介護福祉士を目指す母子家庭の母親に毎月最大10万円を支給
大津市は、個人向けの支援として「高等職業訓練促進給付金等事業」を実施。
この申請が受諾された場合は、高等職業訓練促進給付金として月あたり最大10万円、修了支援給付金として最大5万円の支給を受けられます。
これは、以下のような要件すべてを満たす人が対象です。
- 市内に在住している母子家庭の母、あるいは父子家庭の父
- 20歳未満の児童を養育中で、児童扶養手当を受給している人と所得の水準が同じ
- 修了に1年以上を要する養成機関において、一定のカリキュラムを終えており、資格の取得が見込まれている
- 就業や育児と修業を両立することが困難だとみられる
- 過去にこの制度を利用していない
- 求職者支援制度の職業訓練受講給付金など、同様の給付を受けていない
- 市町村税、国民健康保険料、水道料金など、公共料金を滞納していない
給付金の対象となる資格は次の通り。
- 看護師、准看護師
- 保育士
- 介護福祉士
- 作業療法士
- 理学療法士
- 歯科衛生士
- 美容師
- 社会福祉士
- 製菓衛生師
- 調理師
- 市長が地域の実情に応じて定める資格
支給期間は2016年度以降に就業を開始した人について、4年間を上限として就業期間のすべてとなります。
これは介護関係の資格に限った支援ではありませんが、特に介護福祉士を目指す際の1つの選択肢となるでしょう。
また、大津市は、事業者向けの支援として「介護施設等整備費補助金」制度を実施しています。
これは市内の介護施設を対象としており、名前の通り施設の整備に対して補助金を出すというものです。
申請は事業計画書などをはじめとした必要書類を市に提出し、受諾された場合には、対象施設の整備に対しての補助が行われます。
対象となる施設整備の内容は施設ごとに定められています。
例えば特別養護老人ホームにおいては、ユニット型の個室の整備を対象とし、定員一人当たり280万円を補助基本額として定め、補助対象となる事業費の総額に対して半分までを補助するものです。
ほかには小規模多機能型居宅介護、あるいは看護小規模多機能型居宅介護を行う施設では、スプリンクラー設備の設置に1㎡あたり9,710円、消火ポンプユニットなどの設置に対しては1施設当たり244万円を補助。
介護老人保健施設の防災改に対し、1,540万円を補助するなどとしています。
ここまでご紹介してきたように、大津市では個人向け、事業所向けの双方の支援がなされているのです。
2020年の高齢化率は26.2%。全国平均よりは低いが地域差が大きい
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「日本の地域別将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
2020年の大津市の総人口は34万5,070人でした。
そのうち0歳から14歳までの年少人口は4万5,482人で全体の13.18%を占めており、15歳から64歳までの生産年齢人口は20万166人で全体の59.01%、そして高齢者人口は9万578人で、高齢化率は26.25%となっています。
1995年時点では、総人口が27万7,290人、年少人口が5万5,363人で全体の20.0%、生産人口が19万2,375人で全体の69.4%、高齢者人口が2万8,785人で高齢化率が10.4%でした。
2020年と1995年の状態を比べると、人口自体は6万7,780人の増加となっているものの、年少人口は数が9,881人、割合は約6.79%とともに減少しており、生産年齢人口では数自体は7,791人増加していますが、全体の割合は11.37%の減少。
その一方高齢者人口は約6万1,793人と2倍近い増加を見せており、高齢化率も15.87%と、1.5倍近くまで増加しています。
2020年の高齢化率の全国平均は28.8%であることから、同市は比較的高齢化が抑えられた都市ではあるものの、この25年で大きく高齢者人口、および高齢化率が上昇しているという状況です。
ブロック区別に見た場合、2023年7月時点で最も高齢化率が高いのは志賀ブロックの35.7%で、最も低いのが東部ブロックの21.5%となっています。
また、高齢者人口が最も多いのは東部ブロックの77,585人で、最も少なかったのは7,605人の志賀ブロックでした。
同じ市のなかで高齢化率が15%近くの差が生まれているということからも、同市の高齢化における地域格差は、かなり大きい可能性が考えられます。
今後の予測では、総人口に関しては今後減少していくとみられています。団塊の世代が後期高齢者になる2025年には34万565人、その10年後2035年には33万647人程度になると考えられているのです。
また、年少人口は現状と同じく現象を続けていき、2025年には4万3,489人で全体の12.7%、2035年には3万9,397人となり、全体の11.92%と、人口割合ともに減少する見込みです。
生産年齢人口は、同じく2025年に19万9,889人と20万人を割り込み、全体の58.69%、2035年には18万5,046人となり全体の55.96%と、数字のうえでも割合のうえでも減少を続けます。
一方で、高齢者人口は2025年時点で9万7,187人となり高齢化率は28.54%、2035年には10万6,204人となり10万人を突破、高齢化率も32.12%と、人口のおよそ3割が高齢者であるという状況を迎える見通しです。
これらのことから、大津市における高齢化は、全国平均を下回ってはいるものの地域差は大きいという特徴があり、今度は全国的な傾向と同じく、高齢化が進んでいくと考えられるでしょう。