介護職員のキャリアアップや職場改善に貢献した事業所へ「処遇改善加算」を実施
那覇市内に所在する介護施設・事業所には、介護保険法に基づいて、所定の要件を満たしている場合に「福祉・介護職員処遇改善加算」が適用されます。
これは働いている介護職員のキャリアアップや職場環境の改善に取り組んでいる施設・事業所を対象とし、認められた加算額は原則として介護職員の賃金に回されるので、働く職員にとって利点の大きい加算と言えるでしょう。
現在、介護職はほかの業種よりも給与水準が低い傾向にあることから、その差を埋め、介護人材をより多く確保できるようにするのが、この加算が導入された目的です。
認められる加算は全部で5段階あり、あくまでも目安ですが最も高い加算Ⅰが認められれば職員1人あたり月額3万7,000円相当、加算Ⅱでは月額2万7,000円相当、加算Ⅲでは月額1万5,000円相当、加算Ⅳでは月額1万3,500円相当、加算Ⅴでは月額1万2,000円相当が介護報酬に加算されます。
この加算を受けるためには、介護施設・事業所が「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」を満たすことが必要です。
具体的には以下のように規定されています。
キャリアパス要件は、以下の3区分に分かれています。
- >キャリアパス要件Ⅰ・・・職務内容、職位、職責などに見合った任用要件(役割)や賃金体系が定められている
- >キャリアパス要件Ⅱ・・・働いている職員の質を向上するための研修を実施する、もしくは研修の機会を設けている
- >キャリアパス要件Ⅲ・・・働いている職員の経験、資格に基づいた昇給体系を策定していること、あるいは一定の基準に基づいて、定期的に昇給を判定する制度を設けている
また、職場環境等要件では、賃金以外の部分で待遇改善に取り組んでいること(就労環境など)が判断の基準になるのです。
そして、ここまでご紹介してきたキャリアアップ要件・職場環境等要件と加算Ⅰ~Ⅴの関係性は次のようになっています。
- 加算Ⅰの取得・・・キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲおよび職場環境等要件をすべて満たしている場合
- 加算Ⅱの取得・・・キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱおよび職場環境等要件を満たしている場合
- 加算Ⅲの取得・・・キャリアパス要件ⅠまたはⅡおよび職場環境要件を満たしている場合
- 加算Ⅳの取得・・・キャリアパス要件ⅠまたはⅡ、もしくは職場環境等要件のどれかを満たしている場合
- 加算Ⅴの取得・・・キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、環境等要件のいずれも満たしていない場合
介護職として市内の介護施設・事業所に就労する場合、その勤務先がどの程度の処遇改善加算を得ているのかを確認しておくと良いでしょう。
2021年の高齢化率は24.2%!全国平均よりもかなり低いが超高齢化社会には突入
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「日本の地域別将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
那覇市は沖縄県の県庁所在地であり、県内で最も人口の多い都市です。
交通アクセスの良さや就労機会の多さなどから、過去には人口も増加し続けてきました。
ただ、近年は緩やかな減少が生じています。
市のデータによれば、 2021年3月末時点での人口は31万7,191人でした。
一方、 65歳以上の高齢者人口は増加し続けていくことが予測されているのです。
2016年時点の高齢者人口は6万7,696人だったのに対して、その後の予測では2020年に7万4,000人を越え、2025年には7万9,000人以上に達すると見込まれているのです。
ちなみに、2020年には前期高齢者(65~74歳までの高齢者)が3万7,997人、後期高齢者(75歳以上の高齢者)が3万6,531人、2025年には前期高齢者が3万8,014人、後期高齢者が4万995人となると試算されています。
このように、後期高齢者の人口増が顕著になると考えられているのです。
2021年時点の高齢者人口は7万6,706人だったのに対して、その後の予測では2025年に7万9,576人、2040年には9万9,0464人に達すると見込まれているのです。
ちなみに、2021年には前期高齢者(65~74歳までの高齢者)が3万9,956人、後期高齢者(75歳以上の高齢者)が3万6,750人でした。2040年には前期高齢者が4万0,735人、後期高齢者が4万9,729人となると試算されています。
このように、後期高齢者の人口増が顕著になると考えられているのです。
>高齢化率は、2021年には24.2%でしたが、その後の予測では2025年には25.3%、2040年には32.0%まで上昇すると見込まれています。
2021年時点では那覇市の約4人に1人が高齢者ですが、2040年には約3人に1人となるわけです。
ちなみに、全国平均からみると那覇市の高齢化率は低いと考えて良いでしょう。
高齢化率の全国平均は、 2021年時点で28.9%、2023年には29.1%です。そのため、4~5ポイントは低いということになります。
それでも、高齢者人口増が続いていくなか、那覇市でも介護保険の要介護認定(要支援含む)を受ける人数も増加しています。
市のデータによれば、2020年時点では1万4,667人でしたが、その後の予測では2025年に1万6,267人、2040年に1万9,905人まで増えると予想されています。
ちなみに2019年7月に新たに要介護認定をうけた第1号被保険者については、一番の原因疾患は骨折・転倒(23.8%)、認知症(20.0%)が多くなっています。
そのため、とりわけこれらの要因で要介護状態にならないようにするための予防や、地域をあげての支援体制の整備などが今後重要になっていくと考えて良いでしょう。