堺市では介護の現場スタッフ向けにさまざまな研修を実施
堺市では高齢化が進む現状を踏まえ、不足傾向にある介護職の確保・育成を図るための研修をはじめ、さまざまな取り組みを進めています。
ここでは、過去に行われた介護職員に対する研修事業を紹介しましょう(今後も実施されるかどうかについては、市のホームページなどを通じて確認が必要です)。
まずは、「現場職員向け研修」についてです。
これは、介護現場で働いている一般職員向けの研修で、介護スキル自体ではなく、風通しの良い職場の目指し方や職員同士のコミュニケーションの取り方などをする研修です。
講師は堺市で行われているミドルリーダーマネジメント研修を受講した方で、介護従事者経験3年~10年程度の現役介護職員。
現場での経験を活かした講義を受けられるので、これから介護職として経験を積もうとする方、知識・スキルアップを目指したい方には最適の研修と言えるでしょう。
続いて、「地域包括ケアシステム推進研修会」を紹介します。
これは、堺の地域特性を踏まえ、それを活かした介護予防や生活支援などのケアをどのように行っていくかを学ぶものです。
現在、地域包括ケアシステムは、厚生労働省が中心となって全国の市区町村自治体で導入が進められていますが、この研修の受講対象は現場の介護職員に加え、ケアマネージャーや地域包括支援センターの職員など、幅広い職種を想定しています。
講師は大学教授などの専門家で、理論的な側面も含めて学ぶことができる研修内容です。
また、「管理者向け研修研修」も、2021年度に2回実施されました。
第1回は、生産性向上のためのポイント等の総論や実践を踏まえた取り組みについて、第2回は、多様な人材を活用するためのポイントや外国人材を活用した施設の取組事例が紹介され、どちらもAfterコロナを見据えた研修内容となりました。
ほかにも、「さかい福祉と介護の実践発表会」という名前で堺市の介護現場で働く職員による実践活動、研究活動の報告会を開催。
職員がお互いに学び合い、日々の業務におけるモチベーションを高めてもらうことを目的に、2022年の12月にオンラインで行われました。
堺市は人口の減少と高齢化率の上昇が止まらず、介護現場の強化が喫緊の課題
出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「主要指標から見た本市の状況(独自推計)」(堺市)
堺市の総人口は、2011年の85万780人をピークとして、その後次第に減少し始めました。
2023年には81万8,147人だった人口は、2030年には約77.5万人、2040年までには71.3万人前後となる見込みです。
その一方で65歳以上の高齢者人口は増加し続けており、1990年当時は7万1,858人でしたが、2000年には10万人を突破し、2011年には18万7,660人、2017年には23万576人と23万人に到達し、2022年9月末時点でも23万2,833人となりました。
人口が減少するなかで高齢者人口が増えているため、高齢化率は年々上昇。
1990年当時は8.9%でしたが、2000年が14.8%、2010年が22.5%、2017年には27.4%、2023年10月には28.3%となりました。
今後も高齢化率は上昇するとみられ、2020年頃に一度ピークを迎えてここ数年は横ばいですが、2030年以降に再び上がっていく見込みです。
2022年時点において、65~74歳の前期高齢者人口は10万3,626人で総人口の12.6%を構成し、75歳以上の後期高齢者人口は12万9,207人で総人口の15.7%を占めています。
高齢者世帯の現状についてみると、2022年時点において、高齢者のみで構成される世帯数は計12万3,295世帯。
これは堺市における全世帯の30.8%、約3割に相当します。
高齢者のみで構成される世帯のなかで1人暮らしをしているのは7万4,826世帯、そのうち75歳以上で1人暮らしをしているのは4万8,486世帯です。
また、高齢者で認知症を発症している人は2022年時点で2万4,669人にのぼり、今後2025年には29,487人、2040年には31,409人と増加が見込まれています。
さらに、認知症の高齢者が増えることも影響し、要介護認定者数も増加。
2025年には6万2,132人で高齢者人口全体の27.2%を占めると予想されています。
その後も認定者数と認定率はともに上昇していき、2032年頃にピークを迎える見込みです。
要介護認定者が増え続けるなか、介護サービスを担う介護人材の不足も深刻化するとみられ、堺市では2025年におよそ2万人の介護職が必要とされていますが、現在の増加率のまま推移すると、約3,200人不足すると予測されています。
高齢化が進む現在、介護人材をいかに確保していくかが堺市に課せられた大きな課題と言えるでしょう。