人材確保や定着を目的とした、介護職員向けの支援が充実
下関市は、市独自の政策だけでなく、人材の定着育成支援のために、山口県福祉人材センターや厚生労働省と連携して、社会福祉施設等従事者の養成・定着・確保に関する各種の助成を行っています。
今回は、その助成事業をいくつか紹介していきましょう。
まずは、「介護予防・日常生活支援総合事業」を紹介しましょう。
これは、介護が必要な状態にならないために利用できるサービスを提供し、予防の面から住み慣れた地域での生活を支援していくものです。
介護保険の要支援認定を受けた人などが利用できる「介護予防・生活支援サービス事業」と、65歳以上のすべての人が利用できる「一般介護予防事業」と分かれています。
次に、「福祉マンパワー事業」を紹介しましょう。
これは、山口県福祉人材センターが行う人材育成事業と、人材確保・定着化支援事業、職場内研修費の助成の3本柱からなる事業の総称です。
また、社会福祉施設職員等退職者手共済制度、介護職員初任者研修支援事業も同時に行っています。
1つ目の「人材養成事業」とは、山口県福祉人材センターが主導となって行う、魅力ある職場づくりを目的とした助成です。
助成を受けられる対象は、山口県内社会福祉施設などに勤務の人で、過去3年以内に当事業の助成を受けておらず、助成を受けた後も、継続して勤務予定の人で、助成限度額は5万円。
助成の対象は研修受講料、旅費、宿泊費です。
2つ目の「人材確保・定着化支援事業」とは、魅力ある職場作りモデル事業に対して、最大10万円の助成を行うもの。
この助成金は、魅力的な職場づくりのために必要な工事費や修繕費に対して支給されます。
3つ目の「職場内研修費の助成」とは、職員の人材養成研修などにかかる費用を助成するものです。
この助成の限度額は5万円で、対象経費は、職員の人材養成研修などの実施に必要な外部講師の謝金、旅費などになっています。
また、「社会福祉施設職員等退職者手共済制度」というものも用意されているのです。
これは、介護職員が福祉医療機構を通じて掛け金を支払うことで、退職金や共済制度が適用されるというものです。
ちなみに、介護職員が主に働く事業所や施設は、退職金などの制度を独自に構成することが難しいので、このような制度を職員はぜひとも活用していきたいですね。
ほかにも、「介護職員初任者研修支援事業」というものもあります。
これは、介護事業所を運営する事業者が、所属する介護関係資格を持たない職員に対し、介護職員初任者研修を受講させるために負担する受講料等を助成する事業です。
助成限度額は5万円を上限とし、研修受講料等、テキスト代、終了試験代、実習費などが助成の経費として認められます。
2017年の高齢化率は34.1%!全国を大幅に上回っており介護職員の需要は非常に大きい
出典:下関市 更新
下関市は、山口県最大の人口をほこる街で、九州と本州を結ぶ関門海峡や唐戸市場などで高齢化が年々進んでおり、高齢者が多い街となっている下関市。
しかし、この下関市で高齢化が急速に進行しつつあります。
下関市は、2015年の総人口が27万2,882人、65歳以上の高齢者人口は8万8,863人、高齢化率は32.6%でした。
しかし、2017年には総人口が26万7,067人、65歳以上の高齢者人口は9万1,029人、高齢化率は34.1%、つまり3人に1人以上が高齢者となったのです。
ちなみに、2020年に高齢化率は35.5%、2025年には37.0%まで上昇すると予想されています。
さて、高齢者は65歳~74歳までの前期高齢者、75歳以上の後期高齢者と分類することが可能です。
この前期高齢者は、下関市は2020年まで緩やかに増加すると考えられていますが、それ以降は減少傾向に転じる見込みです。
それに対し、下関市の75歳以上の後期高齢者は減ることなく増え続けると予想されています。
実は、2015年は、75歳以上の後期高齢者が高齢者全体に占める割合は16.5%でしたが、2025年には22.5%まで増加するとデータが出ているのです。
また、要介護認定者は75歳以上の人に多い傾向にあります。
このことから、後期高齢者数の増加が続く下関市は、要介護認定者を介護する介護職員の需要が拡大し続けると考えて良いでしょう。
さて、ここで下関市の高齢化率を地域別に見てみましょう。
2017年の調査では豊北地域の高齢化率が51.6%と、地域住民の半数以上が高齢者。
さらに2017年の下関市の平均高齢化率である34.1%を上回っている地域が8つあり、下関市全体で高齢化が深刻な状況です。
反対に、高齢化率が低いのは勝山・内日地域の25.7%、次いで川中地域の26.0%です。
地域によって高齢化率に大きく差がある状況のため、下関市は地域ごとの福祉サービスや高齢者ケアが必要といえるでしょう。
また後期高齢者の増加を見据えて健康教室などを開催し、介護予防や重度化防止が重要です。
画像の一部はwikipediaから引用しています