在留外国人の高齢化の現状
年々増加する在留外国人高齢者
現在日本における在留外国人数は、2020年度時点で228万人に上ります。
65歳以上の高齢者の人口が約3割を占め、超高齢社会である日本において、在留外国人の高齢化も隠された課題の一つです。
65歳以上の在留外国人は、1990年の7万人から2020年には18万8,000人と大幅に増加していることが、出入国在留管理庁のまとめで明らかになっています。
長期滞在や永住化の傾向が見られる近年の動向を考えると、今後ますます増えていくことが予想されています。

出身はアジア諸国が大半、近年増えるブラジル人高齢者
在留外国人の高齢者を国籍別に見てみると、韓国・朝鮮籍を筆頭にアジア諸国の割合が圧倒的に多くなっています。他にもアメリカ大陸出身者も増えています。
特に近年は、外国人労働者として来日したブラジル人が、高齢になってからも日本での生活を続けているケースが増えており、ブラジル人の増加率が高い傾向にあります。
このように、在留外国人高齢者が増加する状況の中、さまざまな理由から年金や介護サービスなどの社会保障を利用できずに、不便を強いられている外国人高齢者の存在が問題となっています。
外国人高齢者の介護の壁
異文化介護の課題とは
異文化介護の課題として挙げられる一つ目は「文字の壁」。
農村生まれが多い中国出身者の中には、学校教育を受けていない人も多いと言われています。
そのため、 母語の中国語であっても話すことや聞くことはできるが、読み書きはできないという人も少なくありません。
介護保険制度などの資料が母語で書かれていても、読むことができず書類にサインができないケースもあるそうです。
二つ目は「コミュニケーションの壁」。
昔は日本語が話せた人でも、高齢となり認知症が進行して母語しか使えなくなるというケースがあります。
介護施設の職員や他の日本人利用者とコミュニケーションが上手く図れず、孤立してしまい、施設の利用を拒否してしまうことも考えられます。
三つ目は「食や習慣の壁」。
たとえ長く日本で生活していたとしても、食事や文化、習慣などは馴染み深い母国のものを好みます。
そして高齢になるにつれ、その傾向が強くなります。
食や習慣に対する周りの理解(味覚の違いや宗教的な違い)がないために、施設での食事が楽しめないなどトラブルを招いてしまうこともあるそうです。
在日コリアンの「無年金問題」
在留外国人の中でも、最も高齢化が進んでいるのが韓国・朝鮮籍を持つ在日コリアンです。日本に住む65歳以上の在日コリアンの数は、12万8,000人と全体の約6割を占めています。
そして、在日コリアン高齢者は「無年金問題」と言う問題を抱えています。無年金とは年金を受給していない状態のことで、これは1982年に難民条約が批准されるまで、国籍条項のために外国人は国民年金保険に加入できなかったためです。
批准後もその時点で35歳以上の人は、25年間という年金加入資格期間を満たすことができず、年金制度から除外された格好になっています。
日本人高齢者の場合は、公的年金を主な収入源として生活できますが、在日コリアンの高齢者はそれができずに、より厳しい経済基盤の中で生活しており、経済的な問題が理由で介護支援を受けられないでいる人も少なくありません。

在留外国人高齢者が日本で適切な介護を受けるために
介護保険制度の利用が可能
外国人高齢者も日本に住所があり、在留期間が3ヵ月以上で、介護保険料を納めていれば日本人と同じように介護サービスを受けることができます。
しかし、日本の複雑な介護保険制度やサービスについて理解するのは簡単なことではありません。
自治体の介護保険課や地域包括支援センターが窓口となり対応してくれるので、複雑な制度を前に自分たちだけで悩まずに、ぜひご相談ください。
また、外国人高齢者を受け入れる施設側も、異文化介護に対する理解を深める必要があります。施設への入居を検討している外国人高齢者と話す際は、ゆっくり優しい日本語を意識して説明するよう心掛けることで、入居後のトラブル防止につながります。
介護通訳の役割と課題
日本語での意思疎通が困難な外国人高齢者やその家族が、日本で適切な介護サービスを受けるための手助けをする「介護通訳」という人たちがいます。外国人高齢者が介護サービスを利用する際に、利用者と行政や介護施設の間に立ち、言語サポートを行います。
専門用語が多い介護分野の情報を、母語で伝えることでより深く理解してもらうことができます。
しかし、介護通訳には課題もあります。
通訳費用は介護保険の適用対象外なので、利用者にとっても、受け入れる施設にとってもコスト面の負担がかかってしまいます。
国から助成を受けボランティア派遣していたときと比べ、有償化されてからは利用が減ってしまったというのが実情です。
外国人高齢者が、安心して日本の介護サービスを受けるためにも、制度の見直しも求められています。

医療通訳サービスを利用した医療機関のアンケート結果では、80%以上の医療機関がサービスを利用してよかったと回答しています。
その理由は「職員の精神的・肉体的な負担の軽減、時間の削減ができた」「スムーズに患者の治療が行えた」「意思疎通ができないために起こるトラブルが未然に防げた」などが挙げられています。
介護通訳においても同じような利点が考えられ、その必要性の高さが伺えます。
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2020年9月7日 制定