高齢になると目が見えづらくなり、目の病気にもかかりやすくなると言われているわけですが、そこで気をつけなければならないのが白内障と緑内障です。
世界で失明原因のトップとなっている白内障と、日本においてのトップである緑内障。
今回は高齢で注意しなければならないこの二つの病気について考えていきましょう。
世界で失明原因トップの白内障
80代の発症率はほぼ100%!?
まず、白内障とはどのような病気なのかをみていきましょう。
白内障は「目の中にある水晶体が濁ってしまう病気」のことです。
眼球の水晶体は入ってきた光を網膜に写す役割を果たしているのですが、白内障にかかると水晶体が濁ることで外から入ってくる光が写りづらく、病気が進行すると失明に至ることもあるのです。

そんな白内障ですが、実は誰もが発症する可能性のある病気と言われています。
「Minds 白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」によると、50代で45%の人が白内障を発症するという報告がなされています。
年齢とともに発生率が増加し、80代以上ではほぼ100%の人が白内障に罹患するというデータが提出されているのです。
失明率に関して、日本の場合は3%ですが、世界的にみてみると失明原因のトップとなっており、この病気が治療できるか否かは医療水準が大きく関わってくると言えるでしょう。
途上国では白内障によって失明してしまう人は非常に多いものの、日本の発達した医療レベルであれば十分に治療できる病気であると言われています。
白内障の主な原因は加齢
白内障の原因についてみてみると、水晶体が濁る原因として大きなものは「加齢」でした。また、持病も関係しており、糖尿病およびアトピー性皮膚炎といった病気の人も白内障になりやすいようです。
そして、目の怪我をしている人やステロイド薬を使用している人、長期にわたる目の病気を経験したことがある人も若いうちに白内障にかかるリスクがあり、注意する必要があります。
では、この白内障を予防するにはどうすれば良いのでしょうか。
老眼は強い紫外線や赤外線を多く浴びることによって進行しやすくなるということが判明しているので、サングラスや目薬を使って目を光から守っていくことは効果的です。
実際、紫外線や赤外線を浴びやすいガラス職人や、炉で働く人が白内障になりやすいといわれています。
また、前述したように、生活習慣病のひとつである糖尿病が白内障に対して影響を与えることから、日頃の食習慣にはできるだけ注意を払って生活していきたいところです。
緑内障は日本における失明原因のトップ
視神経の圧迫によって症状が進行

ここまでみてきた白内障、この言葉と似た病気に「緑内障」というものがあります。厚生労働省によると、この緑内障という病気は日本における失明原因のトップとされ、失明に至った人のうち25.5%を占めるというデータがあります。
そんな緑内障ですが、一般的には目の中央にかかる眼圧が高くなる病気のことを指します。
眼圧とは「目にハリを与えて眼球の形状を保つ圧力」のことで、この眼圧がしっかりと機能して眼球が丸い形状を保っているからこそ、目できちんとモノを見ることができるのです。
しかし、この眼圧が高くなることで視神経が圧迫されて視野が狭くなり、結果として視力低下や視野の欠損が起こります。
自覚症状が出るのも遅いことから気がつかないうちに症状が悪化し、視力の低下や視野の欠損が起こります。気づいた時には重篤な症状にまで進行している可能性も高いようです。また、一度圧迫された視神経は元に戻らないと言われているようです。
緑内障の主な原因は不明
では緑内障の原因はどのようなものなのかというと、実はまだ解明されていないのが現状です。なぜ眼圧が高くなるのか、どのような順序で発症にいたるのか、そしてなぜ緑内障になる人とならない人がいるのかはまだはっきりとわかっていないのです。
しかしその一方で、緑内障は予防をすることができると言われています。眼球の中にたまる水が滞らないようにして水はけを良くし、きちんと排水することで眼圧の上昇を避けることは可能なようです。
また、北里大学の基礎試験では、ガムを噛むことで眼圧が下がるといった結果も明らかに。ガムを噛んでリラックスすることによって自律神経が整えられて、血流がよくなることが効果的な予防となっていると考えられています。
高齢者の”眼”事情
なぜ老化によって視力は下がるのか
老化によって視力が下がる症状はほぼすべての人に起こり得ることですが、これは年を取ると水晶体が硬くなることにあると言われています。水晶体が硬くなると焦点を合わせることがとても困難になるので、その反応がより顕著に出るようになります。
また、目で受信した情報を脳へ伝える神経細胞が加齢とともに減少し、横幅や奥行きといった立体構造の認識力を低下させ、距離感が掴みづらくなります。

老化の症状によっては動体視力や静止視力も衰え、物の状態にかかわらず、一様に見えづらくなります。データからも明らかなように、特に60歳を超えた頃から視覚機能が低下。普段の実生活に大きな支障をきたす可能性もでてくるでしょう。
目の不自由な人に周りが行うべき配慮
視力の低下は高齢となるにつれて避けることができない事実。それと同時に、現在の日本はおよそ4人に1人が高齢者である超高齢社会の真っただ中であることを忘れてはなりません。この現実において、目の不自由な人にはどのような配慮をすれば良いのでしょうか。
目が悪いと一口に言っても、視界が狭いのかまぶしさがあるのか、あるいは色を識別することが難しいのかなどといった幅があります。そういった多様な症状がある中で、一般的な接し方のポイントに「具体的表現」というものがあります。
「そこ」「あそこ」といった指示語で話すのではなく、「隣」や「右側」という具体的な表現を心がけ、コミュニケーションの勘違いをなくするのがこの具体的表現の意味するところです。
また、生活を共にする際には、室内に転倒防止のバーを取り付けることはもちろん、モノの置き場を一定にするなどの工夫も必要となるでしょう。点字を打ったシールを貼り付けるなどの施策も、事故を未然に防ぐ意味では重要です。
今回は白内障と緑内障についてみてきました。高齢になると病気が身近になりますが、目の病気は多くの人に関係があるものです。知識を身につけて可能なものはしっかり予防し、生活の質を保って毎日を過ごしていきたいですね。
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2020年9月7日 制定