大阪市は「ウェルおおさか」を用いた介護の情報発信を実施
大阪市では、介護職の育成・定着を図るため、市の社会福祉研修・情報センターが中心となって多様な研修を実施しています。
メンタル不全となるメカニズムを学び、良好な人間関係を維持しながら業務を遂行する方法を学ぶ「メンタルヘルス研修」や、リスクマネジメントの考え方や、記録の書き方、コンプライアンスなどについて体系的に学ぶ「リスクマネジメント研修」などがその内容です。
さらに、組織の運営方法・管理方法について学ぶ「組織運営・管理研修」も行われました。
令和2年度の研修では、2019年6月に改正されたハラスメント関係法のポイントを中心に、福祉職場の労務管理としてどう取り組めばよいのか、そのヒントを学習できる研修が実施されています。
また、「他職種連携・地域協働・地域課題の発見、解決のための研修」の一環としては、ソーシャルワークの考え方を学ぶ「地域を基盤とするソーシャルワーク研修」「コミュニティソーシャルワーク研修」、地域住民との協働について学ぶ「地域福祉実践講座」などがあります。
どの研修も1日~数日の期間で実施、また受講料は無料の場合と有料の場合とがあるので、申し込みの際に確認する必要があるでしょう。
さらに、大阪市社会福祉研修・情報センターでは上記の研修のほかにも、福祉職員を対象とするメンタルヘルス相談、福祉関連の図書やDVDの貸出し、福祉関連の研修やイベントを行うための貸室なども行っています。
情報誌「ウェルおおさか」の発行を通して介護関連の最新情報などを積極的に発信しているので、市内で介護職として勤務されている方は定期的にチェックしてみましょう。
大阪市では高齢者の世帯数が増加、介護人材の活躍が期待される
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「大阪市の将来推計人口(令和元年度)」(大阪市)
国勢調査によると、大阪市の総人口は高度成長期を迎えた1950年~65年にかけて大きく増加しましたが、その後は緩やかに減少しています。
しかし2000年代以降は再び人口が増え始め、2020年時点では約275万人となっています。
なぜ2000年代から人口が増え始めたのでしょうか。
その理由は年齢区分別に人口数の推移に関係しています。
0~14歳の年少人口と15~64歳の生産年齢人口は70年代以降、毎年減少し続けていますが、65歳以上の高齢者人口は一貫して上昇。
特に2000年以降の高齢者人口の増加率は高く、2000年当時は約44万5,000人でしたが、2020年には約67万6,000人と20万人以上も増加しました。
つまり、2000年代以降の大阪市における人口増は、高齢者人口の増加幅が年少人口と生産年齢人口の減少幅を上回っていたために起こった現象なのです。
そのため、大阪市の総人口に占める高齢化率は年々上昇しています。
1970年~75年の間に高齢化率は7%を超え、90~95年の間には14%を突破。
その後、2005年には20%を上回り、2020年には25.5%と、今や大阪市の4人に1人が高齢者という状況となっています。
また、2018年には前期高齢者人口(65~74歳)よりも後期高齢者人口(75歳以上)の方が多くなり、高齢世代の高年齢化も進んでいるのが現状です。
高齢者世帯数の推移をみると、1985年頃から増加傾向が目立つようになり、1985年当時は約8万9,000世帯でしたが、2000年にはその2倍以上となる約19万1,800世帯、2020年には47万3,892世帯まで増加しました。
一方、核家族世帯数は2005年をピークに減少を続けており、高齢者世帯の割合も今後さらに高まっていくと予想されます。
高齢者の単独世帯数は2000年当時10万9,658世帯でしたが、2020年には約2倍となる21万3,260世帯まで増加しています。
1人暮らしの場合、家族による介護を受けられないので、要介護状態になると生活の質が低下する、看取ってくれる家族がいないので孤独死のリスクがあるなど、さまざまな問題に直面しやすいです。
大阪市では今後、1人暮らしの高齢者を支えるため、行政による積極的な介護人材の獲得が望まれています。