金体系の仕組みをつくること。
- キャリアパス要件Ⅱ・・・職員の資質向上のための計画を作成して研修を実施する、あるいは研修の機会を提供すること。
- キャリアパス要件Ⅲ・・・経験や資格などに応じて昇給していく仕組み、あるいは所定の基準に基づいて定期的に昇給の是非を判定する仕組みをつくること。
職場改善要件は、職場環境を整えるなど、賃金以外の処遇の改善を行うことを指します。
加算額は、職場環境等要件を満たすことに加え、ⅠもしくはⅡを満せば月額1万5,000円相当、ⅠとⅡを満たせば月額2万7,000円相当、Ⅰ~Ⅲすべてを満たせば、月額3万7,000円相当最大で増える仕組みです。
「介護職員等特定処遇改善加算(特定加算)」では「処遇改善加算要件」のⅠ~Ⅲのいずれかを満たしていること、「職場環境等要件」に関して複数の取り組みを行っていること、「見える化要件」を行っていることが必要となります。
「見える化要件」は令和4年度から追加されていて、特定加算に基づく取組について、ホームページへの掲載等により公表していることが条件となります。
また、「介護職員等ベースアップ等支援加算」の要件は、賃金改善の合計額の3分の2以上は、基本給又は決まって毎月支払われる手当の引上げに充てる「ベースアップ等要件」、「処遇改善加算のⅠ~Ⅲのいずれかの要件」を満たしてる必要があり、各加算の要件を満たしているかどうか、各々の確認が必要です。
要件を満たしているということは、それだけキャリアアップ、就労環境が整っていることを示しており、職員にとっては加算をより多く受けている介護施設・事業所ほど、受けるメリットは大きくなると言えるでしょう。
また、当然尼崎市で就職活動をされる方は、兵庫県が取り組んでいる支援を受けることもできます。
例えば、兵庫県社会福祉協議会が運営する福祉人材センターを利用することも可能で、ここでは求職者と介護施設や介護事業所をマッチングさせるさまざまなイベントがおこなわれています。
「福祉の就職総合フェア in HYOGO」や「介護に関する入門的研修」など、介護のことを身近に感じるイベントもたくさんあるので、初めて介護職を目指す方はぜひ足を運んでみてください。
また、介護資格の取得を目指す方のサポートも受けられます。
介護福祉士・社会福祉士の資格取得を目指す方は、「介護福祉士・社会福祉士修学資金貸付事業」を利用すれば、養成施設に掛かる修学費用を無利子で貸してもらえます。
資格取得後、5年間継続して兵庫県内の介護施設などで働けば返済が免除されるので、経済的な余裕がない方はぜひ利用を検討してくださいね。
また、介護職員として働き始めた後でも、「介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業」を利用すれば介護福祉士実務者研修の受講料を最大20万円まで借りることができます。
もちろん無利子ですし、こちらは2年以上の県内での勤務で返済が免除になります。
このように尼崎市では兵庫県と連携しながら、介護職員の育成と働く環境の整備に取り組んでいます。
2020年の高齢化率は26.13%!総人口が減少するなか少子高齢化が進む
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「日本の地域別将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
尼崎市の総人口は減少傾向にあるものの、高齢者人口は増加の一途をたどっています。
2000年の時点で尼崎市の総人口は46万6,380人で、そのうち65歳以上の高齢者人口は7万4,659人でした。
ところが2006年には総人口が45万9,568人と50万人を割り込み、逆に高齢者人口が9万1,182人と9万人を突破しました。
2009年には、総人口こそほぼ横ばいの45万9,933人でしたが、高齢者人口は初めて10万人を超えて10万1,276になったのです。
その前年の2008年には高齢化率も21.4%になり、世界保健機関(WHO)が定義する超高齢社会の目安となる21.0%を超えたことから、この頃から尼崎市も本格的な高齢化社会へと突入したことになります。
高齢者人口と高齢化率はその後も上がり続け、2013年には高齢者人口が11万3,539人で高齢化率が24.3%、2020年には高齢者人口が12万113人で高齢化率が26.13%という状況になりました。
さらに高齢者のなかでも75歳以上の後期高齢者の割合は、2011年の時点で10.3%と10%を超え、2013年には11.2%、2020年には13.79%と、こちらも右肩上がりの傾向が続いています。
この数字をみてみると、尼崎市は高齢者、そのなかでも後期高齢者の数が着実に増えていることがわかりますね。
また、地区別に尼崎市の高齢化率をみてみると、2022年3月の段階では大庄地区が32.13%と最も高い数字になっており、中央地区の30.43%、小田地区の28.88%と続いているのです。
一番低い数字が園田地区の24.13%でしたが、全国的にみても尼崎市の高齢化率が高いのは間違いなく、どの地区においても満遍なく高齢者が増えていることがわかります。
また、要支援と要介護認定者の数をみてみると2019年の時点で2万8,4901人と、2015年の2万6,409人からおよそ2,000人以上も増えているのです。
要支援・要介護認定率は2019年の時点で22.6%と上昇傾向であり、全国や兵庫県の数字よりも高い状況で推移していました。
このような状況を踏まえると、尼崎市での介護職の需要は今後も拡大し続けると考えて良いでしょう。