川口市は介護福祉士の受験手数料や、施設の改修工事費用などへの支援を実施
川口市では、介護事業者向けの支援として、介護福祉士国家試験の受験手数料に対する助成を行っています。
これは「介護福祉士の国家試験に合格した事業主、役員、あるいは常勤の従業員がいる市内の事業所」が対象です。
国家試験の合格日から5ヵ月以内に必要書類を市の介護保険課に提出することで申請し、受諾された場合は介護福祉士の国家試験における筆記試験、実技試験の受験手数料の全額となる1万円が助成金として交付されます。
また、2023年度においては、「既存高齢者施設などのスプリンクラー設置支援事業」も実施しています。
これは、老人ホームや小規模多機能型居宅介護など、利用者が施設に宿泊をするタイプの施設のうち、定員の半分以上が要介護3~5である施設など、火災発生時において自力で避難するのが難しい施設においては、スプリンクラーなどの設置に関する助成を行うというものです。
申請を行って交付が決定された場合には、1,000㎡未満のスプリンクラーの設置について1㎡あたり9,710円が助成されるほか、自動火災報知設備の設置に対して1施設あたり108万円、大規模の施設の場合には消防機関へ通報する火災報知機などに対して32万5,000円の助成が行われます。
ほかにも、グループホームなどの認知症施設を対象に、施設の老朽化などのために行う大規模修繕、耐震化改修などに対して助成金を交付する「認知症高齢者グループホーム等防災改修等支援事業」も実施されています。
加えて、医療ケアが必要な特別養護老人ホームなどの高齢者施設を対象として、停電などの対策のために非常用自家発電機を設置することへの助成を行う「高齢者施設等の非常用自家発電設備整備事業」も行われています。
さらに、高齢者施設の防犯、および安全のための対策として、外部からの侵入を防ぐための門やフェンスなどの外構の設置、あるいは劣化や損傷といったような問題を抱えているブロック塀などの改修を助成する「高齢者施設等の防犯対策・安全対策強化事業」という事業も進められているようです。
川口市の高齢化率は全国平均を下回るものの、将来を見据えた介護職の採用が課題
※総務省統計局「統計ダッシュボード」、日本医師会「地域医療情報システム」を元に作成
2020年時点の川口市の人口は59万4,274人でした。
そのうち、0歳から14歳までの年少人口は7万2,665人で全体の12.44%を占め、15歳から64歳の生産人口は37万3,347人で全体の63.94%、65歳以上の高齢者人口は13万7,923人で高齢化率は23.62%となっています。
同年の全国平均の高齢化率は28.8%であることから、同市は全国平均よりも5%近く下回り、高齢化は比較的軽いと考えて良いでしょう。
また、高齢化人口のうち75歳以上となる後期高齢者人口は7万1,165人で、後期高齢化率は12%となっています。
ただし、このように全国平均よりも高齢化率が低いからといって、高齢化の状態を軽視するべきではありません。
ここで、川口市の世帯状況も見てみましょう。
2020年度の川口市の総世帯数は26万9,592世帯で、そのうち65歳以上の高齢者を含む世帯が9万1,032世帯と全体の33.7%を占めています。
また、高齢単身世帯は2万7,514世帯であり、高齢者を含む世帯の4つに1つは高齢単身世帯という状況です。
2005年における高齢単身者の総数は1万1,888世帯であったことと比較すると、15年で高齢単身世帯は倍近く増加していることがわかります。
最後に、川口市の今後の予測を見ていきましょう。
今後、総人口は2020年まで増加していき、2020年時点で59万9,420人に達した後は減少へと転じ、2025年には59万4,536人に減少すると予測されています。
その一方で、2045年の高齢者人口は17万8,776人(2020年時点に比べて約3万人増加)になると推測されているのです。
ここまで解説してきたように、全国と同様、川口市においても高齢化率は緩やかに上昇していくと考えられ、高齢者世代を支える介護職の手はますます貴重となるでしょう。