さいたま市では介護労働安定センターが多様な形で介護職への支援を実施
さいたま市では、公益財団法人介護労働安定センター埼玉支部によって、介護職員への支援がさまざまな形で実施されています。
もともと同センターは、介護人材に対する雇用管理の改善や職業能力の開発、介護関連の情報提供、介護関係機関との連携、さらには福利厚生の充実化など、介護職のサポート業務を行う施設です。
提供している介護職支援サービスは以下の通りです。
- 雇用管理等に関する相談受付…介護施設・事業所の運営者や管理者を対象に実施され、社会保険労務士や中小企業診断士、行政書士などの専門家が雇用管理に関する相談に対応。
- 健康管理・メンタルヘルスなどの相談受付…介護現場の環境づくりを支援するため、看護師や介護職としての勤務経験のあるカウンセラーが相談に対応。
- 研修に関する相談・研修コーディネイト事業…各施設・事業所で行う研修計画策定支援を行ってくれます。
- 介護労働懇談会の実施…介護にかかわるあらゆる問題に対して、行政機関や介護、福祉、医療の各種団体・事業者が、機関の垣根を越えて対応。
- 各種保険サービスの案内…介護職員に対して「介護事業者賠償責任保障」(介護現場で起こる突発的な事故に対して、賠償金を保障する制度)「個人情報漏洩保険制度」(個人情報が漏洩したことが原因で起こりうる損害賠償責任の損害に対して、保険金を支払う制度)「障害保障制度および感染症見舞金制度」(仕事中や通勤途中、講習会参加中に事故や怪我をした場合の補償)などを紹介。
このように、介護施設・事業所の運営者・管理者を対象とするものから、個々の介護職員に対して実施されているものなど、サービス内容は多岐にわたります。
また、さいたま市としては、2022年度に「介護職員雇用推進事業」や「介護の仕事体験事業」、さらに一度離職した介護人材に対して再就職支援を行う「潜在介護職員復職支援事業」、高齢者の方を対象とした「高齢者等介護職就労支援事業」などを実施しました。
特に「潜在介護職員復職支援事業」は、かつて介護職として働いていて出産や育児を理由に退職したものの、子育てが一段落したのでもう一度働きたいという方にはぜひ活用してほしい制度です。
今年度も引き続き実施されるかどうかは、市役所の担当窓口に問い合わせると良いでしょう。
さいたま市の高齢化率は2025年にかけて急上昇する見込みで、介護を担う人材確保が熾烈化
※総務省統計局「統計ダッシュボード」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成 30(2018)年推計)」
を元に作成
2005年のさいたま市の総人口は117万6,314人でしたが、その10年後の2015年には126万3,979人、2020年には132万4,025人と変遷。
全国各地の市町村では人口減の状況が深刻化しているなか、さいたま市は年々人口が増加しているわけです。
ちなみに、この総人口数は全国の政令都市において9番目に多い数値です。
これは、ほかの指定都市と比べても高く、さいたま市は比較的、高齢化の進展度合いが緩やかであると言えます。
ただし、高齢化率はほかの自治体に比べると低めではありますが、高齢化の波が着実に押し寄せているのは間違いありません。
さいたま市の2005年当時の高齢化率は15.9%でしたが、2015年に22.8%、2020年に23.6%と、15年間で急速に上昇。
今後も引き続き、高い上昇率を示すと見込まれています。
その要因として指摘されているのが、団塊の世代の存在です。
この世代が2025年には75歳以上を迎え、さらに団塊の世代の子どもである団塊ジュニア世代が2035年に65歳以上の年代を迎えます。
これらの影響によって高齢化率は2030年には27.3%、2045年には34%に達する見込みです。
また、高齢化率が高まるなか、介護サービスを利用する要介護認定者の数も増えていくとみられています。
それに合わせて介護人材へのニーズも高まると考えられ、さいたま市は、介護人材確保のための事業に今後さらに力を入れる必要があるでしょう。
また、将来的に特別養護老人ホームの不足度が強まることも指摘されており、施設の増設対策も望まれます。