訪問介護の2時間ルールとは?
訪問介護における2時間ルールとは、前回提供した指定訪問介護からおおむね2時間未満の間隔で指定訪問介護が行われた場合に、それぞれのサービス提供時間を合算して報酬を算定するルールのことです。つまり、サービス提供の間隔が2時間以上空いていない場合は、それらのサービスを1回とみなして介護報酬を算定するということです。
この2時間ルールは、2007年の介護報酬改定で導入され、2021年の介護保険法改正で法制化されました。目的は、介護保険財政の効率化と適正化です。単に1回の長時間の訪問介護を複数回に区分して行うことを防ぐためのルールといえるでしょう。
訪問介護の利用者数は年々増加しており、2021年度の受給者数は、約140万人となっています。

2007年度以降は増加傾向が続いており、こうした中、限られた財源で適切なサービスを提供するために、2時間ルールの果たす役割は大きいといえます。
訪問介護の単位数と2時間ルール
訪問介護は大きく身体介護と生活援助に分かれます。身体介護とは排泄介助や食事介助、入浴介助など利用者の身体に直接触れるサービスで、生活援助とは掃除や洗濯、調理など利用者の日常生活を支援するサービスです。
それぞれ報酬単位数が設定されており、たとえば身体介護が20分以上30分未満の場合は250単位、生活援助が20分以上45分未満の場合は183単位となっています。
2時間ルールにより、2時間以内の間隔で行われた訪問介護は、合計した時間に対応する単位数が算定されることになります。例えば、9時から30分の身体介護を行い、10時30分から20分の身体介護を行った場合、合計50分の身体介護を行ったとみなされ、30分以上1時間未満の396単位が算定されます。
訪問介護の2時間ルールの例外
ただし、2時間ルールには例外もあります。
- 緊急時訪問介護加算が算定される場合
- 看取り期での対応の場合
利用者の容態急変等により、主治医の指示で緊急に訪問介護が行われた場合は、2時間ルールの適用外となります。この場合、1回につき緊急時訪問介護加算として100単位が算定可能です。
看取り期に必要な訪問介護については、ターミナルケア加算が算定されるサービス提供の場合、頻回の訪問が必要であることから、例外的に取り扱われます。看取り期には、柔軟な対応が求められるためです。
2時間ルール適用の事例と影響
2時間ルール適用の具体的事例
それでは、2時間ルールが適用される具体的な事例を見ていきましょう。
- 事例①
- 事例②
- 事例③
・9:00〜9:30 身体介護30分
・12:00〜12:20 身体介護20分
【算定】2時間以上の間隔があるため、それぞれの所要時間に応じた単位数を合算
⇒ 9:00〜9:30 387単位、12:00〜12:20 244単位で合計631単位を算定
・9:00〜9:20 身体介護20分
・10:30〜11:00 身体介護30分
【算定】2時間以内の間隔のため、サービス時間を合算して算定
⇒ 合計50分の身体介護として387単位を算定
・9:00〜9:30 A事業所による身体介護30分
・10:30〜11:00 B事業所による身体介護30分
【算定】同一日に同一利用者が他事業所の訪問介護を利用している場合、2時間ルールは事業所ごとに適用
⇒ A事業所、B事業所それぞれで387単位を算定
2時間ルール適用による効果
2時間ルールを適用することで、介護報酬の適正化と効率的なサービス提供が可能となります。2時間ルールの導入後、訪問介護費の伸び率は鈍化しています。
一方で、利用者の個別ニーズへの対応が制限される可能性もあるため、柔軟な運用と利用者理解の促進が求められます。画一的な適用ではなく、個別のニーズに配慮したサービス提供が重要だといえるでしょう。
訪問介護のサービス提供を支える訪問介護員の確保も大きな課題となっています。実に約8割の事業所が訪問介護員の不足を感じているという調査結果があるのです。

増大する訪問介護のニーズに応えるためにも、限られた人材を有効に活用し、適正なサービス提供を行っていくことが求められます。
2時間ルールと適正なサービス提供
ここまで解説したように、2時間ルールは介護報酬の適正化と効率的なサービス提供を目的としたルールです。訪問介護事業者はその趣旨を理解し、適切な運用に努めることが重要だといえるでしょう。
ただし、利用者の個別ニーズへの配慮も忘れてはいけません。2時間ルールを機械的に適用するのではなく、一人ひとりに合ったサービス提供を心がけることが大切です。
適正化と効率化を追求しつつ、利用者本位のサービスを提供していく。2時間ルールはそのバランスを保つための指針の1つだといえます。
訪問介護の重要性が増す一方で、訪問入浴介護の事業所数は減少傾向にあります。2007年は2,458あった事業所は2019度には1,770まで減少しました。

在宅での療養を支えるためには、訪問介護だけでなく、訪問入浴介護などさまざまなサービスの充実が欠かせません。
介護サービスの需要は高まっていますが、担い手の不足が依然叫ばれています。そんな中、2時間ルールをうまく活用しながら、適正で効率的、そして利用者本位の訪問介護サービスを提供していくことが求められているのです。
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2020年9月7日 制定