京都市には介護職員向け研修事業が充実!福祉用具やたん吸引についても学べる
介護分野における人手不足は今や全国的な問題となっていますが、京都市でも例外ではなく、ほかの産業よりも離職率が高く、人材確保は難しいのが現状です。
そんななか、市や市内の社会福祉法人では、長期的・意欲的に業務に取り組める介護職を養成することを目的に、スキルアップ・キャリアアップのためのさまざまな研修が実施されています。
まずは、介護サービス従事者を対象としたスキルアップ研修を紹介しましょう。
これは、京都市が主催する介護職の介護技術向上を目的として行われている研修です。
毎年実施されるこの研修、2018年度は「排泄ケア」をテーマとして、2019年1月16日、26日、14日の計3回実施されました。
2019年1月16日の研修会は、排泄ケアの総論から福祉用具に関する基礎知識、さらに事例の紹介を通して「人の体との向き合い方」を学ぶという内容。
続いて2月26日に行われた第2回の研修会では、「おむつ」について考え、介護におけるアセスメントの重要性を学び、3月14日の第3回の研修会は、前回までの復習をしつつ、具体的な事例について検討するという内容でした。
受講対象は、介護職として2~5年の勤務経験がある方、および各介護施設・事業所で管理者・リーダーとして活躍している方(第1回のみ)で、定員は第1回が100名、第2回、第3回が50名、受講料は無料でした。
令和2年度も開催予定でしたが、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて、中止となっています。
次に、社会福祉法人「京都福祉サービス協会」による各種研修を確認しましょう。
京都福祉サービス協会では、介護人材の育成を目的に、介護職員および一般の方を対象としてさまざまな研修事業が行われています。
この研修は介護福祉士、看護師、保健師などの有資格者が講師となり、実務的なスキルを体系的に学べるのが大きな特徴です。
具体的には以下のような研修事業が行われています。
- これから介護職を目指す方が取得する「介護職員初任者研修」(有料)
- 介護福祉士を目指す方が受講する「介護福祉士実務者研修(通信)」(有料)
- たんの吸引などを安全に提供する方法を学ぶ「介護職員を対象とする喀痰吸引第三号研修」(有料)
- 京都市内の高齢者宅を訪問し、買い物代行や掃除などの生活援助を行う「ささえ合い方ヘルプサービス」に従事するうえで必要となる知識・スキルを学ぶ研修(無料)
また、既に在宅介護をしている家族介護者向けの介護教室(無料)や、介護職に興味を持ってもらうために高校生向けの介護初級講座(無料)なども実施しています。
このように、京都市ではスキルが身に着けられる研修が多く実施されているので、確実にスキルアップ・キャリアップしていきたい介護職員にとって適したエリアと考えて良いでしょう。
京都市の2020年の高齢化率は28.2%で着実に進み、専門知識がある人材は引く手あまた
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「日本の地域別将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
日本最大の観光都市である京都市は、公表データによれば、総人口は2020年時点で145万9,480人。
日本では人口が減少する市町村自治体が多く、京都市でも2018年から徐々に減り始め、22017年に比べて、約1万人の人口減となっています。
京都府は京都市への人口集中が生じており、府民全体の50%以上が京都市に在住しており、府内のほかの自治体に比べると、人口数は突出して多くなっています。
人口数が多いだけに高齢者も多く住み、65歳以上人口は2020年時点で41万1,570人。
1990年以降、総人口がゆるやかに増加してきたのに対して、高齢者人口は急増しています。
1990年当時の65歳以上人口は18万5,812人だったことを踏まえると、30年ほどのうちに22万人以上も増えているのです。
この急激な高齢者人口増の背景には、第1次ベビーブーム期に誕生した「団塊の世代」が高齢世代を迎えたことも大きく影響しています。
2025年には団塊の世代が要介護状態となりやすい75歳以上の層に突入し、それに合わせて介護人材も増員・確保していくことが急務です。
また、総人口よりも高齢者人口の増加率の方がはるかに高いため、京都市では高齢化率も年々上昇しています。
1990年当時の高齢化率は12.7%でしたが、2005年には20%を突破し、2020年では28.2%にまで達しました。
同時期の全国平均は28.8%と、ほぼ同程度の値となっています。
高齢化率を市内11区ごとにみると、最も高いのは「東山区」の33.5%。
以下「山科区」の31.4%、「北区」の29.3%、「伏見区」の29.1%と続いています。
一方、高齢化率が最も低いのは「下京区」の22.9%。
続いて「中京区」の25.2%、「南区」の25.5%、「上京区」の27.4%となっています。
京都市全体の28.2%以下は、下京区、中京区、南区、西京区、上京区の5区です。
2020年の高齢化率は、上京区と南区を除く9区において2019年よりも上昇しており、高齢化率が第1位の東山区と第11位の下京区の差は、10.6ポイントとなっています。
京都市の高齢化率の傾向として、かつては周辺区が低く、中心区が高いという傾向が顕著でしたが、近年では周辺区における高齢化率も高くなってきました。
また、下京区は、1990年頃は東山区に次いで高齢化が進んだ区でしたが、その後20~30代の人口流入が相次いだ影響で、2020年時点では最も高齢化率の低い区となっています。