介護職員のスキルアップ支援や労働環境の改善を行った事業所への支援を実施
奈良市は、介護環境や、介護職員の働く環境の向上を目指しており、そのためにさまざまな支援制度を用意しています。
今回は、そのような支援制度を具体的にご紹介していきますね。
奈良市では奈良県が公募する「介護人材確保対策総合支援補助金」の積極的な活用を推奨しています。
これは、介護事業者が取り組みたい事業内容(例えば生活・介護支援サポーター養成事業や介護ロボット導入支援事業など)を応募し、選定基準を満たしてれば補助金が支給される制度です。
補助される金額は応募された事業計画書が審査された後、実施に必要な経費の額を精査して決定されます。
また、介護未経験者に役立つ事業もあるのです。
例えば介護職員の入門的資格と言える介護職員初任者研修取得のための費用や、介護福祉士資格取得のための修了費用が補助される「介護未経験者に対する研修支援事業」などがあります。
補助金を受けながらこのような事業を実施している介護事業所を就活の対象にすれば、金銭的なサポートを受けながら介護資格の取得を目指すことができるでしょう。
そのほかにも、「介護分野での就労未経験者の就労・定着促進事業」なら働きながら介護職員初任者研修の修了を目指す際に補助が受けられますし、「多様な人材層に対する介護人材キャリアアップ研修支援事業」ならキャリアアップに必要な実践的なノウハウを学ぶ機会が得られます。
このように、奈良市では「介護人材確保対策総合支援補助金」を有効活用することで介護人材の育成や職場環境の改善に取り組んでいるため、介護事業者に対して積極的な利用を勧めているのです。
また奈良市では「介護労働安定センター」と連動して、介護職員の雇用管理の改善や能力の向上・開発にも取り組んでいます。
介護職員のキャリアに関する相談・援助を受け付けるほか、スキルアップ講習として「初任者講習」や「実務者研修」、「介護福祉士試験準備講習」などをおこなっています。
介護職員として採用されたのちは、やはり常日頃からのスキルアップは欠かせませんから、さまざまな研修や講習が受けられる環境が用意されているのはモチベーションのアップにもつながるでしょう。
奈良市ではこのように国や県と連携しながら介護を取り巻く環境の改善に取り組み、介護職員の方のみならず、介護事業者も含めたサポートをおこなっています。
これから介護職を目指す方にとって就職前はもちろん、働き始めてからもさまざまなサポートが受けられる奈良市なら、長く介護職として働く場所として申し分ないでしょう。
2020年の高齢化率は31.1%!高齢者人口の急増に備えて介護職員の雇用に力を入れる
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「日本の地域別将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
奈良市でも、全国的な傾向と同様に少子高齢化が進行し続けています。
奈良市の総人口は2000年の37万4,944人をピークに下り続け、2010年には36万6,591人と37万人を割り込みました。
2015年には36万310人、そして2020年には35万4,630人と36万人を下回っています。
この減少傾向はしばらく続き、2030年には約32万7,000人、2040年には約29万9,000人まで下降すると予想されています。
ただ、総人口は減っている一方で、奈良市では65歳以上の高齢者人口が増え続けています。
2000年の総人口がピークだったときには5万9,124人でしたが、5年後の2005年には7万1,884人と一気に膨れ上がり、2010年には8万6,154人、そして2015年には10万2,416人にまで上昇しました。
さらにその勢いはとまらず、2020年には11万212人にまで膨らんでいるのです。
一方、高齢化率も上昇の一途をたどっています。
2000年には2万3,433人で6.2%だったのが、2020年の時点では5万7,566人と2倍以上に膨れ上がり、割合も16.28%にまで上昇しています。
その後も上昇傾向は変わらず、2015年には28.4%、2020年には31.7%とおよそ3人に1人が高齢者という状況になっています。
また、高齢者人口と高齢化率の増加に伴い、75歳以上の後期高齢者の数と割合も増え続けているのです。
2000年には2万3,433人で6.2%だったのが、2017年の時点では5万2,061人と2倍以上に膨れ上がり、割合も14.5%にまで上昇しています。
さらに問題となるのは高齢者がいる世帯の増加です。
中でも妻60歳以上、夫65歳以上の高齢夫婦世帯と、高齢単身者世帯の割合が増えていることが奈良市では懸念されています。
高齢夫婦世帯の推移をみてみると、1990年には5,447世帯でしたが、5年後の1995年には8,009世帯にまで増加し、2000年に11,49世帯と1万世帯を突破しました。
その後は2005年に1万5,105世帯、2010年に1万8,588世帯、2015年に2万1,924世帯と、5年ごとに約3,000世帯ずつ増加しています。
高齢単身者世帯も1990年には3,917世帯だったにもかかわらず、1995年には5,845世帯と5,000世帯を突破し、2015年には1万7,673世帯にまで膨れ上がりました。
高齢夫婦世帯や高齢単身者世帯が増えているため、奈良市では自宅で生活する高齢者のサポートも重要な課題です。
このような状況を鑑みながら奈良市は介護体制の強化に取り組み、新たな介護人材の雇用にも力を入れています。
奈良市は介護職員として新しいスタートを切るには最適なエリアだといえるかもしれません。